263 :名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 05:46:48 ID:TA43nhmw
 暫く進んだ俺達の前に、妙な扉が立ちふさがった。
 銀色の筒型の一部が見えているような感じで、こっちに向かって曲面に膨らんでいる。
 ドアノブやそれらしき物はなく、廊下の壁にボタンが一つ。
 そしてその上に張り紙がしてある。
    〃汝の戦う敵を選べ〃
「なんじゃこりゃ、どういう意味だ」
「はぁはぁ、疲れた……もういいや限界だッ! 押すね!」
 息の荒いピザ男は、あっさりボタンを押してしまった。
 その途端どこかでモーターが回り出し、目の前の丸い壁が回転を始めた。
 銀色の壁が右側へ吸い込まれ、変わって現れたのはガラス張りのショーケースのような部屋。
 中にはさっきのスプーがいる!!
「ぎゃあああああああッ!」
「うわあああああああッ!」
 ビビッたはずみで、俺はもう一度ボタンを押した。すると部屋はまた回転し、銀色の壁に戻った。
「こりゃ察するに敵のいる部屋が回転ドア式になってて、戦わない限りは先に進めないらしいな」
「問題はどの敵を選ぶか、だよな」
 腕を組んで顎を撫でていると、ふと自分の尻ポケットにある携帯電話を思い出した。
「そうだ、ダークキッドもこのトラップに遭遇してるかもしれん」
「ちょっと聞いてみるか」ピザ男と一緒にメールを打つと、返事は即座に帰ってきた。

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、
  | |  (・)。(・)|  
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  ヽヽ___ノ  6回チェンジしたらザクが出たでござる
                  の巻

「えっ、ザク!? ザクってあのザク!?」
「とんでもねーな! しかも倒したのかよ!」
「やっぱあっち行かなくてよかったな!」俺達はやっぱり酷いが気にしない。
 というかいつもクールな彼がここまで壊れているとは、どれだけキツいルートなんだ。
 考えていても仕方ないので、覚悟を決めてボタンを押してみることにした。ガラス扉の向こうに現れたのは……
「うわっ、いきなりレールガン装備の邪神兵が五人だ!」
「チェンジ! 激しくチェンジ!」
 もうあいつらと戦うのは嫌だ。俺は回転ボタンを全力で連打した。
「ナジカのメイドロボが二十人!」
「ぜってー嫌だ! チェンジ!」
「今度はシャーマンが三十人!」
「パスだパス、したらばでやれ!」
 次は何が来るのかと恐怖を抱いて連打していると、妙な部屋が回ってきた。
「あれ?」もともと入っていたのは女淫兵が一小隊らしいのだが、それらはすべて壊されている。
 そして代わりにガラスの向こう側から俺達をうさん臭そうに見つめているのは、
黒いアイマスクに黒いV字型のボディースーツ、黒ブーツといういでたちの女達だった。これは人間か?
 驚いて連打するのをやめると、ガラス扉が開いて五人はバラバラと飛び出してきた。
「何だお前は! ここで何をしている!」
「いや、それこっちの台詞……」
 頭が混乱している俺にかわり、ピザ男がずいと前に出て女どもを睨み付けた。
「おれ達は警察委託の仮面ライダーと、警視庁の刑事だっ! お前達は何者だぁ!」
「ふん、我らブラックレディースを知らんとは。日本の警察はとことん間抜けだな」
 ブラックレディース……さっきは資料をよく読まなかったので詳細は知らんが、まさか現物に会うとは。
 物珍しさも手伝ってジロジロ見ている内に、俺は妙な事に気がついた。
 彼女らの持っているのは、自衛隊の89式小銃だ。ところどころ血がついている。
「……ピザ男、下がってろ」

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