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衆議院の優越

憲法上、衆議院が参議院に優越していることがあります。「優越」というのは、衆議院と参議院で異なった議決をした場合に、衆議院の議決が国会の議決となる場合があるということです。それは次の4つです。

内閣総理大臣の指名
予算
条約
法律

これらの4つです。
あと、「国会の会期延長の決定」についての規定が、国会法の中にあります。これについても衆議院が優越します。ただし、これは憲法の規定ではありません。法律の規定です。

一方の議院の意思だけで国会を通過させてしまうのは、国政の渋滞を避けるためと言われております。総理大臣が決まらないと困ります。また予算は国民生活に密着しておりますので、予算が通過しないと国民の生活に支障をきたしてしまうのです。そのため、衆議院の議決だけでよいものとされているのです。

なぜ衆議院なのでしょうか。

衆議院議員の任期は4年です。それに対して参議院議員の任期は6年です。衆議院議員のほうが2年ほど短いですね。それだけ、そのときそのときの国民世論を反映している可能性が高くなります。それに加えて、衆議院には解散があります。ですから、4年を経ずに選挙が行われる可能性が高いです。
つまり、衆議院議員の場合、短期的な(そのときそのときの)世論を反映しているわけです。これに対して、参議院議員の場合には、半数ごとに選挙が行われるとはいっても、6年間の任期があり解散もないわけですから、長期的な世論を反映しているのです。

ですから、そのときの世論を反映している衆議院の意思を尊重して、衆議院の意思を優越することにしているのです。

ところで、先ほどの4つを思い出して下さい。これら4つを覚えるだけなら、さほど苦ではないのですが、問題は優越の度合いが異なるということです。それぞれの優越の度合いをきちんと覚える必要があります。

まず、予算については衆議院に先議権があります。憲法上、先議権があるのは、予算だけです。これは比較的覚えやすいですね。

一番覚えにくい(言い換えると、面倒で出題されやすい)のは、ここからです。

それぞれ優越の度合いが異なります。

法律案の場合、参議院が衆議院と異なった議決をした場合には、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときには法律となります。参議院が衆議院の可決した法律案を受け取った後、60日以内に議決しないときは、衆議院は参議院がその法律案を否決したものとみなすことができます。参議院が衆議院と異なった議決をした場合、両院協議会の開催は任意的です。衆議院としては、開催を求めてもいいし、求めなくてもいいことになっています。

条約と予算の場合、参議院が衆議院と異なった議決をした場合、両院協議会の開催は必要的です。そして、両院協議会で不一致の場合、衆議院の議決が国会の議決となります。
もし、参議院が衆議院の可決した予算・条約を受け取った後、30日以内に議決しないときも衆議院の議決が国会の議決となります。

内閣総理大臣の指名の場合も参議院が衆議院と異なった指名の議決をした場合、両院協議会の開催は必要的です。そして、両院協議会で不一致の場合、衆議院の指名の議決が国会の指名となります。条約や予算と異なるのは、衆議院が指名の議決をした後、10日以内に指名の議決をしない場合には、衆議院の議決が国会の議決となる点です。

ここでまず試験対策として覚えなければならないのは、両院協議会の開催は法律案の場合には「任意的である」ということです。そして衆議院での再議決は3分の2以上の多数が必要ということです。

めざせ憲法の達人!
2007年07月29日(日) 08:23:02 Modified by mizunobara




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