【しずるさんと偏屈な死者たち The Eccentric Dead In White Sickroomの紹介】
「ねえ、よーちゃん―この世界には不条理としか思えない謎がいくつもあるわね?」しずるさんはそう言うけれど、私には彼女こそ、この世で一番謎めいてみえる―何年も病床にありながら、とても綺麗で、この世の誰よりも聡明で―どんな不可解なおぞましい殺人事件の数々も、彼女の前では只のごまかしになってしまう―妖怪化したり、宇宙人に狙われたり、幽霊犬に襲われたり、吊られたりする死体の謎を病室から外に出られない少女の推理が解き明かす、これはすこし不気味で、かなり奇妙で、ちょっと切なげな、少女たちの不思議な冒険をめぐる物語です。
【しずるさんと底無し密室たち The Bottomless Closed-Rooms In The Limited Worldの紹介】
「ねえしずるさん、密室ってなんなのかしら?」「そうね、よーちゃん、それはきっと、どんなものでもごまかせると思い込んだ人間の、つまらない錯覚なんでしょうね―」白い病院にずっと入院中の少女と、その友人のこの二人は、今日も今日とて退屈しのぎに不思議な事件を追いかけています。それは人の血を吸ってミイラにしてしまう吸血植物の謎とか、七人の一家を皆殺しにしたという七枚のカードに秘められた呪いの秘密とか、死んだはずの人が祭りの中で同時に別々の場所で目撃される怪奇とか、鳥のように空飛ぶ怪人の話とか、奇妙奇天烈な怪事件ばかりです。しかもそれらは、全部“密室”の事件なのです―扉も壁も鍵も、部屋そのものさえないのに“密室”って?これらの不可思議な事件を、彼女たちはどうやって解き明かすのでしょうか―ひとりは病室から一歩も出ないのに。
【しずるさんと無言の姫君たち The Silent Princess in The Unprincipled Talesの紹介】
「よーちゃん、人は死ぬものよ。それはたとえ、どんなに綺麗なお姫様であっても例外ではない。そして死んだ者は、もう何も語ることはないのよ」しずるさんが静かにそう語るとき、どんなに不思議な事件でも、それはもう解決している―でも彼女がほんとうに知りたいことは何なのか、私なんかにはよくわからなくて…白い病室の中で少女たちが話し合うのは惨たらしい四つの殺人事件の話です。それらはとても変わった事件で、被害者はなんだか、お伽噺の姫君のような有様なのでした。白雪姫に人魚姫、眠り姫にかぐや姫みたいな奇妙な死者たち―物言わぬその人たちの代わりのように、少女たちは大いに語ります。ねじれた謎を解くために、そして言葉にならなかった出来事をもう一度、はっきりと語り直すために。奇抜で不思議で突拍子もない、ちょっと意地悪なしずるさんの推理は、今回も容赦ありません―。上遠野浩平が描く、安楽椅子探偵ミステリー、第3弾。
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