コーカサス山に囚われて世界を見下ろし続けるグルジアのプロメテウスはたったひとつを強く悔いた。
────私は、彼らに火を与えるべきではなかった。
遅かれ早かれ人類は炎と石の操り方を知ったはずだ。
しかし過程が違う。
苦心し、失敗し、何度も脇道に逸れながら獲得するはずだった報奨を人類は労せず手に入れてしまったのだ。
天から振るように分け与えられた天を目指す力。人類はそれを地を這い血を流すためだけに使い始めた。
彼らがその力を宙に向けるまでに過ぎ去ったのは5000年。くだらない争いのために年月と惑星は浪費されてしまった。
もしも切磋琢磨の果てに行き着いたものであれば目的を見失い扱いを誤ることもなかっただろう。
故にアミランは悔いたのだ。己の仕出かしたことは最悪の過ちであったのだ、と。
セイバーはアミランが伝授した火と金属の使用、その功罪のうちの罪が色濃く反映された側面である。
この姿で召喚されたアミランは彼がカマリを盗んだことで人類に5000年の停滞を課して種の寿命を縮めたと悔やんでおり、
彼の言うところの"緩やかに死に向かう発展のない世界"である現代から文明を剥奪することで己の罪を清算しようと願う。
人類は宙の果てに至らぬまま惑星の胎内でモラトリアムに燃え尽きようとしている。
その停滞が満ち足りるためだと言うならば、再び飢餓の谷へと突き落とし、人類自身の手で文明の灯を創造させよう。
そのとき人類はかつてのアミランが望んだように宙の果てへと歩き出すだろう。そう、信じているのだ。
しかしアミランは狂ってしまった。あの日、あの時、あの場所で、聖杯の泥を浴びた瞬間から。
泥は彼が抱いた自省のみを肥大させた。悲嘆に希望を覆い隠されたアミランは嘆きのままに文明粛清を────再興すら適わぬ徹底的な破壊を彼の骨子に挿げ替えた。
今やアミランにとって人類は鋳潰しやすい神秘の素材に過ぎない。そして、彼らの営みを世界から抹消することがアミランの使命なのである。
イメージカラー:焔色
特技:鍛冶
好きなもの:犬
嫌いなもの:神
天敵:神,
鷹
願い:罰鎖からの解放,既存文明の抹消
【一人称】先生 【二人称】君 【三人称】〜くん/〜さん