2chエロパロ板「大人しい女の子が逆レイプ」スレのまとめwikiです

夕立の中を走っている。
地面にたたき付けられた雨粒が煙るような雨の中を。
公園の中を屋根を探して走っている。

「こっちだ樋口!」

激し過ぎて前も見えないような、雨音意外なにも聞こえない、そんな雨の中。
微かに聞こえた呼び声の下に向かった。

――視界が開けた。

「新堂さん?」

一本の大きな木の幹を囲うように作られたベンチに座っていたのは、風邪で学校を休んだクラスメートだった。

「災難だったな樋口、とりあえずこれで体拭けよ」

そういって彼は彼女にハンドタオルを渡すと後ろを向いた。

「あ、ありがとうございます」

「いや……あと、オレは後ろ向いてるから、脱いで絞ったりとかした方がいい」

「え、それは……ちょっと」

「どうせ誰もこないよ」

「……」

「しょうがないな」

そういうと彼はTシャツを脱ぎだした。突然の動きに彼女が驚いていると、彼はそれを彼女に向かって差し出す。

「オレの、そこそこ乾いてるし、こっちに着替えてから絞れよ」

「え……でも」

「いいから、風邪引くぞ?」

「……はい」

言われるがままにシャツを受け取り、体を拭き、着替え、服を絞った。髪にはタオルを巻かせて貰う。

「乾くまでそれ、着てていいから」

「ありがとうございます……もうこっち見ても大丈夫ですよ」

「そう?」

「服、着てますし」

「いやその……胸、とか」

「私、胸はちいさ……下着がないと困るほど大きくないです、から」

「それ、下着干してるってことだろ……」

「あ」

言葉通り彼女のブラジャーとかワイシャツは今木の枝につるしてある。彼が振り向いたら間違いなく目についていただろう。

「うう、ごめんなさい」

「別に……気にしないでいいぜ」

「……ところで新堂さんは何故ここに?」

風邪をひいてるはずの彼が、何故こんな場所にいるのだろう? 雨が降ってる、というのを差し引いてもここは公園なのだ。風邪をひいてる人間が来る場所じゃない。

「雨宿りのためだよ」

「風邪ひいてるのでは?」

「えあ、あー……うなんだ」

「はい?」

「仮病……なんだ」

「そうですか」

「……」

「寒いですね」

嫌な沈黙のまま永遠とも感じられる時間が流れた。具体的には15分くらい。

「雨、止みませんね」

「……」

「服、乾いたみたいです」

「……」

「あの、新堂さん……」


「あの、新堂さん……」

「ん……悪い、呼んだ?」

「服、乾きました……から、これお返しします」

「ん、サンキュ」

そうやって渡されるはずだったTシャツは、彼の手に渡らずベンチの上に落ちた。そして彼もまた……

「あれ、おかしいな」

「新堂さん!?」

慌てて彼女が支えた彼のからだは冷たい、既に風邪をひいてるとか具合が悪いとかそういう段階ではない。弱り切っている。

「なんでこんな……本当は風邪ひいてたんですね?」

とっさに彼の体を抱きしめる。が、弱々しい彼の腕は彼女を突き放した。

「やめてくれ、だいじょぶだから」

「でも! 具合、悪いんでしょう?」

「平気だよ、平気だから。それにもしそうだとしても風邪をひいてるのにこんなとこにいるオレが悪いんだ、樋口が気にすることじゃない!」

そういって離れようとする彼を、彼女は今度こそ抱きしめた。服の前を開け放って。

「樋口……!」

「今私に出来るのはこれくらいですから」

そのままベンチの上に彼は押し倒された、彼女が何を考えて、そんなことをしているのか彼はわかっている。
もし逆の立場であれば彼は絶交されることを覚悟の上でも同じことをしただろう……だからこそ、殊更平気であることを装っていたのに。
けれど彼はまだ気付いてない、彼ではなく彼女だからこその選択肢の幅に。

彼女の手が寒さで縮こまっている彼のそれに触れる。

彼女の舌が寒さにで強張っている彼の口に入り込む。

彼女の言うほど小さくない胸が彼の胸に押し付けられる。

「っは……樋口、やめてくれ」

「だめです、これ以上辛そうなあなたをただ見ていることは出来ません」


「――――――――!」
 悪夢を見た。
 しかも知り合いを犯す淫夢を……情けないが思わず悲鳴をあげながら跳ね起きてしまった。
頭が重い。太陽が西側にある。なんでだっけ? と少し考えて、風邪をひいて学校を休んだことを思い出した。
夏風邪だな、バカしかひかないらしいし、昨日傘が無いのに夕立の中を走ったのが悪かったか。
 そんなことをつらつら考えていると徐々に意識がはっきりして来た。
寝汗でべっとり張り付いた服が気持ち悪い、ちょっとあれだけどシャワーを浴びよう。そう思って部屋から出た。

 どうやら家には誰もいないみたいだ。

 見舞に来るような友達は高校違うし、両親はまああれだし、バスケ部の連中はみんな大会とかで忙しいだろうし……、
ってかこの時期に休んでてオレはだいじょぶなのか? ダメだろ。
シャワー浴びたら学校に行って部活にでよう、ちょっとくらい大丈夫だよな……。そう思った。
 多分その油断が良くなかった。じゃなきゃあんな夢を見た罰だ。
家からも学校からも十二分に遠い場所で大きな入道雲が空に現れた。


「ぬ、ぬれたぁ〜」
 予想通り無駄に激しく降ってくれた夕立との戦いは、それでも先に気付いて雨宿りできる場所
――近くの公園の巨木――に当たりをつけられた分昨日よりはマシだった。
かなり濡れはしたが幸いここにはベンチがあるし、部活の道具を入れたバックは防水できてるから
中のタオルが無事だった。服を絞り体を拭きながら考える。

(やまないな……下校中の生徒見つけられたら入れてもらうんだけど)

 残念ながらここは公園の中だ。外ならともかく中を通学路にしてるやつなんているのかな? 多分いないだろう。
それでも……。と一縷の望みを託し夕立の中に目を懲らしていたら、走る一つの人影が目についた。
長い黒髪、白っぽい肌、見覚えのある制服、鞄、顔。

「樋口!?」
 驚きのあまり出た声は思ったより大きかったらしい。夢にでてきたクラスメートがこちらを向いて走ってくる。
 気をしっかり持て、オレ。

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
 びしょ濡れで走って来た樋口の頬は、微かに赤かった。けっこう長い距離を走ったきたのかも知れない。
息も荒い。服が濡れて張り付いてる、その向こう側にシュガーブラウンを確認してしまい、慌ててそこから目を反らした。
「さ、災難だったな樋口……随分走らされたみたいだし」
「ああ、新堂さんでしたか」
 助かりました。そういって顔を上げた彼女は、ゆっくりと息を整えて微笑んだ。
自分を呼び止めたのが知人であることがわかって安心したらしい。
一瞬その微笑みに目を奪われ、そしてさっき見た夢を思いだし鬱な気分になった。
 タオルを取り出して彼女に差し出す。
「使えよ、そのままだと風邪ひくだろ」
「え? あ、えっと」
「オレが使った後だからあれだけど、まあ雨に濡らして絞るなりなんなりしてくれ」
「あ、いえ、それは全然大丈夫なんですけど」
 半ば押し付けるようにタオルを渡したが、樋口はぶつぶつ言って動かない。
あれか、見ないで下さいね……、とか? 要するに服を脱いで絞ったりとかしてる間は
裸にならなきゃいけないのが嫌だと? 色々目にあれだからなんとかしてほしいんだけどな。
「他に誰かきたりしないでしょうか」
「え?」
 予想外の言葉が来た。あれ、オレはいいのか? 信用されてる?
いや、そんなわけ無いか。罪悪感が押し寄せてくるからそう思いたくないし。
「まあだいじょうぶじゃないかな。降り初めてから大分時間たったし」
「でも……二度あることは三度あるといいますし」
 中々話が進まない。しょうがない、着ていたシャツ――所謂体操服だが――を脱いだ。
風通しがよく出来てるからちょっと寒いけど、おかげでもう殆ど乾いている。
オレの唐突な行動に驚いて硬直した彼女は、我に帰ると慌てて目を反らした。
……なにか言ってくれたりすると反応しやすいんだけどな。まあ、いい。
「これも貸してやるから」
「え……」
「迷うなら使えよ。オレと違って頭いいんだから、普通に風邪ひくぞ? それに脱いだオレがバカみたいじゃないか」
「……新堂さんはバカじゃないですよ」
 語調を強めたのが効いたらしい、ブツブツ言いながら彼女はオレのシャツを受け取った。
……これって女の子に無理矢理自分の服を着せてるわけだよな、オレは変態か?
 そんなことを考えながらボーッとしていたら、絞られた服から水が滴る音がしてきた。
今は裸か下着か……もうオレのシャツを着ているのか。そんなことを一瞬考えてしまったのが嫌で、
雑念を払うように頭を振った。
「どうかしました?」

「え? いや、なんで?」
「首を振ってましたから」
 こっち向いて着替えてんのかよ、普通後ろ向くだろ!
「い、いや別に」
「そうですか」
「それ、服乾くまできてていいから」
 話題を反らしたくてとっさに適当なことを言う、まあそんなに寒くないから別にいいけど。
「ありがとうございます……もうこっち向いても大丈夫ですよ」
「そう?」
「シャツ、着てますし」
「いやその……胸、とか」
 気になったことを遠慮がちに聞いたら一瞬間が開いた。
「私、胸はちいさ……下着がないと困るほど大きくないです、から」
「それ、下着吊ってるってことだろ……」
「あ」
 本当に吊ってるかどうかは知らないけどどうやらまだ振り向くわけにはいかないらしい、
こんな会話顔をあわせたまま出来るわけないしいいんだけど。
樋口が自分の胸の大きさを自分で言及しちゃったせいで余計に気まずい空気が流れてるし。
「えっと……その……そういえば新堂さんは何故ここに?」
「そりゃ雨宿りのためだよ」
 とりあえずこの空気をなんとか出来ればなんでもよかったから、なにも考えないで適当に答えた。
「いえ、そうではなくて」
「なに?」
「風邪をひいて学校を休んだのでは」
「へあ」
 少し考えそうになったけど、言われてみるとそうだ。いろいろあって忘れてたけどオレ、風邪ひいてるんだ……、
まあそれで忘れるくらいならたいしたことないだろうし、大丈夫かな。そう思って口を開いた。
「それは、まあ大丈夫」
「なに言ってるんですか!」
 ら、怒鳴られた。なんかクラッときた。
「風邪はひき始めが肝心なんです! 待っててください、すぐに傘を持って」
「ちょ、ちょっと待て樋口」
 彼女が雨の中に飛び出そうとする気配を感じた、振り向いて腕を掴み慌てて引き止める。
必死に言い訳を考え、目を見て出来るだけ真摯な表情を作り告げる。
「違う樋口、仮病なんだ」
 真摯もクソもない台詞だった。彼女の表情がスッと冷めるのが見えた。
「嘘は、嫌いです」
 後には本当に気まずい沈黙が残った。



「×××××××ね」
 ボーッとしていた、樋口がなにか言ってる気がする。答えるべきなんだろうか?
「×××××たみたいです」
 ごめん樋口なんかよく聞こえないんだけどもうちょっと大きな声でない?
と、なにかが肩に触れたああやっぱり夢じゃないのか。
「ん……悪い、呼んだ?」
 ごめんごめんなんかボーッとしてたよああシャツ返してくれるのか服乾いたんだってうわぁ樋口
なんてかっこしてるんだワイシャツ羽織ってるだけで前が開けっ放しじゃないかそれにいつの間に正面に回り込んだんだ
オレが振り向いたんだっけ視界の真ん中に彼女の顔が度アップで視界の端にはシュガーブラえ?
「仮病の方が嘘だったんですね」
 視界から樋口の顔が消えた。胸に、背中に、頬にじんわりと浸みるような暖かい感触がある、気持ちいい。
その気持ち良さに溺れそうになったとき耳元で彼女の声がした。
「いま、温めてあげます」
「なにしてんだひぐ……んっ!?」
 驚きで意識が引き戻されたオレの正面に彼女の顔が戻ってくる、キス。
忘我した半開きの口に舌が潜り込んでくる、閉じようとして噛んでしまった。
変だ。知っているような知らないような感触、口の中にサビのような味が広がる。
押し出そうと思って動かした舌が彼女のものと触れ、その感触に痺れるようなものを感じる。
慌てて開いた口からようやく樋口は舌を抜いた。
「どうゆう……つもり」
「遭難した男女が最後にどうするか、知ってますか?」
「しらないよ!」
 嘘だ。でもこの場面で知ってるなんて言いたくない。……彼女の口から聞かされるのはもっと嫌だけど。
それを察したのか、彼女はただ薄く微笑んだ。
「今の私にはそれしかできませんから」
 そう呟いた彼女の右手が下着の中に差し込まれ、そこにあるものに触れる。
寒さで縮こまっていたはずのソレは、なぜか『樋口が触れた』というだけの理由で起き上がり始めた。
 これが悲しい男の性ってやつか。
「体が弱ると性欲が強くなるそうです」
 樋口の口からそんな話は聞きたくなかった。あと心の声に返事をしないでくれ。
 そんなことを考えてるあいだも彼女の指はソレを解すように動いている、
ひっぱったり、強く握ったり、下手だと思う。殆どくすぐったいだけだ。でも今はそれだけで充分たってしまう。
なのに……
なのになにしようとしてるんだ樋口!
「きっと口の中の方が暖かくて気持ちいいですよね」
 彼女は座り込んで動けないオレの前にひざまづき、ズボンと下着をまとめて引き下ろした。
見られたことに動揺しているオレとは対象的に、彼女はソレを前にして怯む様子はない。
彼女がかきあげた湿った黒髪が、膝に当たる。冷たいはずなのにそこだけ熱くなった気がした。
 かろうじて声を出す。
「ひぐち……もうやめてくれ」
「新堂さん、新堂さんは私が嫌いですか?」
「すきだ……よ、だいじなともだちだ」
 彼女がすっと膝を伸ばす、顔が目の前に戻ってくる。
「じゃあ諦めてください」

「……!」
 再びのキス。今度はただ唇を合わせるだけ。彼女の吐息の甘やかさに溺れること数秒。
気が付けばそれは終わっている。
「初めてだからあまり上手く出来ないでしょうけど、頑張りますから」
 彼女の口がソレに触れたのを温かさで感じる。柔らかいなにかがしっとりとそれに絡み付く、
口が裂けてもくすぐったいでは済まされない淫靡な感触。彼女の息遣い、湿った音、
放り出していた両手はいつの間にか痛いほど彼女に握られている。
 オレが弱いのか、彼女がうまいのか、あるいは空気に流されているだけか?
彼女の意図通りそれはそういう行為をはたせるだけの状態になっている、なってしまっている。
「ぐぅ……ひぐち、も、やめてく、れ」
「……そうですね、入れましょう」
「ひっ」
 顔をあげた彼女の名前を呼ぶつもりが悲鳴にしかならなかった。
けれどそのせいでか樋口が悲しそうな顔をする。
「新堂さん、私は少なくとも友達としてあなたが好きです」
「オレ……だって」
「新堂さん、あなたのそれはただ腫れ物みたいに遠ざけてるだけです」
「そんなつもりは」
「相手のために自分を傷つける覚悟を持てる関係を友達と、
相手を傷つける覚悟をもてることを好きというんです。
 あなたの私に対する態度が無意識だというなら最悪ですね。
考えるまでもなく私は好きとか友達とかの対象外なんですから」
 泣きたくなって来た、オレはそんな態度をとっていたのだろうか?
熱と寒さで痺れた脳髄に追い撃ちをかけるような痛み、思考がまとまらない。
 涙が溢れた。
 そんなオレの頬を樋口の掌が包む、目の前にあるのは今までの言葉と似つかわしくない穏やかな笑み。
「ごめんなさい新堂さん……でもわかってほしいんです、今はこれがあなたのためで、どんな気持ちで私がこうしているのか」
 彼女がなにを言っているのかはよくわからなかった、けど行為はとまっている。
「新堂さんは、夏美ちゃんや藤矢君が相手なら肌を合わせるのをためらったりはしないでしょう?」
 そうだろうか? そうかもしれない。だって二人は親友だからそうなっても……
「それはきっと友達であるという信頼がゆえに、なにがあってもお互いの関係が変わらないという安心があるからです」
 そうだ。二人は親友だからちゃんとわかる、どうしてか、どうしたいか。でも、
「違いますか? 新堂さん」
 でも樋口、お前の言うとおりオレは、お前をそんな風には、
「私はそこに行きたかったんですよ? シャツを貸して下さったとき、少しだけ期待してしまいました」
「……」
 答えられないオレを前に、彼女の表情が微かに崩れ……それからすぐに取り繕ったような笑みを取り戻した。
「まだ萎れてはいないみたいですね」
 彼女が身を乗り出してくる、
「本当は少し怖かったんですけど、今なら大丈夫な気がします。新堂さん」

 これだけ時間があっても彼女の言うとおり少しも萎れてくれていないそれが、
彼女によって彼女の場所に誘導される。
「なんでここまでするんだ、温めるなら抱き合うだけでも」
 なお時間を稼ごうとするオレの言葉は聞き入れられず、彼女の淵とオレの先端がぴとりとあわせられた。
彼女の左手は背中に、右手はオレの未だに動いてくれない左手に添えられる。
目の前に彼女の胸がある、興奮か羞恥か先端と同じくらい全体が赤い。
 ずぷり・ブチリ、と。二つの音がしたような気がした。じんわり、と。
生臭く神聖な温度が伝わってくる。
「ぐくぅ、ひ……ぐ、ち」
「あ……あぐ、く」
 狭くてきつい、痛い。窒息しそうな感触。体の芯が熱くなる。苦しい。
 壊れそうなほどオレの左手を握る彼女の右手、えぐれるんじゃないかと思えるほど強く背中を掴む左手。
爆発しそうな二つの鼓動、彼女の頬からオレの頬に落ちる泪。
 温かくて気持ちいい。きつくて苦しい。痛い。頭の芯がガンガンする。
「……ッ! …………!!」
「ぁ……あぁ……あ」
 彼女と自分の内側の脈動がそこに集中するような錯覚。
互いに動けないまま押し寄せる痛み、熱……劣情。何に由来するかもわからない悲鳴を押し殺す。
 気持ちいいと気持ち悪いってどう違うんだ?
「はっ……し、どうさ、動きま、す」
 プルプルとか、そんなかわいいもんじゃない。
がくがくとかがたがたとか言える程震えながら、彼女はゆっくり膝を伸ばし腰を持ち上げる。
彼女の温度が離れていく淋しさと、絞り上げられるような形容し難い感覚。
痛いけど痛いだけですまされない。
「ひぐち……も、じゅうぶんだよ」
 そもそもここまでする必要がない、これ以上は互いに耐えられない、そう思った。
 その言葉に一瞬、気が抜けたように彼女の締め付けが弱くなった。
けれどすぐに彼女の左手が力を増す、終らない? 囁くように、搾り出すように彼女は囁いた。
「房中術です」
 必死に自分を支えながら息をつく彼女の吐息を間近に感じて、
離れた彼女の熱を一瞬でも恋しく思った自分をくびり殺したくなる。そんなオレの葛藤をよそに、彼女は言葉を続けた。
「性行為による興奮や気の高ぶり・集中等が、免疫等を高め人体に良い影響を与えるとかそんなことです」
「ほんき……で」
「だって!」
 本気でそんな話を信じるのか? 漏れた言葉に彼女が悲鳴をあげる。
「それしかできないんだから、そうするしかないじゃないですか!
 嘘でも偽善でもなにかの間違いでも、優しくされたらそうしたいじゃないですか!
 優しくしてくれた人が苦しんでるのを黙ってみてるくらいなら、
 出来るだけのこと……全部やるしかないじゃないですか」
 叫ばれた言葉が痛い。なにも言えない。痛い。すごく痛い。
涙が……見下ろす彼女の涙と見上げる自分の涙の区別がつかない。
「大丈夫ですよ新堂さん、今だけです」
 この涙をオレの手で拭うことさえできれば……きっとこんなことはおしまいに出来るのに。
「今だけ、もうちょっとだけ貴方の」
 伸ばそうとした右手がなにかを掴むことはない、最後まで動いてくれない。
「貴方のために頑張らせて下さい」
 その言葉と、彼女の笑顔を記憶に焼き付けて、
「ごめん……ひぐち……」
 オレは意識を手放した。

(おしまい)

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