kagemiya@ふたば - エドウィン・ハッブル〔アナザー〕
「我が偉業、その力に於いて、この宇宙の創世を敷き直す! 即ち――――逆行運河/創世光年であるッ!」

基本情報

【出典】天文学・宇宙物理学
【CLASS】ウォッチャー
【真名】エドウィン・パウエル・ハッブル〔HST“ハッブル宇宙望遠鏡”〕
【異名・別名・表記揺れ】
【性別】男性
【身長・体重】190cm・84kg
【肌色】コーカソイド系 【髪色】濃茶 【瞳色】青
【スリーサイズ】スーパーマッスル。本当に学者ですか?
【外見・容姿】パイプを咥えている、機械を身体に組み込んだガタイの良い男。
【地域】アメリカ合衆国
【年代】1889年11月20日〜1953年9月28日
【属性】混沌・善
【天地人属性】人
【その他属性】人型・機械
【ステータス】筋力:C++ 耐久:D++ 敏捷:C 魔力:E 幸運:B 宝具:EX

【クラス別スキル】

観測眼:A

 万物を見通す神の視線。心眼、千里眼、戦術眼……「眼」に通じるスキルを遍く内包する。
 彼の眼にとって、地球惑星圏など目と鼻の先。太陽系外縁天体で漸く手足の先であり、その範囲内にあるものならば、容易に知覚し得る。

天文の番人:B+

 ウォッチャーが保有するスキル。生前仕えていた場所により名称は変化するが、概ね効果は同一。
 宇宙論の基礎を築き上げ、近代天文学に於ける重要人物となった彼は、“宇宙より降臨せしモノ”に対しての特攻性能を有する。
 直接的な戦闘能力という一面においては、同名のスキルを持つもうひとりの自分を上回る性能を発揮する。

【保有スキル】

天文学:A

 宇宙論とも。世界を取り巻くこの世の全て……無限に広がる宇宙ソラに関する知識の総称。
 この地球に存在しない物質、物体、生命体であっても、ウォッチャーは“既知のもの”として捉えて把握する。

専科百般:A

 およそ彼は、その天賦の才覚と恵まれた肉体によって、行うことの多くを非常に高水準で成し遂げてみせる。
 天文学は無論のこと、物理学・法学・ボクシング・射撃術・社交術・プレゼンテーションなど、近代人が実際に経験し得る多くの事象について、最低でもBランク相当の習熟度を発揮する。
 学生時代には多くのスポーツで活躍し、父の願いに応じて法学をオックスフォードで学び、実戦経験こそないが従軍時には短銃を見事に扱ってみせた。
 裕福だった家庭の支援もあり、彼は実に多くの事に関して優秀な成績を収めていた。

人造四肢(機械):B

 肉体が人造の機構、特に金属を中心に構成された機械となっている。主に筋力・耐久判定について「++」の補正が与えられる。
 ウォッチャーの場合、その肉体には彼の名前がつけられた「ハッブル宇宙望遠鏡Hubble_Space_Telescope」の幻霊が融合している。
 もうひとりの自分ではそれは形を持たなかったが、この霊基に於いては、機械としての性質が明確に肉体に現れてきている。

【宝具】

残光観測/遡源零域ゼロ・エンバース

ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1〜999 最大捕捉:1つ
 宇宙の膨張を理論化したことで宇宙に始まりがあるという概念を逆説的に創出したエドウィン・ハッブル。
 宇宙の始まりがあったことを立証する「宇宙背景放射」の観測に成功したHST。
 両者の功績が融合することで生み出された、始まりへと遡る宝具。エントロピー逆転による回帰とは似て非なる、もう一つの“偽:逆行運河/創世光年ビッグ・クランチ”。
 即ち、宇宙が過去から未来へと辿っていくであろう膨張過程を観測・数式化し、その方程式から膨張の始点――――宇宙卵とくいてんを逆算。
 彼の眼で捉えた特定の領域内部の物理基幹情報を書き換えることで、「演算の結果を満たす現実」を強制的に出力する。
 其処に巻き起こるのは、魔法に亜する時間遡行キセキの再演。過去の情報を成立させる為に、現在の空間が有するあらゆる事象は捻じ曲げられる。
 その変容過程には、現在四つの力によって支配されている時空間構造の逆相転移と、それに伴う粒子の再統一などが含まれる。
 現在の宇宙の理を前提にして全ての物質、全てのエネルギーが存在している以上、宇宙の理ごとそれらを書き換えてしまうこの宝具を防ぐ手立ては非常に少ない。
 例えば、上位次元である妖精郷への退避を可能とするかの聖剣の鞘であったとしても、退避する実体としての物質の再統一は防げない。
 結果として妖精郷には、粒子と力の再統一によって形成された未知の高エネルギー粒子だけが送り込まれることになるだろう。
 更に、彼は『天文の番人』スキルの影響によって、この宇宙に干渉を引き起こす実体である限り、降臨者フォーリナーに対してすらこの改変を及ぼすことが可能。
 外宇宙に存在する“本体”こそ攻撃することは叶わないが――――それがこの世界に落とした“影”を滅ぼす程度ならば、彼にとっては造作もないことである。
 そして、外宇宙への干渉さえも、やがて人類は成し遂げる。それを、もうひとりの自分同様、彼も確信しているのだ。

【Weapon】

ボクシング

 プロへの転向を勧められる程の腕前を持つボクシングは、若い頃の肉体で顕現したことで十分に威力を発揮し得るようになった。
 名だたる英霊を相手にするには心許ないが、『人造四肢(機械)』のブーストを受ければ、一時的な防戦程度ならば可能であろう。

スプリングフィールド M1903 ライフル

 第一次世界大戦当時、米国陸軍で正式採用されていたライフル。彼はこれを扱い、射撃訓練において標的の中心を10射連続で射抜いたとされる。
 専門の狙撃手には劣るだろうが、中距離戦闘においても戦闘が不可能という訳ではない。面と向かっての戦闘となれば、これを用いることがあるかもしれない。

【解説】

 エドウィン・パウエル・ハッブルは、19世紀から20世紀を生きた天文学者。その功績は主に、現在ハッブルルメートルの法則として知られる、宇宙の膨張を証明する赤方偏移を発見したことにある。
 この他、アンドロメダ銀河(当時は星雲と呼ばれていた)と銀河系との距離測定や構造体としての銀河が多数存在することの主張、そして発見された多数の銀河の分類などを行ったことでも知られる。
 これらの功績は、現代における天文学、或いは宇宙物理学、宇宙論の領域に於いて重要且つ必須の前提とされており、その意義や貢献の度合いは計り知れない。
 特に、彼が提唱した宇宙の膨張係数ともされるハッブル定数は、彼が生前発表した数値こそ誤差が大きかったものの、その概念自体は現在も継続して用いられ、適宜修正されて最新理論にも組み込まれている。

 なお、裕福なハッブル家に生まれた彼は多くの才能と屈強な肉体に恵まれ、ボクシングや陸上競技などでも優秀な成果を残し、更に実戦こそしなかったが少佐にまで昇格した軍人でもあった。
 僅か16歳でシカゴ大学への入学を許可されるなど、その頭脳の明晰さも際立っており、まさしく超人的なまでの多芸ぶりと優秀さを発揮していた人物である。

 この霊基では、そういったより「史実的な」ハッブルの側面が抽出され、同様に、彼の名を受け彼の功績を証明する証拠を観測したHSTの「史実的」側面と合わさっている。
 具体的に言うと、もうひとりの彼が「外宇宙すら観測し解明する人類の指向性」を体現したものであるのに対し、彼は「世界を支配する法則を解明した偉業」を体現している。
 無限遠の彼方に広がる「外」を対象とし、其処に在る者を解明するという進歩を暗示するのがあちらのハッブル。
 人の眼が及ぶ範囲、「内」に現れ出る実体としての力を否定し、人理を守護するのがこちらのハッブルとでも言えようか。
 そのどちらもが、人類史に刻まれたハッブルという英霊の意義。
 それ故に、この霊基は「オルタナティブ」即ち同一存在の別側面ではなく、「アナザー」即ち同一人物のもうひとつの可能性として定義される。

【人物・性格】

 自身の人生に於いて挫折らしい挫折を知らず、ほぼノンストップで自身の望むように生きてきた史実的ハッブルは、しかし、意外なことに自制の効くタイプの才人である。
 一般的に見て問題行動とされるような振る舞いも自分には許されると、無意識的に考えがちな傲慢さは確かにある。
 まさに、恵まれ通した彼の人生観を如実に表した考え方であるのだが、その一方で、恵まれた環境はこれを維持する為に大変な労力を要することは理解している。
 それは、厳格であり、自身の意思にはそぐわない意見も出してきたが、出費を惜しむことなく学びと遊びをさせてくれた父の姿をよく記憶しているからかもしれない。
 または、我が子を流産してしまったことさえも自分の研究を邪魔しないように秘密にする、それほどの献身を見せてくれた妻のことをよく理解しているからかもしれない。

 ともあれ、基本的に彼は、典型的な「研究第一主義」的科学者であり、理論よりも行動と観察を優先する実践者でもある。
 自身の興味が何よりも優先するタイプの人間であって、大体他の事については大した注意を払うこともあまりない。
 また、若かりし頃の精力的な活動意欲と肉体的体力、そして軍士官として培った人を動かす手管によって、自身の望む結果を引き出す為ならば努力を惜しまない。
 となれば世俗的な栄誉だとか金銭だとかについても興味がないのかと思いきや、人並みには欲があったりする。
 研究に活かしたり家族を養ったりする上で必要ならガンガンそれに費やしていくが、そうではないなら良い生活を送りたいとも考える。
 が、そうした割りと傍若無人な振る舞いを常とする彼は、英霊となった今もなお未来を見据えている。
 観測に忠実に、より正しく、より合理的な世界の記述を。言葉にすればそれだけの理想こそが、彼の思考中核をなす根本原理である。

イメージカラー:果てしない宇宙の星色
特技:魔術以外のことなら大体なんでもいい感じにこなせること
好きなもの:パイプ、ブルーベリー
嫌いなもの:過ちに固執する者、剽窃をやらかすクソルンドマーク野郎*1
天敵:妻*2
願い:最新技術を存分に使って天体観測をし、更にその成果によってどでかい論文を一本書きたい。

【一人称】私 【二人称】君、お前 【三人称】彼、彼女、その他5W1Hに合わせて使い分け

【台詞例】

「その通り、この私こそがエドウィン・ハッブル。地球ホシを超え、宇宙ソラの彼方を捉えたもの。我がマスターよ、君も宇宙に魅入られたか?」
「星の瞬きは、何千万年何億年もの過去から送られた便りだ。それを読み、解き明かすことこそは、夢のようにロマンティックなことではないかね?」
「何、ルンドマーク。はっはっは。マスター、その名前は二度と私の前で口に出すんじゃあない。いいね?
 ……しかしあんにゃろめが私がもう少し若くて分別がなかったらぶちのめしていたかもしれんものを命拾いしたな」
「天体観測をするなら、やはりしっかりとした望遠鏡があった方が良い。しかし、それがなくとも、我々には眼球という生まれ持ってのレンズがある。
 我が身体に組み込まれたハッブル宇宙望遠鏡にまでは及ぶまいが……澄んだ夜空を見上げるというのは良いものだぞ、マスター」
「無尽の銀河、果てしなき宇宙、全ては彼方へと遠ざかっていく。それ故に、時を遡れば、全ては此方の一所に収斂する。
 さあ、今こそ我が偉業を見よ。源へと遡り、ゆらぎ起こりし零の領域にて、創世の残光は世界を覆う!
 『残光観測/遡源零域ゼロ・エンバース』――――!」

因縁キャラ

エドウィン・ハッブル:もうひとりの自分
 同一人物ではあるが同一存在ではない者。英霊の座が定義した、エドウィン・パウエル・ハッブルという人間の可能性。
 無限の宇宙に託された憧憬を束ねたことで、幼い姿で顕現したあちらは、宇宙の外を観測し解明することに特化している。
 自らの役目は、自分のような存在が宇宙を解明するその瞬間まで、人類を守護することであると、彼は己を定義している。
ウィリアム・ハーシェル:偉大な先人
 天文学における偉大な先達。特に、彼の為した星雲のカタログ化や銀河系の大きさの推定という功績が、現在の自分の学びに繋がる基礎となっていることに、深い敬意を示す。
 一方で、彼が全ての天体に生命体が存在すると信じたことや、音楽と天体を結びつける理論を考えていたことについては、率直に否定的な意見を述べる。
 先達だからといって自分の意見を言わずに黙るほど、ハッブルという人間は遠慮を知っている訳ではない。
ジョルジュ=アンリ・ルメートル:同時期の科学者
 赤方偏移による宇宙の拡大を、自身の観測データを用いて自身よりも先に明確に理論化した一人。
 社交界にも顔が広く積極的な活動を行ったハッブルの名が世界的に広まったことで、この理論は当初「ハッブルの法則」と呼称されていた。
 しかし、近年の研究者たちの会議において「ハッブル=ルメートルの法則」への改称を勧めることが決議され、ルメートルの功績もまた見直されることになった。
 これに関して、ハッブルは素直な賛辞を述べているが、同時に「その理屈でいくとフリードマンの名前も増えることに成るのか……?」と自身の名前がどんどん一パーツに追いやられていく可能性を危惧している。
 とはいえ、ルメートル本人に対してどうのこうの言うことはなく、もしも出会うことがあれば同輩として研究談義に花を咲かせることもあるかもしれない。

【コメント】

銀河がどうのこうのと聞いたので今更ながら。