[202] 情事の後で sage 2008/02/08(金) 01:01:30 ID:OIFvEWp+

「・・・もう行ってしまうのですか?」

暗闇の中、制服を着直したクロノに言う。
隙のないその姿とは対照的に、
カリムは素肌にシーツを纏っただけの煽情的な姿だ。

「起きてたのか?」
「・・・ベッドに一人残されれば、甘い夢も覚めますわ」
「今ここにいるわけにはいかない身だからね。日が上る前に帰るよ」
「そっけないのですね・・・さきほどまではあんなに情熱的でしたのに」
「君も、さっきまではあんなに甘えていたのに、今は他人行儀な丁寧口調だ」
「ふふ、お互い様ですね・・・」

クスクスと笑いながら、カリムは念話を使用する。

『シャッハ。クロノさんをポーターまでお送りして』
『かしこまりました。』

明らかに逢瀬の後であることについては言及することもなく、
シャッハは慇懃に返答し念話を閉じた。

「次はいついらっしゃってくださるのかしら?」
「さぁ・・・?お互い忙しい身だ、さらに僕は遠い次元の海にいるからね」
「魔法を使えば一瞬の距離ですわ」

カリムはシーツを体に巻いただけの姿でクロノに歩み寄り、
その胸に指を這わせる。

「問題は、あなたの心・・・」

官能的に挑発するカリムの唇を、クロノが強引に塞いだ。
薄暗い部屋の中に水音が響く。
しばらくして唇を離したクロノを、熱を灯した瞳で見つめる。

「・・・本当にひどい人・・・昂ぶらせるだけ昂ぶらせて置いていくなんて・・・」
「愛想を尽かされてしまうかな?」
「・・・いえ・・・」

否定したのは、熱に浮かされた女の顔。
ゆっくりと身を寄せようとするカリムを手で制し、
彼女の首筋に顔を寄せた。

「ぁ・・・っあ・・・」
「ん・・・」
「ふ・・・っん・・・」

ほんの十数秒。彼女の身体に一つの痕を残すには十分な時間。
唇を離し、真っ白な―――少し朱がさしている―――首筋に付けた口付けの跡を確認すると、
どこか満足そうな様子でクロノは部屋を出ていった。

一人残されたカリムは、首筋に残されたあざに指を這わせる。
そこからじわじわと身体中に広がる甘い刺激。
麻薬じみたその感覚に、熱い吐息がもれた・・・



著者:駄犬弐世

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