阿弖流為
「ああ……。あいつに対する感情程、複雑な物はねぇ。
あいつ程人間している奴は今まで見たことが無かった。あいつとの斬り合いは確かに楽しかった。
だが、俺が奴と戦ったがせいで、奴は悪鬼と揶揄され、尊厳を嗤われ死んでいった。俺はそれが悔しくてたまらない。
しかしだ。俺はそれでも、それでもアイツともう一度、剣を取り合って勝負したい。そう……、俺は考えている」
彼が征夷大将軍となり打倒した"北天の鬼"。自分が今まで出会った武人の中で最高であったと語ると同時に、
後世での彼の扱いを見るに非常に複雑な感情を抱いている。爽快な彼が表情を曇らせる数少ない相手(もう一人は鈴鹿御前)
鈴鹿御前
「本当に……本当にすまねぇ鈴鹿ァ!! 俺は……俺はお前と……! 共に大獄丸を殺すって……言ってたのに!!
お前の信頼を! 苦労を!! おれはちっともわかってやれなかった!! どれだけ詫びても足りないと思っている!
……え? キニシテナイ? ぁ〜〜〜……、うぅ……ぅえーっとぉ……、そ……その、本当に……良いのか?」
出会うと同時に地面にめり込むほど頭を下げる相手。かつて共に戦った相手で、最後が勘違いからの自分の手による殺害だから、
例え相手に許されても非常にやり切れないやきもきした状態となる。だが一度戦闘になれば背中を互いに任せ合える最愛のパートナー。
…………なのだが、彼女に感じている感情は"愛"というよか"信頼"に近い感情であることは内緒。人の妻もいるし……浮気よくないし……
大獄丸、悪路王、魏石鬼八面大王、金平鹿、阿久良王
「ハッ! 知らねぇなぁぶっ倒した人間でもねぇ連中の事なんざ。神秘は消え往くのが常ってなァ
んまぁそれでも、だ。どいつもこいつも強敵だったのにぁ変わりねぇぜ? 大獄丸のヤローなんざ、
きっと鈴鹿の援護と協力が無かったら……打ち倒せなかっただろうからな」
彼は人は好きだが、鬼となると例え芯が通ってようと無かろうと問答無用で侮蔑する。
ただしその強さには一定以上の敬意を払う。だがその強さが、人からの略奪の上に立っておるのならば容赦はしない。
源頼光
「ほぉーぉ。お前さんが俺の後代の神秘殺し? いい面構えしてんじゃねぇか。俺に似て整ってる。
だがまぁ、その陰気臭さは直した方がいいぜ? おまけになんだその刀……ってそれ元オレんじゃねぇか!?
俺の刀にこんな魔改造加えて! こんな事してまで自分追い詰めてると、いい男が台無しだぜ?」
後輩のようなもの、彼の跡を継ぐ平安最強の神秘殺し。自分のかつて使った血吸(後の童子切)を使って、
自分を追い詰め続けて神秘を討つ彼を見て、田村麻呂も若干思う所は在るらしい。