東京外国語大学の総合科目「生涯学習論」を受講している学生のフォーラムです。生涯学習の理論と実践に関心のある方なら誰でもアクセスできます。


 この反原発運動に関する新しい映画は、印象的かつ緊迫的な手法でドイツにおける原子力エネルギーに反対する数十年間の闘争を描写している。主役は70年代から現在まで建設現場や鉄道線路で闘ってきた無数の人々である。集会・デモ、阻止行動、抗議を始め考えられる限りの抵抗の形態と戦後ドイツ最大の院外闘争の政治的対決過程が次々に映し出されている
 75分間の非商業主義的映画の全体を通じて製作者たちが語るのは、活動家として自分たちが直接参加してきた、そして今も参加している抵抗についてである。この映画は2011年3月11日のフクシマでの大原発事故をきっかけとして《アルトナ博物館を残せ!》という市民運動体の内部に結成された独立したビデオグループによって製作されたもので、まさに原子力エネルギーおよびそれが全世界の人類に及ぼす運命的帰結を阻止しようとする勇気を与えてくれるものだ。
 映画は年表的な時間的順序ではなく、むしろ「情緒的な秩序」に従って構成されており、それゆえに緊迫性に満ちている。事件ごとに完結するかたちで編集されている。まず初めに1973年から77年までのヴィールでの闘争が、続いて77年から現在まで続いているゴアレーベンが描かれる。それに続くのが周知のグローンデにおける1977年3月19日のデモである。さらにブロックドルフとヴァッカースドルフにおける事件の非常に興味深い活写が続く。他にも、例えばフランスでのキャニスタ反対闘争を始め、多くの抵抗運動が紹介されている。映画は多様な抵抗形態を、優劣をつけることなく列挙しており、特定の抵抗形態を推奨したり、特定の知恵や処方箋を宣伝したりするものではない。せいぜい活動家たちの発言を提示するだけである。これまで全く紹介されることのなかったか、ほとんど知られてこなかった多くの抵抗活動の場面を見ることができる。映写され、語られていることのすべては記録表現である。
利用した映像は、独自に撮影したものだけでなく、何百もの反原発運動の記録映像、州文書館所蔵の映像、テレビ局提供の映像も使用した。これら資料を提供してくれたことに感謝したい。
 この映画の努力目標は、社会を支配する不正な秩序の変革にささやかな貢献をなすことである。送電塔の高いコンクリート基盤が何を意味するかは抵抗を通じて少数の人にわかるようになる。このことが示しているのは、今回の映画の重要性である。この映画は上述のような情報が歴史的に隠蔽されることを防止するものだからだ。私たちがこの映画に込めた思いの一つは確実に達成できた。上映後、人々は映画を通じて喚起され、強く関心を持つようになった事柄に関して討論した。これまでになく真剣で深く感動させる対話が生まれている。印象的なのは映画が特に若い人々に対しても訴求力をもつことである。
 
















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