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gordonschumway 2011年05月31日(火) 06:54:43履歴
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【18禁】【NL】【ファンタジー】
[40:13]
『本編』
椿 「(N)僕が菖蒲(あやめ)と始めて出会ったのは、もう随分前。サタンが魔界を牛耳ってる時代の事。
その時の菖蒲(あやめ)は今じゃ考えられないくらい暗い奴で、まさに一匹狼といった感じだった。
そしてその頃の菖蒲(あやめ)は、裏魔界の暗殺部隊として、スラム地区に住む仲間と一緒に生活をしていたらしい。
でもあの作戦が実行されることにより、菖蒲(あやめ)の生活は一転する。
そして……僕は菖蒲(あやめ)と出会うことになる」
――場面はどこかの研究所の一室。ベットの上にぼーっとすわっている菖蒲(あやめ)――
菖蒲「(ボソリと)俺は…どうしてこんな所にいるんだ?なぜ…俺だけ助かった……」
(SE:廊下を歩いてくる足音)
研究員「どうぞこちらです」
(SE:ドアの開く音)
研究員「本日は遠路はるばる、ようこそおいでくださいました。つきしましては……」
椿 「(かぶせて)長ったらしい挨拶はいらないっての。で?僕に診て欲しい患者ってのが、この子?」
研究員「はい。名を菖蒲(あやめ)と言いまして、スラム地区出身の上級魔族なんです」
椿 「!?スラム地区…出身だって!?」
研究員「はい(平然と)」
椿 「へぇ……あのスラム地区の子がねぇ……なんでこんな所にいるわけ?」
研究員「椿さんも、つい先日行われた、スラム地区殲滅作戦の事はご存知ですよね?」
椿 「えぇ。サタンの奴が、気まぐれにやった魔族大量虐殺でしょ?
確かすごい激しいバトルロワイヤルだったって聞いたけど?」
研究員「ええ。まぁ実際は、バトルロワイヤルというより単なる共食いですけどね。あの地区の魔族達にとっては」
椿 「共食いねぇ…んで?完全なる殲滅は出来たわけ?」
研究員「はい。スラム地区の魔族はほぼ全滅させました」
椿 「ほぼ?」
研究員「こいつ以外は全員……ね…」
椿 「ふっ…なるほどね……。しっかしまぁ、よくもあの地区の魔族を、この子以外殲滅出来たもんだ。
いくら共食いっていったって、結構な人数だったんでしょ?」
研究員「そりゃあそうですよ。作戦時に何があってもいいように討伐部隊が結成されたんですが、
その討伐部隊の中には、あの桔梗さんがいたんですから」
椿 「あー…そりゃあ全滅にもなるか……っにしても、よくこの子だけ生き残ったね」
研究員「私達も全員殺ったと思ったんですけどね、一人だけ…生きてたそうですよ。
大量の屍と血の海の中で、こいつだけが……」
椿 「ありゃりゃ、それすごいじゃんか。んで?この子を僕にどうしろと?」
研究員「私達もスラム地区の出身と聞いて、仕方なくこいつを収容したのですが……
うちの研究所では限界がありまして……」
椿 「それでこの僕が呼ばれて、この子を調べろと」
研究員「えぇ……」
椿 「面白いサンプルが手に入ったって聞いたから、わざわざこんな所まで来てみたんだけど……、
ここまでとはね……来たかいがあった」
研究員「引き受けてくださいますか」
椿 「うん。スラム地区に生息する子達の生態調査は元から興味があったし、引き受けるよ。
ちなみに報告書の提出は?」
研究員「そんなものいりませんよ。スラム地区は殲滅しましたし、ここにいられても邪魔なだけですから。
それに、スラム地区の生態調査は、うちの管轄外です」
椿 「管轄外…ね……」
研究員「精神はだいぶやられていますが、会話は出来る状態ですので……あとは椿さんにお任せします」
椿 「ったく…要は単なる仕事放棄でしょ?うちは廃棄処理場じゃないんだけどなぁ……」
研究員「そうおっしゃらずに。あなたにとっては貴重なサンプルだと思いますが?」
椿 「ま、それもそうなんだけどー………」
研究員「では私はこれで」
椿 「はいはい。お仕事ごくろーさま」
研究員「では……」
(SE:研究員がドアを開けて出て行く音)
椿 「ふんっ。つまりはスラム地区の魔族とは関わりたくないってだけじゃんか。
ただでさえスラム地区は色んな意味で超危険地域だし。殲滅作戦が実行されるのもわかる気がするんだけど……
サタンの奴もやることが大胆な事で。ま、結果的には、僕にとってはかわいいモルモットが手に入ったから、
結果オーライなんだけどさ……」
菖蒲「(ぼそりと)なぜだ…なぜ俺だけ生き残った……?どうして……」
椿 「えぇ?」
菖蒲「なぜ…生き延びたんだ……」
椿 「……君、そんなに死にたかったの?」
菖蒲「死ねばよかった……あの時…あいつらと一緒に……」
椿 「あいつら…?あぁ…君の仲間か何か?」
菖蒲「……俺は…こんな事…望んでないのに……」
椿 「答えになってないし……それにしても君さ、あの殲滅作戦でよく生き延びられたよね」
菖蒲「………俺は…生かされた…それだけだ…」
椿 「生かされた?誰に?」
菖蒲「霞(かすみ)……そうだ…霞は…霞はどうした!?お前が殺したのか!?」
椿 「はぁ!?んな訳ないだろっ!!」
菖蒲「よくも霞を……!」
椿 「ったく……ほんとしょうがない子だなー……。あのねぇ菖蒲(あやめ)、霞ちゃんとやらは、
ちゃんと生きてるよ。――君の心の中でねっ!」
(SE:椿、麻酔銃を打ち込む)
菖蒲「ぐっ……霞……」
(SE:倒れる音)
椿 「ふぅ……まったく危ないったらありゃしない……これだから精神崩壊者って嫌なんだ……
それにしても、霞ちゃん…ねー……この子の恋人か何かかな?
っにしても、あの惨劇の中でこの子だけ生き残ったって事は……
スラム地区の中でも相当の魔力を持ってるって事…なのかな……?
でも生かされたとか何とか言ってるし……まったく、桔梗の奴も、随分と面白いもんを残してくれたもんだな……」
桔梗「うふ。そういっていただけると幸いですわ」
椿 「うわぁぁっ!ちょ…いきなり現んなよっ!桔梗っ!
てゆーか君、何でこんなとこにいるわけ?」
桔梗「いえね、このサンプルが、ちゃんと椿さんの手に渡ったかどうか、確認をしに来ただけですわ」
椿 「確認……?って事は……君、わざとやったね……」
桔梗「くすくす、何がですか?」
椿 「この子だけ、わざと生き残らせたんだろ…?」
桔梗「ふふっ…そう思いますか?あの研究員も言ってたでしょう?私が行った時にはすでに彼はこの状態で、
血の海の中にいたと」
椿 「要は僕に厄介ごとを押し付けたいだけなんだろ?」
桔梗「とんでもございません。私は、あなたに、丁度いい研究材料を提供しただけですわ」
椿 「研究材料ねぇ……ま、いいや。じゃ、僕は研究所に戻るから。君はこれからどうするの?」
桔梗「私はこれから、報告書の作成ですの」
椿 「報告書?そんなもん書くわけ?」
桔梗「サタン様が、作戦時の詳細なデータが欲しいそうです。一応、私も討伐部隊のリーダーでしたから」
椿 「はっ。サタン様の秘書殿もご苦労なことで結構だね」
桔梗「あらまぁ……それをいうなら椿。あなたはさしづめ、サタンの飼い犬といったところでしょうか」
椿 「はぁ!?僕は単にあいつとの契約があるから、あいつに逆らえないだけだよっ!」
桔梗「くすくす。ご愁傷様」
椿 「ほんと君ってむっかつくよね……それじゃあねっ!」
(SE:消える音)
桔梗「ふふっ……さてと、これからどんな展開になるのか……楽しみですわね……(黒笑)」
(場面は椿の研究室)
椿 「まったく桔梗のやつ……僕がサタンに逆らえない事をいいことに、好き勝手言ってくれちゃって……
僕だってこの契約がなきゃ、もっと自由に研究が出来るってのっ!!」
菖蒲「う……ん…」
椿 「あれ、気がついたみたいだね……」
菖蒲「ここは……」
椿 「僕の研究所だよ。君、大丈夫?」
菖蒲「お前はっ……!!」
椿 「はいはいストップストップ。僕は、今日君と初めて会った。よって霞とかいう子も知らない。おっけー?」
菖蒲「初めて…だと……?」
椿 「あのさぁ、初めてじゃないとしたら、一体僕たちはどこで会ったっていうわけ?
少なくとも僕は、君に会うのは今日が始めてだよ」
菖蒲「そう……か……」
椿 「で?君……自分の名前は言える?」
菖蒲「………」
椿 「あれ、言えない?」
菖蒲「なぜ初対面のお前なんかに、俺の名前を名乗らなくてはならない?」
椿 「……(ピキッと)えーっと……君、何でここに連れてこられたか知ってる?」
菖蒲「知るか」
椿 「………じゃあ教えてあげるよ。君は僕のモルモットになった。意味わかる?」
菖蒲「……さぁな」
椿 「いい!?君は僕の実験材料になったのっ!よって、今から君の自由は一切ないっ!!
何をされても、文句が言えない立場になったのっ!無条件でっ!!」
菖蒲「だったら……なんだと言うんだ……あの地区に生まれた時から、俺に自由なんてもんはない。好きにしろ」
椿 「……いいの……?」
菖蒲「構わない。なぜそんな事を聞く?俺を事を調べたいのだろう?だったら勝手にすればいい」
椿 「勝手に…ねぇ……じゃぁ……こーゆー事されても、文句はないんだ?」
菖蒲「なっ……んっ……」
椿 「勝手にやって……いいんだよね……?」
菖蒲「あっ…っ…ん………ふん……好きに…しろ……」
椿 「…ちょ……それ本気……?」
菖蒲「……お前こそ何をためらっいる?男に犯られる事など、あの地区では日常茶飯事だ……
それに……そうして金を稼ぐ奴もいる……俺も…その一人だった……」
椿 「そう…なんだ……?」
菖蒲「それに、俺にはもう生きてる意味はない。俺がどうなろうが、そんなの知ったこっちゃない。
犯りたいんだろ?だったら勝手に犯ればいい」
椿 「…………はぁ…。つまんない」
菖蒲「はぁ?」
椿 「なんかそう言われると、すっごく犯る気なくす。
僕は、嫌がってんのを無理やり犯すのが好きなの。
それに、あいにくと今は欲求不満じゃないしね」
菖蒲「……そうか。なら俺の前から退け。邪魔だ」
椿 「君ってつくづくムカツク奴だねぇ……(ぼそりと)なんか…昔の誰かさんを見てるみたいだよ……」
菖蒲「何か言ったか?」
椿 「いいや、別に。と・も・か・く!せめて名前ぐらいは言いなよ。それとも、自分の名前すら言えないわけ?」
菖蒲「…………菖蒲(あやめ)だ……」
椿 「菖蒲(あやめ)…ね……(とりあえず名前の記憶に関してはだいじょぶそうみたいだな……)
ちなみに僕の名前は椿。この魔界の天才科学者」
菖蒲「自分でいうなよ」
椿 「う、うっさいなぁ…。とりあえず、これからいくつか質問してくから、それに答えて」
菖蒲「なぜ?」
椿 「君に関するデータがほとんどないからだよっ!それに、好きにしろって言ったのは君の方でしょ!?」
菖蒲「あぁ……そうだったな……で?何を聞きたいんだ?」
椿 「まず質問その1。なんでこの僕の事を知らないの?」
菖蒲「はぁ?それ、俺のデータに関係あんのか?」
椿 「いいから答えて」
菖蒲「……裏魔界の果てに住む俺たちにとって、魔界に住む奴のことなんて、まったく関係ないし、関わりもない。
だから知らないだけだ」
椿 「ふ〜ん……じゃあ、質問その2。君ってスラム地区の出身だったよね?
スラム地区ってさぁ、なんでそんなに魔界から隔離されてるわけ?」
菖蒲「スラム地区は何らかの理由で、魔界で魔王や魔王候補生になり損ねた奴や、
生まれの卑しい奴らが住む地区だからな。サタンにとってはゴミ置き場みたいなものだったんだろうさ……」
椿 「ふーん……だから殲滅作戦をねぇ……じゃあ質問その3。殲滅作戦って、一体何がおきたの?」
菖蒲「単なる仲間うちの殺し合いだ……サタンから、スラム地区で殺し合いをして、
生き残った者には、魔界に住むことを許される。だから俺たちは殺しあった。
魔界での永住権を獲得するためにな。ま。俺にはどうでもいい事だったがな……
どうやら全員参加をしないと消されるらしくてな、仕方なく、強制参加で参加したんだ」
椿 「なるほど。だからバトルロワイヤルって話だったわけか……。
ちなみにさ、いくらスラム地区が小さいからといって、
やっぱ全員が参加したかなんて把握出来ないじゃないの?」
菖蒲「さぁ?でもスラム地区じゃ見かけない奴もきてたから、そいつらが監視とかしてたんじゃないのか?」
椿 「あー。なるほど、それが桔梗達の討伐部隊って奴か……質問その4。
君は確か、暗殺チームに入ってたって聞いたんだけど、それについて詳しく答えてくれる?」
菖蒲「元からスラム地区に住む奴は大抵が魔王達の暗殺部隊のチームに所属している。
サタンからこいつを殺せという指令が来て、指定されたチームが魔王たちの暗殺に向かう。そういうシステムだ」
椿 「質問その5。さっき魔界でなんらかの理由で魔王や魔王候補生になりそこねた奴がいるって言ってたけど、具体的には?」
菖蒲「どうやら魔界では、上の位に付くための昇級試験があるらしくてな、
その試験でこいつは危険だと判断された奴がこの地区に左遷されるらしい。
俺たちはそういう奴らの事を部外者と呼んでいたがな。
この地区に生まれた奴は大抵が暗殺部隊のチームに入るが、部外者のほとんどチームに入らず、
虎視眈々と、サタンの失脚を狙ってたりしてたらしいな」
椿 「ふーん。サタンのやつも、なかなかややこしいことしてるんだなぁ……質問その6。
これが最後の質問ね。殲滅作戦の状況……ていうか、なんで君一人だけが生き残ったのか……」
菖蒲「言っただろう。俺は仲間に生かされた。ただそれだけだ」
椿 「もっと詳しく。君が言ってた霞……だっけ?その子の事とか」
菖蒲「霞は……俺のチームの仲間で……恋人だった……でもバトルロワイヤルの中で仲間の一人が鈴娜をはめようとした。
俺はそうとは知らずにその仲間の作戦に参加した。結果、霞は死んでしまった。俺はその真実を知り愕然とした。
怒りに我を忘れて仲間を殺し、俺も死のうとした時、最後の力を振り絞って、霞が俺に言ったんだ。
『あんただけは生き残って、魔界で幸せに暮らして欲しい。私は、菖蒲(あやめ)は悪くないって信じてたよ』とな……」
椿 「なーるほど……だから生かされた…か……」
菖蒲「あぁ……でも俺は、こんなことは望んでない……あいつが死んだ時、俺も一緒に死ねばよかったんだ……」
椿 「もったいないなぁ〜。せっかくその霞ちゃんとやらに生かしてもらったのにさぁ、
恋人の最後の言葉ぐらい聞いてやりなよ」
菖蒲「ふん。余計なお世話だ。だいたい、今の俺は生きた屍と一緒だ。それに、お前のモルモットになった時点で、
魔界で幸せに暮らすという霞の願いは聞けないだろうが」
椿 「ま、まぁそれも…そうなんだけどさ……」
菖蒲「質問はそれだけか?だったら、俺は何をすればいい?」
椿 「え、何って……」
菖蒲「お前はもう俺をモルモットにしたんだろう?だったら、実験でも何でも好きにすればいい」
椿 「な、なんか調子狂うんだよなぁ……ま、まぁいいや。とりあえず、君の部屋に案内してあげる。
これからは、そこで暮らすこと」
菖蒲「わかった」
椿 「じゃ、ついてきて」
菖蒲「あぁ」
(SE:二人の足音)
椿 「(ったく……なーんか、嬉しいんだかそうでないんだかよくわかんなくなってきたよ……
生きた屍……か……この子も……苦労してんだなぁ……)」
(場面は数日後)
(隗都の実験室)
(SE:ドアのノックする音)
桔梗「椿、入りますわよ?」
椿 「あー?あぁ、どうぞ」
(SE:ドアのあく音と閉める音)
桔梗「その後どうです?例のモルモットの調子は」
椿 「どうにもこうにも。僕が何をしても一向に嫌がらないし、マジ研究がしづらいのなんのって……」
桔梗「あらあら……めずらいですわね。椿が手をやくなんて」
椿 「別に手を焼いてるわけじゃないけどさ、僕は生きた屍だ。僕がどうなろうと知ったこっちゃないとか言ってくれちゃって、
僕が何を言っても逆らいもしないわけよ」
桔梗「素直なことは、いいことだと思いますけれど」
椿 「わかってないなぁ桔梗は……僕としては、もうちょっと嫌がって欲しいというか何というか……」
桔梗「つまり、素直すぎてつまらないと……」
椿 「そんな感じ〜。SEXだってさ〜、全然嫌がるそぶりもみせないし。なんていうか、犯る気無くすんだよね〜。
無理やり出来ないっつーか、こう…つまりね、僕としては、もっと嫌がってんのを押さえつけて、
無理やり犯すほうが楽しいし面白いわけで……」
桔梗「欲求不満というわけですか(苦笑)」
椿 「ちょっと、ストレートに言わないでよ……」
桔梗「うふふ、こういうのも、たまにはいいんじゃないですか?」
椿 「よくないっ。こんな検体はいらない。てゆーかつまらない」
桔梗「まぁまぁそうおっしゃらずに。この検体を引き受けたのは椿自信なんですから、
最後まで責任をもって、ちゃんと面倒をみてくださらないと、困りますわ」
椿 「そんなん言われなくてもわかってるよ!だから余計にやりにくいんだもん。
あーあ、スラム地区の魔族の生態調査が終わったら、あの子どうしよ……」
桔梗「捨てるでもなんでも、椿の好きにしたらいいじゃないですか」
椿 「それもそうなんだけどぉ……なんかあの子……ほっとけないんだよねぇ……」
桔梗「あら、椿にしてはめずらしい発言ですわね。まぁ、そんなにつまらないというのなら、
一度彼を私貸してはいただけませんか?もうだいたいのデータは取り終わってるのでしょう?」
椿 「そりゃぁ終わってるけど……なんで?」
桔梗「いえ、私も、彼には少々興味がありましてね……あわよくば、椿に返す時には、
椿好みにの子にして、返してさしあげましょうか……?」
椿 「はぁ?私好みって……」
桔梗「くすっ……直にわかりますわ……」
椿 「うわー…君、何企んでんだよ……」
菖蒲「椿、入るぞ」
(SE:ドアの開く音としまる音)
椿 「あ、菖蒲(あやめ)。いいところに来た。突然で悪いんだけどさ、君、今日からこいつのとこに行ってくれる?」
菖蒲「は?こいつって……おっ…お前は……」
桔梗「どうもはじめまして。菖蒲(あやめ)さん。私は桔梗という者です。以後、お見知りおきを……」
菖蒲「き…桔梗……」
椿 「え…?何?君たち知り合いなわけ?」
桔梗「いいえ。彼とは、今初めて会ったばかりですわ。ねぇ?菖蒲(あやめ)さん……?」
菖蒲「あ、あぁ……」
椿 「あー……ま、まぁいいや。
とりあえず、今日から君は、しばらくこいつのトコに預けるから。そのつもりでよろしく」
菖蒲「い、いつまでだよ……」
椿 「そうだなー……桔梗は?」
桔梗「椿にお任せしますわ」
椿 「そう……じゃぁ一ヶ月……ぐらいでいいかな?」
桔梗「ええ、十分ですわ」
菖蒲「い、一ヶ月もか!?」
椿 「何、菖蒲(あやめ)、何か問題でもあるわけ?」
菖蒲「い…いや……別に……」
椿 「だったらそれで。それじゃあ桔梗、一ヶ月間、この子のこと、よろしく頼んだよ」
桔梗「ええ。わかりましたわ。それじゃあ菖蒲(あやめ)さん、行きましょうか……」
菖蒲「あ、あぁ……」
(SE:二人の歩く音とドアの開く音)
菖蒲「あっ、椿っ!!」
椿 「ん?何?」
菖蒲「あ、いや……なんでも…ない……」
椿 「?ならいいけど……」
桔梗「それでは……」
(SE:ドアの閉まる音)
椿 「………あの子……なんか今、すごい悲しそうな顔してなかったか……?
てゆーか、ほんとに一ヶ月も桔梗に貸して大丈夫だったのかな……
なんか、今更ながらすごい不安になってきた……」
(場面は祁把の家?)
桔梗「さて、着きましたわ……」
菖蒲「…………」
桔梗「どうかされました?何か気になる事でも?」
菖蒲「お前が……」
桔梗「はい?」
菖蒲「お前が……仕組んだのか…?あの時……」
桔梗「あの時?」
菖蒲「仲間の一人が言っていた。霞を殺そうとした時、黒髪の背の高い女が俺達に助言をしてくれた…と。
そしてその女の名は、サタンの右腕である桔梗…という男だとな……」
桔梗「あらあら………」
菖蒲「お前が仲間達に持ちかけたのか?霞を殺す話を……」
桔梗「えぇ。あなたを生き残す為に…ね……」
菖蒲「俺を?なぜ……」
桔梗「あなたはスラム地区の中でも非常に稀な魔力を持っていましたからね、
あなたをわざと生かして、椿に調べてもらったんですの」
菖蒲「なっ!それじゃあ……」
桔梗「えぇ。あなたを生き残らすには、あのお嬢さんは少し邪魔でしたので。
あなたのお仲間にお願いしたんですよ。なんせ殲滅作戦とは名ばかりの単なるバトルロワイヤルでしたからね……」
菖蒲「っ……」
桔梗「いずれにせよ、あなた達は殺しあわなければならなかったのですから、私が助言をしたところで、
大した変化もないでしょう?」
菖蒲「桔梗……貴様……」
桔梗「恨み言なら、この殲滅作戦を企画したサタンにお願いしますわ。私はただ、
討伐部隊のリーダーを仰せつかっただけですから」
菖蒲「………」
桔梗「さて……殲滅作戦の話はこれぐらいにして……本題に入りましょうか……」
菖蒲「本題……?」
桔梗「言ったでしょう?私はあなたに興味があって、あなたをわざと生き残らせた…と…」
(SE:壁にたたきつける音)
菖蒲「痛っ!腕を…はなせ……」
桔梗「これからはこの私が…あなたをかわいがってさしあげますわ……」
菖蒲「なっ…!貴様っ……どこを触って……!」
桔梗「うふふ…今更何を言っているのです?椿にだって何度も触られているでしょう?」
菖蒲「それとこれとは…話が別だっ!!あっ……」
桔梗「ふふっ……もう感じているのですか…?」
菖蒲「ちっ…ちがっ……あっ…んっ……やめろっ……」
桔梗「やめろ……ですか……こっちだってこんなに硬くさせているのに……」
菖蒲「やっ…あっ……触…るな……」
桔梗「あらあら、随分と椿の言ってた事と違いますわねぇ。なぜ…そんなに嫌がるのです?」
菖蒲「そんなの…決まって……やっ……ふっ……いや……」
桔梗「椿は、あなたはもっと素直で、何をしても嫌がらないと言っていましたけれど…?」
菖蒲「それはっ……んっ…あっ……もう……」
桔梗「もう…何ですの…?」
菖蒲「やっ……あっ……お前…なんかに……されたくないっ!!」
桔梗「へぇ……椿には何をされてもいいのに…ですか……?」
菖蒲「うっ…くっ……椿はっ……っ……やっ…んっ……」
桔梗「椿が……何ですの?」
菖蒲「椿は…優しく……あっ…やぁ……」
桔梗「優しくしてくれた…とでも言いたいのですか?」
菖蒲「くっ……うっ……うぅっ……お前とは……違う……」
桔梗「おかしな人ですわね。あなたは椿に、生きた屍だ…と言ったそうですね?
それから、何をされても文句は言わないと……」
菖蒲「それはっ……んっ…あぁ…だめ……やっ…やぁ……」
桔梗「だったら…私に何をされても…文句はないはすでしょう…?」
菖蒲「…あっ…あぁ……だめっ……やだっ……いやあぁっ……」
桔梗「うふふっ……いい声で泣きますのね……もっと聞かせてくださいなな……あなたのその声を……」
菖蒲「なっ…何をっ……」
桔梗「言葉通りの意味ですわよ……?」
菖蒲「い…嫌だ……助けて……」
桔梗「誰に助けを求めようというのですか?あなたはこれから一ヶ月間、私だけのモノなのですよ?
私に何をされようと、あなたに拒む権利はない……そうでしょう?」
菖蒲「くっ……(こんなのはっ……嫌だっ!!)た…助けてっ!!誰かっ!!」
桔梗「どこへ逃げようというのですか?あなたはもうどこにも逃げられませんわ…この檻の中から……」
菖蒲「嫌だっ!!嫌だ嫌だ嫌だっ!!!助けてくれっ!!椿っっっ!!!」
桔梗「無駄だと言っているのに……これは少し…お仕置きが必要ですわね……」
菖蒲「何を…何をする気だ……」
桔梗「あなたに従順なペットになっていただくだけですわ……この一ヶ月間でね……」
菖蒲「そんな……」
桔梗「さて……何から始めましょうか……」
菖蒲「いやぁぁぁぁ…!!!」
(少し間)
(場面は数日後の椿の部屋)
椿 「よしっ!これでこのレポートはおしまいっと!……そういえば菖蒲(あやめ)……
ほんとに大丈夫なのかしら……あの子を桔梗に預けてから一言も連絡がないし……
ま、まぁあの子の事だし、多分大丈夫だろうとは思うけど……でも相手はあの桔梗だしなぁ……
とりあえず、もうちょっと様子を見てみる…か……」
(場面は桔梗の部屋へ)
菖蒲「んっ……もう…やっ……許して……」
桔梗「駄目ですわ。あれほど逃げ出すなと行ったのに……逃げ出したあなたがいけないのですよ?」
菖蒲「うっ…んっ……んんっ……お願い…だから……いか…せて……」
桔梗「あらあら。随分とかわいらしい事をいいますのね…。でも、まだダメです……
こんな事で許したら、躾になりませんしね…」
菖蒲「はっ…あぁ……はぁ……」
桔梗「あなただって本当は、ここを弄られて嬉しいのではないですか?
あなたはスラム地区で男に自分の身体を売ってたそうですわね。これくらいじゃ足りないでしょう?」
菖蒲「そんな…ことっ……んっ…あぁ…やっ…やぁ……」
桔梗「でもあなたのここは…ものほしそうにしていますわよ……?」
菖蒲「うる…さい……あっ…はぁ……いや…だ……」
桔梗「嫌じゃないんでしょう……?言葉と違って、ここは素直なんですよ……?」
菖蒲「あぁっ……もう…あっ…あっ……」
桔梗「うふふ……そろそろ…言ったらどうですか?」
菖蒲「な…何を……」
桔梗「欲しいのでしょう?ここに……ちゃんと言えたら、ご褒美にいかせてあげますわ」
菖蒲「そんな…こと……」
桔梗「いいのですか?このままだと、ずっといく事は出来ませんわよ?
まぁ私は、それでもかまいませんが……?」
菖蒲「くっ…うっ……はぁ……ぁ……クダ…サイ……」
桔梗「何を言ってるか聞こえませんわ」
菖蒲「っ…俺の…ここに……あなたのものを…いれて…ください……」
桔梗「うふっ……よく出来ました。それでは……ご褒美をあげましょう…思いっきり、お啼きなさい!
菖蒲(あやめ)「あっ…んっ……あぁ……やっ…あっ……ああぁっ……」
(少し間)
(菖蒲(あやめ)の荒い息遣い)
桔梗「あぁ……かわいかったですわ……菖蒲(あやめ)……」
菖蒲「(すすり泣きながら)………(こんな生活は…もう…嫌だ……椿……早く迎えに来てくれ……)」
(SE:ドアをたたく音)
椿 『おーい。桔梗〜?いる〜?』
菖蒲「つ…椿……」
桔梗「あらあら…あなたのご主人様のご到着…ですわね……ちょっと、待っててくださいな…」
(SE:桔梗の歩いていく音とドアをあける音)
桔梗「これはこれは。あなたの方から訪ねてくるとは、何かありまして?」
椿 「あ…いや……大した用じゃ、ないんだけど……菖蒲(あやめ)…どうしてるかなぁって思って…さ……」
桔梗「あぁ。そのことですか。えぇ、元気にしてますわ?なんなら、彼に会っていかれますか?」
椿 「…あぁ……」
桔梗「どうぞ、こちらです」
(SE:ドアの閉まる音と二人の歩いていく音)
桔梗「菖蒲(あやめ)、椿が着ましたわよ」
菖蒲「あ……」
椿 「あ…菖蒲(あやめ)……」
菖蒲「椿……」
椿 「………随分と、かわいがってあげてるみたいだね…」
桔梗「ええ。あなたのモルモットは、とてもよく奉仕してくれてますわ」
椿 「そう………ねぇ、桔梗」
桔梗「はい、何ですの?」
椿 「その……菖蒲(あやめ)をさ…返してくれない…?まだ、一ヶ月たってないけど……」
桔梗「それは構いませんが……一体どうしたのですか?椿らしくもない。
この魔族が、そんなに大事なのですか?」
椿 「あーいや、大事ってゆーか…その……いろいろとさ…研究の手伝いとか、その他もろもろ……
それに、まだ研究してない所もあるし……」
桔梗「くす。顔が真っ赤ですわよ?椿」
椿 「なっ…赤くなんてなってないっ!!」
桔梗「ほんとに、あなたも素直じゃないですねぇ……ハッキリ言ったらどうです?彼の事が好きだと……」
椿 「はぁ!?そ、そんなハッキリ言わないでよっ!恥ずかしいだろっ!!」
桔梗「それに菖蒲(あやめ)、あなただって、本当は生きたいのでしょう……?」
菖蒲「そ…それは……」
桔梗「そうでなければ、私の行為をあそこまで嫌がる事はしないでしょう。
それに生きた屍というのなら…尚更…」
椿 「菖蒲(あやめ)……そうなのか……?」
菖蒲「お…俺は……」
桔梗「あなたもハッキリ言ったらどうですの?そうでなければ、私があなたにここまでした意味がないでしょう?」
椿 「そ、それじゃあ君は……」
桔梗「ええ。菖蒲(あやめ)の仲間を使って、菖蒲(あやめ)のグループを壊滅させたのは本当ですけれど、
菖蒲(あやめ)の力に興味があるというのは嘘ですわ。私も生粋のサタン主義者ではないのでね、
あの殲滅作戦だって、本当にする意味があったのかどうか……
それに、菖蒲(あやめ)のグループだけは、他のグループとは何か違っていましたし……
作戦上、誰か一人をいき残させなければならなかったですしね……」
菖蒲「だから…殺したというのか……?霞を……」
桔梗「…えぇ。彼女は……全部知っていたのです。仲間が自分を殺そうとしている事を。
それを知ってて彼女は……きっと彼女はあなたに生きててほしかったんだと思います。
自分が死ねば、菖蒲(あやめ)は生き残るだろうと。そして自分が仲間に殺されたとと知れば、
菖蒲(あやめ)は仲間を殺すだろうと考えて……」
菖蒲「霞……!」
桔梗「彼女の想いを無駄にしないためにも、あなたは生きなければならいないのではないですか?」
菖蒲(あやめ)「………」
椿 「はぁ……それじゃあ君は、わざわざこの子に生きる意味を気づかせるために、こんなに色々したってわけね……
ったく、回りくどいことしてんじゃないよ……」
桔梗「ふふ…まぁ、少々強引ではありましたけどね。これぐらいしないと、
気づいてくれそうにありませんでしたし。おそらく椿には無理だったでしょうね」
椿 「ちっ……(ボソリと)本当は、ただ単に犯りたかっただけのくせに……」
桔梗「何か言いまして?椿」
椿 「いーえー、別にー?それじゃ、菖蒲(あやめ)はもらっていくから」
桔梗「はいはい。それでは私は、大人しく退散するとしましょうか。では……」
椿 「あ、ちょっと、桔梗!」
桔梗「何ですの?」
椿 「あ…その……ありがと…ね……」
桔梗「いいえ。この借りはいつか返してもらいますから。ご心配なく」
椿 「あぁそうですかっ!じゃぁねっ!」
桔梗「ふふ…はいはい」
(SE:桔梗の消える音)
(少し間)
椿 「ったくあの女…………あ…菖蒲(あやめ)…立てる?」
菖蒲「あぁ…なんとか……うわっ!」
椿 「わっとと……ちょっと、ほんとに大丈夫なの……?」
菖蒲「……少し…大丈夫じゃないかも……」
椿 「はぁ……ったく、こりゃまた随分派手に犯られたねぇ……。
とりあえず、僕の白衣貸してあげるから、これ、着てなさい」
菖蒲「あ、ありがとう……」
椿 「どういたしまして。あー……それで、これから…だけどさ……」
菖蒲「ん?」
椿 「君、どうしたい?」
菖蒲「どうしたいって……何がだ?」
椿 「だから、これから君はどうしたいのかって聞いてるの!
君の所に戻るのかそうでないのか…とか……」
菖蒲「……椿さえ…よければ……しばらく…おいてはくれないか……?」
椿 「っ…!君がそれで…いいんなら……」
菖蒲「…よろしく頼む」
椿 「うん」
(少し間)
椿 「(N)こうして、僕たちはしばらく二人で生活を始めた。
そして生活をしていくうちに菖蒲(あやめ)もどんどん明るくなり、今やあの性格だ。
ほんと、どうすればあそこまで明るくなれるのかは僕には理解できないけど……
これが僕と菖蒲(あやめ)との最初の出会いだった。
その後、菖蒲(あやめ)は裏魔界を牛耳るという噂の魔族になり、僕はまた、一人で研究を続けている。
あの時……菖蒲(あやめ)は死にたいと言っていた…でも本当は……きっと……
あーもう、やめやめっ!僕らしくもない!!それでも…僕はこう思う。
願わくば、菖蒲(あやめ)の未来が、いいものになりますように……」
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【18禁】【NL】【ファンタジー】
登場人物 | 詳細 | 配役 |
椿 [ツバキ] | 29歳 女 とある研究所の所長。 とてもやりてなキャリアウーマン。魔族 | 岩月十夜 |
菖蒲 [アヤメ] | 19〜20歳 男 スラム街の生き残り。 感情を表に出すのが苦手。魔族 | ベア |
桔梗 [キキョウ] | 22〜33歳 女 サタンの右腕であり、椿と悪友。魔族 | 谷風結香 |
研究員 | 24〜5歳 結構冷徹なタイプ。魔族 | 長谷川絢香 |
![](https://image01.seesaawiki.jp/h/t/honeypocket/7f8b5cc22b0216e8.jpg)
『本編』
椿 「(N)僕が菖蒲(あやめ)と始めて出会ったのは、もう随分前。サタンが魔界を牛耳ってる時代の事。
その時の菖蒲(あやめ)は今じゃ考えられないくらい暗い奴で、まさに一匹狼といった感じだった。
そしてその頃の菖蒲(あやめ)は、裏魔界の暗殺部隊として、スラム地区に住む仲間と一緒に生活をしていたらしい。
でもあの作戦が実行されることにより、菖蒲(あやめ)の生活は一転する。
そして……僕は菖蒲(あやめ)と出会うことになる」
――場面はどこかの研究所の一室。ベットの上にぼーっとすわっている菖蒲(あやめ)――
菖蒲「(ボソリと)俺は…どうしてこんな所にいるんだ?なぜ…俺だけ助かった……」
(SE:廊下を歩いてくる足音)
研究員「どうぞこちらです」
(SE:ドアの開く音)
研究員「本日は遠路はるばる、ようこそおいでくださいました。つきしましては……」
椿 「(かぶせて)長ったらしい挨拶はいらないっての。で?僕に診て欲しい患者ってのが、この子?」
研究員「はい。名を菖蒲(あやめ)と言いまして、スラム地区出身の上級魔族なんです」
椿 「!?スラム地区…出身だって!?」
研究員「はい(平然と)」
椿 「へぇ……あのスラム地区の子がねぇ……なんでこんな所にいるわけ?」
研究員「椿さんも、つい先日行われた、スラム地区殲滅作戦の事はご存知ですよね?」
椿 「えぇ。サタンの奴が、気まぐれにやった魔族大量虐殺でしょ?
確かすごい激しいバトルロワイヤルだったって聞いたけど?」
研究員「ええ。まぁ実際は、バトルロワイヤルというより単なる共食いですけどね。あの地区の魔族達にとっては」
椿 「共食いねぇ…んで?完全なる殲滅は出来たわけ?」
研究員「はい。スラム地区の魔族はほぼ全滅させました」
椿 「ほぼ?」
研究員「こいつ以外は全員……ね…」
椿 「ふっ…なるほどね……。しっかしまぁ、よくもあの地区の魔族を、この子以外殲滅出来たもんだ。
いくら共食いっていったって、結構な人数だったんでしょ?」
研究員「そりゃあそうですよ。作戦時に何があってもいいように討伐部隊が結成されたんですが、
その討伐部隊の中には、あの桔梗さんがいたんですから」
椿 「あー…そりゃあ全滅にもなるか……っにしても、よくこの子だけ生き残ったね」
研究員「私達も全員殺ったと思ったんですけどね、一人だけ…生きてたそうですよ。
大量の屍と血の海の中で、こいつだけが……」
椿 「ありゃりゃ、それすごいじゃんか。んで?この子を僕にどうしろと?」
研究員「私達もスラム地区の出身と聞いて、仕方なくこいつを収容したのですが……
うちの研究所では限界がありまして……」
椿 「それでこの僕が呼ばれて、この子を調べろと」
研究員「えぇ……」
椿 「面白いサンプルが手に入ったって聞いたから、わざわざこんな所まで来てみたんだけど……、
ここまでとはね……来たかいがあった」
研究員「引き受けてくださいますか」
椿 「うん。スラム地区に生息する子達の生態調査は元から興味があったし、引き受けるよ。
ちなみに報告書の提出は?」
研究員「そんなものいりませんよ。スラム地区は殲滅しましたし、ここにいられても邪魔なだけですから。
それに、スラム地区の生態調査は、うちの管轄外です」
椿 「管轄外…ね……」
研究員「精神はだいぶやられていますが、会話は出来る状態ですので……あとは椿さんにお任せします」
椿 「ったく…要は単なる仕事放棄でしょ?うちは廃棄処理場じゃないんだけどなぁ……」
研究員「そうおっしゃらずに。あなたにとっては貴重なサンプルだと思いますが?」
椿 「ま、それもそうなんだけどー………」
研究員「では私はこれで」
椿 「はいはい。お仕事ごくろーさま」
研究員「では……」
(SE:研究員がドアを開けて出て行く音)
椿 「ふんっ。つまりはスラム地区の魔族とは関わりたくないってだけじゃんか。
ただでさえスラム地区は色んな意味で超危険地域だし。殲滅作戦が実行されるのもわかる気がするんだけど……
サタンの奴もやることが大胆な事で。ま、結果的には、僕にとってはかわいいモルモットが手に入ったから、
結果オーライなんだけどさ……」
菖蒲「(ぼそりと)なぜだ…なぜ俺だけ生き残った……?どうして……」
椿 「えぇ?」
菖蒲「なぜ…生き延びたんだ……」
椿 「……君、そんなに死にたかったの?」
菖蒲「死ねばよかった……あの時…あいつらと一緒に……」
椿 「あいつら…?あぁ…君の仲間か何か?」
菖蒲「……俺は…こんな事…望んでないのに……」
椿 「答えになってないし……それにしても君さ、あの殲滅作戦でよく生き延びられたよね」
菖蒲「………俺は…生かされた…それだけだ…」
椿 「生かされた?誰に?」
菖蒲「霞(かすみ)……そうだ…霞は…霞はどうした!?お前が殺したのか!?」
椿 「はぁ!?んな訳ないだろっ!!」
菖蒲「よくも霞を……!」
椿 「ったく……ほんとしょうがない子だなー……。あのねぇ菖蒲(あやめ)、霞ちゃんとやらは、
ちゃんと生きてるよ。――君の心の中でねっ!」
(SE:椿、麻酔銃を打ち込む)
菖蒲「ぐっ……霞……」
(SE:倒れる音)
椿 「ふぅ……まったく危ないったらありゃしない……これだから精神崩壊者って嫌なんだ……
それにしても、霞ちゃん…ねー……この子の恋人か何かかな?
っにしても、あの惨劇の中でこの子だけ生き残ったって事は……
スラム地区の中でも相当の魔力を持ってるって事…なのかな……?
でも生かされたとか何とか言ってるし……まったく、桔梗の奴も、随分と面白いもんを残してくれたもんだな……」
桔梗「うふ。そういっていただけると幸いですわ」
椿 「うわぁぁっ!ちょ…いきなり現んなよっ!桔梗っ!
てゆーか君、何でこんなとこにいるわけ?」
桔梗「いえね、このサンプルが、ちゃんと椿さんの手に渡ったかどうか、確認をしに来ただけですわ」
椿 「確認……?って事は……君、わざとやったね……」
桔梗「くすくす、何がですか?」
椿 「この子だけ、わざと生き残らせたんだろ…?」
桔梗「ふふっ…そう思いますか?あの研究員も言ってたでしょう?私が行った時にはすでに彼はこの状態で、
血の海の中にいたと」
椿 「要は僕に厄介ごとを押し付けたいだけなんだろ?」
桔梗「とんでもございません。私は、あなたに、丁度いい研究材料を提供しただけですわ」
椿 「研究材料ねぇ……ま、いいや。じゃ、僕は研究所に戻るから。君はこれからどうするの?」
桔梗「私はこれから、報告書の作成ですの」
椿 「報告書?そんなもん書くわけ?」
桔梗「サタン様が、作戦時の詳細なデータが欲しいそうです。一応、私も討伐部隊のリーダーでしたから」
椿 「はっ。サタン様の秘書殿もご苦労なことで結構だね」
桔梗「あらまぁ……それをいうなら椿。あなたはさしづめ、サタンの飼い犬といったところでしょうか」
椿 「はぁ!?僕は単にあいつとの契約があるから、あいつに逆らえないだけだよっ!」
桔梗「くすくす。ご愁傷様」
椿 「ほんと君ってむっかつくよね……それじゃあねっ!」
(SE:消える音)
桔梗「ふふっ……さてと、これからどんな展開になるのか……楽しみですわね……(黒笑)」
(場面は椿の研究室)
椿 「まったく桔梗のやつ……僕がサタンに逆らえない事をいいことに、好き勝手言ってくれちゃって……
僕だってこの契約がなきゃ、もっと自由に研究が出来るってのっ!!」
菖蒲「う……ん…」
椿 「あれ、気がついたみたいだね……」
菖蒲「ここは……」
椿 「僕の研究所だよ。君、大丈夫?」
菖蒲「お前はっ……!!」
椿 「はいはいストップストップ。僕は、今日君と初めて会った。よって霞とかいう子も知らない。おっけー?」
菖蒲「初めて…だと……?」
椿 「あのさぁ、初めてじゃないとしたら、一体僕たちはどこで会ったっていうわけ?
少なくとも僕は、君に会うのは今日が始めてだよ」
菖蒲「そう……か……」
椿 「で?君……自分の名前は言える?」
菖蒲「………」
椿 「あれ、言えない?」
菖蒲「なぜ初対面のお前なんかに、俺の名前を名乗らなくてはならない?」
椿 「……(ピキッと)えーっと……君、何でここに連れてこられたか知ってる?」
菖蒲「知るか」
椿 「………じゃあ教えてあげるよ。君は僕のモルモットになった。意味わかる?」
菖蒲「……さぁな」
椿 「いい!?君は僕の実験材料になったのっ!よって、今から君の自由は一切ないっ!!
何をされても、文句が言えない立場になったのっ!無条件でっ!!」
菖蒲「だったら……なんだと言うんだ……あの地区に生まれた時から、俺に自由なんてもんはない。好きにしろ」
椿 「……いいの……?」
菖蒲「構わない。なぜそんな事を聞く?俺を事を調べたいのだろう?だったら勝手にすればいい」
椿 「勝手に…ねぇ……じゃぁ……こーゆー事されても、文句はないんだ?」
菖蒲「なっ……んっ……」
椿 「勝手にやって……いいんだよね……?」
菖蒲「あっ…っ…ん………ふん……好きに…しろ……」
椿 「…ちょ……それ本気……?」
菖蒲「……お前こそ何をためらっいる?男に犯られる事など、あの地区では日常茶飯事だ……
それに……そうして金を稼ぐ奴もいる……俺も…その一人だった……」
椿 「そう…なんだ……?」
菖蒲「それに、俺にはもう生きてる意味はない。俺がどうなろうが、そんなの知ったこっちゃない。
犯りたいんだろ?だったら勝手に犯ればいい」
椿 「…………はぁ…。つまんない」
菖蒲「はぁ?」
椿 「なんかそう言われると、すっごく犯る気なくす。
僕は、嫌がってんのを無理やり犯すのが好きなの。
それに、あいにくと今は欲求不満じゃないしね」
菖蒲「……そうか。なら俺の前から退け。邪魔だ」
椿 「君ってつくづくムカツク奴だねぇ……(ぼそりと)なんか…昔の誰かさんを見てるみたいだよ……」
菖蒲「何か言ったか?」
椿 「いいや、別に。と・も・か・く!せめて名前ぐらいは言いなよ。それとも、自分の名前すら言えないわけ?」
菖蒲「…………菖蒲(あやめ)だ……」
椿 「菖蒲(あやめ)…ね……(とりあえず名前の記憶に関してはだいじょぶそうみたいだな……)
ちなみに僕の名前は椿。この魔界の天才科学者」
菖蒲「自分でいうなよ」
椿 「う、うっさいなぁ…。とりあえず、これからいくつか質問してくから、それに答えて」
菖蒲「なぜ?」
椿 「君に関するデータがほとんどないからだよっ!それに、好きにしろって言ったのは君の方でしょ!?」
菖蒲「あぁ……そうだったな……で?何を聞きたいんだ?」
椿 「まず質問その1。なんでこの僕の事を知らないの?」
菖蒲「はぁ?それ、俺のデータに関係あんのか?」
椿 「いいから答えて」
菖蒲「……裏魔界の果てに住む俺たちにとって、魔界に住む奴のことなんて、まったく関係ないし、関わりもない。
だから知らないだけだ」
椿 「ふ〜ん……じゃあ、質問その2。君ってスラム地区の出身だったよね?
スラム地区ってさぁ、なんでそんなに魔界から隔離されてるわけ?」
菖蒲「スラム地区は何らかの理由で、魔界で魔王や魔王候補生になり損ねた奴や、
生まれの卑しい奴らが住む地区だからな。サタンにとってはゴミ置き場みたいなものだったんだろうさ……」
椿 「ふーん……だから殲滅作戦をねぇ……じゃあ質問その3。殲滅作戦って、一体何がおきたの?」
菖蒲「単なる仲間うちの殺し合いだ……サタンから、スラム地区で殺し合いをして、
生き残った者には、魔界に住むことを許される。だから俺たちは殺しあった。
魔界での永住権を獲得するためにな。ま。俺にはどうでもいい事だったがな……
どうやら全員参加をしないと消されるらしくてな、仕方なく、強制参加で参加したんだ」
椿 「なるほど。だからバトルロワイヤルって話だったわけか……。
ちなみにさ、いくらスラム地区が小さいからといって、
やっぱ全員が参加したかなんて把握出来ないじゃないの?」
菖蒲「さぁ?でもスラム地区じゃ見かけない奴もきてたから、そいつらが監視とかしてたんじゃないのか?」
椿 「あー。なるほど、それが桔梗達の討伐部隊って奴か……質問その4。
君は確か、暗殺チームに入ってたって聞いたんだけど、それについて詳しく答えてくれる?」
菖蒲「元からスラム地区に住む奴は大抵が魔王達の暗殺部隊のチームに所属している。
サタンからこいつを殺せという指令が来て、指定されたチームが魔王たちの暗殺に向かう。そういうシステムだ」
椿 「質問その5。さっき魔界でなんらかの理由で魔王や魔王候補生になりそこねた奴がいるって言ってたけど、具体的には?」
菖蒲「どうやら魔界では、上の位に付くための昇級試験があるらしくてな、
その試験でこいつは危険だと判断された奴がこの地区に左遷されるらしい。
俺たちはそういう奴らの事を部外者と呼んでいたがな。
この地区に生まれた奴は大抵が暗殺部隊のチームに入るが、部外者のほとんどチームに入らず、
虎視眈々と、サタンの失脚を狙ってたりしてたらしいな」
椿 「ふーん。サタンのやつも、なかなかややこしいことしてるんだなぁ……質問その6。
これが最後の質問ね。殲滅作戦の状況……ていうか、なんで君一人だけが生き残ったのか……」
菖蒲「言っただろう。俺は仲間に生かされた。ただそれだけだ」
椿 「もっと詳しく。君が言ってた霞……だっけ?その子の事とか」
菖蒲「霞は……俺のチームの仲間で……恋人だった……でもバトルロワイヤルの中で仲間の一人が鈴娜をはめようとした。
俺はそうとは知らずにその仲間の作戦に参加した。結果、霞は死んでしまった。俺はその真実を知り愕然とした。
怒りに我を忘れて仲間を殺し、俺も死のうとした時、最後の力を振り絞って、霞が俺に言ったんだ。
『あんただけは生き残って、魔界で幸せに暮らして欲しい。私は、菖蒲(あやめ)は悪くないって信じてたよ』とな……」
椿 「なーるほど……だから生かされた…か……」
菖蒲「あぁ……でも俺は、こんなことは望んでない……あいつが死んだ時、俺も一緒に死ねばよかったんだ……」
椿 「もったいないなぁ〜。せっかくその霞ちゃんとやらに生かしてもらったのにさぁ、
恋人の最後の言葉ぐらい聞いてやりなよ」
菖蒲「ふん。余計なお世話だ。だいたい、今の俺は生きた屍と一緒だ。それに、お前のモルモットになった時点で、
魔界で幸せに暮らすという霞の願いは聞けないだろうが」
椿 「ま、まぁそれも…そうなんだけどさ……」
菖蒲「質問はそれだけか?だったら、俺は何をすればいい?」
椿 「え、何って……」
菖蒲「お前はもう俺をモルモットにしたんだろう?だったら、実験でも何でも好きにすればいい」
椿 「な、なんか調子狂うんだよなぁ……ま、まぁいいや。とりあえず、君の部屋に案内してあげる。
これからは、そこで暮らすこと」
菖蒲「わかった」
椿 「じゃ、ついてきて」
菖蒲「あぁ」
(SE:二人の足音)
椿 「(ったく……なーんか、嬉しいんだかそうでないんだかよくわかんなくなってきたよ……
生きた屍……か……この子も……苦労してんだなぁ……)」
(場面は数日後)
(隗都の実験室)
(SE:ドアのノックする音)
桔梗「椿、入りますわよ?」
椿 「あー?あぁ、どうぞ」
(SE:ドアのあく音と閉める音)
桔梗「その後どうです?例のモルモットの調子は」
椿 「どうにもこうにも。僕が何をしても一向に嫌がらないし、マジ研究がしづらいのなんのって……」
桔梗「あらあら……めずらいですわね。椿が手をやくなんて」
椿 「別に手を焼いてるわけじゃないけどさ、僕は生きた屍だ。僕がどうなろうと知ったこっちゃないとか言ってくれちゃって、
僕が何を言っても逆らいもしないわけよ」
桔梗「素直なことは、いいことだと思いますけれど」
椿 「わかってないなぁ桔梗は……僕としては、もうちょっと嫌がって欲しいというか何というか……」
桔梗「つまり、素直すぎてつまらないと……」
椿 「そんな感じ〜。SEXだってさ〜、全然嫌がるそぶりもみせないし。なんていうか、犯る気無くすんだよね〜。
無理やり出来ないっつーか、こう…つまりね、僕としては、もっと嫌がってんのを押さえつけて、
無理やり犯すほうが楽しいし面白いわけで……」
桔梗「欲求不満というわけですか(苦笑)」
椿 「ちょっと、ストレートに言わないでよ……」
桔梗「うふふ、こういうのも、たまにはいいんじゃないですか?」
椿 「よくないっ。こんな検体はいらない。てゆーかつまらない」
桔梗「まぁまぁそうおっしゃらずに。この検体を引き受けたのは椿自信なんですから、
最後まで責任をもって、ちゃんと面倒をみてくださらないと、困りますわ」
椿 「そんなん言われなくてもわかってるよ!だから余計にやりにくいんだもん。
あーあ、スラム地区の魔族の生態調査が終わったら、あの子どうしよ……」
桔梗「捨てるでもなんでも、椿の好きにしたらいいじゃないですか」
椿 「それもそうなんだけどぉ……なんかあの子……ほっとけないんだよねぇ……」
桔梗「あら、椿にしてはめずらしい発言ですわね。まぁ、そんなにつまらないというのなら、
一度彼を私貸してはいただけませんか?もうだいたいのデータは取り終わってるのでしょう?」
椿 「そりゃぁ終わってるけど……なんで?」
桔梗「いえ、私も、彼には少々興味がありましてね……あわよくば、椿に返す時には、
椿好みにの子にして、返してさしあげましょうか……?」
椿 「はぁ?私好みって……」
桔梗「くすっ……直にわかりますわ……」
椿 「うわー…君、何企んでんだよ……」
菖蒲「椿、入るぞ」
(SE:ドアの開く音としまる音)
椿 「あ、菖蒲(あやめ)。いいところに来た。突然で悪いんだけどさ、君、今日からこいつのとこに行ってくれる?」
菖蒲「は?こいつって……おっ…お前は……」
桔梗「どうもはじめまして。菖蒲(あやめ)さん。私は桔梗という者です。以後、お見知りおきを……」
菖蒲「き…桔梗……」
椿 「え…?何?君たち知り合いなわけ?」
桔梗「いいえ。彼とは、今初めて会ったばかりですわ。ねぇ?菖蒲(あやめ)さん……?」
菖蒲「あ、あぁ……」
椿 「あー……ま、まぁいいや。
とりあえず、今日から君は、しばらくこいつのトコに預けるから。そのつもりでよろしく」
菖蒲「い、いつまでだよ……」
椿 「そうだなー……桔梗は?」
桔梗「椿にお任せしますわ」
椿 「そう……じゃぁ一ヶ月……ぐらいでいいかな?」
桔梗「ええ、十分ですわ」
菖蒲「い、一ヶ月もか!?」
椿 「何、菖蒲(あやめ)、何か問題でもあるわけ?」
菖蒲「い…いや……別に……」
椿 「だったらそれで。それじゃあ桔梗、一ヶ月間、この子のこと、よろしく頼んだよ」
桔梗「ええ。わかりましたわ。それじゃあ菖蒲(あやめ)さん、行きましょうか……」
菖蒲「あ、あぁ……」
(SE:二人の歩く音とドアの開く音)
菖蒲「あっ、椿っ!!」
椿 「ん?何?」
菖蒲「あ、いや……なんでも…ない……」
椿 「?ならいいけど……」
桔梗「それでは……」
(SE:ドアの閉まる音)
椿 「………あの子……なんか今、すごい悲しそうな顔してなかったか……?
てゆーか、ほんとに一ヶ月も桔梗に貸して大丈夫だったのかな……
なんか、今更ながらすごい不安になってきた……」
(場面は祁把の家?)
桔梗「さて、着きましたわ……」
菖蒲「…………」
桔梗「どうかされました?何か気になる事でも?」
菖蒲「お前が……」
桔梗「はい?」
菖蒲「お前が……仕組んだのか…?あの時……」
桔梗「あの時?」
菖蒲「仲間の一人が言っていた。霞を殺そうとした時、黒髪の背の高い女が俺達に助言をしてくれた…と。
そしてその女の名は、サタンの右腕である桔梗…という男だとな……」
桔梗「あらあら………」
菖蒲「お前が仲間達に持ちかけたのか?霞を殺す話を……」
桔梗「えぇ。あなたを生き残す為に…ね……」
菖蒲「俺を?なぜ……」
桔梗「あなたはスラム地区の中でも非常に稀な魔力を持っていましたからね、
あなたをわざと生かして、椿に調べてもらったんですの」
菖蒲「なっ!それじゃあ……」
桔梗「えぇ。あなたを生き残らすには、あのお嬢さんは少し邪魔でしたので。
あなたのお仲間にお願いしたんですよ。なんせ殲滅作戦とは名ばかりの単なるバトルロワイヤルでしたからね……」
菖蒲「っ……」
桔梗「いずれにせよ、あなた達は殺しあわなければならなかったのですから、私が助言をしたところで、
大した変化もないでしょう?」
菖蒲「桔梗……貴様……」
桔梗「恨み言なら、この殲滅作戦を企画したサタンにお願いしますわ。私はただ、
討伐部隊のリーダーを仰せつかっただけですから」
菖蒲「………」
桔梗「さて……殲滅作戦の話はこれぐらいにして……本題に入りましょうか……」
菖蒲「本題……?」
桔梗「言ったでしょう?私はあなたに興味があって、あなたをわざと生き残らせた…と…」
(SE:壁にたたきつける音)
菖蒲「痛っ!腕を…はなせ……」
桔梗「これからはこの私が…あなたをかわいがってさしあげますわ……」
菖蒲「なっ…!貴様っ……どこを触って……!」
桔梗「うふふ…今更何を言っているのです?椿にだって何度も触られているでしょう?」
菖蒲「それとこれとは…話が別だっ!!あっ……」
桔梗「ふふっ……もう感じているのですか…?」
菖蒲「ちっ…ちがっ……あっ…んっ……やめろっ……」
桔梗「やめろ……ですか……こっちだってこんなに硬くさせているのに……」
菖蒲「やっ…あっ……触…るな……」
桔梗「あらあら、随分と椿の言ってた事と違いますわねぇ。なぜ…そんなに嫌がるのです?」
菖蒲「そんなの…決まって……やっ……ふっ……いや……」
桔梗「椿は、あなたはもっと素直で、何をしても嫌がらないと言っていましたけれど…?」
菖蒲「それはっ……んっ…あっ……もう……」
桔梗「もう…何ですの…?」
菖蒲「やっ……あっ……お前…なんかに……されたくないっ!!」
桔梗「へぇ……椿には何をされてもいいのに…ですか……?」
菖蒲「うっ…くっ……椿はっ……っ……やっ…んっ……」
桔梗「椿が……何ですの?」
菖蒲「椿は…優しく……あっ…やぁ……」
桔梗「優しくしてくれた…とでも言いたいのですか?」
菖蒲「くっ……うっ……うぅっ……お前とは……違う……」
桔梗「おかしな人ですわね。あなたは椿に、生きた屍だ…と言ったそうですね?
それから、何をされても文句は言わないと……」
菖蒲「それはっ……んっ…あぁ…だめ……やっ…やぁ……」
桔梗「だったら…私に何をされても…文句はないはすでしょう…?」
菖蒲「…あっ…あぁ……だめっ……やだっ……いやあぁっ……」
桔梗「うふふっ……いい声で泣きますのね……もっと聞かせてくださいなな……あなたのその声を……」
菖蒲「なっ…何をっ……」
桔梗「言葉通りの意味ですわよ……?」
菖蒲「い…嫌だ……助けて……」
桔梗「誰に助けを求めようというのですか?あなたはこれから一ヶ月間、私だけのモノなのですよ?
私に何をされようと、あなたに拒む権利はない……そうでしょう?」
菖蒲「くっ……(こんなのはっ……嫌だっ!!)た…助けてっ!!誰かっ!!」
桔梗「どこへ逃げようというのですか?あなたはもうどこにも逃げられませんわ…この檻の中から……」
菖蒲「嫌だっ!!嫌だ嫌だ嫌だっ!!!助けてくれっ!!椿っっっ!!!」
桔梗「無駄だと言っているのに……これは少し…お仕置きが必要ですわね……」
菖蒲「何を…何をする気だ……」
桔梗「あなたに従順なペットになっていただくだけですわ……この一ヶ月間でね……」
菖蒲「そんな……」
桔梗「さて……何から始めましょうか……」
菖蒲「いやぁぁぁぁ…!!!」
(少し間)
(場面は数日後の椿の部屋)
椿 「よしっ!これでこのレポートはおしまいっと!……そういえば菖蒲(あやめ)……
ほんとに大丈夫なのかしら……あの子を桔梗に預けてから一言も連絡がないし……
ま、まぁあの子の事だし、多分大丈夫だろうとは思うけど……でも相手はあの桔梗だしなぁ……
とりあえず、もうちょっと様子を見てみる…か……」
(場面は桔梗の部屋へ)
菖蒲「んっ……もう…やっ……許して……」
桔梗「駄目ですわ。あれほど逃げ出すなと行ったのに……逃げ出したあなたがいけないのですよ?」
菖蒲「うっ…んっ……んんっ……お願い…だから……いか…せて……」
桔梗「あらあら。随分とかわいらしい事をいいますのね…。でも、まだダメです……
こんな事で許したら、躾になりませんしね…」
菖蒲「はっ…あぁ……はぁ……」
桔梗「あなただって本当は、ここを弄られて嬉しいのではないですか?
あなたはスラム地区で男に自分の身体を売ってたそうですわね。これくらいじゃ足りないでしょう?」
菖蒲「そんな…ことっ……んっ…あぁ…やっ…やぁ……」
桔梗「でもあなたのここは…ものほしそうにしていますわよ……?」
菖蒲「うる…さい……あっ…はぁ……いや…だ……」
桔梗「嫌じゃないんでしょう……?言葉と違って、ここは素直なんですよ……?」
菖蒲「あぁっ……もう…あっ…あっ……」
桔梗「うふふ……そろそろ…言ったらどうですか?」
菖蒲「な…何を……」
桔梗「欲しいのでしょう?ここに……ちゃんと言えたら、ご褒美にいかせてあげますわ」
菖蒲「そんな…こと……」
桔梗「いいのですか?このままだと、ずっといく事は出来ませんわよ?
まぁ私は、それでもかまいませんが……?」
菖蒲「くっ…うっ……はぁ……ぁ……クダ…サイ……」
桔梗「何を言ってるか聞こえませんわ」
菖蒲「っ…俺の…ここに……あなたのものを…いれて…ください……」
桔梗「うふっ……よく出来ました。それでは……ご褒美をあげましょう…思いっきり、お啼きなさい!
菖蒲(あやめ)「あっ…んっ……あぁ……やっ…あっ……ああぁっ……」
(少し間)
(菖蒲(あやめ)の荒い息遣い)
桔梗「あぁ……かわいかったですわ……菖蒲(あやめ)……」
菖蒲「(すすり泣きながら)………(こんな生活は…もう…嫌だ……椿……早く迎えに来てくれ……)」
(SE:ドアをたたく音)
椿 『おーい。桔梗〜?いる〜?』
菖蒲「つ…椿……」
桔梗「あらあら…あなたのご主人様のご到着…ですわね……ちょっと、待っててくださいな…」
(SE:桔梗の歩いていく音とドアをあける音)
桔梗「これはこれは。あなたの方から訪ねてくるとは、何かありまして?」
椿 「あ…いや……大した用じゃ、ないんだけど……菖蒲(あやめ)…どうしてるかなぁって思って…さ……」
桔梗「あぁ。そのことですか。えぇ、元気にしてますわ?なんなら、彼に会っていかれますか?」
椿 「…あぁ……」
桔梗「どうぞ、こちらです」
(SE:ドアの閉まる音と二人の歩いていく音)
桔梗「菖蒲(あやめ)、椿が着ましたわよ」
菖蒲「あ……」
椿 「あ…菖蒲(あやめ)……」
菖蒲「椿……」
椿 「………随分と、かわいがってあげてるみたいだね…」
桔梗「ええ。あなたのモルモットは、とてもよく奉仕してくれてますわ」
椿 「そう………ねぇ、桔梗」
桔梗「はい、何ですの?」
椿 「その……菖蒲(あやめ)をさ…返してくれない…?まだ、一ヶ月たってないけど……」
桔梗「それは構いませんが……一体どうしたのですか?椿らしくもない。
この魔族が、そんなに大事なのですか?」
椿 「あーいや、大事ってゆーか…その……いろいろとさ…研究の手伝いとか、その他もろもろ……
それに、まだ研究してない所もあるし……」
桔梗「くす。顔が真っ赤ですわよ?椿」
椿 「なっ…赤くなんてなってないっ!!」
桔梗「ほんとに、あなたも素直じゃないですねぇ……ハッキリ言ったらどうです?彼の事が好きだと……」
椿 「はぁ!?そ、そんなハッキリ言わないでよっ!恥ずかしいだろっ!!」
桔梗「それに菖蒲(あやめ)、あなただって、本当は生きたいのでしょう……?」
菖蒲「そ…それは……」
桔梗「そうでなければ、私の行為をあそこまで嫌がる事はしないでしょう。
それに生きた屍というのなら…尚更…」
椿 「菖蒲(あやめ)……そうなのか……?」
菖蒲「お…俺は……」
桔梗「あなたもハッキリ言ったらどうですの?そうでなければ、私があなたにここまでした意味がないでしょう?」
椿 「そ、それじゃあ君は……」
桔梗「ええ。菖蒲(あやめ)の仲間を使って、菖蒲(あやめ)のグループを壊滅させたのは本当ですけれど、
菖蒲(あやめ)の力に興味があるというのは嘘ですわ。私も生粋のサタン主義者ではないのでね、
あの殲滅作戦だって、本当にする意味があったのかどうか……
それに、菖蒲(あやめ)のグループだけは、他のグループとは何か違っていましたし……
作戦上、誰か一人をいき残させなければならなかったですしね……」
菖蒲「だから…殺したというのか……?霞を……」
桔梗「…えぇ。彼女は……全部知っていたのです。仲間が自分を殺そうとしている事を。
それを知ってて彼女は……きっと彼女はあなたに生きててほしかったんだと思います。
自分が死ねば、菖蒲(あやめ)は生き残るだろうと。そして自分が仲間に殺されたとと知れば、
菖蒲(あやめ)は仲間を殺すだろうと考えて……」
菖蒲「霞……!」
桔梗「彼女の想いを無駄にしないためにも、あなたは生きなければならいないのではないですか?」
菖蒲(あやめ)「………」
椿 「はぁ……それじゃあ君は、わざわざこの子に生きる意味を気づかせるために、こんなに色々したってわけね……
ったく、回りくどいことしてんじゃないよ……」
桔梗「ふふ…まぁ、少々強引ではありましたけどね。これぐらいしないと、
気づいてくれそうにありませんでしたし。おそらく椿には無理だったでしょうね」
椿 「ちっ……(ボソリと)本当は、ただ単に犯りたかっただけのくせに……」
桔梗「何か言いまして?椿」
椿 「いーえー、別にー?それじゃ、菖蒲(あやめ)はもらっていくから」
桔梗「はいはい。それでは私は、大人しく退散するとしましょうか。では……」
椿 「あ、ちょっと、桔梗!」
桔梗「何ですの?」
椿 「あ…その……ありがと…ね……」
桔梗「いいえ。この借りはいつか返してもらいますから。ご心配なく」
椿 「あぁそうですかっ!じゃぁねっ!」
桔梗「ふふ…はいはい」
(SE:桔梗の消える音)
(少し間)
椿 「ったくあの女…………あ…菖蒲(あやめ)…立てる?」
菖蒲「あぁ…なんとか……うわっ!」
椿 「わっとと……ちょっと、ほんとに大丈夫なの……?」
菖蒲「……少し…大丈夫じゃないかも……」
椿 「はぁ……ったく、こりゃまた随分派手に犯られたねぇ……。
とりあえず、僕の白衣貸してあげるから、これ、着てなさい」
菖蒲「あ、ありがとう……」
椿 「どういたしまして。あー……それで、これから…だけどさ……」
菖蒲「ん?」
椿 「君、どうしたい?」
菖蒲「どうしたいって……何がだ?」
椿 「だから、これから君はどうしたいのかって聞いてるの!
君の所に戻るのかそうでないのか…とか……」
菖蒲「……椿さえ…よければ……しばらく…おいてはくれないか……?」
椿 「っ…!君がそれで…いいんなら……」
菖蒲「…よろしく頼む」
椿 「うん」
(少し間)
椿 「(N)こうして、僕たちはしばらく二人で生活を始めた。
そして生活をしていくうちに菖蒲(あやめ)もどんどん明るくなり、今やあの性格だ。
ほんと、どうすればあそこまで明るくなれるのかは僕には理解できないけど……
これが僕と菖蒲(あやめ)との最初の出会いだった。
その後、菖蒲(あやめ)は裏魔界を牛耳るという噂の魔族になり、僕はまた、一人で研究を続けている。
あの時……菖蒲(あやめ)は死にたいと言っていた…でも本当は……きっと……
あーもう、やめやめっ!僕らしくもない!!それでも…僕はこう思う。
願わくば、菖蒲(あやめ)の未来が、いいものになりますように……」
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