Wiki内検索
最近更新したページ
最新コメント
カテゴリー
このウィキの読者になる
更新情報がメールで届きます。
このウィキの読者になる

脱線車両と同じブレーキ、制動1秒遅れる場合も

 JR福知山線で脱線した快速電車と同じ「電力回生ブレーキ」を使う車両で、一時的にブレーキが利きにくくなる「回生失効」と呼ばれる現象が起きることが19日、専門家の指摘でわかった。

 架線の電圧によって電気ブレーキが作動しなくなり、空気ブレーキに切り替わるまでの1秒程度、制動が遅れるという。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は回生失効が起きても脱線への影響は少ないとみるが、瞬間的な制動遅れが高見隆二郎運転士(23)(死亡)の焦りを募らせた可能性は否定できず、ブレーキシステムについても慎重に調べる。

 メーカー側や車両工学の専門家によると、電力回生ブレーキは電気ブレーキが車のエンジンブレーキのように作動しながら発電し、その電気をパンタグラフを通じて架線に返す仕組み。空気ブレーキと併用され、省エネを目的に1970年代後半に実用化された。

 回生失効は、架線に返した電気を使う後続電車が近くになかったり、他の電車も電気を返したりし、架線の電圧が上がった時などに発生。過電流を防ぐために回路が遮断され、電気ブレーキ機能が低下する。

 電気ブレーキの制動力が弱まると、空気ブレーキに自動的に切り替わったり、空気ブレーキによる制動を強めたりする構造になっているが、この間に1秒前後の時間差がある。大阪市交通局によると、市営地下鉄の運転士から、回生失効が起きてオーバーランしたとの報告もあるという。

 メーカー側や専門家らは「回生失効が起きても空気ブレーキが十分作動する。大事故の主要因となるとは考えにくい」としている。

 一方、福知山線の複数の運転士が事故調の事情聴取に「ブレーキの利きにばらつきがある」などと証言。高見運転士は事故直前、オーバーランを繰り返し、その日、常用の電力回生ブレーキとは別の非常ブレーキ(空気ブレーキ)を3回、使用しており、架線の電圧が回生失効の起きやすい状態だった可能性もあるとみられる。

 電力回生ブレーキは1990年代から全国のJR各社や大手私鉄、公営地下鉄が採用、現在の電車用ブレーキの主力になっている。JR西日本では京阪神の新快速などに使用している。

(2005年5月19日14時41分 読売新聞)
2006年08月10日(木) 11:42:21 Modified by umedango




スマートフォン版で見る