極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

110 :(誘υ受) ◆6t6CYCuKNY :2005/11/11(金) 20:19:25 ID:0H0Xzonu
とりあえず前編を投下します。



雨、今日もまた雨だ。
「ジュン、スカートを濡らさない様にして頂戴。」
狭い傘の中、真紅が無理を言ってくる。真紅を抱きかかえ、傘まで持たされているジュンが文句を言う。
「おいおい、そんな事したら僕が濡れちゃうだろ!」
「家来なのだからそれ位は我慢しなさい。」
「はいはいはいはいはい!!仕方ねーな。」
文句を言いながらも真紅のスカートの端を傘の中に入れる。嬉しそうに肩を寄せてくる真紅に、ジュンは満更でもない表情を浮かべた。
「はいは一回と言っているでしょう?」
さほど強く言い聞かせるつもりもないのだろう。いつもの命令口調ではなく真紅は優しくつぶやいた。
「しっかしよく降る雨だなぁ。真紅、寒くないか?」
「ええ、大丈夫よ。」
真紅が空を見上げると透明のビニールの傘からは、雨が天から落ちてくる状態がよく見えた。


雨は等しくその下にあるものに降り続いた、それは彼女が眠る木箱の上にも。
彼女の見る夢、それは彼女が持つ劣等感を打ち消すための残虐な行為の夢だった。夢の中で他の姉妹たちは、彼女のその非道な行為によって只のジャンクと成り果てた。
勝った、自分は勝ったのだ!!あぁ、お父様、私はアリスになれました。
だから私の元にまた帰ってきて、そして私の足りない部分を継ぎ足して、今度こそ私を完璧なあなたの人形にして・・・。
「は。」
水銀灯はその赤い瞳を見開いた。人の声がする。こんな場所に人間が・・・・・?
次の戦いのための力を温存するため、水銀灯はこの廃墟でつかの間の休息を得ることにしたのだった。
ミーディアムのいない彼女は圧倒的にミーディアムがいるほかの姉妹には敵わない。
特に真紅とそのミーディアムの絆は強く、そう簡単に勝てる相手ではない。
けれども手段さえ選ばなければきっと簡単に真紅のローザミスティカは奪えるだろう。
人間なんて自分に比べると、弱く脆い物なのだから。人間だなんて少し心の隙間をつつくと簡単に壊れてしまう。
しかしこんな場所に人間だなんて、何て都合が良いのだ。
元より自分は強制的に人間をミーディアムとして使用できる能力を持っている。先ほどの声の持ち主を自分のミーディアムにしてしまえ。
そして次こそ真紅のローザミスティカを奪い去るのだ!
水銀灯は冷たく微笑んだ。



男は廃墟のその奥に何かを投げ捨てた。ばらばらにされた何かが転がってゆく。切断面が鈍い光に照らされた。
真っ赤な円の中央に白い物が見える。それは骨だ。ばらばらにされた物の正体、それは人間だった。
きっとそれは普段は学校に通う少女だったのだろう。髪は三つ網に編みこまれ、真っ白だったはずの靴下は血に染まっていた。
胴のパーツに入った切れ目からは、赤いものと白濁したものがどろりと流れ出してきていた。
この凄惨な光景を、男はまるで道端に石が転がっているのを様に見つめている。
何かの気配がして男は後ろを振り返った。
「御機嫌よぅ。」
最上級の笑みを浮かべて水銀灯が其処にいた。
「お前、見ていたのかよ。」
男は目の前で人形が喋っているというのに少しも驚いた様子はない。
「あらぁ、貴方が何をしようと私には関係ないわぁ。それよりも私と組んでもっと面白いことをしなぁい?
 まぁ、貴方がが断ってもこっちは強制で貴方に役に立ってもらうけどぅ。」
相変わらず男は無表情のままである。
「ちょっとぉ、真面目に聞いてるぅ?」
埒が明かないと考えた水銀灯は強制的に男の夢に立ち入った。彼の夢の中から彼を強制的に従えさせようと水銀灯は考えたのだった。



男の夢の中は水銀灯が初めてみたものだった。そして見るべきものではなかった。
空は黒く地は赤く染まっている。赤い地面に転がってるもの、それは解体された少女たちの四肢である。
生首たちは皆、開けるだけ目と口を開いていた。中には歯が全部抜かれた首、頭皮を捲られた首、目を抉られた首があった。
「あがぁああああ、ひぃいいいいいいいい!!!」
そんな死体たちの中央に男はいた。彼は必死に何かを掴み小刻みに体を動かしていた。
少女の恥骨に男は自身を叩きつけながら、少女の華奢な腕をあらぬ方向へと曲げていた。骨が砕ける音がする。
「いぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!もぅやめてえええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
まるで少女の腕をねじ切るかのように、激しく男はか細い腕を振り回す。
「もっと声を出さなければ、君が何を言っているのか聞こえないよ。」
その声を聞いて少女は先ほど以上に声を出して泣き喚いた。一体彼女の小さな体と口からどうやってあの様な声が出ているのだろうか。
「だぃいいいいいいいいいいいい!!!!!いだいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」
「ははは!!!!聞こえない、聞こえないよ!!!!」
水銀灯は黙るしかなかった。平静な顔をしているけれども、この男は最初から壊れているのだ。
こんな人間をでミーディアムにして、果たして自分自身の力で抑え込めるのか・・・。



こんな男の側はさっさと離れよう、男の夢から出てきた水銀灯がその黒い翼で飛び立とうとしたときだった。
「おいおい、人様の夢のタダ見か?」
ものすごい力で水銀灯の二枚の翼を押さえつける。とっさに羽を飛ばそうとしたが、この距離ではうまく男に標準が合わせられない。
「ちょっと!!何をするのぉ!!??離しなさぁい!!!!」
まるで自らの状況が分かっていないかのように、水銀灯は相変わらず威圧的な態度を取る。
「今日初めて自分の夢を叶えて俺は興奮しているんだよ!お前は二人目・・・喋る人形は一体目だな!!」
「あああああ!!!!離しなさいってばぁ!!!!!」
男は水銀灯の翼の付け根に力を込めた。こうなれば男が自分に対し行おうとしている事は一つだった。
「止めなさぁい!!!!手を離してぇ!!!!!!!」
もともと人形で痛覚がないはずなのだが、水銀灯は自身背中が激しく熱くなるのを感じた。そしてその時、急に背中が軽くなった。
水銀灯は大きく目を見開く。
「あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
絶望に見開いた水銀灯の瞳にさっきまで自分の体の一部分だったものを、男の手に見る。
「・・・・許さなぁい!!!たかだか人間のくせにぃ!!!!!!」
しかし唯一の武器である翼はもう彼女の体には存在しない。体を構成する一部分が欠落した、彼女の脳裏に浮かんだ言葉はこの一つであった
 ジ ャ ン ク  。
「私はジャンクなんかじゃなぁい・・・私はジャンクなんかじゃなぁい・・・私はジャンクなんかじゃなぁいいいいいい・・・!!!」



「あぁそうだよ。お前はジャンクなんかじゃないよ。」
優しく微笑みながら男は言う。自分が見下していた人間に傷物にされた悔しさと屈辱に、涙を浮かべる水銀灯の頭を掴み耳元で囁いた。
「これから俺が本当のジャンクにしてやるんだからな・・・。」
そういうと水銀灯を床に叩きつけた。水銀灯の髪を掴み何度も地面に叩きつける。
「あああぁぁぁぁっっ、止めなさぁいっっっ・・・・・!!!っあああああああああ!!!!!」
「結構頑丈に出来てやがるな。」
やっと開放され大きく息を吐く水銀灯。翼をもぎ取られ、なすがままの自分がいくら情けなくても、彼女はなすすべがない。
男が広げた手のひらからは、先ほどの衝撃で抜けてしまった自分の髪の毛がはらはらと舞っていた。
反抗をしたくても水銀灯はなかなか起き上がれない。その時、左ひじの球体関節に男の足が乗せられた。
「ぅぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
次に出てくる男の行動は分かりきっている。しかし水銀灯はどうしようも出来なかった。
やがて足に力が込められて、本来曲がらぬ方向に腕を曲げられて・・・。
ばきぃぃぃ!!!!
水銀灯の間接は粉々に砕けてしまった。
お父様以外の手では修復不可能だろうが、こんなにみすぼらしい人形をお父様は愛してくれるはずもない。
水銀灯は驚きのあまり悲鳴一つ上げることができなかった。




120 :(誘υ受) ◆6t6CYCuKNY :2005/11/11(金) 23:19:12 ID:0H0Xzonu
後半戦行きます!
調子よくって一日で書き終わった・・・。



「ああ・・・。酷い、酷いわぁ・・・・・・。」
失った肘から下の感覚が焼けて溶けてしまった様だ。傲慢な水銀灯だが、今回ばかりはただただすすり泣く事しか出来ない。
「今度は右を行くから楽しみにしていろよ。で、次は足だ。
 ってかやっぱし人形だな。ちっとも痛がらねぇんだな。」
次に男は水銀灯の肩に足を掛けた。半狂乱で水銀灯は泣き叫ぶ。もはや彼女に威圧的な態度は欠片も残っていない。
「もぉ嫌あああぁぁぁぁぁ、やめてぇええええええ!!!!お願いぃっ!!何でもするわぁ!!!!」
「ははは、お前も良い声を出すじゃないか。何でもするんだったら黙って俺に腕を折らせな!」
男は水銀灯の懇願をまるでBGMにするかの様だった。男の足から逃れようと必死な彼女を、彼は楽しそうに見ている。
「ほらよっ!」
 ば き ん !!!
「ああああああああああああ!!!!!!!!」
男は服ごと水銀灯の右腕を引きちぎった。目の前で垂らされる自分の腕を、水銀灯は絶望で染まった瞳で見つめる。
遂に両腕を失ってしまった。私は本物のジャンクになってしまった。
これからどんなに頑張っても、すべての姉妹を、あの憎い真紅を壊したとしてもアリスにだなんてなれやしない・・・。
いいや、こんな体であいつらに適うはずもない・・・・・・。
そんな水銀灯の様子を横目に、男は容赦なく水銀灯の両足を付け根から壊してゆく。
ジャンクジャンクジャンクジャンクジャンクジャンク・・・私は本物のジャンクになってしまった。私はもうお父様に振り向いてもらえない。



男の行為によって水銀灯は達磨のような体にされてしまった。もうこれでは抵抗の一つもできない。
「ぐ・・・ううぅぅぅ・・・・。」
涙が止まらない。しかしとめどなく伝う涙すら水銀灯は拭う事が出来ない。先ほど目が覚めてから1時間も経っていない。
一時間前自分がこんな惨めな姿にされることを、水銀灯は考えてもいなかった。
「さてっと・・・。」
男が水銀灯のローブに手を掛ける。それは水銀灯が唯一隠さなければならない箇所。
もうこれ以上恥をかかせないで。水銀灯は無駄だと分かっていても何度も懇願を繰り返す。
「止めてぇ!!!!それだけは止めてぇ!!!!!!!止めなさいと言っているでしょうぉぉぉ!!!????
 あああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「なんだこりゃ?」
ローブの下に水銀灯の腹は存在していなかった。空っぽの空間がただただ存在していた。
「何だよ。お前、最初っからジャンクだったのかよ。」
薄ら笑いを浮かべ男が水銀灯を見つめる。もし彼女に理性というものがあったら、それはとっくに焼ききれていた。
「ぅ・・・うああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「何が私はジャンクじゃない、だよ。最初っからジャンクじゃねぇか。身の程を知れよ。」
「ああああ!!!!ぁぁぁっぁ!!!ああああああああああああ!!!!!」
首が千切れてしまいそうなほど水銀灯は頭を振る。
「ジャンクなんかじゃなぁい!!!私はジャンクなんかじゃなあああああああああああぁぁぁぁぁぁいいいいぃぃぃっぃ!!!」
「うるせーよ。ジャンクの癖によ。」


それからの水銀灯は、ずっと自分がジャンクでないことをただ叫び続けるだけの塊になってしまった。
男はそんな水銀灯を気にせず、彼女の両足の付け根をいじくる。
「何だ。立て筋一本かよ。でもまぁ人形だもんなぁ。
 でも同じ人形でもダッチワイフの方がお前みたいなジャンクより役に立つわな。」
ジャンク扱いの上に低俗なダッチワイフと比較されてしまった。お父様の代表作、ローゼンメイデンの一体であるこの私が・・・・。
「あああああああああああああ!!!!違うのぉ!!!!!私はジャンクなんかじゃないいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「ったくアホの一つ覚えみたいによ・・・。やっぱジャンクは頭の中が空っぽなのか?」
「違ううううぅぅぅぅ!!!私はぁジャンクなんかじゃぁなああああああいいいいいいいいい!!!!!」
水銀灯の悲鳴はまるで断末魔のごとくである。聞く者全員に不快感を与える。
女の悲鳴を何処までも愛するこの男も、いい加減不愉快になってきた。
「うるせーんだよ!!今からお前の頭の中を空っぽかどうか調べてやるからな!!!」
そう言うと、男は近くにあったレンガを容赦なく水銀灯の顔に叩き付けた。
ぐしゃ!
水銀灯の硝子の瞳が飛び散る。彼女の顔の半分は粉々に砕け散ってしまった。
一体自分に何が起こったのか理解できない。けれども視界が半分になってしまったことは彼女にも理解できた。
残った瞳でゆっくりと周りを見渡すと、赤い硝子や自身の欠片が飛び散っていることが理解できた。
「ぅぁ・・・ぁぁぁぁぁぁ??」
遠くで男の笑い声と何かを叫んでいるのが聞こえる。でもそんな事、今の水銀灯にはどうだって良い事だった。


「あれ、急にしゃべらなくなったな。お前。やっぱ頭叩き潰したら死んだのか?」
様子をよく見れば水銀灯は何かをぼそぼそとつぶやいていた。
「気持ち悪いな。ゾンビ人形め!」
男は水銀灯の髪を掴むとそのまま首と頭部を分離させてしまった。
そしてそのまま外のゴミ捨て場に彼女を放棄してしまった。此処は違法のゴミ捨て場である。回収など来ない。
男はまず彼女のバラバラになってしまった四肢と胴を一塊にして捨てた。そしてその様子がよく見える様に、水銀灯の頭を置いた。
「じゃぁな。ジャンク。」
男が立ち去ったその後も、水銀灯はずっと目の前にジャンクとして積まれている自分自身の手足を見つめていた。
「助けて・・・助けて・・・お父様ぁ・・・・・・。どうして私を助けに来てくれないのぉ・・・・?」
今や永遠に自分の側に来てくれないであろう人物の名前を、水銀灯は何かの呪文のように唱えた。
先ほどまで止んでいた雨がまた降り始めた。雨粒が彼女の頬を伝う。しかし彼女の頬を濡らすのはただ雨粒だけでない。
水銀灯はこれからの時間を、ジャンクと成り果てた自分の体を見つめながら過ごすことになるのだ。
「助けてぇ・・・助けてぇ・・・・お父様ぁ・・・・。」
やがて激しくなる雨音で彼女の細い声は隠されてしまった。


「あら。」
玄関先で真紅が声を出す。
「どうしたんだ?」
「何か暖かいものが私の頬に…。」
はて、ジュンは周りを見渡したがそんなものを真紅の上に降らせそうなものは存在しない。
「おかえりなのぉ!」
「おかえりなさい。ジュン君、真紅ちゃん。夕飯の準備、もうできてるわよ。」
雛苺とのりが二人を出迎える。外は激しい雨が降っているが、柔らかい光に満たされた玄関。奥からは暖かい夕食の香りがする。
「やはり此処は居心地がいいわね。」
真紅がつぶやく。
「そりゃぁよかったよ。」
珍しくジュンが素直に真紅に同意する。夕飯のメニューが何か当てっこしながら、真紅とジュンはキッチンに向かった。




126 :(誘υ受) ◆6t6CYCuKNY :2005/11/11(金) 23:29:51 ID:0H0Xzonu
以上です。
はらわたを飛び散らせず、精神崩壊をメインに書くのはとても面白かったです。
ちょっとこのスレ的にはNGかも・・・・。
こんどはちゃんと猟奇っぽくいきます。

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