ケツァル・コアトル:天敵。
彼女の姿を借りてはいるが、その性質は全くの逆。
アステカ文明を滅ぼした者として、彼女からは猛烈な殺意と敵意を向けられていることだろう。
一方で此方が覚えていることはなく、その怒りに対しては乾いた笑いを返すことしか出来ない。
「……これは貴方の望んだ結末かしら?ミセス。今の仕事が終わったら、この忌々しい姿を捨てて、骨だけになって働くのも悪くはないかもね」
クリストファー・コロンブス:先輩。
本来の自分と重なる、野望と欲望を以て未知を開拓するコンキスタドール。
尊敬も信頼もしないが忌むこともない。ただ単純に「征服者の魁」として、彼のことを意識の片隅に置いている。
フランシスコ・ピサロ:後輩。
自分と同じく、インカ帝国という文明と神話を破壊せしめたコンキスタドール。
彼の所業にはコルテスが関わっている部分も多く、その所業にはコルテスのアドバイスによるものも存在した。
鋼星のターミネーター:同僚。
星喰の端末。人が生み出した破壊者にして厄災。ターミネーターの名を与えられた終末機構。
無垢に振る舞う姿に僅かな負い目を感じるものの、その役割遂行を促すことも、真名を明かすこともなく、ただ歩み寄ってきた彼女の頭を撫でる。
「…………そう。お腹が空いたのね、グゥ。お菓子が良い?それともパンが良いかしら。好きなだけ食べていいのよ……私には、このくらいしかしてあげられないから」
ガイセリック:性質を同じくする破壊者。
彼の成した「文明の破壊」。国という一つのカタチを崩壊せしめ、征服した彼の在り方は、少なからずコルテスに影響を及ぼしている。
差し伸べられた手が“破壊”の具現であることを知ってか知らずか、彼に“歩み寄る”事はない。踊りの誘いを躱す淑女のように、眉を顰めて微笑を漏らす。
「手を差し伸べてくれてありがとう、破壊王。でももう、私の手は銃以外の握り方を覚えてないの。いつかまた、文明の絶えた世界で会いましょう」
エルナン・コルテス:本来の自分。
彼から浪漫と、欲望と、開拓への意志と、自我を抜き取り効率性を加えたものがこのターミネーター。
見ていると胸が締め付けられるように痛い。しかし痛みを「苦痛」と感じるほど、彼女に人間性は残されていない。
夢のために邁進し、欲のために知略を巡らせ、時には躓く彼を見ながら、彼女はただ引き金を引く。
「
行きましょう、私。銃弾は一人に付き一発ね」