- アルス/XXXI
モデル元。彼が自分に寄せて調整されていることには薄々勘付いているがあえて問い詰めないことにしている。
過干渉はせず、さりとて積極的に避けようともせず。偶然出会えば挨拶するし、相談されれば丁寧に返事をするだろう。
きっと彼の目線からすれば何故か他人の気がせず、とても物腰柔らかな、ランサーとは別ベクトルの大人のお姉さん。見た目は少女だけれども。
- レヴァナント・ラビット
契約主。ひょんなことから実力と人柄を把握され、見込まれ、契約のために差し出された握手を握った相手。
互いに関わり合いを持つべきではない領域まで干渉しようとしないビジネスチックな関係。互いの力は信用しているため、ある種の信頼は存在する。
セイバーよりはむしろ彼女の肩に留まった『
舌長の鸚鵡』との方が話が弾む。現実主義者同士、折り合うところがあるのだろう。
- 有須野雪菜
あくまで過干渉は避ける。避けるが、内心では彼から滲み出るその在り方を好ましく思っている。
普段は店ですれ違えば軽く挨拶をする程度の関係だが、もし仮にそこで雪菜が何か思い悩んでいるようだったらついつい要らぬ口を挟んでしまうかもしれない。
どれだけ素気ない態度を取られてもめげない落ち込まない諦めない。全く怯まず顔を合わせれば笑って挨拶する。こんなマスターいたなぁ、と内心微笑むくらいには心の精算がついたらしい。
- 伊出有子
基本的に友好的なれど大抵の者に対して1歩距離をおいているセイバーにとって、有子の年齢もあって(M)アリス・ショップでは比較的親しくしている人物。
見た目こそ年若いが、老成しているというか、どこか隠居人めいた様子のセイバーは有子の嫌う類のサーヴァントではない。
店に来ればにこやかに挨拶し、彼女の話にも優しく相槌を打つ。親戚のおっとりしたお姉さんだとか、きっとそういう印象。彼女がレヴァナントを『トラ姉』と呼ぶたび不思議と懐かしそうな顔をする。
- “杯”のランサー
生前のように、あるいは生前よりも友好的に接したいのだが万感を向けられてしまうので困ってしまう。いいから頭を上げなさい。
それはそうとしてその装いはとても可愛らしく、あなたに良く似合っていますね。戦場のあなたは烈火のようでしたが今は美しき花の精のようです。…どうかしましたか?
「……貴方、貴女は、いえ、そんな筈は!あり得ない、いえお見苦しい所をお見せしました。まずは聖杯探索を命じられながらも聖杯と騎士ギャラハッドを失い、自らの命さえも落とした愚か者である事はもはや弁明もする気もありません。
更にサーヴァントとなった身で新たな主人を得たことをお笑いください」
「…………」
「……私は身なりや表向きの体面こそ師グルネマンツに正されましたがその心は未だウェールズの森を駆けていた小娘のままだったのです、私はサーヴァントとなって以来、王に出会ったならばいかなる叱責や罰を受け入れる覚悟でいました」
「…………」
「王よ、お預かりしていた聖槍をお返しいたします、ですがこの生命だけはどうかお許し下さい。恥知らずでありましょうが、今の主が私と共に歩むことを願っているのです、私は命を失うわけに参りません」
「…………」
「二君に仕える不忠者と罵っていただいても結構です。……この世界ではサーヴァントの再召喚が可能です。軽い仮初めの命ではありますが、主のもとで再召喚された私はわたしではありません」
「…………」
「それは我が主に決していい影響を与えないでしょう。 厚かましい懇願であるとは分かっています。……この生命は貴女にお預けします、どうかご裁断を」
「パーシヴァル卿!」
「はっ!」
「あなたは今をも善き騎士たらんと務める、私が敬愛した騎士でありますか?」
「言を俟たず!我が身はあの日!あなた様に手を差し伸べられた瞬間より魂に刻んだ義に殉ずる者なり!例えこの身燃え尽きようと損なわれることはありません!」
「………ならば、良い。その忠道、大儀であります」
生前の精算が済んだ後は職場が梅田なのもあって比較的よくつるむ相手。
- "皮肉屋"のキャスター
以前ならばいざ知らず、現在のセイバーは彼の軽口も軽く流せる程度の落ち着きと余裕がある。
キャスターに対しても一線引いてはいるのだが、あまりに彼がよく喋るので結果的にそこそこ言葉を交わす機会は多い。
相性悪いようで意外と仲は悪くない。語る者と語られた者、スキル「鸚鵡の騎士」をも貫通して感じ入るものがあるのかもしれない。
- “呪難”のセイバー
昔日の古参の部下にして、その騎士道に反した所業により国から追放した者であり、公明正大な王としてその働きに免じ罪を赦した騎士。
かつては私情を捨てて向き合った相手だが、今ならもし会えたなら皮肉のひとつでも交えつつ自然に話が出来るはず。「それでもあなたはやはり騎士だ」とやり込めすらするかもしれない。
- “杯”のライダー
相変わらずですね、と苦笑する相手。彼の内心を察してもいるが、自分から口には出さない。都市戦争の中継に映る彼をどこかで目にして微笑むのだろう。
ただしかつて落馬させられ危ういところまで追い詰められたことを根に持っていないわけではなく、その話題になると生来の負けず嫌いが発動して露骨に不機嫌になる。
「……いや、その。一度刃を向けた事実を言い逃れする気などありません」
「私を処断されるのであるなら、一切不服はありません。ただ、この地においては最大限抵抗はさせていただきます」
「……勝てるなんて自惚れてはいませんよ。疲弊しているならともかく、万全の王を相手にして。そうであっても、此度ばかりは」
「例え、再び王に不忠の限りを尽くすとしても、今の主に再び寂しい思いをさせるわけにはいかないのです」
「………………」
「え〜…あの?」
「さすがに溜め息のひとつとてつきます。ここまで狭量な王だったと思われていたとは心外ですから。
かつてにおいても、そして今においても、あなたは己の騎士の道に背かぬ正しい信じる道を選び、そして選んでいる。相違ないですか?」
「……恐れを多きことを承知で述べさせていただきますが。その通りです、我がかつての王。誓って、我が道は我が信ずるひとつことで貫かれています」
「ならば、処断を言い渡します。私が尊敬したそのままのあなたでいるよう。あなたが敬ったランスロット卿と同じく、主に間違いがあるならばそれを糺しうる善き騎士であるよう。いいですね」
生前の精算が済んだ後は難波に赴く用があった場合ちょくちょく顔合わせる間柄。