その部屋の扉は二重になっていた。
 外側の扉の鍵が開けられる音を聞き、シオニー・レジスはびくっと身をすくませた。内戸が開けられて、戸口
に立った人影に、盛大にひれ伏す彼女。

「済みません、申し訳ありません、謝罪の言葉もありません! ですが、ですがどうか話を聞いてください! 
私は騙されていたのです! 脅迫されていたのです! 全ては、あの、ガイオウとアイムとカルロスのせいなの
です! 私は被害者なのです! 騙されて祖国を奪われた最大の被害者なのです! ですから、どうか、どうか
ご斟酌くださいっ! 寛大な処置をお願いしますっ! 命ばかりはお助けくださいっ!」
「……落ち着いて、シオニーちゃん。僕だってば」

 顔を上げて人影を見定めて、バネ仕掛けのようにシオニーは跳ね起きた。

「ああっ! カルロス・アクシオン・Jr.!」
「久しぶり。結構元気そうでよかった」

 カルロスの微笑に、シオニーの顔が見る見る紅潮する。

「裏切り者っ! 卑怯者っ! 何のつもり! 国連や裁判所に下げる頭はあっても、あなたに下げる頭はないわっ! 
私の土下座を返せっ!」

 なおも罵声マシンガンを放とうという彼女の口が、カルロスが手元に持つモノを見て凍った。金属のように
つややかな黒い革鞭。

ピシィッ!

「ひっ!」

 カルロスが鳴らす鞭の音に、頭を手で抱え身をすくめるシオニー。

「僕を殺そうとしておいて、裏切り者呼ばわりはないんじゃない? 僕にだって身を守る権利くらいはあるわけ
だし」
「だ……だってその……あなただってインペリウムの一員だったんだし……す、少なくとも、あなたに私を裁く
権利はないはずですっ」

 シオニーの抗弁に、カルロスは目を細めて薄い笑みを返す。

「そうだねえ、僕に君を裁く権利はないかもねえ……でもね」

ピシィッ!

「ひっ!」
「危うく殺されそうになった身としては、復讐する権利は当然あるねえ」

 シオニーの体に震えが走り、それは次第に大きくなる。

「や、やめて……来ないでっ! 私は……捕虜として扱われる権利があるわ! 三大国家全てが批准している捕虜
協定に、残虐な刑罰は禁止と……ひっ!」

 鞭の音で彼女の言葉を断ち切るカルロス。

「まず一つ。ここは国連や三大国家の施設じゃないよ。僕しか知らない秘密の隠れ家。もう一つ。君は表向き
死んだことになってる。グレートアクシオンから回収された君は、病院に運ばれた後、死亡確認が公表された。
……ま、その病院の院長に、個人的な貸しがあったわけでね」

 カルロスの軽薄なウィンクに、しかしシオニーは歯の根も合わない。

「さ……裁判を受けさせて……。正式な裁判を受けさせて! ここがどこであれ、それが文明人の最低限のふる
まいでしょう……ひっ!」

 カルロスは鞭を振るわない。単に手元で鳴らすだけ。その音に、シオニーは面白いようにダンゴムシ状態で
固まる。

「逃げられないよ、シオニーちゃん? 君に出来ることは、僕に気に入られるペットになる事だけ。頑張って
ここから逃げ出してみる? 危ないなあ。君、もしも捕まってインペリウム惨禍の遺族の前に立たされたらさあ」

 歩み寄りながら語りかけるカルロス。シオニーはじわじわと後ずさり、やがて背中が壁にあたった。

「裁判なしで八つ裂きにされても、文句言えないと思うよ?」

 覆い被さるようにしてささやくカルロスの言葉。それが意味する現実が脳に染みいり、どうしようもなく正しい
評価だと思い知らされる。膝が笑い、立っていられなくなった彼女は、部屋の隅にへたり込んだ。
 蒼白の頬を、鞭で軽くなぞり上げるカルロス。

「立ち上がって、服を脱いで」

 微笑みながら軽く放った言葉に、言いようのない圧力がこもっていた。


 屈辱の涙を流し、しゃくり上げながらシオニーは服を脱いでいく。のろのろとした手を、鞭の音で督促され
ながら。
 一糸まとわぬ姿を、かろうじて胸と股間を手で隠し、部屋のライトの下に立たされた。

「んー、キレイだよーシオニーちゃん。おっぱいも大きすぎず小さすぎず。もったいないなあ。外務大臣じゃ
なくて、リモネシア観光省でモデル勤めてた方が適任だったんじゃない?」

 カルロスの軽口に唇を噛んで耐えるシオニー。

「さてと……じゃ、質問ターイム。初体験は何歳の時?」

 無遠慮な質問に、彼女の体に戦慄が走った。わなわなと震える唇を、鞭の音で促されてようやく声が出る。

「……じゅ、19歳の時……大学の……同級生相手に……」
「へえ、大学時代に? まあ当然か。彼とはどこまで行ったの? お尻とか試してみた?」
「お、お尻って、ふ、ふざけないで! 私は、変態じゃないわっ!」
「へえ、そう? ラッキー、それは楽しみ。……あのさ、その彼とはどうなったの? 関係が続いていたら、
君、こんな事に手を染めなかったでしょ?」

 ふと思いついたカルロスの言葉は、必要以上にシオニーに堪えたらしい。歯がみする音がカルロスの耳にも
聞こえ、絞り出すような言葉が続いた。

「……か、関係を持って、しばらくして、彼の方から……別れを切り出してきたわ……。『面倒な女』って……! 
『うっとうしい』って……! 私は……心から愛していたのにっ……!」

 背けた顔に涙の筋が光った。

(あー……まあシオニーちゃんだものなあ、納得っちゃ納得。しかし……その別れが、この娘が壊れていった
最初の傷口だったんだろうな……)

そんな思いがカルロスの脳裏をよぎる。

「じゃ、別の質問。君、アイムに性的なご奉仕していたよね?」

 蒼白だった彼女の頬に見る見る血の気が昇った。

「あ、アイム様、アイムには、そんな事はしてないわ……ひっ!」

 ヘラヘラ笑いながら鞭を鳴らすカルロス。

「い、言うから、言いますからっ! ……わ、私は……繋がりが欲しかったから。あんな男でも……力を持って
いたから……っ! だから、その、申し出たけど、あ、あ、アイムは、『なんであなたの穴に突っ込んで、私が
腰を動かさなければならないのですか』って……」
「へえ、だから何もしなかったと? 確か、人払いして彼と二人っきりの時間は結構あったけど」
「……だから……く、口で奉仕しろと……アイムに言われて……」

 彼女にとっては普通の性行為より屈辱だったのだろう。しゃくり上げながら告白するシオニー。
 なるほど、アイムの言いそうな事かも。自分だけじゃなく女の子も気持ちよくしてあげたいとか考えないの
なら、オーラルだけで十分と思うか。

「そっか、じゃ、オ○ンコはご無沙汰ぎみで、お尻の方はバージンね。結構結構」

 カルロスの無遠慮な評価に、子供のように表情をゆがめるシオニー。

「さ、じゃ、始めよっか。そこの台ね、分娩台っていうんだ。乗っかって、足置きに足を置いて」
「…………」

 目の前にベッド状の医療器具があった。初めて見る物だったが、一見すれば頭と足を置く場所はわかった。
全裸でそのポーズを取るのは、ほとんどカエルが解剖される姿に等しい。膝の力が抜け、しゃがみ込みそうに
なるシオニー。

「お、お願いです……どうか、するなら普通にして……。普通のベッドで……ひっ!」

 カルロスの鞭が床を叩いた。手元で鳴らすのとは比較にならない獰猛な音。しゃくり上げながらシオニーは、
分娩台の上に身を横たえた。手早く両手と両足を固定される。

「やめて……こんな、こんなのは……抵抗しないから、ほどいてください……っ」

 彼女の涙声を、カルロスは一顧だにしない。台の周りに何かの器具を配置する。

「いやあシオニーちゃん。抵抗しないって言ってもさ、人間、反射的に体を動かしちゃう時だってあるじゃない。
それが危ない場合もあるからさ」

 にこやかに言い切るカルロスのセリフ。それはどんなに覚悟しようが暴れずにはいられない責め苦が始まると
いう間接的な宣言だった。シオニーの震えが止まらない。グロテスクなほどはっきりと鳥肌が浮く。

「まず、おなかの中をキレイにしようね」

 チューブの先端を見せつけるカルロス。それは点滴パックそっくりの袋につながっている……。何をされるか
悟ったシオニーは、引きつった悲鳴を絞り出した。

「い、嫌ぁぁっ! やめてぇぇっ! そんなの、しないでぇぇっ!」
「お、いい反応だねシオニーちゃん。イリルガトール浣腸、経験ある?」

 頭を振り立てて暴れるが、医療器具に固定された四肢は一寸も動かせない。

「ほーら、落ち着いて落ち着いて……暴れると、可愛いお尻が傷つくかもよー?」

 潤滑剤のぬめりと共に、アヌスに冷たい器具が進入してくる。

「嫌ぁぁぁぁ!」

 シオニーはのけぞって絶叫した。そして絶叫が唐突に遮られる。浣腸薬液が注入され始めたのだ。

「ひっ……ひぃぃっ……やめて、入れないで……お願いぃ……。他の事なら、何でもするからぁ……」

 半べそかきながらのシオニーの訴えを、カルロスは陽気に笑い飛ばした。

「あははは、何言ってんの。こんなの初歩の初歩だよ? これを我慢できない君が『何でもする』って、それ
冗談にしかならないって」

 腸内に液体が逆流してくる感覚に、もうシオニーは声も出せない。縮こまったポーズに固まって耐えるだけ。

「んー、ま、浣腸初心者じゃここらへんまでかな」

 アヌスからチューブが抜き取られ、入れ替わりに固く冷たい物体が押し込まれた。

「ひぃっ! い、痛いぃっ!」
「我慢我慢。時間をかけないと、おなかの汚れが浮いてこないから。栓をしとかないと保たないでしょ?」

 正面に低めの椅子を据えて、カルロスはシオニーの、最も秘めておくべき箇所を無遠慮にのぞきこんだ。
手には鞭ではなく、羽毛ブラシを持っている。

「ほーぅ、キレイじゃない、シオニーちゃん。毛も濃くないし。色素の沈着も少ないし」
「……ひっく……ひっく……」
「何よりさ、変に手入れしていないのがイイね。初々しくて」
「ひぃぃっ!」

 己の秘唇に柔らかい感触が落ちて、思わずシオニーは悲鳴を上げる。カルロスはブラシの毛先を、ゆるゆると
恥毛にすりあわせた。触れるか触れないかの感触が、さわさわと周辺をはい回る。鼠蹊部から太ももの内側を、
下腹から焦らすようにおヘソまで、柔らかな毛先がなぞっていく。いつしかシオニーの声に、苦痛とは別の響きが
混じりだした。鳥肌はいつしか消えて、しっとりとした汗が浮かぶ。

「や……やめて……あぁっ……そ、そんなの……お、はおぉっ……だめぇ……わたしぃぃ……っ」

 下腹から、キュルキュルと異音が響きだした。初めて知る羽根責めの快感と、腸内の苦痛とがない混ぜに
なって、シオニーの思考を溶かしていく。自分が苦しんでいるのか悦んでいるのか、区別がつかなくなっていく。

「ふふ……一回、区切りをつけようか」

 カルロスは含み笑いと共に、羽先をシオニーの肉真珠に添えた。ゆるりゆるりとした動きが、次第に細かく、
早い振動に変わっていく……

「ひいぃぃっ! お、はあぉぉっ! だめ……それ、だめぇっ! 飛んじゃう……とんじゃうぅぅっ!」

 首を逸らして天に吠え、シオニーは初めて知る絶頂に突き上げられた。
 体の底から響く異音と振動に、意識が引き戻される。腸内の蠕動は、もう我慢の限界だった。

「く……苦しい……許して……もう、我慢できません……」
「ん、そろそろいい頃合いかな?」

 ゴム手袋をはめて、カルロスは濁流をせき止めているアナルプラグに手をのばした。

「ああっ! 待って! トイレに、トイレに行かせて! ここで、抜かないでっ!」

 思わず訴えかけるシオニーに、カルロスは無邪気な笑顔を返す。

「ほら、下を見てご覧シオニーちゃん」
「……ひっ!」

 分娩台の下に、あひるのおまるが据えられていた。あひるの顔が後ろを向き、脳天気な笑顔を向けている。

「い、嫌あぁっ! やめてぇぇっ! トイレに行かせてぇっ! ここでなんて、嫌あぁっ!」
「んーふふ♪」

 悲痛な叫びを気にもとめず、カルロスはアナルプラグに手をかけ、ゆっくりと抜いて行く。

「ひぃっ! ひいぃっ! 悪魔……あなたは悪魔よぉっ! 嫌あぁぁぁっ!」

 アナルプラグが抜き取られた。挿入に使ったローションは腸内の体温に溶け、かすかに湯気が立った。
 シオニーは全身をのけぞらせて硬直した。息も止めて、必死にアヌスを締め付ける。

「ほぉ、凄いじゃない。即落ちだと思ったのに。……さて、どこまで頑張れるかな?」
「………………っ!」

 全身に震えが走り、それが次第に増幅されていく。呼吸を止めた顔が紅潮し、その色は次第に紫色に変わって
いく。

「……楽に、なっちゃいな、よっ」

 カルロスの指が股間に伸びて、羽先で剥かれていた肉真珠をつまんだ。

「ひぃぃぃっ! あ、嫌ぁぁぁぁっ!」

 ついに崩壊が始まった。喉を突く絶叫と共に破裂音が鳴り響く。
 長い放出が収まって、身を揉んで泣きじゃくりながらシオニーは口走った。

「嫌……いやぁ……見ないで……見ないでぇっ! ウンチじゃない……ウンチじゃないのぉっ!」

 とぼけた顔でカルロスが返す。

「なら、何さコレ」
「………………エ、エクトプラズムとか」


 子供のようにしゃくり上げるシオニー。抵抗する気力も萎えてしまったよう。仕上げの温水浣腸をほどこすと、
わずかに黄色く色づいた水を、こらえようもなく垂れ流した。
 再び正面に椅子を据えるカルロス。ゴム手袋の上に何かのクリームを絞り出す。こねるうちに体温に溶けて、
ゆるゆると広がりだした。クリームを盛った指をアヌスに伸ばす。

「やめて……許して……もう、しないでぇ……」

 弱々しい訴えを一顧だにせず、カルロスはむしろ楽しげに、アヌスと直腸にクリームを塗り広げていく。

「あ……はおぉっ?」

 うめき声の語尾が上がった。熱い。アヌスが火照って来る。熱だけじゃない。粘膜が、ちりちりと痒みに似た
感覚で泡立つような……

「感じるでしょ? これ、アヌス用の催淫クリーム。筋肉を弛緩させて粘膜全体を発情状態にしちゃう。お尻の
初心者でも、最高の快感が得られるよ」
「いや……いやぁ……しないで……そんなの……使わないで……はあぁぁんっ!」

 アヌス周辺が灼けるような感触。熱いハチミツが細胞一つひとつに染みこんでくるような……そんな甘い悦楽を
帯びた熱。怖かった。このままアヌスを愛撫され続けたら、自分はもう、今までと別な何かに変わってしまう。

「よいではないか、よいではないかってね。僕はアイムと違って、女の子にも気持ちよくなって欲しい方だから。
さ、これくらい使えばOKかな」

 カルロスは服を脱ぎ、シオニーの正面に立つ。股間の剛直に、思わずシオニーは目を見張る。あんな……あんな
モノで体の中を、かき回されたら……

「天国に連れて行ってあげるよ、シオニーちゃん」
「い、いやぁ……たすけ、て……あ……ああ……っ! はおぉぉぉっ!!」

 アヌスから真っ直ぐに下腹を貫く衝撃。催淫クリームに蕩けきった括約筋は、何の抵抗もなくカルロスの肉棒を
受け入れた。カルロスの下腹とシオニーの尻が密着した。そのまま圧倒的な量感を誇るように、カルロスは自分の
剛直で、ゆるゆると直腸内をなで回す。

「おぉぉ〜〜っ……はおぉぉ〜〜っ……おひり……おひりがぁぁ……ほおぉぉ〜〜……」

 のけぞって天井に向けられた目には、もう何も映っていない。涙とよだれが止めどなく溢れる。自分が征服
されてしまった。熱い肉棒に征服されてしまった事だけを、牝の本能が理解した。

 カルロスが動き出した。肉棒を抜く時は細かく揺すりながら、まくれ上がるアヌスを刺激し

「あおぉぉぉ〜〜〜っ! とけりゅぅぅ〜〜っ! れんぶ……れちゃうぅぅ……ほぉぉぉ〜〜〜!!」

 突き込む時は真っ直ぐに、子宮の裏側をえぐるように。

「おごぉ〜〜〜っ! ひぬぅぅぅっ! ひんひゃうぅ……! おぉぉぉ〜〜〜……っ!!」

 閉ざされた部屋に淫靡な音が響く。濡れた粘膜が絡む音と、牡と牝のあえぎ声。既にシオニーの理性ははじけ
飛んでいた。たった一度のストロークごとに、何度絶頂を極めたかわからない。目もくらむようなエクスタシーに
意識を失いかけると、カルロスが口移しで甘口の酒を飲ませる。胃の中に落ちた熱が体全体に染み渡り、再び
欲望が満ちてくる。いつしか二人はベッドに移り、シオニーは犬の姿勢で尻を掲げ、カルロスに秘裂を捧げていた。

「くふうっ! シオニーちゃん、オ○ンコの方がお尻より締まるじゃない。はは、こっちもちゃんと耕して、
開発してあげないとねえ?」
「あぁぉぉ〜〜っ……カルロスさまぁ……いい……きもぢいいれすぅ……はぁぁぁ〜〜〜……何て……すてきぃ
……」
「ははは、可愛いよ、シオニーちゃん。ほら、もっとたくさん、甘えてご覧? 君のオ○ンコで……僕の○ンポ
にさ……!」
「いいぃぃ〜〜〜……きもぢいぃ〜〜〜……カルロヒュはまぁ……もっとぉ……かわいがってぇ……シオニーをぉ
……かわいがってぇぇ……あぁぁぁ〜〜〜……っ!!」

 首を逸らして絶頂の遠吠えを放つ。くたりと弛緩したシオニーの体を、今度は対面座位に抱え上げた。正面から
突き上げられた衝撃に、シオニーは意識を取り戻し、躊躇なくカルロスの首っ玉に抱きついて舌を絡め合った。

「おぉ……ほおぉぉ〜〜……ぬちゃ……べろぉぉ……ひゅ……ひゅごいぃ……」
「ふふ……いいよ、シオニーちゃん。なる? 僕のペットになる?」
「はひぃぃ……なりまひゅぅ……わらひ……カルロヒュはまのペットぉ……」

 カルロスが追い込みにかかった。腰を大きくグラインドさせながら、シオニーの体を何度も浮かせ、落とす。
尻を抱えた手で、彼女の緩みきったアヌスを貫いた。

「ほおぉぉ〜〜〜っ!! ひゅごいぃ……ひゅごいぃ……っ!! れんぶ……りょうほう……ひゅごいぃぃぃっ!!」

 極まりの声を放ち、シオニーは、カルロスの背に爪を立て肩先にかみついた。

「おうっく!」

 苦痛が引き金を引いたように、彼も熱い絶頂感に貫かれる。鞭のように身を弾かせて、何度も彼女の奥底に
精を放った。

「おおぉぉ〜〜〜っ! いぐ……いぐぅぅぅ……っ!! いぐぅぅぅぅっ!!!」

 絶叫の後に数秒、息も止まったまま硬直するシオニー。

「……かはっ……」

 取り戻した呼気を笛のように震わせて、彼女の意識は今度こそ闇の中に落ちていった。

「ててて……」

 肩先の歯形に苦笑するカルロス。シーツの上に崩れ落ちたシオニーをしばらく眺めていたが、やがてタオルを
絞り彼女の体をぬぐい、シーツがなるべく粘液に濡れていない場所に横たえた。

(やれやれ……やっちゃったなあ)

 インペリウム時代の彼女の尊大さには不快を感じていたので、仕返ししたいという気持ちは確かにあった。
しかし終わってしまえば、胸に残ったのは微かな後悔の念。

(……らしくないね。反省はしても後悔はしない。それが僕のモットーなのに)

「出会った頃の君は……」

 思わず声に出してしまった事に、一人苦笑するカルロス。しかし言ってしまった以上は、言い切ってしまおう。

「……素敵だったねぇ。臆病で、浮き沈みが激しくて、それでも三大国家相手に一歩も退かないで……」

 仕返しなど、妄想している内が一番楽しいのかもしれない。済んでしまえば空しさだけが残る。

(しかし、やってしまった以上はきちんと飼ってあげないとな……)

 そんな事を思いながら、カルロスは身支度を調えて部屋を出て行った。


 − 終 −

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

編集にはIDが必要です