極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

141 :彩女、月夜に散る!:04/12/14 23:22:00 ID:yyHH0YOw

時は丑三つ時。
静まりかえった闇の中で、美しく輝く月だけが辺りを仄かに照らしている。
そんな静寂の中、足音一つたてずに疾風と化し、林の中を駆ける一人の女性。
黒い忍装束に身を包んだ彼女の名は、彩女。
東忍流皆伝をわずか14歳で与えられた、天才くの一である。
彼女は密書を届けるために、主君である郷田松之信のもとへ急ぎ向かっていた。

「良い月だねぇ・・・・・・。」
彼女は突然立ち止まると、月を見上げて、そう呟いた。
そして、今度は誰もいないはずの林の奥に視線を向ける。
「あんた達もそう思わないかい?まったく、こんな良い月夜くらい、一人で居たいんだけどねぇ。」
すると、林の奥から二人の人影が音もなく姿を現した。


142 :136:04/12/14 23:35:52 ID:yyHH0YOw
>141に小説をアップしました。
元ネタは「天誅紅」です。
よく知らない方は下記URLを参照下さい。より楽しめると思います。

ttp://www.tenchu.net/kurenai/

小説書くのは不慣れなので、マタ〜リ書いていこうと思います。


「あたし達の気配に気づくなんて、なかなかやるじゃないか。あの乱造を殺っただけの事はあるね・・・。」
一人は右手に暗器を携え、赤い着物を着た妖艶な女性。名を双葉。
そして、もう一人は左手に篭手をはめた筋肉質の男。双葉の弟で、名を単葉と言う。
「まさか、生きていたなんてね・・・。それとも、化けて出て来たのかい?」
彩女はこの二人を知っている。
だが、双葉と単葉は凛に倒されたはずではなかったのか・・・・・・。

「凛は止めを刺し損なったのさ。本当に、甘ちゃんだよ。」
彩女の心を見透かしたかのように、双葉は言う。
彼らが生きていた事を知っても、彩女は別に驚かなかった。
こんな因果な仕事をしていれば、死んだはずの人間が生きていたなんて話は、珍しい話ではない。
「今でもあんた達が生きていると知ったら、あの子はさぞ驚くだろうねぇ。」
彩女のその言葉に、双葉は妖しげな笑みを浮かべた。



「凛ならもう知ってるよ。でも、知らなければ良かったと、あの世で今頃後悔しているだろうね。」
「!!」
双葉の言葉に、流石の彩女も驚きを隠せない。
この言葉が真実なら、凛はもう・・・・・・。

「そうさ、あたしがあのガキを殺してやったのさ。・・・ふふふ・・・この手で心臓を握り潰してやったよ、こんな風にね!」
双葉は右手を胸の高さまで持ってくると、手のひらを思いっきり開き、一気に握りしめた。
その時の感触を思い出したのか、彼女の笑みがより深いものになる。
「断末魔を上げながら、死んで逝ったよ!あたしに歯向かえばどうなるか、思い知っただろうさ!」
そう言うと、双葉は夜の静寂を打ち消すような高笑いを上げる。

「・・・惨い事を・・・・・・。」
どれほど凛は悔しかっただろう。
それを想うと、彩女は双葉をどうしても許せない。
・・・必ずあんたの仇は取ってあげるからね・・・
彩女は心の中で、そう決心するのだった。


強い決意を宿した瞳で、双葉を睨みつける彩女。
「凛を殺した後は、今度はあたしの番ってわけかい?」
双葉の顔からは妖艶な笑みが完全に消え、その視線を冷酷な瞳で睨み返している。
「分かってるじゃないか。あんたには黒屋を潰してくれた礼がまだだったからね。・・・・・・たっぷりと礼をさせてもらうよ!!」

双葉は右手の暗器を水平に構え、狙いを彩女に定めた。
「・・・・・・。」
彼女が構えをとると、単葉も相変わらず黙ったまま拳を構え、戦闘態勢に入る。
「礼ならあの世へ逝って、凛にでもするんだね!あの子に代わって、今度こそ冥府へ送ってやるよ!!覚悟しな!!」
彩女も腰に提げた二本の小太刀を抜き放ち、低姿勢に構えて二人と対峙する。
彼女の曇り一つない小太刀の刀身には、美しく輝く月が映し出されていた。


三人の間の空気が、恐ろしいほどの殺気に満ちている。
お互いに相手の出方を窺っているためか、しばらくの間膠着状態が続いた。
・・・あの二人まるで隙が無い、なかなか手強い相手だね・・・
彩女の頬に一筋の冷たい汗がツゥーと流れ落ちていく。

戦いの口火を切ったのは双葉だった。
右手の暗器から数本の針が、彩女に向かって連続で放たれる。
「はっ!」
鋭い叫び声を上げながら、飛来する針を二本の小太刀だけで叩き落とす彩女。
その間に単葉は一気に間合いを詰め、接近戦を仕掛ける。

「・・・ふんっ・・・・・・!!」
凄まじい気合とともに放たれた貫手を、彩女は間一髪で回避した。
そこから、単葉は彼女に反撃する間を与えずに、次々と連続攻撃を繰り出す。
肘撃から裏拳、掌底とつなぎつつ、左右の前蹴り。
さらに前蹴りは足払いへと変化する。
円を描くような動作の中から生み出される、息をつく暇も無いほどの怒涛の連撃。
だが、その猛攻も彩女の前では無意味だった。
彼女は単葉の攻撃を一瞬で見切り、ぎりぎりのラインでかわしていく。

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