福岡県の郷土のものがたりです。

  • 川崎町

田川郡川崎町の南端、戸谷ケ岳のふもとに、黒木という村があります。

その村はずれ、急な石段を登りつめたところに、小さな神社“淡島さま”が、祭られています。

淡島さまについては、こんなお話が伝えられています。

むかしむかしのこと、黒木の人が、四国の八十八カ所めぐりにでかけたときのことです。四国に渡ってすでに数日、

ようやく阿波(徳島県)の海岸にさしかかったとき、突然、荒波で洗われていたきれいな小石が、たもとのなかへ

飛びこんできました。囲りをみまわしても、誰もいません。

不思議に思った村人は、小石を大切に持って、巡礼の旅を続けました。

その夜のことです。村人の枕もとに、小さな神さまがおたちになりました。

「我は、大国主命の使い、少彦名命(すくなひこなのみこと)である。我をおまえの村に祭れ。そうすれば、

村里を災害や病気から守るであろう」

その後も、毎晩のように、村人の夢にあらわれては同じ言葉をくり返すのです。

村人は、そのお告げのとおり、村に小石を持ち帰り、村の丘の上に小さな社を建てて祭りました。

これが、淡島さま(阿波しまさま)のおこりだと伝えられています。

もともと、少彦名命は、国つくりの神さま大国主命とともに諸国をめぐり、人びとに、農法や、鳥や虫の

害を防ぐ方法、薬草や病気の治療法を伝えた神さまです。ここ、黒木の淡島さまも、特に婦人病に霊験あらたか

として、信仰を集め、北部九州一円からの参拝者がたえません。

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