最終更新: gordonschumway 2011年07月03日(日) 00:15:13履歴
Photo by:(c)Tomo.Yun
【18禁】【BL】【ドラマ】
[14:49]
【18禁】【BL】【ドラマ】
あらすじ この物語は、夜桜月楼(やおづきろう)という吉原随一の廓で繰り広げられる、 遊女や男娼達の人間模様、恋模様を描いたお話です。 時代背景的には、大正か明治初期あたりの、吉原の遊郭になります。 |
登場人物 | 詳細 | 配役 |
紫苑 [シオン] | 夜桜月楼の傾成であり、店でもトップクラスの色子。 紅葉[クレハ]の事を弟のように思っている | ベア |
勅使河原 [テシガワラ] | 夜桜月楼の上得意客であり、紫苑のお客でもある。 夜桜月楼でもかなりの権力をもち、日本政府すらも影で操る存在とか だがその生態は未だかつて誰も知らない…… | ゆーず |
紅葉 [クレハ] | 紫苑のお付きであり、世話役の色子。 | 谷風結香 |
守里 [シュリ] | 夜桜月楼の番頭であり、色子たちをまとめる世話役。 | 岩月十夜 |
(店の喧騒)
(歩いてる音)
紫苑「ったく……あの客下手すぎ……おかげでこんなにも時間かかっちまったぜ……
早く勅使河原さんの所に行かねーと……」
(襖のあく音)
紫苑「ごめん、勅使河原さん、遅くなった!」
紅葉「……っ!勅使河原…様……ぁ…ん……!」
勅使河原「ほら紅葉……もっと腰をあげて……」
紫苑「……何やってんだよっ…!」
紅葉「っ……!紫苑……さん……」
勅使河原「おやおや紫苑、今日は随分と遅かったですね……」
紫苑「仕方ねぇだろ。前の客が長引いちまったんだよ……
それより、これどういう事だよ……」
勅使河原「いえ、あなたがあまりにも遅いものですから、
変わりに紅葉くんに相手をしていただいただけですよ」
紫苑「……ほんとに…それだけか……?」
勅使河原「えぇ。私はあなたの客ですからね。ただ……」
紅葉「っ……ん……」
勅使河原「彼もなかなか悪くなかったですし、
あまり私を待たせすぎると、紅葉君の客になるかもしれませんね……」
紫苑「っ……!」
勅使河原「まぁ、今日の所はあなたで我慢しておきましょう……
紅葉くん、また今度……」
紅葉「……はい……失礼します……」
(走っていく音)
紫苑「俺で我慢って……どういう意味だよ……」
勅使河原「そのままの意味ですよ。最近のあなたには少し飽きて来ましてね……
あっちの方もイマイチだし、それに比べて紅葉君は従順だし、
中々に私を楽しませてくれる……」
紫苑「………もう俺は用済みってことか……?」
勅使河原「まぁ、平たく言えばそういう事ですね」
紫苑「あぁそうかよ!なら、そのまま紅葉の客になったらどうだ!?
俺よりあいつの方がいいんだろ?
だったらもういっそのこと、俺なんか捨ててしまえばいい!」
勅使河原「いいのですか?私があなたの客でなくなったら、
今の地位も危なくなりますよ……?」
紫苑「はっ。そんなことあるわけねぇだろ。あんたが一人いなくなったところで、
俺に金を落としていく奴はたくさんいるんだ。
例えあんたが俺の客でなくなっても、さほど問題はねぇよ」
勅使河原「ほぅ……たいした自信ですね……
ならば、私も少し動かせていただきましょう……」
紫苑「……どうしてくれるわけ……?」
勅使河原「簡単な事です。あなたの上得意客を、片っ端から潰せばいいだけのこと……」
紫苑「なっ……そんなこと出来るわけが……」
勅使河原「私を誰だと思っているんです?
他の客を締め出すぐらい、造作もないことですよ」
紫苑「………それでも……今の地位は守ってみせる……」
勅使河原「それは面白い。ならば賭けをしませんか?」
紫苑「賭け……?」
勅使河原「えぇ。これから一ヶ月の間、私はあなたの客を片っ端から潰していきます。
紫苑「もし、保てなかったら……?」
勅使河原「稼ぎが少なくてかしみせ送りになるか……
はたまたここから追い出されて野垂れ死ぬか……
の、どちらかでしょうね」
紫苑「……………」
勅使河原「やめるなら今のうちですよ?勝てぬ戦とわかっていながら挑むのは、
あまりオススメではないですがね……」
紫苑「………やってやるよ………」
勅使河原「ほぅ………」
紫苑「かしみせ送りにも、野垂れ死ににもならない!
必ずあんたを手にいれてみせる……」
勅使河原「わかりました。では、取り引き成立ということで……」
紫苑「……望む所だ……!!」
(少し間)
紫苑「(N)そして、数週間が過ぎたが、俺の予想以上に客がとれず、
稼ぎは落ち込む一方だった……」
紫苑「くそっ……!!
このままじゃほんとにかしみせ送りになっちまう……どうすれば……!」
勅使河原「無駄ですよ」
紫苑「…っ……勅使河原さん……」
勅使河原「あれから二週間がすぎましたが、
稼ぎの方もだいぶ落ちているようですね……くくっ…」
紫苑「ちっ……まだだ……まだ二週間ある……」
勅使河原「随分と粘りますね……今ならまだ、酌量の余地はありますよ?
素直にあなたが諦めれば、また元の生活に戻れますよ?」
紫苑「……俺は……諦めねぇよ……」
勅使河原「そうですか。ならばあと二週間、
せいぜい体を使うといいですよ。ははははは!」
(去っていく)
紫苑「ちっ……んなことわかってるよ……!!
くそ……新しい客も皆他の色子のとこにいっちまうし……
今までの客はすべて勅使河原さんが押さえてる……八方塞がりじゃねぇかっ!!
何かいい方法は……っ…!
そうか、わかった。客が他の色子のとこにいくなら、
その色子がいなくなればいいんだ……
なぁんだ、簡単なことじゃねぇか。は…はは……ははははは。
待ってろよ、勅使河原さん……必ずあんたを、俺だけのものにしてやるよ………」
(その一週間後)
紅葉「……今日のお相手は勅使河原様で最後か……
最近、いやに客の数が多いような気がするんだよな……
その分稼ぎはあるけど……それに、最近紫苑さんの様子がどうもおかしい……
前はあんなに客をとっていたのに、最近はぱったりだ……それに……
なんか、色子の数も減ってきてるような……
いや、さすがにこれは気のせいか……でも……」
紫苑「おーい紅葉〜」
紅葉「っ!!紫苑さん……」
紫苑「お前、なぁに一人でぶつぶつ言ってんだよ。はたからみると、ただの変人だぞ?」
紅葉「……すみません。少し考えごとをしていたもので……」
紫苑「へぇ…何考えたの?」
紅葉「そ、それは……」
紫苑「あれ、なぁに紅葉ちゃん、この俺に隠し事?」
紅葉「べ、別にそういうわけじゃ……ないですけど……」
紫苑「なら教えてよ」
紅葉「……それは……」
紫苑「あ、そうだ。なぁ紅葉、ちょっと一緒にきてほしいところがあるんだ」
紅葉「え……でも、まだお客様が……」
紫苑「その客って、勅使河原さん?」
紅葉「そうですけど……」
紫苑「ふぅ〜ん……最近、お前のとこによく行くよな、勅使河原さん」
紅葉「はい……よく、通ってくださっています……」
紫苑「そっかぁ……ならさぁ……無理にでも、こっちに来てもらおうかな……?」
紅葉「え……?っ…んんっ……ん…ぅ……ん……」
紫苑「悪いなぁ紅葉……ちょーっと、眠っててくれな」
紅葉「……ぅ……紫苑……さん………」
(倒れる音)
紫苑「くくっ……くく……ふははははは!!!」
(少し間)
紅葉「ぅ……ん……ここ…は………っ!!腕……縛られてる……それにここ……」
紫苑「そう。店の離れにあるもう使われてない小屋さ……」
紅葉「紫苑さんっ!!これを…解いてくださいっ!!」
紫苑「だぁめ。縛っておかないと逃げるだろ……それより紅葉…これ…見てくれよ……」
紅葉「……?っ!!こ…これは……!!」
紫苑「そう。みぃんなうちの店の子だよ。もう誰も息をしていないけどね……」
紅葉「なぜ……こんなこと……!」
紫苑「皆邪魔だったからだよ。勅使河原さんを手に入れるためにはさぁ、
こいつら皆邪魔なんだよ…。だから殺してやった」
紅葉「そんな……紫苑さん、こんなのおかしいですっ!!
どうして……どうしてこんなこと……」
紫苑「だからさ、ただ単に邪魔だったからって言ってるだろ?
それに紅葉、お前も邪魔なんだ……」
紅葉「……紫苑…さん……ぐぁぁっ…ぁ…ぅ……」
紫苑「あははは、ごめん、手が滑っちゃった……」
紅葉「ぅ……なぜ…こんな……」
紫苑「だからさぁ、邪魔なんだよ。お前も、他の色子も、みぃんな邪魔なんだ。
でもな紅葉、お前だけは……殺す前に可愛がってやるよ……」
紅葉「なっ………ぁ…んっ……紫苑…さん……やぁっ……ぅ……」
紫苑「くくっ……お前だけは、特別に殺さないでおいてやる。
ただし、俺のかわいいペットとしてなっ…!!」
紅葉「ぐぁぁっ……!!っ…う……紫苑…さん……ぬい…て……」
紫苑「やなこった……ふっ…準備なしじゃやっぱ辛かったかな……
でも、お前にはそんなことどうでもいいよな?」
紅葉「ゃ…ぁ……痛い……です……もう……やめて…ください……」
紫苑「やぁだね。ほら、もっと足ひらけよ」
紅葉「っ…やぁ…やだ……ぁ…はぁ……ぅ……」
紫苑「ほらみろ。お前だって気持ちいいだろ?
だからさ、もぉ〜っと気持ちよくしてやるよ……」
紅葉「あぁっ……ぅ…んっ……いや……だ……」
紫苑「いやじゃないだろ?気持ちいいんだろ?感じてるんだろ?」
紅葉「ぅあぁっ……!ぁ…ぅ…んっ……やぁ……ぁ……もう……やめて…下さい……」
紫苑「やめるわけねぇだろ?ほら……もっとなけよ……気持ちいいんだろ?
素直に感じてるって言えよ!!ほらっ…!!ほらぁぁっ!!!」
紅葉「ぐぁぁっ……ぁ…やぁ…ぁ……ぅ……ん……!!紫苑……さん……」
紫苑「あはははははははは!!!!」
(少し間)
勅使河原「まったく……紅葉君はいやに遅いですね……前の客が長引いているのか……
しかし、紫苑の姿が見えないのも気になりますね……少し、探しにいきますか……」
(足音と襖のあく音)
紅葉「(荒い息)…はぁ…ぁ………」
紫苑「あーあ、つまんないの。もうダウン?
俺はまだまだこれから楽しみたいのにさぁ……ほぉら紅葉、もっと顔あげて」
紅葉「っ……ん……紫苑さん……もう…こんなことはやめてください……
なぜ…なぜですか……なぜ………!!」
紫苑「なぜって、そりゃあ勅使河原さんを俺だけのものにするためさ。
お前らがいるから勅使河原さんは俺だけを見てくれないんだ。
お前が……お前がいるから……」
紅葉「ぐぅっ……紫苑…さん……」
紫苑「は…はは……首を絞めると出てくるそのうめき声……
たまんねぇ……ほら紅葉、もっときつくしてやる……」
紅葉「ぅ……ぁ……(殺…される……!)」
勅使河原「紫苑っ!!いますかっ!!」
(引き戸のあく音)
紫苑「あれ、勅使河原さんだぁ。どうしたの?」
勅使河原「こ……これは……!!まさか紫苑……あなた……」
紫苑「そうだよ?みぃ〜んな殺しちゃったぁ」
勅使河原「なぜ……このようなこと……」
紫苑「だって、俺に客がこないのは、こいつらがいるからだろぉ?だからさ、
こいつらがいなくなれば客はみぃ〜んな俺の元にくる……簡単なことだ……」
勅使河原「紫苑……あなたという人は………」
紫苑「勅使河原さん……あんたがいけないんだぜ……?
あんたが俺だけを見てくれないから……
紅葉なんかに手を出すから……だからいけないんだ……」
勅使河原「っ……!日本刀……紫苑、やめなさいっ!!」
紫苑「なんで?なぁ勅使河原さん、俺だけをさぁ……見てくれよぉっっ!!」
勅使河原「ぐあぁぁっっ……!!」
紅葉「勅使河原様っ!!!紫苑さん……!もうやめてくださいっ!!」
紫苑「あれぇ……?紅葉、まだ生きてたのか……しょうがないなぁ……」
勅使河原「……ぐっ……ぅ……紅葉くん……!逃げなさいっ……!!」
紫苑「ん〜?ちょっと勅使河原さん、手ぇ放してよ……すげぇ邪魔」
(げしっと)
勅使河原「ぅあぁっ……ぁ……紫苑……やめなさい………」
紫苑「やぁだね……何勅使河原さん、そんなに俺の事が大事?
あははは、そんなの今更じゃない……
大丈夫、あんたは後でいっぱい可愛がってやるよ……
だからまずは……紅葉からだ……」
紅葉「………紫苑……さん……」
勅使河原「くそ……紫苑…!!」
紫苑「ん〜…?なぁに勅使河原さん……」
勅使河原「私はあなただけのものになりましょう!
だから紅葉君は放しなさい…!!」
紅葉「勅使河原様……」
紫苑「…………いやだね…」
勅使河原「紫苑…!!!」
紫苑「だって、紅葉がいたら、いつあんたが紅葉のとこに行くかわかんないだろ……?
だからさ、そういう可能性は早めに潰しておかないと……」
紅葉「うわぁぁぁっっ!!!!ぁ……」
紫苑「あは…ははははは!!あはははははははははっ!!!!
さぁこれで邪魔者はいなくなった!
勅使河原「っ……紫苑………なぜ……なぜですか……」
紫苑「さぁ勅使河原さん……これで俺だけをみてくれるよな?俺だけの……勅使河原さん………」
勅使河原「っ……紫苑……!!!」
紅葉「(N)その後、なんとか急所がはずれていた俺は奇跡的に一命をとりとめたが、
勅使河原様と紫苑さんは、その命を落とした……
勅使河原様を殺したあと、紫苑さんも自らその命を絶ったらしい……
この前代未聞の殺人事件は表向きは客と色子の心中事件として片付けられたが、
数年たった今でもこの夜桜月楼で密かに語り継がれている。
このような事件が二度と起きないようにと、
心に願いながら………」
(歩いてる音)
紫苑「ったく……あの客下手すぎ……おかげでこんなにも時間かかっちまったぜ……
早く勅使河原さんの所に行かねーと……」
(襖のあく音)
紫苑「ごめん、勅使河原さん、遅くなった!」
紅葉「……っ!勅使河原…様……ぁ…ん……!」
勅使河原「ほら紅葉……もっと腰をあげて……」
紫苑「……何やってんだよっ…!」
紅葉「っ……!紫苑……さん……」
勅使河原「おやおや紫苑、今日は随分と遅かったですね……」
紫苑「仕方ねぇだろ。前の客が長引いちまったんだよ……
それより、これどういう事だよ……」
勅使河原「いえ、あなたがあまりにも遅いものですから、
変わりに紅葉くんに相手をしていただいただけですよ」
紫苑「……ほんとに…それだけか……?」
勅使河原「えぇ。私はあなたの客ですからね。ただ……」
紅葉「っ……ん……」
勅使河原「彼もなかなか悪くなかったですし、
あまり私を待たせすぎると、紅葉君の客になるかもしれませんね……」
紫苑「っ……!」
勅使河原「まぁ、今日の所はあなたで我慢しておきましょう……
紅葉くん、また今度……」
紅葉「……はい……失礼します……」
(走っていく音)
紫苑「俺で我慢って……どういう意味だよ……」
勅使河原「そのままの意味ですよ。最近のあなたには少し飽きて来ましてね……
あっちの方もイマイチだし、それに比べて紅葉君は従順だし、
中々に私を楽しませてくれる……」
紫苑「………もう俺は用済みってことか……?」
勅使河原「まぁ、平たく言えばそういう事ですね」
紫苑「あぁそうかよ!なら、そのまま紅葉の客になったらどうだ!?
俺よりあいつの方がいいんだろ?
だったらもういっそのこと、俺なんか捨ててしまえばいい!」
勅使河原「いいのですか?私があなたの客でなくなったら、
今の地位も危なくなりますよ……?」
紫苑「はっ。そんなことあるわけねぇだろ。あんたが一人いなくなったところで、
俺に金を落としていく奴はたくさんいるんだ。
例えあんたが俺の客でなくなっても、さほど問題はねぇよ」
勅使河原「ほぅ……たいした自信ですね……
ならば、私も少し動かせていただきましょう……」
紫苑「……どうしてくれるわけ……?」
勅使河原「簡単な事です。あなたの上得意客を、片っ端から潰せばいいだけのこと……」
紫苑「なっ……そんなこと出来るわけが……」
勅使河原「私を誰だと思っているんです?
他の客を締め出すぐらい、造作もないことですよ」
紫苑「………それでも……今の地位は守ってみせる……」
勅使河原「それは面白い。ならば賭けをしませんか?」
紫苑「賭け……?」
勅使河原「えぇ。これから一ヶ月の間、私はあなたの客を片っ端から潰していきます。
それでもなお、今の地位を保っていられたら、私は一生あなたの客でいましょう」
紫苑「もし、保てなかったら……?」
勅使河原「稼ぎが少なくてかしみせ送りになるか……
はたまたここから追い出されて野垂れ死ぬか……
の、どちらかでしょうね」
紫苑「……………」
勅使河原「やめるなら今のうちですよ?勝てぬ戦とわかっていながら挑むのは、
あまりオススメではないですがね……」
紫苑「………やってやるよ………」
勅使河原「ほぅ………」
紫苑「かしみせ送りにも、野垂れ死ににもならない!
必ずあんたを手にいれてみせる……」
勅使河原「わかりました。では、取り引き成立ということで……」
紫苑「……望む所だ……!!」
(少し間)
紫苑「(N)そして、数週間が過ぎたが、俺の予想以上に客がとれず、
稼ぎは落ち込む一方だった……」
紫苑「くそっ……!!
このままじゃほんとにかしみせ送りになっちまう……どうすれば……!」
勅使河原「無駄ですよ」
紫苑「…っ……勅使河原さん……」
勅使河原「あれから二週間がすぎましたが、
稼ぎの方もだいぶ落ちているようですね……くくっ…」
紫苑「ちっ……まだだ……まだ二週間ある……」
勅使河原「随分と粘りますね……今ならまだ、酌量の余地はありますよ?
素直にあなたが諦めれば、また元の生活に戻れますよ?」
紫苑「……俺は……諦めねぇよ……」
勅使河原「そうですか。ならばあと二週間、
せいぜい体を使うといいですよ。ははははは!」
(去っていく)
紫苑「ちっ……んなことわかってるよ……!!
くそ……新しい客も皆他の色子のとこにいっちまうし……
今までの客はすべて勅使河原さんが押さえてる……八方塞がりじゃねぇかっ!!
何かいい方法は……っ…!
そうか、わかった。客が他の色子のとこにいくなら、
その色子がいなくなればいいんだ……
なぁんだ、簡単なことじゃねぇか。は…はは……ははははは。
待ってろよ、勅使河原さん……必ずあんたを、俺だけのものにしてやるよ………」
(その一週間後)
紅葉「……今日のお相手は勅使河原様で最後か……
最近、いやに客の数が多いような気がするんだよな……
その分稼ぎはあるけど……それに、最近紫苑さんの様子がどうもおかしい……
前はあんなに客をとっていたのに、最近はぱったりだ……それに……
なんか、色子の数も減ってきてるような……
いや、さすがにこれは気のせいか……でも……」
紫苑「おーい紅葉〜」
紅葉「っ!!紫苑さん……」
紫苑「お前、なぁに一人でぶつぶつ言ってんだよ。はたからみると、ただの変人だぞ?」
紅葉「……すみません。少し考えごとをしていたもので……」
紫苑「へぇ…何考えたの?」
紅葉「そ、それは……」
紫苑「あれ、なぁに紅葉ちゃん、この俺に隠し事?」
紅葉「べ、別にそういうわけじゃ……ないですけど……」
紫苑「なら教えてよ」
紅葉「……それは……」
紫苑「あ、そうだ。なぁ紅葉、ちょっと一緒にきてほしいところがあるんだ」
紅葉「え……でも、まだお客様が……」
紫苑「その客って、勅使河原さん?」
紅葉「そうですけど……」
紫苑「ふぅ〜ん……最近、お前のとこによく行くよな、勅使河原さん」
紅葉「はい……よく、通ってくださっています……」
紫苑「そっかぁ……ならさぁ……無理にでも、こっちに来てもらおうかな……?」
紅葉「え……?っ…んんっ……ん…ぅ……ん……」
紫苑「悪いなぁ紅葉……ちょーっと、眠っててくれな」
紅葉「……ぅ……紫苑……さん………」
(倒れる音)
紫苑「くくっ……くく……ふははははは!!!」
(少し間)
紅葉「ぅ……ん……ここ…は………っ!!腕……縛られてる……それにここ……」
紫苑「そう。店の離れにあるもう使われてない小屋さ……」
紅葉「紫苑さんっ!!これを…解いてくださいっ!!」
紫苑「だぁめ。縛っておかないと逃げるだろ……それより紅葉…これ…見てくれよ……」
紅葉「……?っ!!こ…これは……!!」
紫苑「そう。みぃんなうちの店の子だよ。もう誰も息をしていないけどね……」
紅葉「なぜ……こんなこと……!」
紫苑「皆邪魔だったからだよ。勅使河原さんを手に入れるためにはさぁ、
こいつら皆邪魔なんだよ…。だから殺してやった」
紅葉「そんな……紫苑さん、こんなのおかしいですっ!!
どうして……どうしてこんなこと……」
紫苑「だからさ、ただ単に邪魔だったからって言ってるだろ?
それに紅葉、お前も邪魔なんだ……」
紅葉「……紫苑…さん……ぐぁぁっ…ぁ…ぅ……」
紫苑「あははは、ごめん、手が滑っちゃった……」
紅葉「ぅ……なぜ…こんな……」
紫苑「だからさぁ、邪魔なんだよ。お前も、他の色子も、みぃんな邪魔なんだ。
でもな紅葉、お前だけは……殺す前に可愛がってやるよ……」
紅葉「なっ………ぁ…んっ……紫苑…さん……やぁっ……ぅ……」
紫苑「くくっ……お前だけは、特別に殺さないでおいてやる。
ただし、俺のかわいいペットとしてなっ…!!」
紅葉「ぐぁぁっ……!!っ…う……紫苑…さん……ぬい…て……」
紫苑「やなこった……ふっ…準備なしじゃやっぱ辛かったかな……
でも、お前にはそんなことどうでもいいよな?」
紅葉「ゃ…ぁ……痛い……です……もう……やめて…ください……」
紫苑「やぁだね。ほら、もっと足ひらけよ」
紅葉「っ…やぁ…やだ……ぁ…はぁ……ぅ……」
紫苑「ほらみろ。お前だって気持ちいいだろ?
だからさ、もぉ〜っと気持ちよくしてやるよ……」
紅葉「あぁっ……ぅ…んっ……いや……だ……」
紫苑「いやじゃないだろ?気持ちいいんだろ?感じてるんだろ?」
紅葉「ぅあぁっ……!ぁ…ぅ…んっ……やぁ……ぁ……もう……やめて…下さい……」
紫苑「やめるわけねぇだろ?ほら……もっとなけよ……気持ちいいんだろ?
素直に感じてるって言えよ!!ほらっ…!!ほらぁぁっ!!!」
紅葉「ぐぁぁっ……ぁ…やぁ…ぁ……ぅ……ん……!!紫苑……さん……」
紫苑「あはははははははは!!!!」
(少し間)
勅使河原「まったく……紅葉君はいやに遅いですね……前の客が長引いているのか……
しかし、紫苑の姿が見えないのも気になりますね……少し、探しにいきますか……」
(足音と襖のあく音)
紅葉「(荒い息)…はぁ…ぁ………」
紫苑「あーあ、つまんないの。もうダウン?
俺はまだまだこれから楽しみたいのにさぁ……ほぉら紅葉、もっと顔あげて」
紅葉「っ……ん……紫苑さん……もう…こんなことはやめてください……
なぜ…なぜですか……なぜ………!!」
紫苑「なぜって、そりゃあ勅使河原さんを俺だけのものにするためさ。
お前らがいるから勅使河原さんは俺だけを見てくれないんだ。
お前が……お前がいるから……」
紅葉「ぐぅっ……紫苑…さん……」
紫苑「は…はは……首を絞めると出てくるそのうめき声……
たまんねぇ……ほら紅葉、もっときつくしてやる……」
紅葉「ぅ……ぁ……(殺…される……!)」
勅使河原「紫苑っ!!いますかっ!!」
(引き戸のあく音)
紫苑「あれ、勅使河原さんだぁ。どうしたの?」
勅使河原「こ……これは……!!まさか紫苑……あなた……」
紫苑「そうだよ?みぃ〜んな殺しちゃったぁ」
勅使河原「なぜ……このようなこと……」
紫苑「だって、俺に客がこないのは、こいつらがいるからだろぉ?だからさ、
こいつらがいなくなれば客はみぃ〜んな俺の元にくる……簡単なことだ……」
勅使河原「紫苑……あなたという人は………」
紫苑「勅使河原さん……あんたがいけないんだぜ……?
あんたが俺だけを見てくれないから……
紅葉なんかに手を出すから……だからいけないんだ……」
勅使河原「っ……!日本刀……紫苑、やめなさいっ!!」
紫苑「なんで?なぁ勅使河原さん、俺だけをさぁ……見てくれよぉっっ!!」
勅使河原「ぐあぁぁっっ……!!」
紅葉「勅使河原様っ!!!紫苑さん……!もうやめてくださいっ!!」
紫苑「あれぇ……?紅葉、まだ生きてたのか……しょうがないなぁ……」
勅使河原「……ぐっ……ぅ……紅葉くん……!逃げなさいっ……!!」
紫苑「ん〜?ちょっと勅使河原さん、手ぇ放してよ……すげぇ邪魔」
(げしっと)
勅使河原「ぅあぁっ……ぁ……紫苑……やめなさい………」
紫苑「やぁだね……何勅使河原さん、そんなに俺の事が大事?
あははは、そんなの今更じゃない……
大丈夫、あんたは後でいっぱい可愛がってやるよ……
だからまずは……紅葉からだ……」
紅葉「………紫苑……さん……」
勅使河原「くそ……紫苑…!!」
紫苑「ん〜…?なぁに勅使河原さん……」
勅使河原「私はあなただけのものになりましょう!
だから紅葉君は放しなさい…!!」
紅葉「勅使河原様……」
紫苑「…………いやだね…」
勅使河原「紫苑…!!!」
紫苑「だって、紅葉がいたら、いつあんたが紅葉のとこに行くかわかんないだろ……?
だからさ、そういう可能性は早めに潰しておかないと……」
紅葉「うわぁぁぁっっ!!!!ぁ……」
紫苑「あは…ははははは!!あはははははははははっ!!!!
さぁこれで邪魔者はいなくなった!
後は勅使河原さん……あんただけだ……」
勅使河原「っ……紫苑………なぜ……なぜですか……」
紫苑「さぁ勅使河原さん……これで俺だけをみてくれるよな?俺だけの……勅使河原さん………」
勅使河原「っ……紫苑……!!!」
紅葉「(N)その後、なんとか急所がはずれていた俺は奇跡的に一命をとりとめたが、
勅使河原様と紫苑さんは、その命を落とした……
勅使河原様を殺したあと、紫苑さんも自らその命を絶ったらしい……
この前代未聞の殺人事件は表向きは客と色子の心中事件として片付けられたが、
数年たった今でもこの夜桜月楼で密かに語り継がれている。
このような事件が二度と起きないようにと、
心に願いながら………」
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