579 :名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 00:11:19 ID:redUS+uY
「ふぁぁぁん……んぅ……ああっ……」
ある金融会社の入った三階建てのビル。その二階にある小さな給湯室から漏れ聞こえる女の喘ぎ声。
薄い桃色の制服を着た若い女がただでも短いスカートをたくしあげ、ボールペンの先で秘所を弄っていた。
オナニーに没頭する彼女――カレンは生来の殺人衝動の持ち主であった。



カレンは小学校、中学校と自分可愛さに必死でその衝動に耐えていた。しかし、高校二年生の夏、ついに我慢の限界を迎えた。
援助交際でひっかかった四十近くの男を廃ビルに連れ込み、ホームセンターで購入した包丁でメッタ刺しにしたのである。
その殺人へ駆り立てる狂気は性衝動にもリンクしていたようで、血まみれで絶命している男の前に座り込み、オナニーに没頭した。

カレンは何度かイった後で、うしろに誰かの気配を感じた。
振り返るとそこには三十路を越えたくらいの、肉感的な身体を時代遅れのボディコンスーツに包んだ女がいた。
女は怖がるどころかニヤニヤといやらしい笑みを浮かべてカレンをみていた。
言い逃れはできないと瞬間的に感じた彼女は、気付けば熟しきった魅力を隠そうともしない女にむかって、
血に濡れた包丁を突き出していた。しかし、なんなくかわされると腕をひねられ地面に押さえ込まれる。
カレンは一人しか殺せないで捕まってしまうのかと残念がっていると、思いもしない言葉が女から投げかけられた。
女は殺し屋なのだという、あなたには才能があるから仲間になるならここの始末は引き受けてもよいといったのだ。
カレンは神か仏に会ったような救われた表情で女をみて、迷いもなくその申し出を快諾した。


それから三年。女が紹介した忍者の末裔という肩書きをもった無精ひげの男に、
修行と称した訓練によって暗殺技術を叩き込まれ、一人前の殺し屋にカレンは成長していた。
おのれの欲望を満たしてくれるこの職は彼女にとってまさに天職であり、
例え老人であろうが、赤子であろうが、依頼とあれば、いや依頼でなくとも喜んで殺した……


580 :名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 00:18:26 ID:redUS+uY
カレンは現在、廃ビルで彼女を拾った女が経営する金融会社で事務員として働いていた。
もちろんそれは表向きの業務であり、裏では殺人請負から臓器売買まで手広く引き受けている。
その給湯室で、勤務中にもかかわらず我慢できなくなった彼女はひたすらに自分を慰めていた。
ネタは一週間前、臓器摘出のために生きたまま解体すると時に恐怖で泣きじゃくっていた少年少女の最期である。

「ああ、ふわぁぁっ、こ、恐いのね、死にたくないよね……ああっ、イイよぉ……もっともっと泣き叫んでぇぇ……」
恐怖と狂気に満ちた現場を思い出しつつ、制服ごしに片手で豊かに実った乳房を揉みしだきつつ、
ペンをそのジュクジュクに濡れた膣に挿れこみ、かきまわしている……



そんな痴態をみせるカレンを給湯室の扉のすきまから覗く男が一人。男といってもまだ顔立ちをみれば高校生くらいの少年である。
彼は始末屋。いや、今日初めて始末屋としてデビューする予定の少年――名は旋。
この平成の世でも元締めなどと前時代的な名称を用いる始末屋組織に彼はひょんなことから所属することになったのだ。
どうしようもない、警察も取り締まれないような悪を地獄に送り込むのが主な『仕事』である。
ビル二階のトイレから侵入し、最初に耳に飛び込んできたのがカレンの喘ぎ声であった。
今回の『仕事』はこの屋内にいる全ての者が抹殺対象である。彼女も例外ではない。
旋は初めての殺しが女になったことを呪いつつも、カレンのオナニーに興奮しゴクッと息を呑んだ。


581 :名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 00:20:52 ID:redUS+uY
しかし、これだけ隙だらけならば、始末も楽だ。
そう考えた旋は自分の得物である先端を研ぎ鋭くした五寸釘を腰から一本引き抜くと痛いほどに握りしめた。
狙うは女の横腹。まさに絶頂に達しようとした瞬間を狙うことに決める。
給湯室は奥まった場所にあり、人の来る気配もない。
荒くなった息を整えつつ、機会を待つ。
「ああっ、痛いよね。ンハァァァッ、すごいよっもっと泣いてよ、ああっ、んんっ、イイよっ、ひぃぃ」
カレンのオナニーもどんどんと激しさを増していく。
彼女から漏れ聞こえる言葉に旋は怒りを覚えつつも、性的な興奮をおさえきれない。
「死んじゃうんだ、ああっ、もう逝くんだ。かわい・・・そう……
 ダメ、すごい。イクよあたしもイッちゃうよ。あぁっぁぁぁぁぁぁぁっ」
妄想が極限にまで達したカレンは、肉体も限界にきたようでついにイく。いや少なくとも旋にはイったようにみえた。
今だ、とばかりに旋は扉を開けると五寸釘を構え、カレンに飛びかかり、狙い通りの横腹に刺しこむ。

彼の手に女の身体を刺した感触が伝わって……こなかった。

旋がよくよくみれば貫いたのは彼女が着ていた桃色の制服だけである。
「か、変わり身ぃっ」
時代劇でしかみたことのないような業を目の当たりにし、動きが止まる。
「フン、甘いわねぇっ」
狭い給湯室で一体どうやったのか、何故か背中から先ほどまでオナニーにいそしんでいた女の声が聞こえた。
カレンがそういった瞬間、旋の腕を後ろから極めて、部屋の外に投げ飛ばした。
受け身のとれない態勢のまま、旋は床に叩きつけられる。
「ぐほぉっ」
呼吸ができずに咳き込む。このままではやられると横に回転しつつ起き上がろうとするが、
肉体にダメージが残っているのか上手く立ち上がれず尻もちをついてしまう。


582 :名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 00:29:13 ID:redUS+uY
「あらあら、視られると興奮しちゃうから放っておいたんだけど、なんか殺気を感じたから身構えていたら……案の定だったわね」
「く、くそぉっ……」
「フーン、まだ坊やじゃない。恨みを買ったどっかの企業の始末屋かと思ったけど、
 結構個人的な理由なのかしら。お姉ちゃんが……とか、両親が……みたいな……どう?」
余裕の表情を浮かべながら、カレンは旋に微笑んでくる。しかし、旋の視線は彼女の首から下に釘付けになっていた。
細い脚を太股まで網タイツで隠している……そこまではさっきからわかっていた。問題はその上である。
パンツもなくブラもなく、ただスレンダーな裸身の上に網目の……時代がかって言うならば帷子を着込んでいたのだ。
これは鎖帷子のような実用性にかける重いものではなく、特殊繊維で編まれた防刃スーツであった。
網目の隙間からはバスト90は軽く越えているであろう豊かな乳房が乳首とともにチラチラとみえる。
しかも、そのスーツはそれは臍のあたりまでしかなかった。そう、大事な女の部分がすべてむきだしなのである。
整え削られた薄い毛の中に濡れ光る縦スジがくっきりとみえていた。


「フフッ、けど坊やはまだ『殺し』に慣れていないわね。初めてなの……それともあたしのオナニーに見惚れちゃったかな」
クスクス笑いながら、現代のくの一、カレンは旋に近づいてくる。その手にはどこに隠し持っていたのか短刀が握られていた。
「まあ、どちらでもいっか。お姉さん、坊やの顔って好みだからちょっと惜しい気もするけど……
 ただの坊やじゃなさそうだし、反撃されるとやっかいだしね。さっさと殺しちゃうわ。
 うん、心配しなくていいのよ。サクッと楽に逝かせてあげるから」
「あ、ああっ……」
防刃スーツから、細身の身体には似合わない、柔らかそうな乳肉がはみだすほど大きな胸を小刻みに揺らしながら、
旋を見下ろすような距離にまで迫り寄ってきた。彼女の濡れた恥毛、太股をつたいしたたり落ちる淫らな蜜、
チラリとみえる興奮のためか勃起した薄紫色の乳首は妖しいまでのいやらしさを醸しだしていた。


旋は動けなかった。先ほどの投げで受けたダメージ以上にカレンの扇情的でエロティックな姿にやられていたのだ。
殺伐としたこの世界に足を踏み入れたばかりの旋は、それまではただの気弱な学生であり、
その性格もあってか、生まれてこのかた女性と関係を持ったことなど一度もなかった。
アダルトビデオをみながらのオナニーがせいぜいである。
そんな彼が至近で色っぽい女の半裸をみさせられたのだから、動きが鈍くなるのも無理はなかった。
「ウフフッ、じゃあね、バイバイ坊やっ」
年端のいかない少年を一方的に殺せることに悦びをおぼえ、カレンの表情は喜悦に満ちている。
心の中では後でこれをネタにオナニーをしようか、もしくは死姦もいいな、などと妄想をふくらませていた。
短刀を逆手に持ちかえると、尻もちをついたままのついに動けなかった旋にその凶刃を振り下ろさんとする。
「くっ」
縮こまり、眼をつぶる旋。しかし、その刃が彼の肉体を傷つけることはなかった。


583 :名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 00:32:32 ID:redUS+uY
「え、な、何これっ」
驚きの声に反応して旋が恐る恐る眼をあけるとそこには、大きな胸の谷間から鈍く光る銀色の刃が飛び出ていた。
「甘いのは、あ・ん・た。こんなガキ一人に『始末』を任せるはずないじゃない。油断大敵だよ」
嘲りを含んだ、妙齢の女の声がくの一の背後から聞こえる。
「ま、舞華……」
「そ、そんなっ……」
信じられないという表情のまま、虚空をみつめ裸体をブルブルと痙攣させるカレン。
「舞華さんだろっ。旋、帰ったらお仕置きだよ。おおかた女ってことで鈍っちまったんだろ、ホント甘っちょろいガキなんだから」
カレンの身体ごしに旋にむかって静かな怒声が飛ぶ。
「ご、ごめん……」
「謝るくらいなら、しっかりしなっ」
そういいつつも、舞華と呼ばれた女は空いた手でカレンの背中を押さえつけ、刀を引き抜く。
「くはぁっ」
血反吐を吐きながら座り込んだままの旋にカレンは倒れこんでくる。
そんな彼女の影からあらわれたのはメタリック色の身体のラインがそのまま浮き出るスーツに身を包んだ女であった。
歳は二十代の半ばくらいだろうか。気の強さが全身から滲みでている。挑戦的な眼が特徴的な美人である。
その手にはカレンの胸を刺し貫いた時についただけとは思えない、たくさんの血と脂がこびりついた物騒な刀を持っている。
始末屋であり、旋の師でもある舞華であった。裏稼業とは思えぬその派手な格好が彼女の性格をよくあらわしている。


584 :名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 00:37:37 ID:redUS+uY
まだ旋は舞華の姿を見ていない。倒れこんできたカレンを抱きかかえるような態勢になったからである。
「んあぁっ」
苦しそうな彼女の喘ぎが旋の耳元で発せられる。香水と汗、そして血が混ざった匂いが旋の鼻腔をくすぐり、
温かい彼女の体温が、押しつぶされた胸の柔らかさが網目の細かな防刃スーツごしに伝わってくる。
「うわっ、うわぁぁぁあっ」
興奮と恐怖で必死に瀕死のくの一から逃れようとする旋。
くの一は虚ろな表情のまま、旋にしがみつこうともがく。
「情けなくて、涙が出てきちまうよ。実戦と訓練は違うってことかねぇ……たかが女の一人や二人で……」
舞華は旋の醜態を嘆きながらも、何か閃いたのか、ニヤリと口の端を歪めた。
「おい、旋。その女にトドメをさしな。」
「えっ、あっ……」
「殺れってんだよ、これができないようじゃ……もう帰りな。あんたにゃこの『仕事』はむいてない。家帰ってマスでもかいて寝ろ」
「……わかりました」
意を決した表情で旋は苦悶の表情のまま自分にすがりつくカレンの肩を持つと組み伏せようとする。
「い、いやっ、まだ死にたくない……よっ」
放っておいてもこのままでは、カレンは死ぬ。しかし、彼女はまだ生きることに執着があるし、その事実を受け入れていない。
持てる限りの力を使って旋に抵抗する。しかし、刺された身体では全力は出せない、しかも男と女、少年とはいえ旋に分があった。
「あきらめるんだ……」
自分にも言い聞かせるように旋はカレンにむかって言う。しかし、彼には明らかに動揺がみられた。
これからの『殺し』への緊張だけでなく、さっきまでオナニーをしていたエロティックな半裸のお姉さんと絡み合うことで、
異常な興奮状態に陥っていたのだ。旋の『息子』もガチガチに勃起していた。
カレンは力では敵わぬとみたか、いきなり抱きついたかと思うと、その大きく柔らかな乳房をすりつけ、
その赤い口唇で旋の口をふさいだ……彼にとっては初めてのキスであった。
「お、おね……がいっ、坊や見逃して……今なら処置すれば間に合うかもしれないの。許してっ……」
勝手きわまるカレンの命乞いであったが、旋は固まってしまう。
「だ、だめだっ」
「そんな……こといわないでっ」
媚びるような上目遣いの視線で吐息を漏らすようにカレンはいう。
そして、旋の両手を優しく掴むと、片方を胸に、片方を女の秘部に持っていく。どちらの感触も旋には初めてのものであった。
「坊や。あたしを……抱きたくない? 優しく、一から女の肉体のこと教えたげるから。
 それに、もう悪いことはしないわ。お願いっ。後ろのお姉さんにもあたしと一緒にお願いしてちょうだい」
カレンはトドメとばかりに旋の指を自らの肉壷に導き入れる。
ヌチュっとした滑りとともにフニュフニュとした秘肉の独特の柔らかさが旋の指に伝わってくる。
「ハァッ、いいのぉっ。フフッねぇ、ココに坊やのオチンチンいれてもいいのよ。ねっ」
いやらしげな顔をつくりつつ、優しく微笑むカレン。
「えっと、あの……」
旋はあまりにも初心であった。綺麗な半裸のお姉さんに言い寄られて気が動転し、どうしていいかわからなくなっていたのだ……



585 :名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 00:44:35 ID:redUS+uY
舞華が面白そうな、けれどすごく不機嫌にもみえる複雑な表情で二人の絡み合いを凝視していたが、
仕方がないといった表情をつくると口を開いた。
「ふぅぅぅっ、本当に世話の焼ける子だね……。旋っ。これが最後だ。一つだけ教えたげる。
 あんたにみせたガキの虐殺現場の写真あったろ。あんたが一緒に遊んでた何だっけ?
 ミッちゃんとかいうマセたガキがおっ死んでたヤツ。あれ、やったのこの女だよ……」
「え、ミッちゃん……」
狼狽していた今までが嘘だったかのように旋の表情が能面のように無表情になる。カレンには舞華の話に心当たりがあった。
二週間ほど前、連れ去ろうとした際、暴れまくった幼稚園児を五人ほど、ついカッとなって殺してしまったのである。
「あの……ち、違うよ。あたしじゃない。それはあたしじゃない……ヒィィッ」
必死にカレンは否定するがそれが、顔に焦りとなって出てしまっていた。
そして、初心な坊やだと思っていた旋が急に冷たいゴミクズをみるような視線を投げかけてきたことに戦慄する。
旋からはカレンのいやらしい肉体に対する若さ溢れる欲望や、
死に一歩ずつ近づいている彼女への憐憫の情などは一切消え去っていた。
「やめっ……ひぁぁっ」
まるで機械のような精確な動きで旋はカレンを組み伏せる。
そして、性的な意味をまったく感じさせない、ただ単純に手ごろな大きさで持ちやすいから、といでもいいたげな動きで、
カレンのたわわに実り、もうすぐ成熟しそうな乳房を鷲掴みにして彼女を押さえ込んだ。
「あんっ……やめっ…やめてぇっ」
次に腰に吊り下げられた五寸釘を引き抜くと、躊躇なくカレンの濡れそぼった膣内に力強く押し込んだ。
「グビャァァァァッ」
膣を、子宮を傷つけられた痛みを我慢できず、のたうちまわるカレン。眼からは涙が溢れてくる。
「いやっ、誰かっ、誰か来てぇぇっ」
彼女は必死に叫ぶが誰もこない。
「ああ、二階までは私がもうすべて殺っちゃってるから……三階は……死圧の兄さんが社長に引導渡してる頃じゃないかしらね」
舞華は彼女に一切の希望を持たせぬような絶望的な事実を突きつける。
「クッソォォッ、あ、あたしは特別なんだ。あたしが殺してもあたしが殺されるなんてことあっちゃいけないのよ。
 ガキィィッ、よくもやってくれたね。覚えてろよ。優しくすりゃ調子にのりやがって。呪ってやるわ。地獄で呪ってやるぅぅっ」
今までのお姉さんぶった態度をかなぐり捨て、汚い言葉で呪詛をまき散らすカレン。
それでも旋の表情は変わらない。怒りも哀しみも全て忘れ去ったような氷の表情で、もう二本、腰から五寸釘を引き抜いた。
「そ、それで、どこを刺そうってんだい……よしなよ。ね、ダメよ、ダメなんだから……やめてぇぇっ……ぐびぃっ」
旋が刺しこんだのは彼女の喉笛であった。ドクドクと首から血を流すカレン。ヒューヒューと空気が漏れる。
言葉を発することが二度と不可能になったカレンであったが、なおもパクパクと口を動かしている。
旋は一言も話さない。ロボットを思わせるようなたんたんとした動きで最後の五寸釘を握りしめると、
ビクンビクンと激しく痙攣し、涙と鼻水、そして血反吐でグジュグジュになったカレンの顔を睨みつけつつも
その額にゆっくりと突き入れる。
「……フヒャァッァ」
息の吐き出すような声にならない悲鳴をあげ、ついにカレンは絶命した……



5 :名無しさん@ピンキー :2007/06/17(日) 01:05:59 ID:redUS+uY
「……やれやれだね。その機械じみたクールなあんたが最初っからみれると思ったんだが……とんだイレギュラーだったよ。
まあ、合格ってことにしといてやる。しかし、これからのあんたの『始末』は女を外さないといけないかもしれないね」
舞華は本当に疲れたといった表情であったが、けれど弟の成長を喜ぶ姉のような顔にもみえる。
「ごめん……なさい」
「まあ、いいよ。さ、帰ろうか。シャワーも浴びたいしね」
「……はい」
事切れ無惨な姿を晒すカレンから五寸釘を一本ずつ引き抜くと、旋は舞華の半歩後ろを犬のようについていく。


「そうそう、特訓はもう終わったと思ってたけど、今回の件で一つやり残しがあったことに気付いたよ」
後ろを振り向き舞華は旋をジっとみつめながらいう。
「えっと、それは……」
「わからないかい?」
旋は本当にわからなかった。反省点は山ほどある。直すところは一つどころではないと思っていたからだ。
「ごめんなさい……」
「あんたスイッチ入らないと本当に情けないヤツだね。簡単さ、あんたの筆おろしだよ」
「えっ……えええええっ」
驚く旋。そして、思わずマジマジと舞華の熟れた肉体をなめまわすようにみてしまう。
「変な気起こすんじゃないよ。ま、師匠の努めってヤツだ。
今日みたいに外道女の誘惑に負けてるようじゃ話にならないからね。
もちろん私に不満ってわけじゃないだろっ。不満ってんなら、元締めのバアサマに頼んでもいいけどねぇ」
ブンブンと旋は必死に首を横に動かす。「舞華……さんで、お願いします」と小さく声を出す。
そんな旋をみて舞華はこらえきれずプっと笑みをこぼした。
「今日は殊勝じゃないか。よしよし、私のダイナマイトボディをイヤっていうほど味あわせたげるよ」
二人は階段を降りると舞華によって斬り殺された死体の群れを避けつつ裏口へと向かい、もう一人の仲間を待つ。



数分後、三階の『始末』を担当していた「死圧師」の圧士が降りてきた。
「首尾はどうだい死圧の兄さん」
「はい、社長はじめ、皆さんに死圧をおこないました。皆さん、気持ちよくお眠りになってますよ」
笑顔ではあるが、感情の読みにくい独特の表情の男はそう返す。
「相変わらずだねぇ……」
「それで旋君はどうでしたか……」
圧士の問いに顔を伏せてしまう旋。代わりに舞華が答える。
「なんてぇかね……ホントまだまだ甘ちゃんだったよ。帰ったら鍛えなおすって相談をさっきしてたとこ」
その言葉に何故か顔を赤らめる旋に圧士は少し疑問を持ったが、特にそれについて問うこともなく、
「それはそれは……まあ怪我もないようで一安心です」と相変わらずどう思っているのかわからないような、社交辞令のような返事をする。
「さて、どうやら迎えの車が来たようだね」
舞華の言葉に旋が顔をあげると黒色の一見何の変哲もないバンがいつの間にか数メートル先に止まっていた。


三人がその車に乗り込むと同時にヘッドライトが点き、彼らを連れてゆっくりとどこかへと走り去っていった。

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