アデリナ・トゥーリベルクにより召喚されたアーチャーのサーヴァント。
太陽を切り取ったかのような、燃え盛る剛弓を担う弓手。
アーチャーのクラスとして単独で活動することが多い一方、マスターと共に敵の門前に姿を見せることも少なくはない。
圧倒的な自信の表れか、或いは主を守るための護衛なのか。何れにせよ高出力かつ高精度の腕を備えた彼は、多くのマスターにとって「驚異」と捉えられるのだろう。
故に多くのルートに於いて他参加者に、特に同盟を結んだ陣営に敗することが多く、彼が決着まで(または終盤まで)生き残っていることは極めて稀である。
とあるルートにて、一時的な同盟を結んだセイバー陣営のマスター
十影典河に向け家族論を語るシーンが、彼という個人が取り沙汰される唯一の場面となる。
一転してファンディスクでは露出が増え、日常生活でも度々顔を見せるスーパー親バカ糸目ロン毛と化す。
ライダーとの家族談義やランサーとの(半ば強引な)遊興、彼らを含めた3人での街中ぶらり旅など、本編では一切見せることのなかった愉快な側面を大いに曝け出す。
アデリナ・トゥーリベルク:マスター
自身を呼び出した魔術師であり、戦争を共にする盟友。
喚び出されて早々に、自分を「上手く扱う」ために用意された敬意と諂いを見抜き、不要なものと吐き捨てる。
それでも彼女が野心をひた隠しにして、上辺だけの交友関係を続けようとするのなら一矢にて射抜くつもりであったが――――
即座にスタンスを切り替え本心を明かし、自らを文字通りの「サーヴァント」として扱うと言い切った彼女の信念を買い、以後は命令に従うようになる。
彼女の全てを理解している訳ではないが、聖杯に託す望み……心の奥底に仕舞われたものを雰囲気で察しているようで、その上で彼女に背を預けている。
アーチャーは聖杯に託す望みを持たない……故に彼女は彼を恐れるようだが、その実は真逆。
「聖杯に託す望みを持たない」からこそ、アーチャーは無償で彼女の「信念」に従っており、賭け値も無く手駒として甘んじている。
それが私利私欲に塗れた薄汚い望みであったなら、彼女の杞憂も現実となったのだろうが…………アーチャーもまた、親であった。彼女に付き従う理由など、その一つで十分だ。
二人の戦闘スタイルもあって、戦場で言葉を交わすことは少ない。
日常生活でもアーチャーは周囲の偵察を担当しているため、「日常」というものとは程遠い関係であるかもしれない。
一方で互いの人物像を把握できる程度には交友関係を築いているようで、非戦闘時には彼女を誂うような素振りも見せる。
方針や戦闘への認識、価値観の一地もあり、行動中に齟齬が発生することはほとんど無い。戦闘面ではまさしくベストマッチと言うべき相性である。
「さて。あの小僧はどうする?マスター。セイバーは最優のクラスなのだろう、ならば手っ取り早く一射にて仕留めるのが得策だと思うが?」
「ハ、ハ、ハ。この私が眩しいか。そうだな、もしこの私に妬みを抱いているのなら……我が末路を思い出せ。私が放つ光では、貴様の進むべき道は少したりとも照らせんよ」
「………………俺は矢だ。お前という弓に番えられた、一本の矢だ。故に我が命運をお前に託した……射よ。お前の決断に、この俺の全てを込める。」
キャスター:
黒瀬正峰のサーヴァント。
原典を同じくし、人の身でありながら神に挑み、そして殺されたという運命を持つ者同士。
彼女は機織りの神、アテナに対し。彼は武芸の神、アポロンに対し。己の腕に絶対の自信を持って……そして、死を迎えた。
似通った精神性を持つからこそ彼女という女を嫌い、その精神性を慮る事もない。
一方で、彼女を「蜘蛛」と罵ることなく「人」として対等に見ている(立場の違いによる態度の差はあれど)のは……偏に、その卓越した技術を評しているからなのだろう。
「……ハ、ハ。魔術師のサーヴァントと言うから、コルキスの魔女めでも召喚されたのかと勘ぐっていたが。
よもやお前だとはな、機織り女。実力主義は構わんが、行き過ぎた自信は身を滅ぼすぞ?……何、遠い昔にお前のように神に挑み、そして焼かれた愚かな男を見てきたものでね」