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自動詞


自動詞とは、動詞の分類の一つで、目的語(厳密には直接目的語)をとらない動詞を指す。
初級・中級程度の英語学習者の中には「自動詞なら前置詞句を伴う」「前置詞句を伴っているから自動詞だ」と推論する者もあるが、これは過剰な一般化である。確かに自動詞は前置詞句と共起しやすいが、「動詞xが前置詞句を伴っている」⇔「動詞xは自動詞である」は真ではない。

動詞existは直接目的語をとらないから自動詞である。
 God exists.
 *God exists Goddess.
日常的な例では、しばしばその「存在場所」が問題になるから、前置詞句によって場所を明らかにする。
 A possible solution exists in my book.
しかし、前置詞句をとるのは自動詞だけには限らない。他動詞であっても前置詞句をとる例は無数に存在する。
 I bought a computer at the shop.
 He gave her a good book in the park.
 They found the current system consistent during the discussion.

自動詞の分類 1:完全自動詞と不完全自動詞

自動詞の表す内容はさまざまであるが、自然現象の多くは自動詞によって表される。例えば「降雨」を表す自動詞はイタリア語でpiovere(ピーヴェレ)、チェコ語でpršet(プルシト)だが、「天気はどう?」と聞かれたときに答えとなるような「雨です」は次のようになる。
[イタリア語] Piove.(ピーヴェ)
[チェコ語] Prší.(プルー)
自動詞の定義から目的語は現れないし、さらに両言語の特性から主語も生じず、結果として動詞単体で事態を描写することとなる。

これに対し、英語のrainやフランス語のpleuvoir(プルヴォワール)、ドイツ語のregnen(グネン)は仮の主語を要求する(生成文法では擬似項pseudo argumentと呼ぶ)。
[英語] It rains/It's raining.
[フランス語] Il pleut.(イルプル)
[ドイツ語] Es regnet.(エスグネット)

これらのように、仮の主語(これを持たないものは空白の主語)をたてる自動詞以外にも、普通の名詞が主語になるような自動詞がある。多くの自動詞は、実はこちらのタイプである。
[英語] People ran (in the park).
[ドイツ語] Die Leute haben (in dem Park) gelaufen.
[フランス語] Les gens ont couru (dans le parc).
[イタリア語] La gente hanno corso (nel parco).
[ロシア語] Люди бежали (в парке).
[チェコ語] Lidé běželi (v parku).

上に挙げた「走る」という意味の自動詞は、カッコ内の要素(「公園で」)を省いてもかまわない。つまり、主語と動詞だけで事態の描写が可能なわけで、これを「完全自動詞」と呼ぶこともある。学校英語の五文型論でいえば第1文型に相当するものである。それに対して、主語と動詞だけでは完結できず、主語を補うような「補語」を伴う必要のある自動詞を「不完全自動詞」と呼ぶこともある。学校英語の五文型論でいえば第2文型に相当するものである。[*( )は、省いてはならないことを示す]
[英語] This perfume smells *(good).
[ドイツ語] Dieses Parfüm riecht *(gut).
[フランス語] Ce parfum sent *(bon).
※イタリア語では「芳香を持っている」、ロシア語・チェコ語では完全自動詞で「芳香がする」があり、不完全自動詞の例として挙げることは出来ない。ならばbe動詞に相当する動詞を挙げればいいではないか、と言われる向きもあろうが、be動詞(より一般的にコピュラ)はさまざまな言語現象に照らしてもやや特殊であり、またロシア語にはコピュラ自体が存在しないこともあって、例示は控える。

自動詞の分類 2:非対格動詞と非能格動詞

上述の完全/不完全の分類とは別の形で自動詞を分類する試みもある。言語学の生成文法などで頻繁に言及される分類であって、一方を「非対格動詞unaccusative verbs」、もう一方を「非能格動詞unergative verbs」と呼ぶ。詳細は各項目を参照いただきたい。
2007年02月03日(土) 12:28:16 Modified by k170a




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