福岡県の郷土のものがたりです。

  • 苅田町

苅田町の西のはずれに黒添というところがあります。ここのほぼ中央にある御堂には、水玉地蔵と呼ばれる

一体のお地蔵さんが、地元の人たちの手によって大切にまつられています。

その御堂は大きなシイの古木のかたわらにあり、お地蔵さんの左の手のひらには、その名のとおり水玉のような

ものがチョコンとのせられています。

もうずいぶん昔のことです。

村のある家で寒もちをつこうと、もち米を蒸していました。ところが、家の人がちょっと目をはなしたすきに、

かまどの火がうしろの壁に燃えうつってしまったのです。

まっ赤に焼けている壁を見た家の人はびっくり。しかし気が動転してどうしたらよいのやらわかりません。

するとどうでしょう。どこからともなくお地蔵さんが姿をあらわし、手のひらからさかんに水をたらして壁を

ぬらしはじめたのです。おかげでまもなく火は消え、大火事にならずにすみました。

「なんという不思議なことじゃ」

家の人はこのお地蔵さんに深く感謝し、さっそくその尊い姿を石に刻み、御堂をたててまつりました。話を聞いた

村人たちも、それ以来参拝を欠かさず、毎年八月二十三日にはいまでも村総出の盆供養が行われています。

この水玉地蔵のご利益か、この地域にはもう長年、火事がないといわれています。

トップページ

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます