過去に起きた脱税事件についてまとめています。

税理士をしている大類勇人です。

職業柄というか趣味も高じて様々なニュースをチェックしているのですが、その中でも脱税事件というのがやはり気になります。
この脱税というものは性質上、有名人や実業家など当たり前ですが稼いでいる人ほど犯していることが多いので、ニュースにもなりやすいですよね。

そんな脱税事件についてまとめていこうと思います。



有名な脱税事件


脱税での事件は、税金がこの世に存在する限り、なくなることはないでしょう。
ここでは、いくつかの有名な脱税事件について述べていきます。

まずは、中国芸能界長者番付で一位の中国人女優ファンビンビンが1憶4千万元(約23億円)もの額を横領していたということです。これは、2018年に起こり、国税当局から指摘を受け、彼女は支払いに応じました。
ここで驚愕なのが、追徴課税が8憶8千万元(145億6千円)だったことです。額が大きすぎて逆にピンとこないような事件でしたがそれを払えてしまうあたりが現実離れしているように感じますね。

次に、舞台は日本の兵庫県です。犯人は、主婦でFXで多額の脱税を行いました。その額がなんと7億円です。この女性は市役所勤務で申告漏れの所得隠しだったそうです。また、東京の主婦も4億円の同じくFXによる所得隠しを行ったそうです。
ただ正直なところ、FXなどの株での所得隠しは非常に無理があります。なぜならFX会社などは税務署に顧客データを提出しているためです。そこから調べれば確定申告をしているのかどうか一目瞭然なのですから。ちなみに、この女性は、この経験をネタの著書を出しています。転んでもただでは起きませんね。

さらには、2019年に青汁王子の脱税が話題となりましたね。女性向けにダイエットに効果的としてCMにもでていた通称、青汁王子の健康食品会社メディアハーツの三崎優太社長が約1億8000万円の脱税が発覚し逮捕されました。
国税局の目をごまかすのはそもそも難しいですが、それ以上に周囲からのタレコミで脱税がばれるケースも多いですね。新聞、テレビ、ワイドナショーや堅苦しい政治、金利関係だけでなく少しでもかかわりがありそうなジャンルはすべて網羅しているようですしね。また彼の場合は目をつけられやすい状況に自らしてしまっていた、というのもあると言えます。政務調査の対象になりやすいとされるものの中に、急成長を遂げた会社、があります。メディアハーツは、約一年間で話題も相まって急激な成長を遂げたため、調査対象になりやすかった、とも言えます。
多額のまとまったお金が入るとなると、税金を払いたくなくなる心理が人として働くので、特に急成長した会社には国税局も目を光らせるのですね。現に青汁王子も逮捕後の供述で、「税金を払いたくなかった」と話している。しかし、脱税の理由はそれしかないとも言えますが。。。

それにしてももっと衝撃的だったのはその後の彼の行動です。会社の経営を辞めて焼き鳥屋でアルバイトを始めたと思ったら、SNSで世間の注目を集めるような発言をするようになります。結局のところ話題作りだったということがわかり、今は世間から冷たい目で見られていますが、その行動力はある意味すごいですね。しかし逮捕されたことすら話題作りだとでも思っているのでしょうか。


芸能人の脱税事件


有名な脱税事件を前述しましたが、次は"有名な人"の事件です。
有名な人、知名度の高い人といえばやはり真っ先に浮かぶのは芸能人でしょう。

ニュースにもなりやすく、またお茶の間にとっても注目度が高いのはむしろこちらでしょう。

芸能人の収入はピンキリですがニュースになるほど注目度のある芸能人であればかなりの高収入が考えられますね。
高収入を得ているということは税金対策をしておかないと巨額の税金を支払うことになります。(こういう時に我々税理士にお声がかかるわけですね)

芸能人というと俳優やタレントなどの印象が強いですが、スポーツ選手なども注目度が高く、一年で数億稼ぐ人もいるので、所得隠しや申告漏れを指摘されてしまうケースが多いですね。

さて最近話題になった人物として、一番記憶に新しいのはお笑い芸人の徳井義実さんでしょう。
漫才のチャンピオンになった経験もあり、数多くのレギュラー番組を抱えている売れっ子でしたが、この脱税事件以降は謹慎生活を送っています。テレビ番組への出演は見送っていて、自身がパーソナリティを担当するラジオ番組もお休みしているのが現状です。

徳井義実さんは約1億2000万円の申告漏れが見つかり、本人はうっかりしていたと説明していますが、これに対して世間や同業者である芸能人が厳しい意見を寄せています。大人気のお笑い芸人であり、活動の幅も広かったので、税金のことはしっかりと考えておくべきでしょう。税理士に相談したり、会社に相談をしておけばこのようなことは防ぐことができたはずです。良く悪くも注目されやすい芸能人なので、お金に関する問題にはもう少し敏感になったほうが良いです。

スポーツ選手だと元プロ野球選手の板東英二さんが有名です。かつては大人気番組を抱えていた人気者ですが、徐々にテレビで見る機会は減っていき、最終的には脱税が見つかってメディアに出演する回数も激減しました。約7500万円を植毛に使ったという苦しい言い訳をしていたのが印象に残っている人も多いでしょう。申告漏れとして指摘されましたが、金額や言い訳を見ると明らかに所得隠しをしていたことがわかります。税金に関する問題を起こしてしまうと、世間からも芸能人からも風当たりが強くなります。復帰できたとしても仕事をもらうことが難しくなるので、芸能界以外の分野で活躍する方法を模索する必要があります。

このような事件を起こすのは限られた人です。巨額のお金を手に入れると、冷静な判断が難しくなるのでしょうか。



海外の芸能人(ハリウッド俳優)の脱税事件


さて日本の芸能人の次はハリウッド俳優の脱税事件です。
海外でも日本と事情は変わらずやはり巨額のお金を手に入れるとなるべく払いたくなくなるようで、ハリウッドセレブたちも例外ではないようです。

先に書いたファンビンビンもハリウッド映画に出演していますのでハリウッド俳優のひとりでしょう。

その他、有名なところで言えばアイアンマンが大ヒットし知らない人がいないのではないかというくらい有名になったロバートダウ二―ジュニアでしょうか。現在では華々しい経歴を持っていますが元々は薬物乱用などで服役していた過去があります。その間収入がなかったせいでしょうか、200万ドルの納税を求められましたようですね。

脱税によって禁固刑まで発展したのはウェズリー・スナイプスです。
1999年〜2004年の5年間税金を納めなかったので告発されました。悪意はなく、アドバイザーのススメに沿っただけと主張して、罰金500万ドルも支払ったようですが、3年間の禁固刑を言い渡されました。

そしてニコラスケイジは2007年と2008年の未納分税金や罰金など含めて630万ドルを超える額を滞納しているといいます。彼は浪費家としても有名で税金のみならず銀行やリース会社などからも訴えられているのですが、彼はそれを元ビジネスマネージャー、サミュエル・レビンの不適格なアドバイスが財政難の原因として、彼に対して訴訟を起こしました。示談で終わったようですが。




身近な脱税事件


脱税事件ときくと上記のような有名人や実業家など、額の大きい事件に注目しがちですが、では身近な脱税とは何でしょうか?

令和元年10月に消費税が10%になり、それに伴い、軽減税率が登場しました。

軽減税率とは、
「生活必需品となる「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」に限り、軽減税率が適用され、消費税が8%の据え置きになる。」
というものです。

これは海外などでは昔から適用されている国もあり、その中でも英国は2011年に消費税(英国では付加価値税と呼ばれます)が17.5%から20%に引き上げられました。10%でも高い!と感じるのに20%だなんてすごい率ですが、英国は軽減税率の範囲が幅広く、特に食料品などの生活必需品や、赤ちゃん用品(おむつなど)、子供の服や、本、文房具などは非課税です。生きていくためのものや、子育てにはなるべくお金がかからないように配慮されているのですね。ただイギリスも外食は税がかかる、など複雑になっています。

この"外食"の部分が当の日本でもややこしくなっているところなんですね。
持ち帰りなどの内食は軽減税率にあたり8%、しかしイートインとなると外食にあたるので10%という違いが出てきます。

そのことを受けて昨今話題になっているのが「イートイン脱税」です。
持ち帰りますよ、と言っておいて、実際はお店で食べる、というものです。

これに対し正義感の強い方で、そういった行為を見かけた際にお店に言ったり、本人に指摘したり、という行為があり、それを揶揄してイートインポリス正義マンと呼んだりしてSNSなどで話題になりました。


ただ実際にこの軽減税率による税率の違いで脱税をしたとしても犯罪にはならない、というのが結論だと思います。

国税庁の「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」によれば、食器などのお店に返却するもので提供される場合に軽減税率対象外となり、消費税は10%になる、ということなので、実際はイートインだったとしてもコンビニエンスストアなど、返却する食器やトレイなどを使わない場合は8%といえます。

しかしこのあたりの線引きはハッキリとしておらず、判断は各々の店舗に任されていると言えるでしょう。

ファーストフードのお店などでも、会計時には持ち帰る予定だったが、帰り際にたまたま知人に会って、一緒にイートインに変更する、という状況なども有り得ますが、そういった際にじゃあ差額を払うかと言うとそうはならないため、8%か10%かは会計時に決まる、ということでしょう。

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