最終更新: nano69_264 2008年06月14日(土) 18:36:32履歴
392 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 01:42:01 ID:eCOOs6hg
393 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 01:43:00 ID:eCOOs6hg
「ご飯やよ〜」
はやての言葉に最初に反応したのはウェンディとセインが同時。次いで、ノーヴェとチンク。
「はやて姉、今日のメニューは…」
「今日はお鍋やで。ええお魚があってな。というか、ミッドと地球はえらい違うんやな。ビックリしたよ。河豚があんな安いて…
せやから今夜はふぐちりや。それにしても、ミッドの人間は、物の価値がわかっとらへんね」
「それはもう、ドクターの研究の価値がわからないお馬鹿さんばっかりですから〜」
「ホンマや。クアットロの言うとおりやわ」
長テーブルに十四の椅子。コンロが三つ。お鍋も三つ。そして鍋の周りには取り皿やポン酢、モミジおろしに刻み葱。
「鍋の中身は一緒やから、適当に別れてな? ドクターの席は真ん中にあるから」
それじゃあ、とウーノがテーブル中央のスカリエッティの隣に座る。その反対側にはクアットロが。さらにその隣にディエチが。
並んで座るディードとオットー。チンクの横に座るノーヴェ。セッテはいつの間にかトーレの横に。
セインとウェンディは互いのベストポジション(鍋に手を伸ばしやすい位置)をキープしながら牽制し合って座ってた。
残った二つの席はちょうどスカリエッティの目の前。
はやてはあっさり座ると、残った空席を困ったように眺めている。
「遅いなぁ。どこ行ったんやろ」
「お嬢様なら、外には出ていないと思うが」
「え? そしたら、声聞こえてないのかな。何してるんやろ?」
「デバイスの整備ではないか? 私との模擬戦闘で相当酷使してしまったようだからな」
「あぁ。フェイトちゃん、バルディッシュのことめっちゃ大事にしとるもんなぁ」
「ごめんなさい」
息せき切って駆けつけてくるフェイト。
「お嬢様。食事の時間は皆一緒と、決めたはずですよ」
「ごめんなさい、ウーノ。バルディッシュのダメージが思ったより大きくて…」
そしてフェイトは笑った。
「さすがトーレね。このままじゃ、私もうかうかしてられないわ」
「ふむ。フェイト、デバイスに古代ベルカ式を混ぜてみる気はないかね?」
「どういう意味ですか? スカリエッティ?」
「デバイスに新機能を付け加えれば、トーレの本気とも充分に戦えるのではないかね? 勿論AMFなしでの条件だが」
「トーレと対等に戦えるのは魅力だけど、デバイスを弄るのは好きじゃない。この子次第ね」
「無理強いはしない。ただ、可能だという話だけだよ。さあ食事にしようか。はやてのせっかくの料理が冷めてしまう」
今でも時々夢に見る。
「主はやて、お元気そうですね」
「はやてちゃん、元気にしてるみたいね。良かった」
「はやて、元気そうで良かった」
「主がご健勝でなによりです」
シグナムが、シャマルが、ヴィータが、そしてザフィーラが。あの日、アルカンシェルによって消失した闇の書と共に消えた守護騎士達が。
いや、正確には同時に消えたのではない。守護騎士達が一旦倒された隙に打ち込まれた砲撃が、全てを終わらせたのだ。
はやて一人だけは、リィンフォースの最後の力で逃がされた。
守護騎士達を倒したのは当時の管理局嘱託魔導師高町なのは。その魔神鬼神とでも呼びたくなるような出鱈目な強さは、未だに悪夢の種だ。
気が付いたときは、独りぼっちだった。
どこからか振り込まれてくる大金だけが、自分が一人で無いという証明だった。
自分は邪魔者なんだ。と思った。だから誰にも迷惑を掛けず、ひっそりと生きていこうと思った。
そうしていたらいつの間にか、おかしな家族ができた。
「闇の書」「古代ベルカ」「守護騎士」
言葉などはどうでも良かった。こんな自分にも家族ができた。それだけが無性に嬉しかった。
半年後、全てを失った。
もう、どうでも良かった。消えた守護騎士が死後の世界にいるのなら、自分もそこへ行きたいと願った。
そこが地獄と呼ばれるなら地獄でいい。騎士達にもう一度会えるのなら、地獄の責め苦の中でも微笑むことができるだろう。
だからその時は、死神だと思った。
黒ずくめの姿。流れるように美しい金髪。
それは天使なのか悪魔なのか。
それは、はやての前に降り立つとこう言った。
「貴方も、高町なのはと管理局に全てを奪われたの?」
はやては再び家族を得たのだ。
フェイト・テスタロッサ。ドクター・スカリエッティとナンバーズ。
はやては鍋に箸を伸ばす一同を見渡していた。
食事の当番に当たったときのいつもの習慣だ。こうやって、皆が食べ始めるのを見ているのは気分がいい。
そして、気持ちが新たになる。
再び得た家族を、二度と失いはしない。例え、管理局、いや次元世界全てを相手にしたとしても。
次へ
著者:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
393 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 01:43:00 ID:eCOOs6hg
「ご飯やよ〜」
はやての言葉に最初に反応したのはウェンディとセインが同時。次いで、ノーヴェとチンク。
「はやて姉、今日のメニューは…」
「今日はお鍋やで。ええお魚があってな。というか、ミッドと地球はえらい違うんやな。ビックリしたよ。河豚があんな安いて…
せやから今夜はふぐちりや。それにしても、ミッドの人間は、物の価値がわかっとらへんね」
「それはもう、ドクターの研究の価値がわからないお馬鹿さんばっかりですから〜」
「ホンマや。クアットロの言うとおりやわ」
長テーブルに十四の椅子。コンロが三つ。お鍋も三つ。そして鍋の周りには取り皿やポン酢、モミジおろしに刻み葱。
「鍋の中身は一緒やから、適当に別れてな? ドクターの席は真ん中にあるから」
それじゃあ、とウーノがテーブル中央のスカリエッティの隣に座る。その反対側にはクアットロが。さらにその隣にディエチが。
並んで座るディードとオットー。チンクの横に座るノーヴェ。セッテはいつの間にかトーレの横に。
セインとウェンディは互いのベストポジション(鍋に手を伸ばしやすい位置)をキープしながら牽制し合って座ってた。
残った二つの席はちょうどスカリエッティの目の前。
はやてはあっさり座ると、残った空席を困ったように眺めている。
「遅いなぁ。どこ行ったんやろ」
「お嬢様なら、外には出ていないと思うが」
「え? そしたら、声聞こえてないのかな。何してるんやろ?」
「デバイスの整備ではないか? 私との模擬戦闘で相当酷使してしまったようだからな」
「あぁ。フェイトちゃん、バルディッシュのことめっちゃ大事にしとるもんなぁ」
「ごめんなさい」
息せき切って駆けつけてくるフェイト。
「お嬢様。食事の時間は皆一緒と、決めたはずですよ」
「ごめんなさい、ウーノ。バルディッシュのダメージが思ったより大きくて…」
そしてフェイトは笑った。
「さすがトーレね。このままじゃ、私もうかうかしてられないわ」
「ふむ。フェイト、デバイスに古代ベルカ式を混ぜてみる気はないかね?」
「どういう意味ですか? スカリエッティ?」
「デバイスに新機能を付け加えれば、トーレの本気とも充分に戦えるのではないかね? 勿論AMFなしでの条件だが」
「トーレと対等に戦えるのは魅力だけど、デバイスを弄るのは好きじゃない。この子次第ね」
「無理強いはしない。ただ、可能だという話だけだよ。さあ食事にしようか。はやてのせっかくの料理が冷めてしまう」
今でも時々夢に見る。
「主はやて、お元気そうですね」
「はやてちゃん、元気にしてるみたいね。良かった」
「はやて、元気そうで良かった」
「主がご健勝でなによりです」
シグナムが、シャマルが、ヴィータが、そしてザフィーラが。あの日、アルカンシェルによって消失した闇の書と共に消えた守護騎士達が。
いや、正確には同時に消えたのではない。守護騎士達が一旦倒された隙に打ち込まれた砲撃が、全てを終わらせたのだ。
はやて一人だけは、リィンフォースの最後の力で逃がされた。
守護騎士達を倒したのは当時の管理局嘱託魔導師高町なのは。その魔神鬼神とでも呼びたくなるような出鱈目な強さは、未だに悪夢の種だ。
気が付いたときは、独りぼっちだった。
どこからか振り込まれてくる大金だけが、自分が一人で無いという証明だった。
自分は邪魔者なんだ。と思った。だから誰にも迷惑を掛けず、ひっそりと生きていこうと思った。
そうしていたらいつの間にか、おかしな家族ができた。
「闇の書」「古代ベルカ」「守護騎士」
言葉などはどうでも良かった。こんな自分にも家族ができた。それだけが無性に嬉しかった。
半年後、全てを失った。
もう、どうでも良かった。消えた守護騎士が死後の世界にいるのなら、自分もそこへ行きたいと願った。
そこが地獄と呼ばれるなら地獄でいい。騎士達にもう一度会えるのなら、地獄の責め苦の中でも微笑むことができるだろう。
だからその時は、死神だと思った。
黒ずくめの姿。流れるように美しい金髪。
それは天使なのか悪魔なのか。
それは、はやての前に降り立つとこう言った。
「貴方も、高町なのはと管理局に全てを奪われたの?」
はやては再び家族を得たのだ。
フェイト・テスタロッサ。ドクター・スカリエッティとナンバーズ。
はやては鍋に箸を伸ばす一同を見渡していた。
食事の当番に当たったときのいつもの習慣だ。こうやって、皆が食べ始めるのを見ているのは気分がいい。
そして、気持ちが新たになる。
再び得た家族を、二度と失いはしない。例え、管理局、いや次元世界全てを相手にしたとしても。
次へ
著者:野狗 ◆gaqfQ/QUaU
- カテゴリ:
- 漫画/アニメ
- 魔法少女リリカルなのは
タグ
このページへのコメント
すいません、肝心な奴を読んでませんでした。コレで話が見える……けど、ま、いいか。