極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

626 :名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 20:27:55 ID:j8+G9n+v
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等一切関係ありません。
フィクションと現実を混同してしまう方は読むのをただちにやめてください。


627 :K・G・キャット:2009/01/26(月) 20:28:21 ID:j8+G9n+v

背が小さくて、可愛くて、生意気な、あの少女を
麻袋に詰め木刀で叩いたらどうなるだろうか?

私はこの数日間、そんな妄想に耽っています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


先日、こんな内容の本を読みました。
「猫の愛らしい手から、爪という爪を残らず引っこ抜いたらどうなるだろうか?」
ああ、なんとも残酷な想像ではありませんか。爪を失った猫は木登りができません。
たとえ塀の上に登ったとしても、支える爪が無いのですから、落下が不安で不安でブルブル震えてしまいます。
あの人を喰ったようなふてぶてしい態度はどこへやら。猫はきっと爪と同時に自信の全てを失うのでしょう。
そして絶え間無い落下の恐怖に苛まれ、やがて絶望し、―――死んでしまいます。

私の後ろを常に付きまとう少女。同学年にしてはあまりにも小柄なあの少女は、猫に似ているのではないでしょうか。
彼女はなんともわがままで傲慢で、胸も薄いその小さな身体から、耳が痛くなるほどの高い声を出してみんなを引きつけます。
それでいて時にそっぽを向いてみたり、時にべったりと甘えてみたり、彼女はまるで猫のようです。
彼女は知っています。自分の容姿が可愛いことを。そしてみんなに可愛がられる方法を。

一度でいい。そんな彼女の後ろからそぉ〜っと近付いて・・・
その頭に咲くピンク色のリボンを、ああ!切符のようにパチンと切ってみたい!


東京郊外に構えるこの女学校には、桜の花が咲いています。
春の上昇気流は花びらを青空の遠くへ運びます。
私がいつも彼女と待ち合わせるのはその樹の下で、その日にクラスで起こった出来事などを語りながらゆっくりと下校します。
楽しげに、不満げに、悲しげに、嬉しげに、友達や先生のことを語る彼女は、ころころと表情を変えるのですが
はたして彼女は気付いているのでしょうか。黙ってほほ笑んでいるように見える私が、頭の中では麻袋と木刀を用意していることを。
そして、彼女を袋に詰めて滅多打ちにしていることを。鮮血がゆるゆると土の上に溢れている様子を思い浮かべてることを。
この暖かな大気に紛れて、私がドス黒い思いを胸に抱いていると思うと愉快な気持ちになります。


何せ、この穢れなき無菌培養の学校には、楽しいことなんて一つも無いのですから。
私は生徒会に所属していてさまざまな運営に携わっているのですが、本当に笑ったことなど一回もありません。
たとえ見た目はほほ笑んでいるように見えても、それは嘘です。
なぜなら、周囲の子の健康的な笑顔に気圧されて、物事を素直に楽しめない自分が憂鬱に思えてくるのですから。
一体どうしてみんな愉快でいられるのか?満開の桜のような純真な笑みを浮かべることができるのか?
私にはどうしてもそれが信じられなくて塞ぎ込んでしまうのです。
それでいて周囲と同じような表情を作らねばならないので、いよいよ私は悲しくなってしまいます。
楽しいことなんて一つだってあるでしょうか?

でも、もう思い悩むことはないのです。
「あの少女を麻袋に詰めて滅多打ちにする!」
その美しい妄想は、私の鬱憤を晴らしてくれます。



その妄想を実行したならば、彼女はどうなるでしょうか?
クラスの中心的存在である彼女はどうなるでしょうか?



たとえば、空が紫に染まる夕暮れ時、桜の樹の下で、私を待つ彼女に背後から麻袋を被せます。
袋は小さいその身体をすっぽりと包んでしまいます。パニックに陥った彼女は何も出来ないに違いない。
出口を紐で固く縛り、太い枝にひっかけて吊るし上げます。暗闇と、地面から離れる恐怖。
そして、手にした木刀で袋を力いっぱい叩きます。
可愛い悲鳴など許しません。醜い叫び声が上がるまで徹底的に叩きます。
肋骨がひしゃげて、内臓が破裂するまで叩きます。脛をへし折り、腕を砕き、頭蓋骨を割るのです。眼球を叩き潰すのもいい。
袋の中に溜まった血は少しずつ染み出し、地面に赤い花びらのようなシミを点々と作るでしょう。

もはや、わずかにうめき声が聞こえるのみ。
かつて明らかに人が入っていると分かる形をしていた麻袋は、もはや檸檬のような紡錘形へと変化しています。
ぐしゃぐしゃに柔らかくなった肉体が袋本来の形に収まったのでしょう。
あの可愛らしい少女はどんなふうになったのか?なってしまったのか?
まるでママから貰ったプレゼントの中身を覗くような心地です。ああ、袋の中を早く覗きたい!
けれど、私はその衝動を必死に抑えて、そこを立ち去ります。


次の日、おそらく彼女は誰かに発見されるでしょう。
そして数週間もすれば学校に通えるようになるでしょう。

私の愉快は、まさにそこにある!
包帯を巻いているでしょうか、松葉杖をついて来るでしょうか。いや、そんなことはどうでもいいのです。
彼女は一体どんな目をしているでしょうか?昨日と同じように猫のような甘えた目ができるでしょうか?

いや、絶対にできない。できるはずがない。


彼女は袋の中で何を思うでしょうか。
この春もうららな陽気な季節に、何者かに殺されそうになったとしたら?
暗闇の中で激痛の叫びを上げてもその手を止めない残酷な残酷な何物かに襲われたのです。
心当たりなどあるものですか。彼女は誰からも愛されていて、恨みを買う憶えなど無いのですから。
だからこそ恐怖するのです。「それならば、一体誰が?」と。

きっと、この中のどこかに自分を殺したいほど憎んでいる人間がいる。
その不信感は彼女から笑顔を奪います。そして他人と深く関わることを避けるでしょう。
周囲の慰めの言葉も愛の言葉も、全て信じることができなくなる。
かつてクラスのマスコットとして愛されていた彼女に、その影はもはやありません。
彼女は、怯えて、恐怖して、沈痛な表情で椅子に縛り付けられる人形として学校生活を終えることでしょう。
どうですか。なんとも愉快な話ではないですか。




人間の「爪」は「信頼」だと思います。
それを引っこ抜いたとき、人は確実に正常でいられなくなる。
もはや周囲と同じような健全な笑顔を浮かべることはできなくなるでしょう。

彼女は、物理的には最も近くにいるのに、精神的には最も遠いところにいる。
そんな彼女の「爪」を抜くことで、私は彼女と本当の意味で向き合うことができそうです。



今年の桜は本当に綺麗です。
爛漫と咲き誇る花の下で、人々は和やかに楽しみ笑います。酔っ払ってゲロを吐いたり喧嘩することもあるでしょう。
私は今までその景色を遠ざけるようにしていました。私にはその姿が眩しくて直視できないのですから。

でも、今は違います。
あの素敵な妄想が私の心のバランスとなっているのです。
もう、桜の花にも、あの小さくて生意気で可愛らしい彼女にも、心を乱されることもありません。
だって、私はすでに麻袋も木刀も用意しているのです。いつだって実行できるのですよ?

今日も私は桜の樹の下で彼女を待ちます。
彼女はピンクのリボンを揺らしながらやってきます。
猫のような笑顔で私にじゃれつきます。

いつになく機嫌が良い私を見て不思議そうにしているのですが、その理由はきっと彼女には一生分からないでしょう。

どうやら私はみんなと平等に学校に通うことができそうです。
同じように桜の花を眺めることも、同じような笑顔を浮かべることもできそうです。
あの妄想は心の中に秘めたまま実行することはおそらく無いでしょうね。




彼女が私の側を離れようとしない限りは、きっと。                END

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