最終更新: gordonschumway 2011年06月21日(火) 01:53:23履歴
Photo by:eyesplash Mikul
【ドラマ】
[10:52]
守里「ああ、紅葉くん。こんな所にいたのですか。探しましたよ」
紅葉「ん……守里さん……何か用ですか?」
守里「はい!今日はこの吉原の花火大会があるでしょう?」
紅葉「あぁ……そういえば……それがどうかしましたか?」
守里「紅葉くんは、誰かと行く予定とかあるんですか?」
紅葉「特にはいないですね。
どうせ紫苑さんは勅使河原様と一緒だろうし、
紅葉は紫さんと一緒だろうし……
そういう守里さんは、誰かと見に行くんですか?」
守里「私ですか?私は、今年はここで働いている、
小間使いの子達と一緒に見に行くんですよー^^」
紅葉「そうなんですか。楽しんできてくださいね」
守里「えぇ!………ぁ…」
紅葉「…?何ですか…?」
守里「その……ごめん……」
紅葉「は?何いきなり謝ってんですか?」
守里「あー……いやその……ごめんなさい……」
紅葉「……?守里さん……?」
(遠くから)
紫苑「おーい、くれはー!」
紅葉「あ、紫苑さんが呼んでる……それじゃあ守里さん、また後で」
守里「あぁ、はい……あ、そうだ。紅葉くん」
紅葉「何ですか?」
守里「もし紫苑くんと行けるようになったら、
裏山から見ると最高ですよ。今年だけは、ゆずってあげます」
紅葉「あ…あぁ……ありがとう…ございます…」
守里「それでは、私はこれで!」
(走っていく)
紅葉「……ほんとに、せわしない人だなぁ……」
紫苑「お。こんな所にいた。探したんだぜー!」
紅葉「紫苑さん……何か用ですか?」
紫苑「おう。今日は吉原の花火大会だろ?お前、誰かと行く予定ある?」
紅葉「特にはいませんね。紫苑さんこそ、
勅使河原様と行かれるんじゃないですか?」
紫苑「いや、今年は俺一人。だからくれは、一緒に行こうぜ」
紅葉「…………はい」
紫苑「何そんな驚いた顔してるんだよ」
紅葉「い、いえ……予想外の発言だったのでつい……」
紫苑「そうか?まぁそんなわけだから、夜までに支度、しておけよ」
紅葉「はぁ……」
紫苑「何、そんなに俺と行くの嫌か?」
紅葉「い、いえ、そういうわけじゃなくて、どうして俺なのかなって……」
紫苑「ん?そんなの、お前だからにきまってるじゃん」
紅葉「……それ、答えになってません……」
紫苑「まぁそんなわけだからさ、今日は花火デートで楽しもうぜ!」
紅葉「は、はい……」
(場面は夜)
紫苑「よし、それじゃあ行くか!どこから見る?」
紅葉「……それじゃあ裏山はどうでしょう?」
紫苑「裏山?」
紅葉「はい。どうやらそこから見る花火はすごく綺麗で、穴場らしいです」
紫苑「へぇ……じゃあそこにしよっか」
紅葉「はい」
(少し間)
(二人の歩いてくる音)
紫苑「おー!確かにだれもいないし、よく見えそうだな」
紅葉「そうですね。花火もそろそろ始まる時間でしょうか」
紫苑「そうだなー。…………なぁ、くれは……」
紅葉「なんですか?」
紫苑「お前に一つ、頼みたい事があるんだ……」
紅葉「頼みたいこと?」
紫苑「あぁ……お前さ、俺の昔の話は知ってるよな……?」
紅葉「ぇ…あ、はい。確か酷い虐待を受けていて、
弟さんとも、生き別れになったとか……」
紫苑「そっ。実はさ、今日が弟の誕生日なんだ。
で、もし生きてたら、お前と同い年なんだ……」
紅葉「(……そういえば、前に守里さんが言ってたな……
俺と弟さんがうりふたつだって……)紫苑さん………」
紫苑「……無理なお願いなのはわかってる!
だけど……今だけ……今だけでいい……
お前を弟と呼ばせてくれないか……」
(花火の音)
紅葉「…………紫苑さん………」
紫苑「なーんて、何言ってんだろうな俺……
ほら、花火も始まったみたいだし、見に行こうぜ!」
紅葉「あ、紫苑さん……!その……」
紫苑「何?」
紅葉「………いいですよ」
紫苑「え……」
紅葉「俺のこと、弟とよんでも……」
紫苑「くれは………」
紅葉「弟さんの名前は?あと紫苑さんのことはお兄ちゃんでいいですか?」
紫苑「……………あぁ……ありがとう………」
紅葉「別にどうってことはないですよ。
それじゃあ、この喋り方じゃまずいか……えっと………
お兄ちゃん、花火はじまったよ。早く行こう!」
紫苑「………!!かける………」
紅葉「どうしたの?早く行かないと、花火終わっちゃうよ?」
紫苑「………あぁ……」
(花火の音)
紅葉「うわー!!花火、すごい綺麗だね!ね?お兄ちゃん」
紫苑「そ……そうだな……」
紅葉「?お兄ちゃんどうしたの?花火、楽しくないの?」
紫苑「そ、そんなことねぇよ!!ただ……
お前とこうしているの、すごい久しぶりだから……」
紅葉「そっか!確かに、お兄ちゃんとこうしてどこかに出かけるなんてこと、
滅多になかったもんね。
それじゃあ、今日はいっぱい楽しもうね!お兄ちゃん(にっこり)」
紫苑「………っ……かけ…る………」
紅葉「お兄ちゃん?何泣いてんだよ。お兄ちゃんらしくないぞ?」
紫苑「っ……ぅ……ごめん……せっかくの……花火大会なのに……」
紅葉「ったく、しょうがないなぁお兄ちゃんは。ほら、手!」
紫苑「………?」
紅葉「握っててやるよ!そしたら、寂しくないだろ?」
紫苑「かける………かけるっ!!」
(抱き着く)
紅葉「うわぁっ!ちょ…お兄ちゃん?どうしたんだよいきなり…」
紫苑「ごめん……ごめんなかける……
あの時、お前を一人にさえしなければ……
あんなことにはならなかったのに……!!」
紅葉「……お兄ちゃん、それはお兄ちゃんのせいじゃないよ!
仕方なかったんだよ!」
紫苑「でも……俺は……俺は……!!!」
紅葉「お兄ちゃん……大丈夫。僕は全然気にしてないよ。
だって、こうやってお兄ちゃんと会えるんだもん」
紫苑「……かける……ごめん……ごめんな……」
紅葉「だから気にしてないって言ってるだろ!
ほら、いつまでそうしてるんだよ。花火、もうすぐ終わっちゃうよ?」
紫苑「……そう……だな……」
紅葉「うわぁー!!1番最後の1番すごい奴だぁ!!きれー!!!」
紫苑「……………」
紅葉「……もうすぐ、終わっちゃうね……」
紫苑「………あぁ……」
紅葉「でも、きっとまた会えるよ」
紫苑「………」
紅葉「大丈夫。毎年この日は俺が兄ちゃんにあいにくる」
紫苑「………かける……」
紅葉「だから、さよならは言わないよ!また、絶対に会えるから……」
紫苑「あぁ………かける……」
紅葉「何、お兄ちゃん」
紫苑「誕生日………おめでとう………」
紅葉「うん!!ありがとう!!」
紫苑「かけるっ……!!!」
(最後の花火の音)
紅葉「……………花火、終わりましたね……」
紫苑「……そうだな……紅葉、ありがとな。少しでも、かけるになってくれて……」
紅葉「いえ…大したことじゃないですよ。それに……」
紫苑「それに……?」
紅葉「実は俺、後半のこと、ほとんど覚えてないんです」
紫苑「…ぇ………」
紅葉「意識がないっていうか、無意識のうちに言葉を発していたというか……
もしかして、本当にかける君が来たのかもしれませんね」
紫苑「………………」
紅葉「紫苑さん。俺はかける君にはなれないけど、
あなたの弟になら……いつでもなれます……」
紫苑「紅葉………」
紅葉「あはは……何言ってるんでしょうね俺……すいません。
聞かなかったことにしてください」
紫苑「…いや、お前が弟になってくれたら、すごい嬉しい!だから……
これからは、お前のこと弟と思って接するようにするよ。
それで……いいか……?」
紅葉「はい!もちろんです!!」
紫苑「紅葉……!!」
(抱き合う)
紅葉「紫苑さん………」
紫苑「これから先、何があっても俺はお前をはなさない!
お前を守る……絶対に。
あの過ちを、二度と起こさないために……」
紅葉「………はい。紫苑さん………」
紫苑「紅葉………」
紅葉「(N)こうして、この日の不思議な出来事は、二人だけの秘密になりました。
果たしてあの時、本当にかけるくんが俺に乗り移ったかはさだかではありませんが、
俺は、必ずどこかで生きていると、そう信じています。いずれ俺を介してではなく、
本当のかけるくんとして、紫苑さんの前に現れると……
それがいつになるかはわかりませんが、きっとまた会える……
そんな気がしてならないんです……」
【ドラマ】
あらすじ この物語は、夜桜月楼(やおづきろう)という吉原随一の廓で繰り広げられる、 遊女や男娼達の人間模様、恋模様を描いたお話です。 時代背景的には、大正か明治初期あたりの、吉原の遊郭になります。 |
登場人物 | 詳細 | 配役 |
紫苑 [シオン] | 夜桜月楼の傾成であり、店でもトップクラスの色子。 紅葉[クレハ]の事を弟のように思っている | ベア |
紅葉 [クレハ] | 紫苑のお付きであり、世話役の色子。 | 谷風結香 |
守里 [シュリ] | 夜桜月楼の番頭であり、色子たちをまとめる世話役。 | 岩月十夜 |
守里「ああ、紅葉くん。こんな所にいたのですか。探しましたよ」
紅葉「ん……守里さん……何か用ですか?」
守里「はい!今日はこの吉原の花火大会があるでしょう?」
紅葉「あぁ……そういえば……それがどうかしましたか?」
守里「紅葉くんは、誰かと行く予定とかあるんですか?」
紅葉「特にはいないですね。
どうせ紫苑さんは勅使河原様と一緒だろうし、
紅葉は紫さんと一緒だろうし……
そういう守里さんは、誰かと見に行くんですか?」
守里「私ですか?私は、今年はここで働いている、
小間使いの子達と一緒に見に行くんですよー^^」
紅葉「そうなんですか。楽しんできてくださいね」
守里「えぇ!………ぁ…」
紅葉「…?何ですか…?」
守里「その……ごめん……」
紅葉「は?何いきなり謝ってんですか?」
守里「あー……いやその……ごめんなさい……」
紅葉「……?守里さん……?」
(遠くから)
紫苑「おーい、くれはー!」
紅葉「あ、紫苑さんが呼んでる……それじゃあ守里さん、また後で」
守里「あぁ、はい……あ、そうだ。紅葉くん」
紅葉「何ですか?」
守里「もし紫苑くんと行けるようになったら、
裏山から見ると最高ですよ。今年だけは、ゆずってあげます」
紅葉「あ…あぁ……ありがとう…ございます…」
守里「それでは、私はこれで!」
(走っていく)
紅葉「……ほんとに、せわしない人だなぁ……」
紫苑「お。こんな所にいた。探したんだぜー!」
紅葉「紫苑さん……何か用ですか?」
紫苑「おう。今日は吉原の花火大会だろ?お前、誰かと行く予定ある?」
紅葉「特にはいませんね。紫苑さんこそ、
勅使河原様と行かれるんじゃないですか?」
紫苑「いや、今年は俺一人。だからくれは、一緒に行こうぜ」
紅葉「…………はい」
紫苑「何そんな驚いた顔してるんだよ」
紅葉「い、いえ……予想外の発言だったのでつい……」
紫苑「そうか?まぁそんなわけだから、夜までに支度、しておけよ」
紅葉「はぁ……」
紫苑「何、そんなに俺と行くの嫌か?」
紅葉「い、いえ、そういうわけじゃなくて、どうして俺なのかなって……」
紫苑「ん?そんなの、お前だからにきまってるじゃん」
紅葉「……それ、答えになってません……」
紫苑「まぁそんなわけだからさ、今日は花火デートで楽しもうぜ!」
紅葉「は、はい……」
(場面は夜)
紫苑「よし、それじゃあ行くか!どこから見る?」
紅葉「……それじゃあ裏山はどうでしょう?」
紫苑「裏山?」
紅葉「はい。どうやらそこから見る花火はすごく綺麗で、穴場らしいです」
紫苑「へぇ……じゃあそこにしよっか」
紅葉「はい」
(少し間)
(二人の歩いてくる音)
紫苑「おー!確かにだれもいないし、よく見えそうだな」
紅葉「そうですね。花火もそろそろ始まる時間でしょうか」
紫苑「そうだなー。…………なぁ、くれは……」
紅葉「なんですか?」
紫苑「お前に一つ、頼みたい事があるんだ……」
紅葉「頼みたいこと?」
紫苑「あぁ……お前さ、俺の昔の話は知ってるよな……?」
紅葉「ぇ…あ、はい。確か酷い虐待を受けていて、
弟さんとも、生き別れになったとか……」
紫苑「そっ。実はさ、今日が弟の誕生日なんだ。
で、もし生きてたら、お前と同い年なんだ……」
紅葉「(……そういえば、前に守里さんが言ってたな……
俺と弟さんがうりふたつだって……)紫苑さん………」
紫苑「……無理なお願いなのはわかってる!
だけど……今だけ……今だけでいい……
お前を弟と呼ばせてくれないか……」
(花火の音)
紅葉「…………紫苑さん………」
紫苑「なーんて、何言ってんだろうな俺……
ほら、花火も始まったみたいだし、見に行こうぜ!」
紅葉「あ、紫苑さん……!その……」
紫苑「何?」
紅葉「………いいですよ」
紫苑「え……」
紅葉「俺のこと、弟とよんでも……」
紫苑「くれは………」
紅葉「弟さんの名前は?あと紫苑さんのことはお兄ちゃんでいいですか?」
紫苑「……………あぁ……ありがとう………」
紅葉「別にどうってことはないですよ。
それじゃあ、この喋り方じゃまずいか……えっと………
お兄ちゃん、花火はじまったよ。早く行こう!」
紫苑「………!!かける………」
紅葉「どうしたの?早く行かないと、花火終わっちゃうよ?」
紫苑「………あぁ……」
(花火の音)
紅葉「うわー!!花火、すごい綺麗だね!ね?お兄ちゃん」
紫苑「そ……そうだな……」
紅葉「?お兄ちゃんどうしたの?花火、楽しくないの?」
紫苑「そ、そんなことねぇよ!!ただ……
お前とこうしているの、すごい久しぶりだから……」
紅葉「そっか!確かに、お兄ちゃんとこうしてどこかに出かけるなんてこと、
滅多になかったもんね。
それじゃあ、今日はいっぱい楽しもうね!お兄ちゃん(にっこり)」
紫苑「………っ……かけ…る………」
紅葉「お兄ちゃん?何泣いてんだよ。お兄ちゃんらしくないぞ?」
紫苑「っ……ぅ……ごめん……せっかくの……花火大会なのに……」
紅葉「ったく、しょうがないなぁお兄ちゃんは。ほら、手!」
紫苑「………?」
紅葉「握っててやるよ!そしたら、寂しくないだろ?」
紫苑「かける………かけるっ!!」
(抱き着く)
紅葉「うわぁっ!ちょ…お兄ちゃん?どうしたんだよいきなり…」
紫苑「ごめん……ごめんなかける……
あの時、お前を一人にさえしなければ……
あんなことにはならなかったのに……!!」
紅葉「……お兄ちゃん、それはお兄ちゃんのせいじゃないよ!
仕方なかったんだよ!」
紫苑「でも……俺は……俺は……!!!」
紅葉「お兄ちゃん……大丈夫。僕は全然気にしてないよ。
だって、こうやってお兄ちゃんと会えるんだもん」
紫苑「……かける……ごめん……ごめんな……」
紅葉「だから気にしてないって言ってるだろ!
ほら、いつまでそうしてるんだよ。花火、もうすぐ終わっちゃうよ?」
紫苑「……そう……だな……」
紅葉「うわぁー!!1番最後の1番すごい奴だぁ!!きれー!!!」
紫苑「……………」
紅葉「……もうすぐ、終わっちゃうね……」
紫苑「………あぁ……」
紅葉「でも、きっとまた会えるよ」
紫苑「………」
紅葉「大丈夫。毎年この日は俺が兄ちゃんにあいにくる」
紫苑「………かける……」
紅葉「だから、さよならは言わないよ!また、絶対に会えるから……」
紫苑「あぁ………かける……」
紅葉「何、お兄ちゃん」
紫苑「誕生日………おめでとう………」
紅葉「うん!!ありがとう!!」
紫苑「かけるっ……!!!」
(最後の花火の音)
紅葉「……………花火、終わりましたね……」
紫苑「……そうだな……紅葉、ありがとな。少しでも、かけるになってくれて……」
紅葉「いえ…大したことじゃないですよ。それに……」
紫苑「それに……?」
紅葉「実は俺、後半のこと、ほとんど覚えてないんです」
紫苑「…ぇ………」
紅葉「意識がないっていうか、無意識のうちに言葉を発していたというか……
もしかして、本当にかける君が来たのかもしれませんね」
紫苑「………………」
紅葉「紫苑さん。俺はかける君にはなれないけど、
あなたの弟になら……いつでもなれます……」
紫苑「紅葉………」
紅葉「あはは……何言ってるんでしょうね俺……すいません。
聞かなかったことにしてください」
紫苑「…いや、お前が弟になってくれたら、すごい嬉しい!だから……
これからは、お前のこと弟と思って接するようにするよ。
それで……いいか……?」
紅葉「はい!もちろんです!!」
紫苑「紅葉……!!」
(抱き合う)
紅葉「紫苑さん………」
紫苑「これから先、何があっても俺はお前をはなさない!
お前を守る……絶対に。
あの過ちを、二度と起こさないために……」
紅葉「………はい。紫苑さん………」
紫苑「紅葉………」
紅葉「(N)こうして、この日の不思議な出来事は、二人だけの秘密になりました。
果たしてあの時、本当にかけるくんが俺に乗り移ったかはさだかではありませんが、
俺は、必ずどこかで生きていると、そう信じています。いずれ俺を介してではなく、
本当のかけるくんとして、紫苑さんの前に現れると……
それがいつになるかはわかりませんが、きっとまた会える……
そんな気がしてならないんです……」
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