極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

※続きもの(前スレ投下分

24 : ◆aUFTCAKqJY :04/10/26 01:51:12 ID:ZHjewBHY
保守代わり、前スレ続き


「優お兄様……」
振り返った目の前に立っていたのは、あの柏木優だった。
「…………」
もはや立つ事もできず、口から吐いた血に塗れて優を見上げる祐巳。
そんな祐巳を柏木は哀れむような目で見下ろしていた。
「君のせいじゃない、君のせいじゃないさ……」

それから、祐巳は知った。
佐藤聖は同学年の女性と歩行中、交通事故に遭って亡くなったのだと。
本来ならリリアン正門前を通る予定が、ほんの少しの寄り道が、不運を招いた。
そのとき、迎えに彼女の下宿まで出向いたのが運の尽きだった。
その日はちょうど祐巳がずぶ濡れになって地に伏していたときだった。

それから――お姉さま、祥子のことを……。


実際、祐巳にこれらを知る手立てはなかった。
学校を休みがちになり、クラスで浮いて来ていた祐巳に、情報源は無かった。
志摩子は聖の死後、行方をくらませた。
由乃だけは何も知らない祐巳をかばい続けたが、その気性の激しさも相俟って、
次第に反感を買い、ついにイジメのターゲットにされて潰されてしまった。

「私は、、最低だ、最低だ……」

頭を抱え、ふらふらと歩く。
お姉さまが死んだのはあの梅雨の日から二週間後のことだった。
執拗に部屋に閉じこもり、誰の誘いも受けようとしなかった祐巳は、
何が起きていたか知る事は出来なかった。

祐巳を失い、蓉子の必死の励ましの甲斐も無く、
祥子はどんどん痩せ細っていき、最期はまるで別人のようにやつれていた。
そして、手首を……


祐巳は温室に入った。あの、お姉さまとの思いでの温室に。
ロサ・キネンシスの四季咲きは目に鮮やかだった。
祐巳は素直にそれを美しいと思った。そして、そうありたいと、清らかでいたいと思った。
既に全身打撲で倒れ掛かっている体を棚に寄せ掛けると、
右手にカッターナイフを取り出した。そして真一文字に手首を切り裂いた。

(案外、血ってで無いもんなんだな……)

ぼんやり思う。動脈まで切断され、血は止まる事無くあふれ反って来る。
それでも、お姉さまの気持ちを考えると何となく思う。
意識はだが薄らいできて。

――ふと気が付くと、ベッドの上にいた。
白いシーツ、白い掛け布団。
「ごきげんよう、ですか」


目の前にまず映ったのは、皮肉く口元を歪めたおかっぱ頭だった。
「乃梨子ちゃ……なぜ……」
「なぜ、ですか……面白く無いんですよ」
乃梨子の目が暗く輝く。
「祥子さまも志摩子さんも、そして佐藤聖という人もいなくなった。
知ってますか? あの聖って人、祐巳さまを探してうろついてたんですって。
志摩子さんのことを聞くのが目的だったらしいけど、間接的にはあなたのせいなんですよ」
哄笑がついに口から漏れた。乃梨子は歌うように言った。
「勝手に死んでもらっちゃ困ります。これからイジメられて、
イジメ抜かれて、死ぬよりよっぽど酷い目にあって頂かねば」
「あ……あ……」
震える祐巳の前に何人もの少女が集ってくる。
「あんたのせいで、由乃は……」
「山百合会は滅茶苦茶だわ。どうしてくれるの?」
「祥子さん、せっかく口がきけるようになったのに、許さない……」

祐巳の本当の地獄はこれからだった。




「ううっ……」

お聖堂の中央、天井に釣鐘のように吊るされている。
祐巳の足は床下にわずかに触れるかくらいに吊るされていた。

「いいざまですね、祐巳さま」
縦ロールの少女が楽しげに自分を見上げた。
手には木刀を持っていた。
「今日は優お兄様は来ませんよ。清子小母さまのところに言っていますから」
前の折檻のとき、瞳子を止めに来た柏木は、娘の死以来、
母と愛娘を同時に失って、すっかり気がおかしくなっていた、叔母の面倒を見に行っている。
予め邪魔が入らないよう、手配はしておいた。
そんな事情を説明しながらプリーツスカートの下から、祐巳の股間を突き上げた。
「がぎゃっ!! ぐうう!!」
「はい、みんな竹刀」
剣道部の黄薔薇さまが、集る女子達に練習道具を配っていく。
自分自身は「島津由乃」と書かれた新しめの竹刀を提げていた。


「本当はみんなで木刀が良かったんだけど、すぐに『壊す』のもつまらないから」
そう、依然とは比べ物にならないほど暗い瞳は笑う。
ただ、声だけはいつもの部活の練習のように、張り切っている。
「それじゃみんな、竹刀で巻藁打ち百本、始めて。巻藁の代わりに生ゴミなんだけど」
「あ、あ……」
涙で視界が霞む祐巳の前を、女子生徒たちが取り囲む。
手には竹刀。見覚えのある、おかっぱの子もその中に見える。
「志摩子さんね、祐巳さまに御礼がしたいそうです。分かるんです」
「やだ、やめて……」
「あらあら、紅薔薇の蕾ともあろう方が……」
くすくすと、乃梨子が嘲る。祐巳の股間から液体が滴って、
プリーツスカートを濡らしていた。びゅっと竹刀が空を切る音がした。
「がぎゃ!」
無数の竹刀が、一斉に振り下ろされた。
「ぐぎゃ、ぐげえっ!!」
祐巳の腹、頭、こめかみ、肩、腰、上半身から上のいたるところに竹刀の一撃が加えられた。
防具も付けない祐巳の体を容赦なく、二撃三撃、乱打が襲った。


「ぐぎゃあっ!! げええっ!! うげええっ!!」
祐巳の絶叫がお聖堂に響き渡る。合間を縫って肉のひしゃげる音が伴奏する。
でたらめに繰り出された少女達の竹刀は、祐巳の体を打ち据え、突き、弾いていく。
一打は目玉に突き刺さって、ぐちゃと嫌な音がして祐巳の右目から汁が飛び散った。
「ぐおおっ!! げおおおっ!!」
「みなさん、ちょっとストップ。黄薔薇さまが手本を示したいそうです」
十分ほど経って、祐巳がズタボロの肉塊に変わる寸前、乃梨子が挙手して他の少女を制した。
支倉令が「由乃」と書かれた竹刀を手に前に出た。
「面ェェン! 胴ゥゥッ! 突きぃぃ!!」
パン、パン、パンと小気味良いリズムが響いた。
竹刀の切っ先は順番に祐巳の顔面と腹部と、そして止めに喉元に突き刺さった。
肉がぐちゅっと鳴った。
祐巳の体は痙攣を始めていた。目は既に白目を向いて、口からは泡を吹いている。
「見事ですわ!
「さすが黄薔薇さま、素晴らしいお手並みです」


忽ち少女たちから賞賛の声が上がる。
黄薔薇さまの剣捌きは衰えを見せない。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
完全に狂った表情で令が竹刀を乱打する。それに合わせて肉が潰れてぐちゅぐちゅ音を起て始める。
もう、死は目の前だった。
「それじゃ、そろそろ殺ってしまいませんか? 皆さん」
瞳子が、前に進み出た。
「ぼおお……お……っ」
「祐巳さま、ごきげんよう」
瞳子が木刀の切っ先を祐巳の秘所に宛がう。
切っ先が正確にに穴を捉えたのを確認すると、最後に微笑んで見せた。
「死んんじまいな、糞反吐野郎」
木刀を一気に突き上げた。子宮の奥まで木刀が突きたてられた。
「ッ――――ギャアアアア――――――ッ!!」

悲鳴が、お聖堂に轟きわたった。



「――やれやれだな」
柏木優は車のハンドルを握りながら溜息を吐いた。
いつもの悪趣味な愛車ではない、彼にしてみれば「センスのない」代車である。
いま、あの車は使い物にならないであるから。
彼は叔母を慰めた帰り途であった。娘を失った清子の心の傷は深く、恐らくもう立ち直れないだろう。
こうなると、小笠原家の財産は間違いなく自分の元に転がり込んでくる。
特に今回の件で小笠原融の権力チカラによる「協力」を得た自分の地位は安泰だ。
もみ消す際に融も共犯になっているからである。
これから婚約相手に振り回される事もなく、自由愛を貫けるのならこのくらいの苦労は苦労の裡に入らない。
そう思いながら、外をとらとみて通り過ぎたのだった。自分が佐藤聖と加藤景を轢き殺した現場である。

(終わり)




47 :おまけ:04/11/04 22:30:43 ID:5mOeEgtI
お二人にご好評いただいたので、おまけ


「由乃……仇は討ったよ」
令がすり寄る。呆けた瞳は何の光も有していない。
令はいつものように、従姉妹の部屋に来ていた。ただ、部屋のあるじは微動だにしないのである。
乱雑な部屋に転がる、由乃の指定鞄や文房具には、酷い落書きの跡が残っていた。
『死ね、ウジ虫』
『学校来んな』
お嬢様学校の生徒とは思えない、醜い仕打ち。
それだけ、学校は煮え繰りかえっていた。
全校生徒の崇拝の的でさえあった、紅薔薇小笠原祥子。
その突然の死への悲しみは、その元凶である祐巳に、憎しみとなって向けられた。
誰もが祐巳を迫害する中、ただ一人かばったのは親友の由乃だけだった。
だが……。
「由乃……仇は私が討ったから、お願い、目を覚ましてよ、また一緒に話そうよ」
令は無反応の由乃の体を真剣そのものの目で揺する。
令の大きな手は由乃の肩を握っている。だが、その甲には鮮血がこびりついていた。


『止めなさい、あんた達! 恥を知りなさい!』
集団で暴行を加える少女たち。祐巳は二つ別けを掴まれ、何度も顔面に殴打を受けている。
割って入った由乃が、皆を睨み付けた。祐巳は既に気を失っている。
『祥子さまがああなったのは祐巳さんのせいじゃないわ! あんた達に祐巳さんを責める、何の権利があると言うの」
皆が一瞬、鼻白む。そして、次に冷たい目が次々と由乃に向けられていった。
あくまで正論を吐く由乃。その言葉に筋が通っている故に、よけい同級生たちの反感をかった。
やがて、狂気は由乃に向かうようになった。
(祐巳さんは……私が守るんだ、私が……)
教室ではシカトを受け、教師の目の届かぬところで、祐巳と引き離されて暴行を受けた。
いや、暴行は教師の見ている前ですら行われた。
政財界に莫大な影響力を持つ小笠原の逆鱗に触れまいと、担任の鹿取まで見て見ぬふりをした。
病み上がりの体を襲う暴力と、精神的な嫌がらせ。
小笠原家の力を背後に、もはや姉の黄薔薇ですらとめられないほど、事態は悪化していた。
(祐巳さんは……私の初めての友達……だから、私は……)
そうして――
ぽたり、ぽたりと涙が由乃の頬に落ちた。
令は泣いていた。何の反応も示さなくなった、由乃を抱いて泣いていた。
「由乃……お願い、目を覚まして、由乃ぉ……」
そのとき、ぴくんと令の腕の下で何かが動いた。


「由、乃……?」
紗の寝巻きがかすかに動く。由乃の手がかすかに令の手に触れた。
「――令、ちゃん……」
「由乃! 由乃――――ッ!!」
令の顔がぐにゃと歪んだ。涙をいっぱいに溢れさせながら、由乃の華奢な体を抱きしめた。
「由乃、意識が戻った、由乃、良かった、由乃ぉ……」
だが……
「令ちゃん……」
由乃の蒼白な唇が震える。由乃の光を取り戻したばかりの目に映ったのは鮮血の紅だった。
「令ちゃん、この手……」
「由乃、由乃の仇は私が討ったから」
暗い瞳だった。以前の令とは異質なものだと、悟った。
由乃は夢と現の狭間の中で悟った。大好きだった令ちゃんも、あのとき死んだのだと。
「令ちゃん、令ちゃんが、祐巳さんを殺したのね」
笑うように涙を流す。由乃の気の強そうなまなこは目いっぱい開かれ、涙が溢れていた。
ずぶり。嫌な音が部屋に響く。
由乃に体をいっぱい引き寄せて、抱きついていた令。
その乳下に、さっきまでテーブルに転がっていた、カッターナイフが刺し込まれていた。
「よし、の……っ?」
がふっと令が血を吐く、力が抜けていく。
「よしの……仇は、私が……」
そのまま眠るように凍りついていく。姉の体を抱きしめ、由乃は吐き捨てた。
「令ちゃんのバカ」
そうしてカッターナイフを持ち帰ると、自らの喉を真一文字に切り裂いた。

(終わり)

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