最終更新: nano69_264 2008年05月18日(日) 16:16:10履歴
[14]前スレ350 『走り続けて』 1/12<sage>2007/08/02(木) 22:24:07 ID:AUtvR1EF
[15]前スレ350 『走り続けて』 2/12<sage>2007/08/02(木) 22:24:49 ID:AUtvR1EF
[16]前スレ350 『走り続けて』 3/12<sage>2007/08/02(木) 22:25:21 ID:AUtvR1EF
[17]前スレ350 『走り続けて』 4/12<sage>2007/08/02(木) 22:26:02 ID:AUtvR1EF
[18]前スレ350 『走り続けて』 5/12<sage>2007/08/02(木) 22:26:39 ID:AUtvR1EF
[19]前スレ350 『走り続けて』 6/12<sage>2007/08/02(木) 22:27:30 ID:AUtvR1EF
[20]前スレ350 『走り続けて』 7/12<sage>2007/08/02(木) 22:28:14 ID:AUtvR1EF
[21]前スレ350 『走り続けて』 8/12<sage>2007/08/02(木) 22:28:51 ID:AUtvR1EF
[22]前スレ350 『走り続けて』 9/12<sage>2007/08/02(木) 22:29:31 ID:AUtvR1EF
[23]前スレ350 『走り続けて』 10/12<sage>2007/08/02(木) 22:32:27 ID:AUtvR1EF
[24]前スレ350 『走り続けて』 11/12<sage>2007/08/02(木) 22:33:08 ID:AUtvR1EF
[25]前スレ350 『走り続けて』 12/12(おまけ)<sage>2007/08/02(木) 22:34:11 ID:AUtvR1EF
彼女が離れていくのが辛くて。
――――――だからその後を必死に追いかけた。
あたし――――アリサ=バニングスが彼女――――高町なのはと出会ったのは今から12年前。小学一年生のころ。
あのころのあたしは、親の権力に酔いしれていた典型的なわがままな子供だった。
自信家で、わがままで、そしていじめっこで。今思い返すと自分でも嫌な奴だった。
そんなある時、今でも大切な友人である月村すずかの大切なヘアバンドをあたしは面白半分で取り上げた。
あの時のすずかは今よりも気が弱くて物静かで、多分当時のあたしにとっては格好のカモみたいな存在だったんだと思う。
その中に入ってきたなのはは、あたしの頬を平手打ちして、こう言った。
「痛い? でも大切なものをとられちゃった人の心は、もっともっと痛いんだよ」
その後は取っ組み合いの喧嘩になって、当事者のすずかに止められる始末。
…はっきり言って、第一印象としては最悪の部類だったかな。
まぁ、それからあたし達は何故か仲良くなって、長い付き合いの友達になってるんだけど。
時には喧嘩も何度かしたけれど、破綻することもなく。あたし達の関係は続いていた。
三年になってそこにフェイトが入って来たけど直ぐに仲良くなったし、あたし達の距離は変わらない筈、そう思ってた。
そこにあたし達の関係に影響を及ぼすこととなった重大な転機の一つが訪れた。
10年前の12月24日、クリスマスイブ。あたしはすずかと二人で歩いていた、何故かその時周りの人達が一斉に居なくなった。
困惑してその場に立ち竦んでいたら、誰かが……こっちに来た。
――――見知らぬ格好をし、手に杖みたいな物を持ったなのはとフェイトだった。
そりゃまぁ、親友が変な格好していきなり現れたら驚くわよ。だけど…次の瞬間更に驚かされる事になった。
どこからか飛んできた淡い桃色の光の帯、それを杖をかざし、魔方陣みたいなのを出して防ぐ二人。
『魔法』というものを初めて見た瞬間だった。
問い詰めようと思ったけど、その時にはもうどこか別の場所に飛ばされてしまった。
真実を知ったのは翌日、クリスマスパーティの時。そこで、あたしはなのは達が魔導師…という存在だということを知った。
動揺もあったけど、なのは達がなのは達であることは変わりないんだし。
四年になりあたし達のグループにはやてが加わり、一層賑やかになった。
でも、この時あたりから変わりはじめたことがあった。それはなのは達の欠席が増えたこと。
時空管理局という組織の嘱託魔導師であるなのは達には当然仕事というのがある。
学生だから本分の勉強に影響しない程度には……って感じだったらしいけど。
むを得ない時には学校を休んででも行かなきゃならなくて。だから欠席が増えた。
その頃はまぁ、少しさびしかったけど仕事だし仕方ないかなって感じで思ってたんだけども。
今から8年前、六年生のある日。信じられない事を伝えられた。
なのはが任務中に瀕死の重傷を負ったと。
ユーノに連れられて、すずかと一緒になのはの居るアースラの医療室に向かうとそこには
体中を包帯でぐるぐる巻きにされ、いくつものコードを体につけられ、死んだように眠るなのはの姿があった。
包帯は血で痛々しく染まり、寝息は今にも途切れそうな程かすかで。
それを見て、何か出来るわけじゃなかったけど、何も出来ない自分を恨めしく思った。
…この時、あたしの心の中である感情が芽生えた。
なのはの怪我は治るのに半年もかかるほど酷いものだった。学校では交通事故で休学という扱いになっていた。
学校に行ってもその席には誰も座っていない。……正直言うとあの元気な笑顔を見ることが出来ないのは寂しかった。
出来ればなのはのいる病院にお見舞いに行きたかったけれども、あたしは魔法の存在を知っているとはいえただの一介の一般人。
異世界であるミッドチルダにある病院にはフェイトやユーノ達の力を借りなければ行くことが出来ず、そう気軽には行けなかった。
怪我も治りなのはが復学し、あたし達が中学に入る辺りになると、仕事による欠席はさらに増えた。
目指す夢に向かってまっしぐらに進むなのは達に対して、……あたしはその時、距離を感じ始めていた。
なのはと離れたくなかったのだ。このままだと、確実に遠くに行ってしまうような気がして。
・・・・あたしの中の決意は徐々に大きくなっていった。
その決意、それは。
―――――――出来る限りなのは達に近い道を歩むこと。
……いや、これはさらに建前。本当は近くにいたいのはなのはだけだから。
陳腐な決意だけど、それがあたしの決めた道だった。
笑いたければ笑えばいい。ただ……なのはの近くにいたかった。それだけのこと。
以前ユーノやクロノについでで魔力を測定して貰ったけれども、精々あたしの魔導師ランクは最低レベルに近いE〜F。
一般人より少し上といった所。これはなのはやフェイトの強大な魔力をほんの少しずつ受けながら出来た微かな魔力らしい。
普通の人より恵まれた環境に居たとはいえこの量じゃなのはと似たような道を進むには無謀にも程がある。
それを聞いて少し諦めかけた時、ユーノがこう言った。
魔力が無くても別の仕事がある、と。
……そうだ。別の仕事でも可能性は0じゃない。
そしてそれがあたしの原動力となった。
今まで勉強なんか殆どしたこと無かったけど、それはもう必死に勉強した。すべてが0に近い状態から。
学ぶことはたくさんあった。魔力や次元世界についての基礎的知識や管理局についての知識、そして言語や一般常識に近いものとか。
魔力は殆ど無かったけど魔法だって少しだけ覚えた。幸い、ユーノやクロノと言った超優秀な先生はたくさんいたし。
――――でも、なのはにはこの事は教えなかった。
多分、反対するだろうから。
いくらあたしの目指す方面は内勤だといえ、危険だって無いわけじゃない。
本来一般人の筈のあたしが巻き込まれることを望まないだろうし嫌うだろう。
だから、言わなかった。……いや、言えなかった。
はやてやフェイトにも言わなかったけど、多分彼女達は勘が鋭いから気が付いてたかもしれない。
でも多分言わないでくれてたんだと思う。
色々な試験を受け、様々な資格を得た。出来れば多く取った方が様々なルートから近づけると思ってたし。
管理局の入局試験にも通り、晴れてあたしは時空管理局の職員となった。……最もかなり無理したんだけど。
――――――――そして今、あたしはここにいる。
なのは達のいる機動六課、そこに本局から出向してきた人員の一人、アリサ=バニングスとして。
「―――改めまして、本局第七情報管理課から出向して来ました、アリサ=バニングス二等陸士です。
こちらでは通信スタッフと後は経理事務をやらせて頂くことになってます。至らないところもあるでしょうが、これからよろしく御願いします」
はやて――いやここでは八神部隊長か――に全体で紹介された後、軽く一人ずつ自己紹介を行う。
あたしの仕事は通信スタッフと経理。それに後は細かな情報の管理・作業。
概略だけは先輩に聞いて、すぐに各自の仕事に取り掛からないと。
――なのはもフェイトも鳩が豆鉄砲でも食らったような顔してたわね。そりゃそうね……全く言ってなかったし。
あの調子だとはやてもわざと言って無かったんじゃないかしら。はやてだけは来るスタッフの情報ぐらい知ってたはずだし。
……おっと、初日から考え事してて失敗しましたなんてやっちゃダメよね。
お昼に入り、食事休憩に入る人がそこそこ出て来たので、あたしも休憩を取らせてもらった。
仕事を早く覚えたほうがいいから、抜いて昼の間に覚えてもよかったんだけど、やっぱりしっかり食べないとね。
適当に食堂で注文して受け取り、適当な席に座って食べ始めようかとした時、私の上に大きな影が差し掛かってきた。
――やっぱり、来た。
「……聞きたいことは色々あるんだけど……ねぇ? アリサちゃん?」
「……何の御用でしょう高町一等空尉」
ここではなのはの方が上司なんだし、とりあえず丁寧に返しておいた。
「今は休憩中だし、かしこまらなくてもいいよ……って、何でここにいるの!?」
「本局から六課に出向してきたからだけど?」
「いや、そういう事を聞きたいんじゃなくて、私が聞きたいのは何故アリサちゃんが時空管理局にいるのかって事なの!」
ほーら、やっぱり聞くと思ったわよ。
「入局試験に通ったからよ……で、それだけ?」
「いや、だからねぇ……だってアリサちゃんがまさかこんな所にいるなんて思わなかったし……」
「まぁとりあえず座ったら? なのはって有名人なんだから立ったままだと目立つわよ?」
さっき下手になのはが声を張り上げたものだから周辺の席からこっちに視線が集まって少々怖い。
なのでとりあえず座らせた・・・・あぁ、後で他の人に何聞かれるかな。
「で、改めて聞くけどなんでアリサちゃんが時空管理局にいるの?」
……正直、すごくシンプルな質問なんだけど、答え辛い。
いくらなんでもなのは達と離れたくなかったから追いかけてきたなんて言えないわよっ!
「……えーと、そうね、興味を持ったからよ。魔法とかこっちの世界に」
自分でも凄く苦しい答えだと、思う。
「それなら何で言ってくれなかったの?言ってくれれば協力はしたのに」
……まただ。答え辛い。それに、なのはの言葉は多分半分嘘だろう。
なのはの性格のことだ、応援したいけどこっちの危険が付きまとう世界には巻き込みたくないって所かな。
「そりゃー……まぁ。なのは達忙しそうだったし、自分の我侭で巻き込む訳には行かないってね」
また、苦しい答え。
「……別に気にしなくても良かったのに……あ、私新人達の訓練があるからもう行くね、ばいばい、アリサちゃん」
なのははそう言うなりあたしの返事を聞く前に足早と去って行ってしまった。
……なんか凄く不自然だったわね。これは・・・バレたかな。嘘って。
どうでもいいけど、仕事の後自室に戻る際あたしに待っていたのは、なのはとの関係を聞きに来た人の山だった。
……目立つとは思ったけど、なのはの知名度ってすごいのね。
「スターズ分隊とライトニング分隊の訓練補助……ですか?」
「ええ、いつもは私が行っているんですけど……今日はちょっと他の仕事を優先しなくてはいけなくて……
今唯一手が空いているのがアリサさん位でしたので…」
あの後しばらくの間はなのはとは面と向かって話す時間も無く、廊下で会っても会釈だけしてすれ違うだけが続いていた。
最近は忙しそうだったし、元々あたしは内勤だからあまり会う機会無いんだけどね。
で、今あたしと話しているのは通信主任のシャーリーさん。ま、簡単に言えばあたしの上司。
「……別に構いませんけど、今から……ですか?」
「ええ、訓練場までは急ぎですし転送で向かってください。話は通してありますので」
「分かりました、十分後にあちらに向かいますね」
なのは達の訓練か……話には聞いていたけど実際には見たこと無かったし、まぁ丁度いいかな。
訓練場に転送されると、そこには既になのはやヴィータ達が来ていた。
「本日はシャリオ通信主任が多忙との事ですので、代わりに訓練サポートを行いますアリサ=バニングス二等陸士です。よろしく御願いします」
「「「「よろしく御願いしますっ!」」」」
「アリサじゃねーか、久しぶりだな……っても一応ほぼ毎日顔だけは見てるけどよ」
「あ、久しぶりねヴィータ……じゃなかったヴィータ副隊長」
「んな、畏まらなくてもいーぜ」
「一応上司と部下の立場だからね。公私混同はしたらダメじゃないかとあたしは思うんだけど……」
「んなもんどーでもいいんだよ、ま、早速訓練始めることにしようぜ」
「うん、そうだね。それじゃみんな、準備してっ訓練始めるよー」
なのはの号令と共にみなバリアジャケットを羽織って準備を始めていった。
あたしも、さっさと準備しないとね。まずは場所のセッティングと・・・・
しっかし、毎度思うけど本当に魔法って凄いわね。
今やってる訓練内容はフォワードの子達がなのはの砲撃を避けつつ、反撃を与えるといった極々単純なもの。
まぁ、あたしのやる事は既に殆ど終わっちゃったし、今はもう見てるだけみたいなものだけど。
というか、よくあれだけ沢山撃てるわね……やっぱり、桁が違うわ……
何処と無くなのはも生き生きしてるし。やっぱり天職よ……
「アリサちゃんっ!! 危ないっ!!」
突然の掛け声に思考の渦から現実に引き戻されると、すぐ目の前にはコントロールミスからか数発の流れ弾が。
咄嗟の事とはいえすぐに判断し、あたしでもなんとか扱える防御魔法を眼前に張った。
バリアに着弾して、勢いは削げたもののあたしの魔力じゃ強度もそこまで無い。
そもそもあたしとなのはじゃ基礎スペックが違いすぎるっ・・・・!
バリアが音を立てて崩壊すると同時にあたしの体に魔力弾が直撃した。体中に流れる強い衝撃。
薄れる意識の中……なのはの声がすぐ間近で聞こえたような気がして……そこであたしの思考は闇に落ちた。
「うっ……うーん……」
どこか心地良い……そんな感じの闇の世界から抜け出し、目を開けた。
……あー、訓練中の手伝い中に流れ弾受けて気絶したんだっけ。
目を覚ましたあたしにまず見えたものは見慣れた部屋。……自分の部屋か。
でも……他に誰かいる気がする。まだボーっとする視界を凝らして見たものは……ベッドのすぐ傍でじっとあたしを見つめていた、なのは。
「……あ、目が覚めたんだね、アリサちゃん。良かった。」
起きたあたしに気が付いたのか、なのはが心配そうに声を掛けて来た。何処と無く、声も疲れているような感じがする。
「……おはよう。もしかして……ずっと見ててくれたの? ……ありがと」
素っ気無い返事を返しておく。
感謝はしているのだ。これでも。ただ、本人目の前にすると何というか・・・・まぁ。恥ずかしいのよ。
……そして流れる無言の時間。何となく気まずい雰囲気が流れた所、不意になのはが口を開いた。
「ねぇ……アリサちゃん」
「……何よ」
「…………アリサちゃんは普通の生活に戻ったほうがいいと思うの」
あたしは自分自身の耳を疑った。
なのはが今言ったことが確かならば、それはあたしに自分の思いを捨てて普通の生活に戻れという事。
ただなのはの傍にいたくて、追いかけてきたのに。
それを真っ向から、否定された。対象とする本人からの拒絶。あたしの心に、深い絶望が襲ってきた。
「………何でよ」
重い口から自然に出た言葉。
「……何でなのよ、あたしに、自分の思いを捨てろっていう訳っ!? ただ、離れるのが辛いから、それだから必死に追いかけてきたのにっ!
自分の好きな人を追いかけたくて、必死に頑張って、やっとここまで来たのにっ! なんでその本人から普通の生活に戻れなんて言われなきゃならないわけっ!?
じゃあ、あたしが今までやってきた事は何だったわけ!? なんなのよ!? ……ねぇ、答えてよ……」
溢れたダムのように、自分の思いを全て言葉の弾丸にして撃ちだした。
途中から涙が出てきた。最後のほうにはもう言葉にならない嗚咽混じりになったけど、気にならなかった。
なのはとは何度も喧嘩したけど、ここまで感情的になった事なんて、無かった。
「……アリサちゃん」
なのはも突然の豹変に戸惑っている……のかと思ったけど、意外と聞こえてきた声は冷静だった。
……あたしの存在なんてそんなものだったのかもね。この反応も予測でもしてたのかな。
そんなネガティブな思考に嵌りかけたあたしに、なのはは言葉を続けた。
「……私は、大切な人が居てね。その人を守るために強くなろうと思った。
その子は少々気が強くて、どことなく強引で。でも奥底では優しくて、友達思いの子だった」
……は?なんでいきなりここで自分語りなのよ。
「その子は私の秘密を知っても、友達で居てくれて」
……え?
「一度、理由を聞いてみたら『なのははなのはなんだし』とか言っちゃってね』
……待ちなさいよ、それって……
「嬉しかった。だからその子と一緒にいたくて。でも、私は弱かったから」
…………
「強くなりたくて、今まで頑張ってきたの。離れてて寂しかったけど、目標があるから頑張れた。
その子がこっちまで追いかけてきちゃったのはちょっと予想外だったけど」
……間違いない、その子って……
「ごめんね、アリサちゃん」
……何で謝るのよ。
「そんなつもりは無かったんだ……ただ、さっきみたいに、守れないのが怖くて。
私のせいで、守れないのは嫌だから。私が守れないなら、安全な所にいて欲しかったの。……我侭だよね」
……涙が止まらない。今はずっと俯いているからなのはからは見えないだろうけど。
さっきの言葉はあたしの事を思っての事だったんだ。
「今なら……言えるかな、大好きだよ、アリサちゃん」
「バカ……あたしもよ、なのは」
苦笑一つでそう返した。そのままあたしは、なのはの唇に淡いキスをした。
先に告白されちゃったからね、仕返しよ。
あたしは服を脱ぎ、生まれたままの姿になる。
目の前には同じく生まれたままの姿のなのは。……あたしが言うのもなんだけど綺麗だ。
なのはの指があたしの体に触れる。触れた所から伝わってくる感触がくすぐったい……けど悪くない。
指は体の上をなぞり――あたしの胸に。
その指は敏感な先端にまで届き……軽く摘まれた。
「んっ・・・・・」
思わず、声が出る。
あたしの声には構わず、そのまま指はあたしの大事なところに。
敏感な秘所に指をなぞられて、否応がなしにあたしの体は火照る。
「アリサちゃん……気持ちいいんだね、ほら、濡れてきてる……」
あたしの愛液を指に纏って、なのははあたしに見せつけてきた。
さらに心臓の鼓動が早くなる。早く、もっと弄って欲しいと心の中で思う。
その心境を察してか知らないけど、なのはの指があたしの秘所に、入ってきた。
軽く動かされるだけで、体中に痺れるような電撃が流れる。
「な・・・・なのはぁ・・・・・」
動きが段々激しくなっていく。かき混ぜられるような動きが、果てしなく気持ちいい。
なのはは指を動かす片手間にあたしの他の場所も触っていく。
唇はあたしの胸を舐め、右手は体を縦横無尽になぞり、そして左手があたしの秘所をかき混ぜる。
もう考える事さえ出来なくなってきていた。
「……はぁっ! あああああぁぁぁぁぁあっ!!」
そして幾度かの光悦の末……頭の中に閃光が走ると。あたしは、絶頂に達した。
「……アリサちゃんばかり気持ちよくなってズルいよ、ねぇ……私にも……」
あたしを絶頂させた事に満足したのか、手を止めるなのは。
そして、私の目の前に、なのはのピンク色の秘所が見えた。
「……アリサちゃん……ここ、舐めて?」
言われるままに舌を伸ばし、そこを舐めはじめた。
隅々までしっかりと・・・・・なのはを味わうのごとく舐め進める。
次から次へと出てくる液を掬い取り、すべて飲み干した。
「……そう・・・・・・いいよ……んんっ」
…感じてる、あたしの舌でなのはが感じてるんだ・・・
その声に上がったテンションと共に、さらに舌を這わせる。
秘所だけでなく、その後ろに隠れた不浄の穴までも。
汚いところなんて、ないから。もしあっても、全部あたしが綺麗にしてあげる。
途端、なのはの体が軽く震えたと思うと、さらに小刻みに震えた。
……ああ、声を殺してるけど、イったんだ、なのはも。あたしの責め、で。
それが少し嬉しくなって、なのはから見えないように少し微笑んだ。
あたしとなのはは今、お互いに間向かうような姿勢になっている。
簡単に言えば仰向けなあたしの上に、なのはがうつ伏せな形になっている。
「アリサちゃん・・・・・一緒に・・・・・」
「うん・・・・・」
お互いの秘所を合わせ、すり合わせる。
小刻みに動くと、その度になのはのが私のに当たり痺れるような感覚が体中を駆け巡る。
快感が体に走ると共に動きはどんどん早くなる。
「いっいいっ、アリサちゃんっ一緒にぃっ!」
「な、なのはぁっ!!」
あたしは両の腕でなのはを抱きしめ、しがみ付く。
その刹那、あたしの頭が真っ白になって……そして体中の力が抜けた。
目の前のなのはも、小刻みに震えていた。一緒に・・・・・イけたのかな。
……一瞬だけど、なのはと全てが一緒になれた気がした。
あの後、あたし達は何度も体を重ねあった。
今までのすれ違いを取り戻すかのごとく。
体を触り、舐めあい、キスをしたり。
互いの秘所をこすり合わせ、時には後ろも弄りながら。
あたし達は体を合わせ続けた。何度も、何度も。
「・・・・・・さすがに疲れたわ・・・・・・」
「アリサちゃんばてるの早いよ・・・・・」
「なのはが体力あるだけでしょ・・・・・・うわ、もう朝になってる」
「え、そんなに!?」
疲れて止めたころにはもう時計の針は朝方を指していて。
あたしが気が付いたのはいつかは分からないけど、結構な時間体を重ね合わせていたことに違いない。
正直疲れが抜けない。このままだと今日の仕事に差し支えが多いわね。きっと。
でも・・・・・こんな疲れなら悪くない。
だって、なのはと、一つになれたから。それを思うと疲れなんて吹き飛んでしまいそう。
「ねえ、なのは」
「何、アリサちゃん」
「――――――責任、取ってよね」
自分じゃ何気なく言ったつもりだけど、ちょっと恥ずかしいわね。
「――――あー、うん。善は急げっていうよね?」
「え?」
「結婚式、いつにしようか?」
――――へ?
「やっぱり早いうちに決めたほうがいいかなーって、」
いやちょっと何を言ってますかなのはさん。展開が早すぎるというか理論が飛びすぎです。
「いやちょっと待ちなさい、凄く変な方向に勘違いしてない・・・・・?」
「え?責任とってって事はすなわちお嫁さんにしてくださいって事じゃないの?」
……なんか、変なスイッチ入れちゃったみたいね。というか何よその論理の飛躍。
「いや、そういう事じゃなくてね・・・・・」
「……アリサちゃん、私の事……嫌い?」
あー、そんな目で見ないで。嫌いなわけないじゃないの。
「馬鹿……嫌いな訳ないじゃないの」
「じゃ……証拠を見せて」
なっ……言うようになったわね。
「――――好きよ、なのは。一生大事にするから」
「――――うん。私もアリサちゃんを一生守るから」
返す言葉はもういらない。その返事には軽くキスで返した。
昔からの思いが伝わった――ああ、今日は人生最高の日になりそうね。
一生一緒にいてやるんだから、覚悟しなさいよ。なのは。
あの後はやてやフェイトには即バレたけど、素直に祝福された。
前々からやっぱりあたし達の互いの気持ちは知ってたらしいけど、結局成り行きに任せてたらしい。まぁ結果オーライって奴?
ちなみに機動六課出向メンバー選択時には、はやてが直々にあたしを名指ししたとか。感謝するわ。
なのはと結ばれてからしばらくして、そんなこんなであたしはまだ機動六課にいる訳だけど。
「――だーかーら、いくらなんでもこの予算じゃ無理があるわよ!?」
「そんな事言わへんと、なんとかならんか? アリサちゃん」
「前のだって結構無理して通したのに、今回のはさらに酷いわよ!? なんで設備費が前回の2倍近くになってるわけ?」
「まぁ、それは色々とあるんや・・・・・やっぱり無理か?」
「無理。言わせて貰うけどはやて予算配分適当すぎ、なんでこう偏るのか分からないわ・・・・」
「まーまー・・・・・」
今あたしは、予算を巡ってはやてと口論中な訳で。
ちなみに今旧知のメンバーしかいない上に、はやてが敬語を嫌うので今は昔同様タメ口で話し合っている。
「まあ、とにかくもう一度考え直して」
「仕方ない……最終兵器や。……おーい、なのはちゃんこっち来てや」
「何、どうしたの?」
「いやー かくかくしかじかでな、ちょっとアリサちゃんを説得してもらおうかと」
「うん、わかったよ。……アリサちゃん、お願い……出来ないかな?」
何でそう上目遣いでこっちを見るのよっ!……そんな目でみられたら断れないじゃない。
「……分かったわよ」
「さっすが、アリサちゃん話分かるなぁ、じゃ頼むわっ」
うう……なのはをダシにするとは卑怯なりはやて。……って、引っかかるあたしもあたしか。
これは流石に骨が折れそう・・・今日は徹夜かしら。
それにしてもはやては今日何か機嫌いいわね。何かありそうね。
「あ、言い忘れとったけど今日本局から追加人員来るからよろしゅうな」
へぇ……新しく人来るんだ、と思ったあたしの脳裏に浮かんだ一つの影。
・・・・・・ま、まさかねぇ。幾らなんでもあたしと同じ理由な訳は……大体、本局なら既に会ってる可能性ありそうなもんだし
な、無いよね……?
「お、来たみたいや。今から紹介するから入ってもらおうか」
はやての声と共に扉が開く、そこに居た人物とは―――
「本局第四技術開発部から出向してまいりました、月村すずか二等陸士です。よろしく御願いします
――――――久しぶりだね、みんな」
ああ、だからはやてが機嫌よかったのね。
そして、あたしがここに来たときのなのはとフェイトの気持ちが今凄く判った気がした。
-fin-
著者:前スレ350
[15]前スレ350 『走り続けて』 2/12<sage>2007/08/02(木) 22:24:49 ID:AUtvR1EF
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[25]前スレ350 『走り続けて』 12/12(おまけ)<sage>2007/08/02(木) 22:34:11 ID:AUtvR1EF
彼女が離れていくのが辛くて。
――――――だからその後を必死に追いかけた。
あたし――――アリサ=バニングスが彼女――――高町なのはと出会ったのは今から12年前。小学一年生のころ。
あのころのあたしは、親の権力に酔いしれていた典型的なわがままな子供だった。
自信家で、わがままで、そしていじめっこで。今思い返すと自分でも嫌な奴だった。
そんなある時、今でも大切な友人である月村すずかの大切なヘアバンドをあたしは面白半分で取り上げた。
あの時のすずかは今よりも気が弱くて物静かで、多分当時のあたしにとっては格好のカモみたいな存在だったんだと思う。
その中に入ってきたなのはは、あたしの頬を平手打ちして、こう言った。
「痛い? でも大切なものをとられちゃった人の心は、もっともっと痛いんだよ」
その後は取っ組み合いの喧嘩になって、当事者のすずかに止められる始末。
…はっきり言って、第一印象としては最悪の部類だったかな。
まぁ、それからあたし達は何故か仲良くなって、長い付き合いの友達になってるんだけど。
時には喧嘩も何度かしたけれど、破綻することもなく。あたし達の関係は続いていた。
三年になってそこにフェイトが入って来たけど直ぐに仲良くなったし、あたし達の距離は変わらない筈、そう思ってた。
そこにあたし達の関係に影響を及ぼすこととなった重大な転機の一つが訪れた。
10年前の12月24日、クリスマスイブ。あたしはすずかと二人で歩いていた、何故かその時周りの人達が一斉に居なくなった。
困惑してその場に立ち竦んでいたら、誰かが……こっちに来た。
――――見知らぬ格好をし、手に杖みたいな物を持ったなのはとフェイトだった。
そりゃまぁ、親友が変な格好していきなり現れたら驚くわよ。だけど…次の瞬間更に驚かされる事になった。
どこからか飛んできた淡い桃色の光の帯、それを杖をかざし、魔方陣みたいなのを出して防ぐ二人。
『魔法』というものを初めて見た瞬間だった。
問い詰めようと思ったけど、その時にはもうどこか別の場所に飛ばされてしまった。
真実を知ったのは翌日、クリスマスパーティの時。そこで、あたしはなのは達が魔導師…という存在だということを知った。
動揺もあったけど、なのは達がなのは達であることは変わりないんだし。
四年になりあたし達のグループにはやてが加わり、一層賑やかになった。
でも、この時あたりから変わりはじめたことがあった。それはなのは達の欠席が増えたこと。
時空管理局という組織の嘱託魔導師であるなのは達には当然仕事というのがある。
学生だから本分の勉強に影響しない程度には……って感じだったらしいけど。
むを得ない時には学校を休んででも行かなきゃならなくて。だから欠席が増えた。
その頃はまぁ、少しさびしかったけど仕事だし仕方ないかなって感じで思ってたんだけども。
今から8年前、六年生のある日。信じられない事を伝えられた。
なのはが任務中に瀕死の重傷を負ったと。
ユーノに連れられて、すずかと一緒になのはの居るアースラの医療室に向かうとそこには
体中を包帯でぐるぐる巻きにされ、いくつものコードを体につけられ、死んだように眠るなのはの姿があった。
包帯は血で痛々しく染まり、寝息は今にも途切れそうな程かすかで。
それを見て、何か出来るわけじゃなかったけど、何も出来ない自分を恨めしく思った。
…この時、あたしの心の中である感情が芽生えた。
なのはの怪我は治るのに半年もかかるほど酷いものだった。学校では交通事故で休学という扱いになっていた。
学校に行ってもその席には誰も座っていない。……正直言うとあの元気な笑顔を見ることが出来ないのは寂しかった。
出来ればなのはのいる病院にお見舞いに行きたかったけれども、あたしは魔法の存在を知っているとはいえただの一介の一般人。
異世界であるミッドチルダにある病院にはフェイトやユーノ達の力を借りなければ行くことが出来ず、そう気軽には行けなかった。
怪我も治りなのはが復学し、あたし達が中学に入る辺りになると、仕事による欠席はさらに増えた。
目指す夢に向かってまっしぐらに進むなのは達に対して、……あたしはその時、距離を感じ始めていた。
なのはと離れたくなかったのだ。このままだと、確実に遠くに行ってしまうような気がして。
・・・・あたしの中の決意は徐々に大きくなっていった。
その決意、それは。
―――――――出来る限りなのは達に近い道を歩むこと。
……いや、これはさらに建前。本当は近くにいたいのはなのはだけだから。
陳腐な決意だけど、それがあたしの決めた道だった。
笑いたければ笑えばいい。ただ……なのはの近くにいたかった。それだけのこと。
以前ユーノやクロノについでで魔力を測定して貰ったけれども、精々あたしの魔導師ランクは最低レベルに近いE〜F。
一般人より少し上といった所。これはなのはやフェイトの強大な魔力をほんの少しずつ受けながら出来た微かな魔力らしい。
普通の人より恵まれた環境に居たとはいえこの量じゃなのはと似たような道を進むには無謀にも程がある。
それを聞いて少し諦めかけた時、ユーノがこう言った。
魔力が無くても別の仕事がある、と。
……そうだ。別の仕事でも可能性は0じゃない。
そしてそれがあたしの原動力となった。
今まで勉強なんか殆どしたこと無かったけど、それはもう必死に勉強した。すべてが0に近い状態から。
学ぶことはたくさんあった。魔力や次元世界についての基礎的知識や管理局についての知識、そして言語や一般常識に近いものとか。
魔力は殆ど無かったけど魔法だって少しだけ覚えた。幸い、ユーノやクロノと言った超優秀な先生はたくさんいたし。
――――でも、なのはにはこの事は教えなかった。
多分、反対するだろうから。
いくらあたしの目指す方面は内勤だといえ、危険だって無いわけじゃない。
本来一般人の筈のあたしが巻き込まれることを望まないだろうし嫌うだろう。
だから、言わなかった。……いや、言えなかった。
はやてやフェイトにも言わなかったけど、多分彼女達は勘が鋭いから気が付いてたかもしれない。
でも多分言わないでくれてたんだと思う。
色々な試験を受け、様々な資格を得た。出来れば多く取った方が様々なルートから近づけると思ってたし。
管理局の入局試験にも通り、晴れてあたしは時空管理局の職員となった。……最もかなり無理したんだけど。
――――――――そして今、あたしはここにいる。
なのは達のいる機動六課、そこに本局から出向してきた人員の一人、アリサ=バニングスとして。
「―――改めまして、本局第七情報管理課から出向して来ました、アリサ=バニングス二等陸士です。
こちらでは通信スタッフと後は経理事務をやらせて頂くことになってます。至らないところもあるでしょうが、これからよろしく御願いします」
はやて――いやここでは八神部隊長か――に全体で紹介された後、軽く一人ずつ自己紹介を行う。
あたしの仕事は通信スタッフと経理。それに後は細かな情報の管理・作業。
概略だけは先輩に聞いて、すぐに各自の仕事に取り掛からないと。
――なのはもフェイトも鳩が豆鉄砲でも食らったような顔してたわね。そりゃそうね……全く言ってなかったし。
あの調子だとはやてもわざと言って無かったんじゃないかしら。はやてだけは来るスタッフの情報ぐらい知ってたはずだし。
……おっと、初日から考え事してて失敗しましたなんてやっちゃダメよね。
お昼に入り、食事休憩に入る人がそこそこ出て来たので、あたしも休憩を取らせてもらった。
仕事を早く覚えたほうがいいから、抜いて昼の間に覚えてもよかったんだけど、やっぱりしっかり食べないとね。
適当に食堂で注文して受け取り、適当な席に座って食べ始めようかとした時、私の上に大きな影が差し掛かってきた。
――やっぱり、来た。
「……聞きたいことは色々あるんだけど……ねぇ? アリサちゃん?」
「……何の御用でしょう高町一等空尉」
ここではなのはの方が上司なんだし、とりあえず丁寧に返しておいた。
「今は休憩中だし、かしこまらなくてもいいよ……って、何でここにいるの!?」
「本局から六課に出向してきたからだけど?」
「いや、そういう事を聞きたいんじゃなくて、私が聞きたいのは何故アリサちゃんが時空管理局にいるのかって事なの!」
ほーら、やっぱり聞くと思ったわよ。
「入局試験に通ったからよ……で、それだけ?」
「いや、だからねぇ……だってアリサちゃんがまさかこんな所にいるなんて思わなかったし……」
「まぁとりあえず座ったら? なのはって有名人なんだから立ったままだと目立つわよ?」
さっき下手になのはが声を張り上げたものだから周辺の席からこっちに視線が集まって少々怖い。
なのでとりあえず座らせた・・・・あぁ、後で他の人に何聞かれるかな。
「で、改めて聞くけどなんでアリサちゃんが時空管理局にいるの?」
……正直、すごくシンプルな質問なんだけど、答え辛い。
いくらなんでもなのは達と離れたくなかったから追いかけてきたなんて言えないわよっ!
「……えーと、そうね、興味を持ったからよ。魔法とかこっちの世界に」
自分でも凄く苦しい答えだと、思う。
「それなら何で言ってくれなかったの?言ってくれれば協力はしたのに」
……まただ。答え辛い。それに、なのはの言葉は多分半分嘘だろう。
なのはの性格のことだ、応援したいけどこっちの危険が付きまとう世界には巻き込みたくないって所かな。
「そりゃー……まぁ。なのは達忙しそうだったし、自分の我侭で巻き込む訳には行かないってね」
また、苦しい答え。
「……別に気にしなくても良かったのに……あ、私新人達の訓練があるからもう行くね、ばいばい、アリサちゃん」
なのははそう言うなりあたしの返事を聞く前に足早と去って行ってしまった。
……なんか凄く不自然だったわね。これは・・・バレたかな。嘘って。
どうでもいいけど、仕事の後自室に戻る際あたしに待っていたのは、なのはとの関係を聞きに来た人の山だった。
……目立つとは思ったけど、なのはの知名度ってすごいのね。
「スターズ分隊とライトニング分隊の訓練補助……ですか?」
「ええ、いつもは私が行っているんですけど……今日はちょっと他の仕事を優先しなくてはいけなくて……
今唯一手が空いているのがアリサさん位でしたので…」
あの後しばらくの間はなのはとは面と向かって話す時間も無く、廊下で会っても会釈だけしてすれ違うだけが続いていた。
最近は忙しそうだったし、元々あたしは内勤だからあまり会う機会無いんだけどね。
で、今あたしと話しているのは通信主任のシャーリーさん。ま、簡単に言えばあたしの上司。
「……別に構いませんけど、今から……ですか?」
「ええ、訓練場までは急ぎですし転送で向かってください。話は通してありますので」
「分かりました、十分後にあちらに向かいますね」
なのは達の訓練か……話には聞いていたけど実際には見たこと無かったし、まぁ丁度いいかな。
訓練場に転送されると、そこには既になのはやヴィータ達が来ていた。
「本日はシャリオ通信主任が多忙との事ですので、代わりに訓練サポートを行いますアリサ=バニングス二等陸士です。よろしく御願いします」
「「「「よろしく御願いしますっ!」」」」
「アリサじゃねーか、久しぶりだな……っても一応ほぼ毎日顔だけは見てるけどよ」
「あ、久しぶりねヴィータ……じゃなかったヴィータ副隊長」
「んな、畏まらなくてもいーぜ」
「一応上司と部下の立場だからね。公私混同はしたらダメじゃないかとあたしは思うんだけど……」
「んなもんどーでもいいんだよ、ま、早速訓練始めることにしようぜ」
「うん、そうだね。それじゃみんな、準備してっ訓練始めるよー」
なのはの号令と共にみなバリアジャケットを羽織って準備を始めていった。
あたしも、さっさと準備しないとね。まずは場所のセッティングと・・・・
しっかし、毎度思うけど本当に魔法って凄いわね。
今やってる訓練内容はフォワードの子達がなのはの砲撃を避けつつ、反撃を与えるといった極々単純なもの。
まぁ、あたしのやる事は既に殆ど終わっちゃったし、今はもう見てるだけみたいなものだけど。
というか、よくあれだけ沢山撃てるわね……やっぱり、桁が違うわ……
何処と無くなのはも生き生きしてるし。やっぱり天職よ……
「アリサちゃんっ!! 危ないっ!!」
突然の掛け声に思考の渦から現実に引き戻されると、すぐ目の前にはコントロールミスからか数発の流れ弾が。
咄嗟の事とはいえすぐに判断し、あたしでもなんとか扱える防御魔法を眼前に張った。
バリアに着弾して、勢いは削げたもののあたしの魔力じゃ強度もそこまで無い。
そもそもあたしとなのはじゃ基礎スペックが違いすぎるっ・・・・!
バリアが音を立てて崩壊すると同時にあたしの体に魔力弾が直撃した。体中に流れる強い衝撃。
薄れる意識の中……なのはの声がすぐ間近で聞こえたような気がして……そこであたしの思考は闇に落ちた。
「うっ……うーん……」
どこか心地良い……そんな感じの闇の世界から抜け出し、目を開けた。
……あー、訓練中の手伝い中に流れ弾受けて気絶したんだっけ。
目を覚ましたあたしにまず見えたものは見慣れた部屋。……自分の部屋か。
でも……他に誰かいる気がする。まだボーっとする視界を凝らして見たものは……ベッドのすぐ傍でじっとあたしを見つめていた、なのは。
「……あ、目が覚めたんだね、アリサちゃん。良かった。」
起きたあたしに気が付いたのか、なのはが心配そうに声を掛けて来た。何処と無く、声も疲れているような感じがする。
「……おはよう。もしかして……ずっと見ててくれたの? ……ありがと」
素っ気無い返事を返しておく。
感謝はしているのだ。これでも。ただ、本人目の前にすると何というか・・・・まぁ。恥ずかしいのよ。
……そして流れる無言の時間。何となく気まずい雰囲気が流れた所、不意になのはが口を開いた。
「ねぇ……アリサちゃん」
「……何よ」
「…………アリサちゃんは普通の生活に戻ったほうがいいと思うの」
あたしは自分自身の耳を疑った。
なのはが今言ったことが確かならば、それはあたしに自分の思いを捨てて普通の生活に戻れという事。
ただなのはの傍にいたくて、追いかけてきたのに。
それを真っ向から、否定された。対象とする本人からの拒絶。あたしの心に、深い絶望が襲ってきた。
「………何でよ」
重い口から自然に出た言葉。
「……何でなのよ、あたしに、自分の思いを捨てろっていう訳っ!? ただ、離れるのが辛いから、それだから必死に追いかけてきたのにっ!
自分の好きな人を追いかけたくて、必死に頑張って、やっとここまで来たのにっ! なんでその本人から普通の生活に戻れなんて言われなきゃならないわけっ!?
じゃあ、あたしが今までやってきた事は何だったわけ!? なんなのよ!? ……ねぇ、答えてよ……」
溢れたダムのように、自分の思いを全て言葉の弾丸にして撃ちだした。
途中から涙が出てきた。最後のほうにはもう言葉にならない嗚咽混じりになったけど、気にならなかった。
なのはとは何度も喧嘩したけど、ここまで感情的になった事なんて、無かった。
「……アリサちゃん」
なのはも突然の豹変に戸惑っている……のかと思ったけど、意外と聞こえてきた声は冷静だった。
……あたしの存在なんてそんなものだったのかもね。この反応も予測でもしてたのかな。
そんなネガティブな思考に嵌りかけたあたしに、なのはは言葉を続けた。
「……私は、大切な人が居てね。その人を守るために強くなろうと思った。
その子は少々気が強くて、どことなく強引で。でも奥底では優しくて、友達思いの子だった」
……は?なんでいきなりここで自分語りなのよ。
「その子は私の秘密を知っても、友達で居てくれて」
……え?
「一度、理由を聞いてみたら『なのははなのはなんだし』とか言っちゃってね』
……待ちなさいよ、それって……
「嬉しかった。だからその子と一緒にいたくて。でも、私は弱かったから」
…………
「強くなりたくて、今まで頑張ってきたの。離れてて寂しかったけど、目標があるから頑張れた。
その子がこっちまで追いかけてきちゃったのはちょっと予想外だったけど」
……間違いない、その子って……
「ごめんね、アリサちゃん」
……何で謝るのよ。
「そんなつもりは無かったんだ……ただ、さっきみたいに、守れないのが怖くて。
私のせいで、守れないのは嫌だから。私が守れないなら、安全な所にいて欲しかったの。……我侭だよね」
……涙が止まらない。今はずっと俯いているからなのはからは見えないだろうけど。
さっきの言葉はあたしの事を思っての事だったんだ。
「今なら……言えるかな、大好きだよ、アリサちゃん」
「バカ……あたしもよ、なのは」
苦笑一つでそう返した。そのままあたしは、なのはの唇に淡いキスをした。
先に告白されちゃったからね、仕返しよ。
あたしは服を脱ぎ、生まれたままの姿になる。
目の前には同じく生まれたままの姿のなのは。……あたしが言うのもなんだけど綺麗だ。
なのはの指があたしの体に触れる。触れた所から伝わってくる感触がくすぐったい……けど悪くない。
指は体の上をなぞり――あたしの胸に。
その指は敏感な先端にまで届き……軽く摘まれた。
「んっ・・・・・」
思わず、声が出る。
あたしの声には構わず、そのまま指はあたしの大事なところに。
敏感な秘所に指をなぞられて、否応がなしにあたしの体は火照る。
「アリサちゃん……気持ちいいんだね、ほら、濡れてきてる……」
あたしの愛液を指に纏って、なのははあたしに見せつけてきた。
さらに心臓の鼓動が早くなる。早く、もっと弄って欲しいと心の中で思う。
その心境を察してか知らないけど、なのはの指があたしの秘所に、入ってきた。
軽く動かされるだけで、体中に痺れるような電撃が流れる。
「な・・・・なのはぁ・・・・・」
動きが段々激しくなっていく。かき混ぜられるような動きが、果てしなく気持ちいい。
なのはは指を動かす片手間にあたしの他の場所も触っていく。
唇はあたしの胸を舐め、右手は体を縦横無尽になぞり、そして左手があたしの秘所をかき混ぜる。
もう考える事さえ出来なくなってきていた。
「……はぁっ! あああああぁぁぁぁぁあっ!!」
そして幾度かの光悦の末……頭の中に閃光が走ると。あたしは、絶頂に達した。
「……アリサちゃんばかり気持ちよくなってズルいよ、ねぇ……私にも……」
あたしを絶頂させた事に満足したのか、手を止めるなのは。
そして、私の目の前に、なのはのピンク色の秘所が見えた。
「……アリサちゃん……ここ、舐めて?」
言われるままに舌を伸ばし、そこを舐めはじめた。
隅々までしっかりと・・・・・なのはを味わうのごとく舐め進める。
次から次へと出てくる液を掬い取り、すべて飲み干した。
「……そう・・・・・・いいよ……んんっ」
…感じてる、あたしの舌でなのはが感じてるんだ・・・
その声に上がったテンションと共に、さらに舌を這わせる。
秘所だけでなく、その後ろに隠れた不浄の穴までも。
汚いところなんて、ないから。もしあっても、全部あたしが綺麗にしてあげる。
途端、なのはの体が軽く震えたと思うと、さらに小刻みに震えた。
……ああ、声を殺してるけど、イったんだ、なのはも。あたしの責め、で。
それが少し嬉しくなって、なのはから見えないように少し微笑んだ。
あたしとなのはは今、お互いに間向かうような姿勢になっている。
簡単に言えば仰向けなあたしの上に、なのはがうつ伏せな形になっている。
「アリサちゃん・・・・・一緒に・・・・・」
「うん・・・・・」
お互いの秘所を合わせ、すり合わせる。
小刻みに動くと、その度になのはのが私のに当たり痺れるような感覚が体中を駆け巡る。
快感が体に走ると共に動きはどんどん早くなる。
「いっいいっ、アリサちゃんっ一緒にぃっ!」
「な、なのはぁっ!!」
あたしは両の腕でなのはを抱きしめ、しがみ付く。
その刹那、あたしの頭が真っ白になって……そして体中の力が抜けた。
目の前のなのはも、小刻みに震えていた。一緒に・・・・・イけたのかな。
……一瞬だけど、なのはと全てが一緒になれた気がした。
あの後、あたし達は何度も体を重ねあった。
今までのすれ違いを取り戻すかのごとく。
体を触り、舐めあい、キスをしたり。
互いの秘所をこすり合わせ、時には後ろも弄りながら。
あたし達は体を合わせ続けた。何度も、何度も。
「・・・・・・さすがに疲れたわ・・・・・・」
「アリサちゃんばてるの早いよ・・・・・」
「なのはが体力あるだけでしょ・・・・・・うわ、もう朝になってる」
「え、そんなに!?」
疲れて止めたころにはもう時計の針は朝方を指していて。
あたしが気が付いたのはいつかは分からないけど、結構な時間体を重ね合わせていたことに違いない。
正直疲れが抜けない。このままだと今日の仕事に差し支えが多いわね。きっと。
でも・・・・・こんな疲れなら悪くない。
だって、なのはと、一つになれたから。それを思うと疲れなんて吹き飛んでしまいそう。
「ねえ、なのは」
「何、アリサちゃん」
「――――――責任、取ってよね」
自分じゃ何気なく言ったつもりだけど、ちょっと恥ずかしいわね。
「――――あー、うん。善は急げっていうよね?」
「え?」
「結婚式、いつにしようか?」
――――へ?
「やっぱり早いうちに決めたほうがいいかなーって、」
いやちょっと何を言ってますかなのはさん。展開が早すぎるというか理論が飛びすぎです。
「いやちょっと待ちなさい、凄く変な方向に勘違いしてない・・・・・?」
「え?責任とってって事はすなわちお嫁さんにしてくださいって事じゃないの?」
……なんか、変なスイッチ入れちゃったみたいね。というか何よその論理の飛躍。
「いや、そういう事じゃなくてね・・・・・」
「……アリサちゃん、私の事……嫌い?」
あー、そんな目で見ないで。嫌いなわけないじゃないの。
「馬鹿……嫌いな訳ないじゃないの」
「じゃ……証拠を見せて」
なっ……言うようになったわね。
「――――好きよ、なのは。一生大事にするから」
「――――うん。私もアリサちゃんを一生守るから」
返す言葉はもういらない。その返事には軽くキスで返した。
昔からの思いが伝わった――ああ、今日は人生最高の日になりそうね。
一生一緒にいてやるんだから、覚悟しなさいよ。なのは。
あの後はやてやフェイトには即バレたけど、素直に祝福された。
前々からやっぱりあたし達の互いの気持ちは知ってたらしいけど、結局成り行きに任せてたらしい。まぁ結果オーライって奴?
ちなみに機動六課出向メンバー選択時には、はやてが直々にあたしを名指ししたとか。感謝するわ。
なのはと結ばれてからしばらくして、そんなこんなであたしはまだ機動六課にいる訳だけど。
「――だーかーら、いくらなんでもこの予算じゃ無理があるわよ!?」
「そんな事言わへんと、なんとかならんか? アリサちゃん」
「前のだって結構無理して通したのに、今回のはさらに酷いわよ!? なんで設備費が前回の2倍近くになってるわけ?」
「まぁ、それは色々とあるんや・・・・・やっぱり無理か?」
「無理。言わせて貰うけどはやて予算配分適当すぎ、なんでこう偏るのか分からないわ・・・・」
「まーまー・・・・・」
今あたしは、予算を巡ってはやてと口論中な訳で。
ちなみに今旧知のメンバーしかいない上に、はやてが敬語を嫌うので今は昔同様タメ口で話し合っている。
「まあ、とにかくもう一度考え直して」
「仕方ない……最終兵器や。……おーい、なのはちゃんこっち来てや」
「何、どうしたの?」
「いやー かくかくしかじかでな、ちょっとアリサちゃんを説得してもらおうかと」
「うん、わかったよ。……アリサちゃん、お願い……出来ないかな?」
何でそう上目遣いでこっちを見るのよっ!……そんな目でみられたら断れないじゃない。
「……分かったわよ」
「さっすが、アリサちゃん話分かるなぁ、じゃ頼むわっ」
うう……なのはをダシにするとは卑怯なりはやて。……って、引っかかるあたしもあたしか。
これは流石に骨が折れそう・・・今日は徹夜かしら。
それにしてもはやては今日何か機嫌いいわね。何かありそうね。
「あ、言い忘れとったけど今日本局から追加人員来るからよろしゅうな」
へぇ……新しく人来るんだ、と思ったあたしの脳裏に浮かんだ一つの影。
・・・・・・ま、まさかねぇ。幾らなんでもあたしと同じ理由な訳は……大体、本局なら既に会ってる可能性ありそうなもんだし
な、無いよね……?
「お、来たみたいや。今から紹介するから入ってもらおうか」
はやての声と共に扉が開く、そこに居た人物とは―――
「本局第四技術開発部から出向してまいりました、月村すずか二等陸士です。よろしく御願いします
――――――久しぶりだね、みんな」
ああ、だからはやてが機嫌よかったのね。
そして、あたしがここに来たときのなのはとフェイトの気持ちが今凄く判った気がした。
-fin-
著者:前スレ350
- カテゴリ:
- 漫画/アニメ
- 魔法少女リリカルなのは
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