Twitterの「#いいねした人を同じアパートの住人として紹介する」タグにて書いたSSの原型まとめとなります。オカルト色強め、心霊・グロテスク・サイコな設定多数。

投稿者:ハルキゲニア


だいぶ前に見た映像だから曖昧だけど思い出したので投稿。

よく「呪いのビデオ」とか「本当にあった心霊映像」とか銘打った視聴者投稿型作品があるじゃん?
俺が小学生上がった頃かな、親父が近所のレンタルビデオ店からそれ系のDVDを借りてきた。
一枚のディスクに7〜8話ぐらい恐怖映像が収録されててドキュメンタリー風の映像も入ってるやつ。
夏休みだったから話のネタにとでも思ったんだろう。

他の話は全然覚えてないんだけどひとつだけ印象に残ってるものがあった。
タイトルは「廃墟探検」とか「廃墟の怪」とかそんな感じだった気がする。とりあえず「廃墟」ってついてた。
男女グループが夜肝試しに行った様子を撮影してる映像で、暗くて全体的に緑色。暗視モードってやつだ。
最初は遠くから建物の全景を映してそれから中へGO。
その廃墟ってのが「都内の住宅街に突如現れる人が住まなくなったアパート」。
辺りは放置された木や雑草が生い茂っててぱっと見山奥みたい。
ボロボロのアスファルトに片方だけの子供用の靴とか汚い裸の着せ替え人形が落ちててそれらを懐中電灯で照らしてキャーキャー言ってた。
建物はコンクリート製の3階建が2棟、窓ガラスが割れてて壁も黒ずんでていかにもな雰囲気。
カメラはそのまま建物に入って行く。
真っ黒になった廊下とか部屋が映し出されて、「火事かな?」ってグループの女性が言ってたのをよく覚えてる。
壁紙が剥がれた部屋とかドアの外れた部屋ばっかりで屋内は荒れ放題。でも不思議と廃墟にありがちなDQNのラクガキはなかった。
そのうち一人が妙な音が聞こえると言い出して(多分3階)カメラは音の出所を探す。
奥の方の部屋でボロボロの洗濯機が回ってた。
「電気とおってんの?」「なんだこれ」「怖い」みたいな会話をして、一人が洗濯機の蓋を開けた。

うずくまるように折り畳まれた全裸の女が入ってた。

そっからはお決まりの悲鳴、めちゃくちゃブレるカメラ、逃げ出す面々という王道パターン。
かと思いきやまだ続きがあった。
普通そこで映像切ってリプレイとかスロー再生入るじゃん?それだけじゃなかったんだよ。
逃げるカメラが偶然窓の方を向いた瞬間、外を落下する人影が映った。しかも悲鳴つき。
男の声っぽい歪んだ声で「ぎゅお」とか「ごお」とか聞こえて何て言ってるかわからないのが超気持ち悪かった。
さらに別のメンバーが悲鳴あげて、カメラがそっちに行く。
今度は部屋の中に首吊ってるようなシルエット。微妙に揺れてた。
映像内の奴等は完全パニックで大慌てで全員階段を駆け下りてく。ひたすら階段を下る映像で終了。

で、一番気味悪かったのは製作スタッフが映像を確認したときに言った言葉。
「上るときは3階分しかなかったのに降りるときは少なくとも5階分以上の階数降りてますよね」

もうね、子供ながら縮み上がったね。ほんとにゾッとした。

そんで気になったからこのDVDもう一度見たいと思って色々調べた。
そしたらこの制作会社、これ出した直後に事務所が火事でビルごと全焼していた。
監督とスタッフ2人が死亡。シリーズものだったけど製作は打ち切られて結局その年に会社自体も畳まれた。
事実上の遺作だった。
DVDは絶版で映像も出回ってなくて、いろんなビデオ屋探したけど見つからなかった。
ただ感想サイトが1件だけヒットした。更新は7年前ぐらいに止まってた。
感想と一緒にそのシリーズで使われた撮影場所をまとめてるサイトで例の廃墟の住所もきっちり載ってた。
そこに添えられてる文章で俺は固まった。

「譚ア莠ャ驛ス髮朱宦?ウ?カ陋ケ?コ雎趣ソス髯イ蜈キ?シ?ス髫ア?ソ陝カ?ス N藤アパート
 19××年に火事で焼失し当時の住民は全員死亡、その後放置されたまま20××年現在に至る」

ここに載ってる期間て普通に内藤アパート建ってて人住んでんだよね。
俺は住所の記載間違いだと思うようにしてるけどさ。

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