七つ星の少年
最終更新：ID:myxAbLg0qQ 2016年05月19日(木) 19:33:25履歴
かつて、私の世界のダーマ神殿は、魔物によって占領されてしまいました。
私、フォズ自身も洞窟の奥深くに幽閉されてしまい、何もできないままただ時間だけが過ぎて行きました。
しかし、そんな絶望的な状況の中立ち上がり、私達を救ってくれた３人の戦士。
彼らによって救出されたてから洞くつから脱出するまでの間、私は彼ら３人と行動を共にすることになりました。
幼い身とはいえ、神殿の大神官として長く人々を見てきた、いわゆる職業病故か。
行動を共にする間、私は彼ら３人の人柄についてそれとなく観察していました。
ガボは、一見元気のいい子供のようでありながら、その所作や雰囲気からは人ならざるものを感じます。
かといって、魔の気配がするわけでもなく、悪人というわけでもないようです。
もっと時間や余裕があればその辺りについて詳しく聞いてみたかったです。
同年代のお友達ができて、とても嬉しかったです。
マリベルさんは、自信に溢れていて（主にアルスさんに対して）容赦ない言動を度々していました。
でも、幽閉されていた私のことを度々気遣ってくれて、本当はとても優しい方でした。
アルスさんに対しても、もう少し素直になればいいのに…と思いますが、それを言うと「余計なお世話よ！」と怒られてしまいました。
そして…アルスさん。
パーティのリーダーと思われるその人は、基本的に会話は受け身で、かといって内気というわけでもなく、どこか飄々としたどこにでもいる普通の少年に見えます。
しかし、私にはどうにも彼のことが気がかりでした。
雰囲気も、見た目も、言動もこれといっておかしな所があるようには見えません。
ただ…その瞳は、常に何かに迷っているような、苦悩しているような、そんな濁った輝きのようなものを感じられて。
その瞳が、何故だかとても印象的でした。
今回の物語は、そんな彼についてのお話。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【過去：フォズside】
偽の大神官を倒して。
私、フォズは今まで通りの大神官の仕事に精を出していました。
そんなある日。
「フォズ、来たぞ！」
懐かしい元気な声が聞こえてきました。
そこにいたのは、ガボでした。
後ろからは、アルスさんとマリベルさんもやってきました。
「みなさん、お久しぶりです！」
「久しぶり、フォズ」
私が挨拶すると、アルスさんが言葉を返してくれました。
「転職に来たのですか？」
「ええ。ガボが、『オイラ転職するなら絶対フォズ大神官って決めてんだい！』って駄々こねるのよ」
「な！マ、マリベル余計なこと言うなよな！」
ニヤニヤしながら言うマリベルさんの言葉にガボが真っ赤になって食って掛かっています。
転職しようとするなら自分の所へ来る以外ないと思うのだが…マリベルさんの言葉の意味はどういうことでしょうか。
私が知らないだけで、遠い世界には他の大神官がいて転職を請け負っているのだろうか。
ともかく、私はいつものように転職の業務を行う事にしました。
職業の経歴表を受け取り、希望する職業を尋ねます。
「おおこの世のすべての命をつかさどる神よ！ガボに新たな人生を歩ませたまえ！」
光に包まれ、ガボは無事転職に成功しました。
これが、大神官である私の仕事であり、日常。
「アルスさんとマリベルさんはどうしますか？」
「んー、あたしはパス」
「あ、じゃあ僕も転職しようかな」
断るマリベルさんに対し、アルスさんは転職を申し出ました。
私はアルスさんの職業経歴表を受け取りました。
「えっ…？」
そこに書かれていた職業経歴は…
戦士：☆☆☆☆☆☆☆（現職業）
僧侶：☆☆☆☆☆☆☆
船乗り：☆☆☆☆☆☆☆
「魔法使いにでも、なろうかな」
「…あの、アルスさん。転職してしまって、本当にいいんですか？」
「え、うん」
「でも…この職業経歴は」
職業にはそれぞれ熟練度というのがあり、この熟練度を最大まで上げることで、新たな職業への道が開かれる。
ダーマ神殿ではこの熟練度を星の数で表しており、星８つで最大なのだ。
しかし…アルスの職業経歴は、３つの職業を経験しながら、どれも星が７つ。
職業をマスターする直前で、止まっているのだ。
「う〜ん…なんかさ、ダメなんだよ」
「ダメ？」
「何故だか、いくら戦ってもこれ以上上がらないんだよ」
「それは…戦う相手が弱いからではないでしょうか」
「そんなことないと思うんだけどなあ、ガボやマリベルは普通に職業マスターできてるし」
アルスの言葉に、フォズは思案する。
熟練度は、弱い敵を相手にしても上がらない。
しかし、ガボやマリベルと、アルスとの間にそこまで大きな戦闘能力の差があるようには思えない。
にもかかわらず二人は職業をマスターできてアルスはできていない。
何が原因なのだろうか。
しばらく考え込んだ後、フォズは顔を上げていった。
「アルスさん、あなたの戦いを見せてくれませんか」
地下の広間に、アルスとフォズはやってくる。
マリベルとガボは、ネリスの見舞いに行くからと別れた。
「お久しぶりです」
広間の中央にいたのは、カシムだった。
人払いしたからか、他に人はいない。
「あなたには今からこのカシムと戦ってもらいます」
「分かった」
フォズの言葉に頷き、アルスはカシムと対峙する。
ちなみに現在の職業は☆７の戦士のままだ。
そして、アルスとカシムの戦いが幕を開けた。
数分後。
しばらくは、拮抗した状態が続いていた。
しかし、徐々にカシムが押され始めていた。
アルスは以前会った時よりも格段に強くなっていたのだ。
戦士としての技量も申し分なく、マスターできていてもおかしくない域に達している。
しかし…
（これは…）
フォズは、感じていた。
アルスの戦いの中にある、小さな違和感に。
アルスの戦いには、決定的に欠落したものがあるのだ。
（そういうこと、ですか…）
以前行動を共にしていた時から気になっていた彼の瞳のくすみ。
そして今の戦いから感じる違和感。
それらが、フォズの中で一つに繋がった。
（アルスさん…あなたは……）
【過去：アルスside】
「で、どうだった？何か分かった？」
「その…」
カシムとの戦いが終わって。
僕は、フォズに尋ねる。
それに対して、フォズは言いにくそうな様子を見せていた。
「アルスさん…「心技体」って知ってますか？」
「心技体…聞いたことはあるような、ないような」
「精神力の「心」、技術の「技」、体力の「体」…この３つを総称したもので、一流の戦士はこれらを兼ね備えていると言われています。アルスさんの戦いは…」
そこで、再び口ごもってしまうフォズ。
「…ああ、そういうこと」
しかし、その様子をみたアルスは察してしまった。
フォズの言わんとすることを。
自分に足りないものを。
「遠慮しなくていいよ…僕の戦いには「心」が足りない。そういうことでしょ？」
「…はい。アルスさんの戦いには…「熱」を感じませんでした」
アルスは強い。
力も技術も充分に及第点と言えるほどに。
しかし、彼の戦いには熱、いわゆる闘志というものが圧倒的に欠落しているのだ。
なまじ力も技術も高いばかりに、その部分の欠落が彼の戦闘スタイルのバランスを大きく崩してしまっており、そこが職業をマスターする最後の一押しを妨げているのだ。
「熱、か…やっぱり、そうなんだ」
アルスは納得したようにぽつりとつぶやいた。
前から分かっていたことだった。
自分は、何に対しても熱を、執着を、重みを持てない。
「まいったな…昔から自分のこんな性格は知ってたけど、こんな所で弊害があるなんて」
「アルスさん…」
「自分でも分かってるんだ…こんなんじゃダメだって。それでも、変えられないんだ」
今まで仲間にも親にも打ち明けたことがなかった想いをぶちまける。
どうにもこの小さな女の子には、全てを見透かされているようで、隠しても無駄に思えたのだ。
「…変えたいと思っているのなら、きっと変えられます」
「そうかな？自分でもほとんど諦めてるんだけどな」
「私は、見てみたいです。アルスさんがどんな風に自分を変えてみせるのか」
「そんなに期待されても困るなあ」
「あ…！ご、ごめんなさい…。勝手なことを…」
出過ぎたマネをしたと感じたのか、フォズは申し訳なさそうに俯いた。
「アルスさん…もしもあなたが、本気で向き合えるものを…その瞳に熱を宿すようなものを見つけられたら…また私に、会いに来てくれませんか？」
「フォズに？」
「はい…ダメ、ですか？」
「まあ、別にいいけど…期待はしないでよ？」
「はい！」
【現在：フォズside】
（アルスさん…）
名簿の中に写るのは、知人の一人の姿。
その写真の姿だけでは、あの後彼が変われたのか、それともまだ変われていないのか、判断はつかない。
結局あの後アルスさん達とは一度も会っていないし、本人も期待するなといっていたが。
それでも、フォズは信じたい。
アルスが、その胸に、瞳に、熱を宿すに足るものを見つけられたことを。
（アルスさん…会いたいです）
果たして彼が、どのように変わるのか。
彼が変わった時、あの熱を失った瞳が、どのような色を見せてくれるのか。
（私に、見せてください）
【現在：アルスside】
（フォズ、か…）
アルスもまた、名簿をみてあの日の事を思い出していた。
フォズ。
過去の世界のダーマ神殿における大神官であり、唯一旅の仲間以外で呼ばれた知り合いだ。
そして…自分の胸の内を明かした人物でもある。
（あの子には悪いことしたなあ）
結局、あの後もアルスは自分を変えることができなかった。
本気になれるものを、熱や執着を持てるものを、未だに見つけることができずにいた。
職業に関しても変わらずだった。
あの後も、様々な職業に転職した。
戦士、武闘家、魔法使い、僧侶、踊り子、盗賊、詩人、船乗り、羊飼い、笑わせ師。
いわゆる人間下級職と呼ばれるものを全て経験したが、そのいずれも本気になることなどできず、☆７で打ち止めとなってしまった。
そして、どうにも手詰まりに感じたので現在は職をやめ、いわゆる無職というやつだ。
変わらないことを美徳とする自分には、結局のところこのスタイルが一番気楽だった。
（ごめん、フォズ）
あの後、フォズとは一度も会っていない。
ガボがせがんできても、新しく仲間になったメルビンやアイラが会ってみたいといってきても、断ってきた。
（君には、当分会えそうもないや）
【D-7/荒野/1日目 午前】
【フォズ＠DQ7】
[状態]：健康
[装備]：ルーンスタッフ@DQ8 ようせいのうでわ@DQ9
[道具]：支給品一式 不明支給品0〜1(本人確認済み)
[思考]：仲間を集める。
そのためにトロデーン城へ向かう
アンルシアを信頼する
アルスに会いたい
【E-2/森/1日目 朝】
【アルス＠DQ7】
[状態] 健康
[装備]：なし
[道具]：支給品一式 支給品1〜3（本人確認済み）
[思考]：本気になれるものを探す。
：フォズには今はまだ会いたくない。
[備考]：「職業：なし」で、人間下級職10種を☆７まで習得しています
※「サントハイムの未来（あす）」、「はじめての友達」からほとんど時間経過はしていません。
私、フォズ自身も洞窟の奥深くに幽閉されてしまい、何もできないままただ時間だけが過ぎて行きました。
しかし、そんな絶望的な状況の中立ち上がり、私達を救ってくれた３人の戦士。
彼らによって救出されたてから洞くつから脱出するまでの間、私は彼ら３人と行動を共にすることになりました。
幼い身とはいえ、神殿の大神官として長く人々を見てきた、いわゆる職業病故か。
行動を共にする間、私は彼ら３人の人柄についてそれとなく観察していました。
ガボは、一見元気のいい子供のようでありながら、その所作や雰囲気からは人ならざるものを感じます。
かといって、魔の気配がするわけでもなく、悪人というわけでもないようです。
もっと時間や余裕があればその辺りについて詳しく聞いてみたかったです。
同年代のお友達ができて、とても嬉しかったです。
マリベルさんは、自信に溢れていて（主にアルスさんに対して）容赦ない言動を度々していました。
でも、幽閉されていた私のことを度々気遣ってくれて、本当はとても優しい方でした。
アルスさんに対しても、もう少し素直になればいいのに…と思いますが、それを言うと「余計なお世話よ！」と怒られてしまいました。
そして…アルスさん。
パーティのリーダーと思われるその人は、基本的に会話は受け身で、かといって内気というわけでもなく、どこか飄々としたどこにでもいる普通の少年に見えます。
しかし、私にはどうにも彼のことが気がかりでした。
雰囲気も、見た目も、言動もこれといっておかしな所があるようには見えません。
ただ…その瞳は、常に何かに迷っているような、苦悩しているような、そんな濁った輝きのようなものを感じられて。
その瞳が、何故だかとても印象的でした。
今回の物語は、そんな彼についてのお話。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【過去：フォズside】
偽の大神官を倒して。
私、フォズは今まで通りの大神官の仕事に精を出していました。
そんなある日。
「フォズ、来たぞ！」
懐かしい元気な声が聞こえてきました。
そこにいたのは、ガボでした。
後ろからは、アルスさんとマリベルさんもやってきました。
「みなさん、お久しぶりです！」
「久しぶり、フォズ」
私が挨拶すると、アルスさんが言葉を返してくれました。
「転職に来たのですか？」
「ええ。ガボが、『オイラ転職するなら絶対フォズ大神官って決めてんだい！』って駄々こねるのよ」
「な！マ、マリベル余計なこと言うなよな！」
ニヤニヤしながら言うマリベルさんの言葉にガボが真っ赤になって食って掛かっています。
転職しようとするなら自分の所へ来る以外ないと思うのだが…マリベルさんの言葉の意味はどういうことでしょうか。
私が知らないだけで、遠い世界には他の大神官がいて転職を請け負っているのだろうか。
ともかく、私はいつものように転職の業務を行う事にしました。
職業の経歴表を受け取り、希望する職業を尋ねます。
「おおこの世のすべての命をつかさどる神よ！ガボに新たな人生を歩ませたまえ！」
光に包まれ、ガボは無事転職に成功しました。
これが、大神官である私の仕事であり、日常。
「アルスさんとマリベルさんはどうしますか？」
「んー、あたしはパス」
「あ、じゃあ僕も転職しようかな」
断るマリベルさんに対し、アルスさんは転職を申し出ました。
私はアルスさんの職業経歴表を受け取りました。
「えっ…？」
そこに書かれていた職業経歴は…
戦士：☆☆☆☆☆☆☆（現職業）
僧侶：☆☆☆☆☆☆☆
船乗り：☆☆☆☆☆☆☆
「魔法使いにでも、なろうかな」
「…あの、アルスさん。転職してしまって、本当にいいんですか？」
「え、うん」
「でも…この職業経歴は」
職業にはそれぞれ熟練度というのがあり、この熟練度を最大まで上げることで、新たな職業への道が開かれる。
ダーマ神殿ではこの熟練度を星の数で表しており、星８つで最大なのだ。
しかし…アルスの職業経歴は、３つの職業を経験しながら、どれも星が７つ。
職業をマスターする直前で、止まっているのだ。
「う〜ん…なんかさ、ダメなんだよ」
「ダメ？」
「何故だか、いくら戦ってもこれ以上上がらないんだよ」
「それは…戦う相手が弱いからではないでしょうか」
「そんなことないと思うんだけどなあ、ガボやマリベルは普通に職業マスターできてるし」
アルスの言葉に、フォズは思案する。
熟練度は、弱い敵を相手にしても上がらない。
しかし、ガボやマリベルと、アルスとの間にそこまで大きな戦闘能力の差があるようには思えない。
にもかかわらず二人は職業をマスターできてアルスはできていない。
何が原因なのだろうか。
しばらく考え込んだ後、フォズは顔を上げていった。
「アルスさん、あなたの戦いを見せてくれませんか」
地下の広間に、アルスとフォズはやってくる。
マリベルとガボは、ネリスの見舞いに行くからと別れた。
「お久しぶりです」
広間の中央にいたのは、カシムだった。
人払いしたからか、他に人はいない。
「あなたには今からこのカシムと戦ってもらいます」
「分かった」
フォズの言葉に頷き、アルスはカシムと対峙する。
ちなみに現在の職業は☆７の戦士のままだ。
そして、アルスとカシムの戦いが幕を開けた。
数分後。
しばらくは、拮抗した状態が続いていた。
しかし、徐々にカシムが押され始めていた。
アルスは以前会った時よりも格段に強くなっていたのだ。
戦士としての技量も申し分なく、マスターできていてもおかしくない域に達している。
しかし…
（これは…）
フォズは、感じていた。
アルスの戦いの中にある、小さな違和感に。
アルスの戦いには、決定的に欠落したものがあるのだ。
（そういうこと、ですか…）
以前行動を共にしていた時から気になっていた彼の瞳のくすみ。
そして今の戦いから感じる違和感。
それらが、フォズの中で一つに繋がった。
（アルスさん…あなたは……）
【過去：アルスside】
「で、どうだった？何か分かった？」
「その…」
カシムとの戦いが終わって。
僕は、フォズに尋ねる。
それに対して、フォズは言いにくそうな様子を見せていた。
「アルスさん…「心技体」って知ってますか？」
「心技体…聞いたことはあるような、ないような」
「精神力の「心」、技術の「技」、体力の「体」…この３つを総称したもので、一流の戦士はこれらを兼ね備えていると言われています。アルスさんの戦いは…」
そこで、再び口ごもってしまうフォズ。
「…ああ、そういうこと」
しかし、その様子をみたアルスは察してしまった。
フォズの言わんとすることを。
自分に足りないものを。
「遠慮しなくていいよ…僕の戦いには「心」が足りない。そういうことでしょ？」
「…はい。アルスさんの戦いには…「熱」を感じませんでした」
アルスは強い。
力も技術も充分に及第点と言えるほどに。
しかし、彼の戦いには熱、いわゆる闘志というものが圧倒的に欠落しているのだ。
なまじ力も技術も高いばかりに、その部分の欠落が彼の戦闘スタイルのバランスを大きく崩してしまっており、そこが職業をマスターする最後の一押しを妨げているのだ。
「熱、か…やっぱり、そうなんだ」
アルスは納得したようにぽつりとつぶやいた。
前から分かっていたことだった。
自分は、何に対しても熱を、執着を、重みを持てない。
「まいったな…昔から自分のこんな性格は知ってたけど、こんな所で弊害があるなんて」
「アルスさん…」
「自分でも分かってるんだ…こんなんじゃダメだって。それでも、変えられないんだ」
今まで仲間にも親にも打ち明けたことがなかった想いをぶちまける。
どうにもこの小さな女の子には、全てを見透かされているようで、隠しても無駄に思えたのだ。
「…変えたいと思っているのなら、きっと変えられます」
「そうかな？自分でもほとんど諦めてるんだけどな」
「私は、見てみたいです。アルスさんがどんな風に自分を変えてみせるのか」
「そんなに期待されても困るなあ」
「あ…！ご、ごめんなさい…。勝手なことを…」
出過ぎたマネをしたと感じたのか、フォズは申し訳なさそうに俯いた。
「アルスさん…もしもあなたが、本気で向き合えるものを…その瞳に熱を宿すようなものを見つけられたら…また私に、会いに来てくれませんか？」
「フォズに？」
「はい…ダメ、ですか？」
「まあ、別にいいけど…期待はしないでよ？」
「はい！」
【現在：フォズside】
（アルスさん…）
名簿の中に写るのは、知人の一人の姿。
その写真の姿だけでは、あの後彼が変われたのか、それともまだ変われていないのか、判断はつかない。
結局あの後アルスさん達とは一度も会っていないし、本人も期待するなといっていたが。
それでも、フォズは信じたい。
アルスが、その胸に、瞳に、熱を宿すに足るものを見つけられたことを。
（アルスさん…会いたいです）
果たして彼が、どのように変わるのか。
彼が変わった時、あの熱を失った瞳が、どのような色を見せてくれるのか。
（私に、見せてください）
【現在：アルスside】
（フォズ、か…）
アルスもまた、名簿をみてあの日の事を思い出していた。
フォズ。
過去の世界のダーマ神殿における大神官であり、唯一旅の仲間以外で呼ばれた知り合いだ。
そして…自分の胸の内を明かした人物でもある。
（あの子には悪いことしたなあ）
結局、あの後もアルスは自分を変えることができなかった。
本気になれるものを、熱や執着を持てるものを、未だに見つけることができずにいた。
職業に関しても変わらずだった。
あの後も、様々な職業に転職した。
戦士、武闘家、魔法使い、僧侶、踊り子、盗賊、詩人、船乗り、羊飼い、笑わせ師。
いわゆる人間下級職と呼ばれるものを全て経験したが、そのいずれも本気になることなどできず、☆７で打ち止めとなってしまった。
そして、どうにも手詰まりに感じたので現在は職をやめ、いわゆる無職というやつだ。
変わらないことを美徳とする自分には、結局のところこのスタイルが一番気楽だった。
（ごめん、フォズ）
あの後、フォズとは一度も会っていない。
ガボがせがんできても、新しく仲間になったメルビンやアイラが会ってみたいといってきても、断ってきた。
（君には、当分会えそうもないや）
【D-7/荒野/1日目 午前】
【フォズ＠DQ7】
[状態]：健康
[装備]：ルーンスタッフ@DQ8 ようせいのうでわ@DQ9
[道具]：支給品一式 不明支給品0〜1(本人確認済み)
[思考]：仲間を集める。
そのためにトロデーン城へ向かう
アンルシアを信頼する
アルスに会いたい
【E-2/森/1日目 朝】
【アルス＠DQ7】
[状態] 健康
[装備]：なし
[道具]：支給品一式 支給品1〜3（本人確認済み）
[思考]：本気になれるものを探す。
：フォズには今はまだ会いたくない。
[備考]：「職業：なし」で、人間下級職10種を☆７まで習得しています
※「サントハイムの未来（あす）」、「はじめての友達」からほとんど時間経過はしていません。
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