音楽の現代史―世紀末から戦後へ（岩波新書）

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音楽の現代史世紀末から戦後へ（岩波新書）

　もくじ

序論―二十世紀音楽の源泉をたどる　1

　　二十世紀音楽の源泉
　　現代音楽とは
　　起点から終点まで
　　ヨーロッパ音楽の世界制覇と内部崩壊
　　調性の崩壊
　　社会主義と芸術
　　二つの恐怖

Ⅰ　世紀末の残影　13
　　―ドビュッシー、マーラー、リヒャルト・シュトラウス―

　　概観
　　
　１　ドビュッシーとマーラーの東洋趣味　15

　　エキゾチシズムの芽生え
　　「版画」の中の東西と中央
　　「嘆きの歌」から「大地の歌」へ
　　世紀末ウィーン
　　シェーネラーの出現
　　「復活」の明暗
　　「大地の歌」の詩と構成
　　声楽と器楽の総合

　２　リヒャルト・シュトラウスにおける屈折と回帰　30

　　1890年代のR.シュトラウス
　　哲学の時代
　　1890年代のドイツ
　　「サロメ」
　　「エレクトラ」
　　前と後
　　鮮やかな方向転換
　　「ばらの騎士」と「アリアドネ」
　　前進と転進

Ⅱ　バレエ音楽に前衛性を探る　43
　　―ストラヴィンスキーとバルトーク―

　　概観

　１　「火の鳥」の頃　45

　　「血の日曜日」の頃
　　「火の鳥」の初演まで

　２　「ペトルーシュカ」の民族主義と前衛性　49

　　「ペトルーシュカ」の新しさ
　　ブーランジェ事件とドレフュス事件
　　民族主義と前衛性
　　
　３　「春の祭典」のバーバリズム　54

　　ベジャールの「祭典」
　　「祭典」の初演
　　動物的な力
　　「春の祭典」の原始主義
　　ベジャールの成功

　４　バルトークの舞台作品三部作　62

　　バルトークの舞台作品
　　ハンガリーの変貌
　　狭くなった祖国で
　　「不思議なマンダリン」
　　〈７〉という数字
　　「不思議なマンダリン」と〈７〉

Ⅲ　通俗的素材の見直しと新古典主義の台頭　73
　　―第一次世界大戦前後―

　　概観
　　
　１　第一次世界大戦の頃　75

　　「もう家のない子たちのクリスマス」
　　第一次世界大戦までの経過
　　
　２　通俗的素材の見直しとその引用　79

　　ドビュッシーの場合
　　酒場の音楽とフランス国歌
　　ストラヴィンスキーとラグ
　　「兵士の物語」
　　タンゴ／ワルツ／ラグタイム
　　ラヴェルとジャズ

　３　シェーンベルクと表現主義　89

　　表現主義の台頭
　　「月に憑かれたピエロ」
　　「ピエロ」の第一部
　　第二部
　　第三部
　　沈黙の時
　　戦争と芸術家
　　十二音音楽と新古典主義
　　ベルリンのシェーンベルク
　　
　４　ヴェルサイユ体制下の世界情勢と音楽　103

　　ヴェルサイユ条約
　　ラ・ヴァルス
　　戦後の混乱期の代表的楽曲

Ⅳ　戦間期における現代オペラの諸傾向　111
　　―「ヴォツェック」から「ルル」まで―

　　概観
　　
　１　「ヴォツェック」が考えさせるもの　113

　　原作
　　兵士ベルク
　　音楽的側面
　　筋立て
　　全三幕の器楽形式
　　第二幕
　　第三幕
　　表現主義と新古典主義の間で
　　ヴォツェックの初演
　　国際現代音楽協会
　　
　２　大恐慌前夜のソングシュピール　122

　　「三文」から「興亡」まで
　　ブレヒトとワイルの出会い
　　「三文オペラ」
　　登場人物と筋書
　　アドルノの批評
　　「三文」批判と「興亡」
　　「興亡」の筋書
　　危機襲来

　３　「ムツェンスク郡のマクベス夫人」　135

　　十月革命後のソ連
　　革命とショスタコーヴィチ
　　「マクベス夫人」と「カテリーナ」
　　問題の間奏曲
　　オペラ「マクベス夫人」の構成
　　第二幕
　　第三幕
　　第四幕
　　作曲者の真意
　　1934年の恐怖
　　〈大狂気〉の恐怖政治時代
　　ショスタコーヴィチの告発
　　
　４　「ポーギーとベス」を考える　150

　　ポスト・ウィルソンのアメリカ
　　小説『ポーギー』の舞台
　　ガーシュウィンの人種問題
　　「ポーギーとベス」の筋書
　　ガーシュウィンへの讃辞と批判
　　
　５　シェーンベルクとヒンデミット　158

　　ヒトラーの政権奪取
　　ナチスの対ユダヤ人政策
　　シェーンベルクの場合
　　ベルリンとの別離
　　「モーゼとアロン」の論争
　　黄金時代のベルリン
　　ヒンデミット事件
　　交響曲と三枚の祭壇画
　　前衛芸術とナチス
　　フルトヴェングラーの抗議

　６　「ルル」―不幸な結末　172

　　原作とオペラの間で
　　表現主義の額縁としての「ルル」
　　「ルル」の初演
　　神話と現実
　　ルルとワイマール共和国の運命

Ⅴ　1930年代後半の退嬰性を解剖する　181
　　―二十世紀のヴァイオリン協奏曲が意味するもの―

　　概観

　１　先駆的なヴァイオリン協奏曲　183

　　バルトークにおける協奏曲の意味
　　バルトークの第一番
　　バルトークの協奏的作品十一曲
　　プロコフィエフの協奏的作品
　　プロコフィエフの第1番
　　プロコフィエフの亡命
　　ストラヴィンスキーの協奏曲
　　ヒンデミットの忠告

　２　プロコフィエフの「第二」　191

　　祖国への復帰
　　新古典主義の浸透
　　ヴァイオリン協奏曲第2番
　　
　３　ベルクのレクイエム・コンチェルト　194

　　人生の終止符
　　ベルクの音列
　　バッハのコラールを引用
　　ベルクが回想した四人の女性
　　
　４　シェーンベルクの「協奏曲」　199

　　シェーンベルクの場合
　　協奏曲2曲の初演者クラスナー
　　師弟を比較する
　　シェーンベルクの退嬰性

　５　30年代末期の三曲　203

　　バルトークの協奏曲第2番
　　ヒンデミットの楽天的協奏曲
　　ハチャトリアンの大衆性
　　新古典主義から新ロマン主義へ

　６　終末論的なヴァイオリン協奏曲　208

　　屈折と挫折の30年代
　　亡命と祖国復帰と
　　亡命の音楽史
　　終末論的協奏曲
　　不幸なコーダ

結び―1945年以降への影響　215

　　戦争中の作品
　　ウェーベルンと戦後の世代
　　ヴァレーズから電子音楽へ
　　サティからミニマル音楽へ
　　周縁へのひろがり

あとがき　227

「音楽の現代史」年表
参考文献

失敗の研究