1-3:訓練編

初公開:2014/03/27

【K.N.C 175年 会議所 wiki図書館】

オニロ「おお!すごい本の数だ!!」

埼玉「ここは大戦に関するありとあらゆる書物が収められているんだたま」

抹茶「大戦での詳細な事件や出来事が記された本や大戦指南本は勿論のこと、
きのたけ兵士が自分でつくった料理本、はては漫画や雑誌などなど。それこそ何でも置いてあるね」

アイム「とりあえず本を詰め込んでるだけじゃねえのか?」

陳列した書物の棚を前にして嬉しそうに走り回るオニロを尻目に、アイムは呆れたようにつぶやく。

参謀「そうとも言える」

アイム「うおッ!?」

そう言って棚から顔を覗かせたのは、wiki図書館館長の参謀だった。

埼玉「参謀か。びっくりしたたま」

参謀「驚かすつもりはなかったんやが。久々の来訪者に嬉しくなったんよ」

アイム「そんなに人は…来てなさそうだな、確かに」

広々とした空間だが人の気配がない。書物は規則正しく整頓されていて、
室内の広さを十二分に感じることができるが、それが返ってガランとした空間の寂しさを強調してしまっている。

参謀「最近は特に人がこんなあ。前まではけっこうおったんけどな」

抹茶「そういえば最近は会議所自体に足を運ぶ兵士が減った印象を受けますね。
会議の時なんか、昔はよく一般の兵士が本部棟に出入りして参加しに来ていたのに」

あんな調子で会議していれば人が来なくなるのも当然なんじゃないか。
とは、さすがのアイムでも言葉には出せなかった。

【K.N.C 175年 会議所 教練所】

山本「ようこそウジ抹茶ども。私がペーペー=山本先任軍曹である。語尾にはサーとつけろ!」

オニロ「サーイエッサー!」

アイム「…またたけのこ軍か(ボソッ)」

山本「うわ傷つくなあ。まあ気持ちはわかるけどね。先日の会議で会ったと思うけど、改めて自己紹介を。
俺は山本教官だ。お前たちのような戦闘の“いろは”も分からない新米兵士を一人前に鍛えて
戦場に出すことを生きがいとしている」

山本「早速だが、お前たちを来たる『第175次きのこたけのこ大戦』に出てもらうために、
今から急ピッチで訓練をこなしてもらう!残念だがこれは決定事項だ!逃げは許さん!」

アイム「へぇ。逃げも隠れもするもんか。何の訓練だか知らんが、いいぜ来いよ。素手で語り合おうぜッ!」

オニロ「おお。アイムの心に火がついている」

山本「フハハ、よかろう。まず始めの訓練は…これだッ!」

【K.N.C 175年 会議所 教練所】

山本「…えー。では、オニロに問題です。
K.N.C歴120年から合計で大戦を3回行いました。大戦後はK.N.C歴何年になるでしょうか?」

オニロ「K.N.C123年です教官!」

山本「よくやったウジ抹茶!座れ」

オニロ「サーイエッサー!」

アイム「…訓練て座学かよ…」

山本「会議所の仕組みを知ることも、今後兵士になる上での糧となる。疎かにはできん!」

アイム「へいへい」

山本「先に説明したとおり、この世界では『きのこたけのこ大戦』を開催することでK.N.C暦が1年進む。
逆に、大戦が開催されないかぎりいつまで経っても次年度には進まないということだ」

山本「大戦はどのように開催されるんだ!そこのむくれているアイム!」

アイム「…『大戦会議所』がきのこたけのこ大戦の運営・管理を仕切っている。
開催直前になると、会議所がアナウンスを行い、大戦場に兵士を呼び寄せる。
当日になっても一定の人数が集まらない場合、その日の大戦は延期される」

山本「小憎たらしい態度を取っているわりには、しっかりと覚えていて優秀だな!座ってよしッ!」

アイム「…」

山本「我々会議所は、まず大戦の開催を第一に考えて行動している。大戦の開催のためには、人を集めなければならない。
人を集めるためには、大戦に参加してもらう気持ちを持ってもらわなければならない」

山本「大戦に参加してもらうためには、こちらが考えたいろいろなルールの下で飽きることなく
両軍が両軍を憎しみ合い戦い続けてもらう必要がある」

会議所とは、両軍兵士をアシストする踏み台のようなものなのさ。
困ったように、だが楽しげに語る山本には、会議所兵士としての誇りが感じられた。

オニロ「先生質問です!」

山本「どうしたオニロ。いつもなら先任軍曹である私の話を遮るなど言語道断だが、特別に許してやる」

オニロ「歴史の勉強はまだですか!」

山本「歴史…?」

赤子が見よう見まねで言葉を真似するように反復した山本は、ようやくその言葉の意味に気づいたように「おおっ」と声をあげて
両手を叩いた。

山本「そんなものは必要ないッ!我々は常に先を見据えて進まなくてはいけないのだ!過去を振り返っている余裕など無いのだ!」

どうやらこの会議所に「歴史」という概念は存在しないようだ。先ほどwiki図書館を訪れた際に、一冊も歴史の書物が置かれていないことに
オニロはがっくりと肩を落としてうなだれていた。オニロほど歴史に関心があるわけではないが、アイムはここに奇妙な“違和感”を覚えた。
だが、目の前で自らの思いを口にするのは鬼教官の火に油を注ぐだけであるのは明らかなので、アイムは黙ったまま話を聞いていた。

オニロ「先生もうひとつ質問です!」

へこたれずにオニロは再度挙手して山本を仰ぐ。懲りずによくやるもんだ、と半ば呆れ気味にアイムはオニロと山本のやりとりを眺めることにした。

山本「どうしたオニロ。この先任軍曹の私に二度も質問するとはいい度胸だ!今日はマラソン50周で許してやる」

オニロ「先生みたいに会議所に長くいると同じ境遇のきのこ軍兵士と接する機会も多いですよね。
その中で、きのこ軍に対する憎しみが和らいだりはしないんですか?」

山本「しないね。残念ながら、きのこは大嫌いだ」

山本の即答に、途端にアイムの顔つきが厳しくなる。

山本「昔からきのこはどうも合わなくてね。最初に会議所に来たのも、
生意気なきのこの野郎どもをこらしめるためだったのさ」

遠く窓の外を眺めながら、山本は自らの過去を振り返る。

山本「だが、ここは驚くほど両軍同士が寛容的でね。拍子抜けしたよ。そして、いろいろと関わっていくうちに、
きのこ軍の奴等にも良い人や尊敬できる人が数多くいることにも気がついた」
山本「全てが新鮮だった。自分の中での価値観が日々変わっていったよ」

でもね、と山本は続ける。

山本「不思議なことに、そうしてお互いのことや大戦のことをよく知れば知るほど、これまで以上に
『きのこ軍自体への憎しみ』は高まっていったんだ。
自分がたけのこ軍兵士であることへの拘りが強くなったからかもしれない」
山本「会議所とは不思議な空間だ。ときどき、どうして自分はここにいるのかと思い返すこともある。
ただ、会議所兵士と関わっていくうちに自分は会議所に関わっている兵士の一員であると同時に、
たけのこ軍兵士でもあることに気付かされる」

−自分は何者なのか?−

道を踏み外しそうになった時や困ったときには、そう自問自答するようにしているよ。
君たちも普段から心のなかで問いかけていれば、いつか全てを思い出すかもしれないね。
山本はそう語り、朗らかに笑った。

【K.N.C 175年 会議所 教練所 中庭】

山本「おらあ!もっと腰を使えッ!」

アイム「ハッ…ハッ」

山本「そんなヘナチョコな振りじゃ、たけのこ軍兵士は一人も倒せんぞッ!素振り500回追加!」

アイム「ちくしょーーーーーーーーてめえなんかすぐにぶっ倒してやるよーーー」

山本「いい心意気だが100大戦分早い。追加で素振り100回追加だ」

山本「オニロも同じく!きのこ軍兵士を倒したかったら手の軸を動かさずに素振りをすることを心がけろ!」

オニロ「はいッ!」

...
....
??「ほう。なかなかスジがよさそうだな。これならば…」

791「どうかしたの魂さん?」

筍魂「うおッ!791さんじゃないか、どうしたの」

791「柱に隠れてコソコソ中庭観察している姿は、すごく怪しいよ」

筍魂「むう。まさか戦闘術魂の極意・『こころのめ』が見破られるとは」

791「いや。それ実際の目で見ているんじゃ…
ああ。そうだ、アイム君とオニロ君は山本さんの訓練を受けてるんだよね?」

筍魂「はい、そのようですが。まさか、先日の戦士適正検査の結果が来たんすか?」

791「そうだね。フフフ、私にもついに弟子ができそうだよ」

筍魂「ついにきのたけの大魔法使いが動き出すのか(震撼)」

【K.N.C 175年 会議所 ¢の部屋】

¢「こんなところまで呼んで悪い。戦士適正の結果が出たから、伝えておこうと思って」

アイム「随分と歩かされたな。こんな本部棟から離れたところに部屋があって不便じゃないのか?」

¢「いろいろなものを構築・開発するには、静かな場所に身を置くのが最適なのさ」

¢「さて、検査の結果、アイムは“戦士適正”としての数値が高く、オニロは“魔法適正”の数値が高かった」

オニロ「魔法かあ。今までの素振りが無駄になっちゃうのかな?」

¢「そうとも限らない。鍛錬で研ぎ澄まされた感性は、戦地において重要な武器となる」

アイム「戦士と魔法使いの違いがよくわからないんだが」

確かに、と¢は頷きさらに説明を続ける。

¢「一口に“戦士” “魔法使い”と表現しても、そこから更に分類分けされる。よく『兵種制』にたとえて表現するんだが。
ああ、兵種制とは我々会議所が大戦で用いているルールの総称だ」

アイム「山本教官から聞いているからわかっているよ」
¢「兵種を理解しているのならば話は早い。
戦士・魔法適正はさらにそこから5タイプに分類分けされる」

¢は、近くのホワイトボードをたぐり寄せ、兵種を書き始めた。


○戦士 分類分け
『突撃兵』タイプ … 防御を捨てても、攻撃力特化で敵陣の突破を図る.  一点突破/猪突猛進
『狙撃兵』タイプ … 接近戦ではなく、遠方から静かに敵を屠る.  スナイパー/接近戦弱
『爆撃兵』タイプ … 地雷設置や敵への強襲などで、敵の戦力だけでなく精神力まで削る.  設置作業/通常攻撃弱
『防衛兵』タイプ … 重装備で、敵の強大な一撃をも受け止める.  防御力大/攻撃力弱
『援護兵』タイプ … 特徴を持たないことが最大の特徴. 臨機応変に対応できる.  全タイプの行動可/器用貧乏

○魔法使い 分類分け
『前線兵(近接魔法)』タイプ … 近接魔法によって前線で敵を屠る.
『砲撃兵(遠隔魔法)』タイプ … 前線の兵をアシストする魔法を繰り出す.
『衛生兵(僧侶)』タイプ … 回復魔法に特化したタイプ. 後方支援での活躍が主となる.
『工作兵(補助魔法)』タイプ … 前線で攻撃をしつつ敵の罠も解除する、非常に危険な役目を担う.
『制圧兵(攻撃特化)』タイプ … 近接魔法と遠隔魔法を持ち合わせた攻撃特化タイプ. 反面、補助魔法はほとんど使えない.

¢「ざっとこんなところだ。同じ適正内でも、タイプによっては戦法や戦うフィールドが異なる」

オニロ「タイプは自分で決めるものなんですか?」

¢「自分で特定のタイプになりたいと強く思って選んでいる者もいる。
だが、大半の人物は鍛錬や実践での経験を積むうちに、自らのタイプ適性を見極められるようになり、
タイプ特化の訓練に励むようになる。お前らもおそらくそうなるだろう」

アイム「オレは突撃兵タイプかな」

¢「全てはこれからの経験次第だ。人によっては好戦的な性格でいながら、
衛生兵として後方支援を行うものもいる。こればっかりはなんとも言えんよ」

¢「ああ。オニロ、お前は今日からアイムとは別メニューだ。
お前を一人前の魔法使いとして鍛えたいと名乗り出ている兵士が一人いてな。そいつの下で励んでほしい」

オニロ「了解」

アイム「オニロが別ってことは、オレもあの鬼教官から離れられるのか!?」

¢「お前は引き続き鬼教官の下で血反吐を吐くんよ」

アイム「がああああああああ!!」

【K.N.C 175年 会議所 791の部屋前】

オニロ「ここが大魔法使いの部屋か…」

緊張した面持ちのオニロが部屋の扉を叩くと、間髪入れずに扉はひとりでに開いた。

オニロ「これは、入っていいってことかな?」

辺りを見回しながら、おそるおそるといった感じでオニロは部屋の中に入る。
物が整頓され清潔感が保たれた内部は、同じつくりである¢の部屋よりも広く感じられた。

オニロ「あのー。791さんがここにいると聞いたんですが…」

部屋の主は不在のようだった。オニロは困ったように部屋の内部を見回す。

−きのたけの大魔法使い791 通称・『魔王』それがお前の師匠だ−

¢の口からそう告げられた時、オニロは期待よりまず不安を覚えた。
鬼教官と呼ばれる山本が唯一頭の上がらない人物、その人が791だというのだ。
ただでさえ厳しい訓練を強いる山本がひれ伏す人物となると、自分は訓練中に死んでしまうのではないか。
オニロが覚える不安は至極当然のものだった。

791「ああ、来ていたんだね。いらっしゃい」

オニロ「!?」

考え込んでいたオニロが視線を前に向けると、先程まで誰も座っていなかった椅子に一人の兵士が座っていた。
片手にはマグカップを持ち、柔和な笑みを浮かべる様子からは、とても山本よりも厳しい人物だとは感じられない。

791「ごめんごめん。コーヒーを煎れにちょっと下の階まで行っていたんだ」

オニロ「は、はい」

目の前で起こった事態に目をパチクリとさせながら、オニロはただ生返事を返すだけである。

791「山本さんから話は聞いているよ。今度の新人二人は腕がいいらしい、とね」

オニロ「は、はい」

791「その内の一人の魔法適性が高いと聞いてね。この間の会議は欠席しちゃったし、
君たちがどんな人物なのかわからなかったけど興味があってね。
せっかくの機会だから弟子を持ってみることにしたんだ」

オニロ「は、はい」

791「…そんなに緊張しなくていいよ?」

話が頭にはいっているのかいないのか、ガチガチになりながら返事をするオニロに、
791は訝しげな視線をおくるも、すぐに「ああ、そうか」と納得したように手を叩いた。

791「空間移動術を見るのは初めてだったのかな?ごめんごめん、驚いたよね」

791「それに自己紹介もまだだったね。私はたけのこ軍兵士 791、魔法使いだ」

オニロ「お、オニロです。たけのこ軍兵士 魔法使い見習いです。よよよろしくお願いします」

【K.N.C 175年 会議所 その頃の教練所】

山本「また会えて嬉しいぜッ。死ぬほど鍛えてやるからなあ!」

アイム「ふっざけんなーーーーーーー」

筍魂「ふむ。腕をよく使えた実に良い振りだ…」(こころのめ

1-4.会議編〜初めての占い〜へ。
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