クトゥルー神話に関するwiki

Hyperborea
ヒュペルボレオスヒュペルボリアヒューペルボリアハイパーボレア
ちなみにギリシア神話に登場する伝説上の民族にヒュペルボレイオスというのがある

概要

主にクラーク・アシュトン・スミスの諸作品に登場する地で、北極海と北大西洋の間のグリーンランド?近辺にあったとされる大陸である。今日のグリーンランドそのものであるという解釈もある。

この大陸は、文明の栄えた都市が存在した一方、アブホースツァトゥグァといった暗黒に潜む神々や多くの恐るべき生物が生息していたと言われている。しかし、氷河期?の訪れとともに、この大陸は人の住まぬ地となり、住人達はムー大陸?アトランティス?に移り住んだという。

この設定は当初、スミスがパルプ雑誌?の同僚作家、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトロバート・E・ハワード?の作品等を参考にして独自に築いたものであった。しかし、作品の刊行以前に書簡でこれを受け取ったラヴクラフトはスミスへの返信でこの設定を激賞、更にはこの世界に登場する神格、ツァトゥグァを借りて自身のクトゥルフ神話小説に登場させた。ツァトゥグァの初出はスミスの「サタムプラ・ゼイロスの物語?」(The Tale of Satampra Zeiros)(1929年執筆、1931年発表)。ラヴクラフトは1929年12月にゼイラ・ビショップ?(Zelia Bishop)のために添削/ゴーストライトした「墳丘の怪?」(俘囚の塚)(The Mound)にツァトゥグァを登場させている。また、1930年2月より発表の「闇に囁くもの?」(The Whisperer in Darkness)でも言及している。スミスは、このハイパーボリア世界にラヴクラフト的要素をより積極的に取り入れていく。よってこの世界は先史時代版のコズミック・ホラー?ともいえる性格を持つこととなった。ロバート・E・ハワード?も早い段階から自作において固有名詞を借りている。

地理

コモリオム (Commoriom)

ハイパーボリアの首都。かつてこの地に住む人間により築かれた、もっとも栄えた都市で、大きな外壁や純白の尖塔が立ち並び、「大理石と御影石の王冠」とも形容され、その繁栄をほしいままにしていた。アトランティスやムー大陸から貢物が献上され、北方の半島ムー・トゥーラン?から南方のツチョ・ヴァルパノミ?にまで至る広い地域から多くの交易商人たちが訪れていたという。

この都市は王が支配し、また行政や裁判制度も整った高度な文明が存在していた。しかし、ヴーアミ族?出身の無法者クニガティン・ザウム?が、3度の斬首刑を受けながら3度とも復活を果たし、またほのめかされていたツァトゥグァとの血の繋がりを証明するかのように悍ましい姿を現したことにより、住民は全て逃げ去り、コモリオムは廃都となった(『アタマウスの遺言?』(The Testament of Athammaus))

コモリオムが廃棄された後、この地から丸1日かかる場所に新たにウズルダロウム?(Uzuldaroum)という首都が建設された。コモリオムが無人の地となってから数百年を経て、都市が放棄された理由は次第に忘れ去られていった。この都市に残された財宝を狙ってやって来た盗賊が、ツァトゥグァの神殿に潜んでいた不定形の怪物に襲われたという手記が残されている。

ヴーアミタドレス山 (Mount Voormithadreth)

首都コモリオムから、徒歩で1日かかる距離にあるエイグロフ山脈?の中でもっとも高い山がヴーアミタドレス山?である。この山には4つの火口があるが、活動を停止した休火山となっている。この山にはその名の由来となったヴーアミ族?という凶暴な野蛮人が住み着いている。山頂で妖しい儀式を執り行っている妖術師の姿を見たという者もいるが定かではない。

この山の地下洞窟にはツァトゥグァが潜んでおり、この地の人間がツァトゥグア崇拝の儀式を行うに際して、崇拝者たちは常にヴーアミタドレス山の方向に体を向けていた。それ以外にもアトラク=ナクア?が巣を作り続け、さらにその地下深くにある粘液で満たされた湾では、宇宙の不浄すべての母にして父であるアブホースが、いとわしい分裂を永久に行っている。アトラク=ナクアの巣の近くには、妖術師?ハオン=ドル?が館を築き、その下の暗い階層には高度な知性と文明を有する蛇人間?の集落がある。他にも人類の始祖と称するアルケタイプ?が生息している。(『七つの呪い?』(The Seven Geases))

ムー・トゥーラン (Mhu Thulan)

ハイパーボリア大陸の最北端にある半島。この地は現在のグリーンランドとほぼ同じ位置にあったとされている。この半島には、ウボ=サスラ?が護る神々の智慧が記された銘板から知識を得ようとした魔術師?ゾン・メザマレック?や、『エイボンの書?』の著者である魔道士?エイボン?が住んでいた。(ウボ=サスラ?)

その昔、この地で、ツァトゥグァを信仰する魔道士エイボンと、ヘラジカの女神イホウンデー?神官?達との間に諍いが生じた。イホウンデーの神官モルギ?は、エイボンを捕らえ宗教裁判にかけようとするが、それをいち早く察知したエイボンは、ツァトゥグァから託された金属板を利用してサイクラーノシュ?へと逃走。それを追ったモルギともども2度とハイパーボリアの地に帰ってくることはなかったが、この事件は「エイボンがツァトゥグァから学びとった強力な魔法の力で脱出し、そのうえ神官モルギをも連れ去ったのだ」と世間では信じられていく。これにより、イホウンデーへの信仰は衰退し、氷河期によって大陸の文明が滅びるまでの1世紀の間、ムー・トゥーランではツァトゥグァを信仰する者たちの礼拝が盛んになった。(『魔道士エイボン?』(The Door to Saturn))

大陸を襲った氷河期により、ハイパーボリアの北にあるムー・トゥーランがまず氷河に覆われ始めた。しかし、この地の氷結は明らかに超自然によるものであった。氷に閉ざされたムー・トゥーランに軍を率いて遠征した王は、随行した魔術師に擬似太陽を魔術で生み出させ氷を溶かしたが、やがて発生した霧により陽光は遮られ、王と魔術師は軍勢の大半とともにその場で氷に閉じ込められ息絶えたと、わずかに生き残った兵士が証言している<。(『氷の魔物?』(The Ice-Demon))

etc.

コモリオムの都市の南方、湿地帯の密林を横切り、名も無き様々な川を進み続けた先に、伝説の王国ツチョ・ヴァルパノミ?があったといわれる。そこには沸きたつ瀝青の湖があり、ダイヤモンドの砂とルビーの小石でできた浜辺に火花を発する大洋が炎の泡を放って押し寄せていたという。(『サタムプラ・ゼイロスの物語』(The Tale of Satampra Zeiros)、『皓白の巫女?』(The White Sybil))

関連する主な物語・書籍

  • ウボ=サスラ?』(Ubbo-Sathla) クラーク・アシュトン・スミス著 (『クトゥルー4?青心社? ISBN 4-915333-55-8 所収)
  • 七つの呪い?』(The Seven Geases) クラーク・アシュトン・スミス著 (『クトゥルー4』 青心社 ISBN 4-915333-55-8 所収)
  • 魔道士エイボン?』(The Door to Saturn) クラーク・アシュトン・スミス著 (『クトゥルー 5?』 青心社 ISBN 4-915333-58-2 所収)
  • アタマウスの遺言?』(The Testament of Athammaus) クラーク・アシュトン・スミス著 (『クトゥルー 5』 青心社 ISBN 4-915333-58-2 所収)
  • サタムプラ・ゼイロスの物語?』(The Tale of Satampra Zeiros) クラーク・アシュトン・スミス著 (『クトゥルー 12?』 青心社 ISBN 4-87892-243-5 所収)
  • 皓白の巫女?』(The White Sybil) クラーク・アシュトン・スミス著 (『ヒュペルボレオス極北神怪譚?創元推理文庫? ISBN 978-4-488-54103-3 所収)
  • 氷の魔物?』(The Ice-Demon) クラーク・アシュトン・スミス著 (『ヒュペルボレオス極北神怪譚』創元推理文庫 ISBN 978-4-488-54103-3 所収)
  • 狂気の山脈にて』(At the Mountains of Madness) ハワード・フィリップス・ラヴクラフト著 (『ラヴクラフト全集 4?東京創元社? ISBN 4-488-52304-8 所収)
  • 永劫より?』(Out of the Aeons) ヘイゼル・ヒールド?著 (『ラヴクラフト全集 別巻下?』東京創元社 ISBN 4-488-52309-1 所収)
  • 「クトゥルフ神話」がよくわかる本?PHP研究所? ISBN 978-4-569-67136-9
  • 図解クトゥルフ神話?新紀元社? ISBN 4-7753-0422-4
  • クトゥルフ・ワールドツアー?クトゥルフ神話TRPG?でハイパーボリアで遊ぶためのデータが載ってるらしい
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