エフセルテッカテ(エフセルテグの子孫の意味)家のヘミュツと小人の妻ビツェノンの間にできた子だが、両親の関係はシュルドンという
悪戯者に壊されてしまう。
別れ際にビツェノンがヘミュツの背に息(あるいは唾)を吹きかけ、バトラズはそこにできた瘤から生まれた。
ナルト全体の女主人である
サタナに取り出されたバトラズは、その鋼鉄の身体から火を発して飛び出し、海に飛び込んで海を蒸発させたとも、八階建ての塔の上から床を次々とぶち抜いて最下層の七つの釜に飛びこんだとも言われている。
まだ子供のうちに、自分より強い相手と出会うことを考えたバトラズは、天上の鍛冶師クルダレゴンを訪ね、鋼鉄の身体にさらに焼きを入れて鍛えてもらうことにした。
竜蛇の炭によって熱された身体を冷ますために海に飛び込んだが、海水が乾上がるのが早すぎたために腸の一部だけは焼きが入らず、そこが無敵の肉体の唯一の弱点となった。
基本的には天上や海底などのナルトの村から離れたところに住み、ナルトに危機が迫ったり、ナルトの間で良からぬことが行われたりすると現れて無敵の蛮勇を振るった。
戦いにおいては常に勝利し、それどころか傷をつけられた描写すらない。
ナルトですら力ではまったく敵わない巨人を殴り殺したり、他のナルトが怯えるしかない悪魔を殺すなど、他のナルトとは明らかに格の違った強さを発揮する。
ある時、ボラテ家という豊かで物持ちの一族の者が、積年の恨みからヘミュツを殺すことを画策する
*3。
力では敵わないことは分かっていたので、知り合いのサイネグ・エルダルに手伝ってくれるように頼み込む。
さらにシュルドンが、エフセルテッカテ家の中でもヘミュツやバトラズの立場や力量を妬んでいた連中を扇動した。
それにより、狩りの最中に隠れ潜んでいたサイネグ・エルダルに襲われたヘミュツは、応戦するも最終的に殺されてしまう。
それを知ったバトラズは憤怒にとらわれ、母ビツェノンが村から追い出されたという過去の出来事も持ち出し、ボラテ家のみならずナルト全体が共犯だとして復讐を始めようとする。
「天上の智慧」と形容される超常的な智慧を持ち、未来を見とおす力を持つ義母サタナは、その復讐がバトラズの破滅につながることを知っていたために押しとどめようとするも、愛する義母の言葉もバトラズの怒りを収めることはできなかった。
母への侮辱と父の血の償いだとして無理難題をふっかけてナルトたちを苦しませたバトラズは、「お前たちといるのはつくづく嫌になった」と言って茨をあるだけ集めさせ、その上に座ると火をつけさせた。
これでバトラズも死ぬだろうと安心したナルトたちだったが、バトラズは身体が十分に熱せられると飲み水に使う泉に飛びこんで干上がらせ、ナルトたちに乾きの苦しみを与えた。
子供と老人たちの説得により水は戻したが、ナルトたちは全ての希望を失い絶望した。
ナルトたちの窮状を見たシュルドンは莫大な報酬を約束させたうえで、ヘミュツが殺された裏で糸を引いていたのは精霊と天使たちだとバトラズをそそのかした。
それを聞いたバトラズは己を矢に縛り付けると、精霊と天使たちがヘミュツの魂を裁いているワルプの砦に向かって射るよう命令した。
矢とともに飛んでいったバトラズは砦を粉砕すると、剣を抜いてほとんどの精霊と天使たちの手と翼を切り落とした。
さらに、この日から精霊と天使たちを目の敵にして、迫害するようになった。
精霊や天使たちは「このままでは我々は殺され尽くしてしまう。バトラズに死をもたらしてくれ」と神に訴えた。
しかし神は「バトラズは私の意思によらず地上に生まれた。その者の死は私の力を超えている」と答えるばかりであった。
だが、ついに神はバトラズに対してありとあらゆる種類の病や苦しみを与え、自ら死を願うように仕向けた。
ついに死を決意したバトラズは、かろうじて生き残っていたナルトたちに対し、「自分は死ぬことに決めたが、自分の剣が海に投げ込まれないうちは死ねない運命だ」と伝えた。
バトラズに一日も早く死んでもらいたいと思っていたナルトたちだったが、バトラズの剣はあまりにも重かったためにどうしていいのか分からず、何もしないまま「剣を海に投げ込んだ」と嘘をついた。
それに対してバトラズは、「どんな不思議なことが起こったか」と尋ね、ナルトたちが「何も起きなかった」と答えると、「それならまだ剣は海に投げ込まれていない。投げ込まれれば必ず不思議が見られるはずだ」と言った。
ナルトたちはバトラズを死なせるためには、どうしても剣を海に投げ込まなければならないことを悟り、何千頭もの獣にそれを引かせたうえで、自分たちも全力を振り絞って、ようやく剣を海まで引いて投げ込んだ。
するとたちまち海が波立って暴風が起こり、海水がいったん蒸発したあと、血のような真赤になったので、この不思議を見て驚いたナルトたちは大喜びして帰り、バトラズに見たままを告げた。
これを聞いたバトラズは、今度は剣が本当に海に投げ込まれたのを知り、満足して絶命した。