Twitterの「#いいねした人を同じアパートの住人として紹介する」タグにて書いたSSの原型まとめとなります。オカルト色強め、心霊・グロテスク・サイコな設定多数。

投稿者:イツツバ


俺がこの地を訪れたのは好奇心というよりも仕事のためである。
オカルトマニアのくだらない戯言に付き合わされるつもりはない。

ここの大家は不死身だそうだ。俺はライターを持っていた。
ただ、確認に来ただけなのだ。
簡潔にあったことをまとめる。

火をつけてみたらすぐに全身に燃え広がった。「あっ」と驚いたような間抜けな声がした。
まず両脚が焼け崩れて、体を支えられなくなった大家の体は地に転がった。
次に両腕がぼそりぼそりと片方ずつ焼け落ちて、太い薪のように焦げた胴体が顔まで炎に包まれながら「熱い」「痛い」と土の上をのたくった。
なんとも奇妙な光景だ。

大家は不思議と大きな悲鳴を上げなかった。喉奥から引き絞ったような呻き声を上げ続けていた。
この間、アパートの住人は誰一人顔を出さなかった。妙な偶然だ。

「ああ、熱い、あつ、あ、」
燃え盛る大きな芋虫のような姿をした大家はまだ呻き続けている。
「あ"、づいぃ、痛、ぁぁああ、あがぁぁ」
ごろごろと地面を転がり雑草にちろちろ小さな炎がきらめいては消えた。
「あ"あぁ……、ぁ……」
やがて芋虫が大人しくなる頃、声は「またこれか」とこぼして途切れた。

このデータは果たして有効なのだろうか。
しかし俺には別にどうでもいい。

足がつかない方法ならそれなりに心得ている。

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