「それでね、お兄ちゃんと鉄也さんがトイレでね」
「うー……」
「そしたらギュネイさんがね……どうしたの?」
 一戦終え、食堂へ向かう通路を歩いている最中、朗らかに話すリムの横でクェスは小さく呻いた。
 機体から降りるときは、気持ち悪いくらい元気だったんだけれど、とリムは訝しみ、俯くクェスの顔を下から覗き込んだ。
「クェス…?」
「……気持ち悪い……」
「気持ち悪い? ど、どうしよう、ナナイさん呼ぼうか?」
「……あのオバさんはヤダ。また変な薬飲まされる……」
「オ、オバさんって……じゃあ、部屋戻ろう?」
 首を横に振って、今にも消え入りそうな声でつぶやいた。
「部屋もヤダ……体調悪くすると誰か来るもん……リム……アンタの部屋寄っていい?」
「え? 私の部屋? 私は別にいいけど……」


「はい、ハチミツレモン。落ち着くよ」
「気持ち悪い……けどありがたくもらうよ……」
 リムが差し出した黄色のマグカップを手に取り、中を覗き込んだ。マグカップの中では、黄金色の液体が揺れ、馥郁な香りを醸し出している。
「………ん」
「甘い?」
「甘………あま………ってうあっ! 何これ!?」
「ん、だからハチミツレモン」
 喉を抑えて、下を外気に晒しながら、クェスはリムに言った。
「ハチミツレモンっていうか、ハチミツっていうか、甘ッ! どうゆうレシピ!?」
「普通通り、ハチミツ煮詰めて、レモン汁垂らして、砂糖をいれただけだよ。あと元気がでるおまじないを少しだけ」
「っていうかそれじゃハチミツじゃん! 糖尿病になっちゃうんじゃないの!?」
 血相を変えて叫ぶクェスに、リムはちょっと微笑みながら言った。
「でも元気は出たでしょ?」
「う……」
「やっぱり、ニュータイプの反作用?」
「なんでもかんでもニュータイプってわけじゃないけどさ……それもあるよ」
 クッションを抱いてソファーに体を沈めながら、クェスは呟いた。
「ふぅん……女の子の日? クェスはもうきてるの?」
「! 変なこと聞かないでよ!」
「……クェスも大変だね」
 事も無げに呟いたリムに、クェスは突っかかった。
「なに? 自分より年上だから、色々相談にのれます、ってわけ?」
「別にそんなんじゃないけど……」
「いいや、そうだよ!」
 クッションを地面に放り投げて、クェスは叫んだ。
「いつもそうだ! 大佐の為に頑張っても、大佐にはちっとも追いつかない。
ギュネイはアタシが守ってやってるのに、いつだってアタシを守ってやろうって考えてる。
ナナイはアタシの邪魔ばっかりする。ブルースウェアの連中だっておんなじだよ。アタシがどんなに頑張ってもアタシを大人として認めないじゃないか」
 捲くし立てるクェスを前にして、リムはオロオロとするしかなかった。
「ク……クェス……」
「なにさ!?」
 ――そういう考え方が子供なんだよ。
 ――ちょ、ちょっとリアナァ。
 心の中でリアナが呟いただけだったが、クェスは、見透かしたようにリムに迫った。
「こういう態度が子供だって言いたいの!? どうなの!?」
「え……えっと……」


「……わかった。わかったよ」
 そう呟くと、クェスはふらりと立ち上がり、リムの元に歩み寄った。
「な……なに?」
「こうなったら無理にでも大人になるよ」
「え……?」
 クェスは、リムのワイシャツに手を伸ばした。そして、一切の躊躇もせず、まるで毟り取るように、一気に引きちぎった。
「きゃあ! な、なにするの!?」
「だから…大人になるのさ!」
 丸椅子に座っていたリムをカーペットの上に押し倒し、半脱ぎだったワイシャツを完全に引き剥がした。
「ふぇ…?」
「ふぅ……やってやるんだからさ……」
 そっとリムの豊かな乳房に、繊細さのかけらもなしに、乱暴に、引きちぎるように鷲掴みにした。
「ひやぁっ!」
「う………んう……ん……」
 鷲掴みにされて、絞られる形になった乳頭が、大きく突き出す。クェスは、その突き出した乳首に恐る恐る唇を近づけた。
「や……だめ…やめて……痛いよ……」
「やめて……だってさ、ハハ……! こんなに…恥ずかしい……形に……なってるのに……さ!」
 いくらか隆起した乳首を、クェスはゆっくりと口に含む。
「ひぅ!」
 初めは口先で舐め、やがて、口の中に、控えめな大きさのリム乳輪が全て入るまで含んだ。
 それを、口の中で転がし、舌先で弾く。
「あああ……だめぇ……」
「気持ちいい……気持ちいいかい? おかしくなる?」
「あ……うあ……」
 二度舌先で右に弾き、左に三度弾く。どこで、奥歯をつかって乳首を少し強く噛む。
「! うあああ!」
「ん……んう……ちゅぱ……んん……」
 すっかり蹂躙されて、リムは口からはしたなく涎を垂らし、ぐったりとカーペットの上に四肢を投げ出した。
「ハハッ……イっちゃった? アタシに嬲られてイっちゃった?」
 リムは、ただ肩で息をして、荒い喘ぎ声をするだけしかできなかった。
 あんまり無反応で、ぐったりとしているだけのリムを見て、少しだけクェスは不安になった。
「……ねぇ、リム、大丈夫?」
「―――まぁね」
 突如、リムは起き上がり、クェスの両肩を掴んで、押し倒し返した。
「なに!? なにする気さ、リム!?」
「なにって……ここまでやっといて、今更何言うのよ。大人になるんでしょ?」
 無理矢理唇に下を差込み、まず口を塞ぐ。それから、両足を持ち上げ、体を折りたたむ格好にさせる。
「い……や、やだ……この格好……やだ……」
 女性器が完全に形になって、クェスは顔を激しく紅潮させた。
「ふふ……可愛い形じゃない……」


 陰唇を右手で引っ張り、ぐいと広げる。
「あ……ああ……ごめん…ごめんリム……だからやめて……」
「大丈夫だって……怒ってないから……だからこうするんだって」
 リムは陰唇に唇をつけて、陰核を中心に女性器全体を舐めた。
「うああ……ああうう……うあああああ……!」
「ん……少ししょっぱいな…クェスのここ……」
「言わないでよぉ……やだぁ……」
「んむ……はぁ……いいじゃん……恥ずかしくないよ……」
 両目を手で覆い、必死に痴態から目を逸らそうとする。しかし、それでも否応無く、快感の喘ぎ声は唇から漏れる。
「あう……やだ……やだぁ……」
「ん……ここらかな……」
 ぐっ、と尿道口と膣穴を一緒につまむ。その時、リムはそっとクェスの膣の少し内側を撫でていた。
「ひやぁあっ!?」
 瞬間、ぷしゃ、っと気の抜けた音を立てて、クェスの尿道から水柱が上がった。
「うあ……クェス、潮吹きしちゃったよ……」
「あう…違う…違う…違うんだよ……リム」
「そうだよね……一人は淋しいだろうね……さ、来なよ」
 足腰が覚束なく、ふらふらとするクェスを引っ張り、ベッドの上に寝かせ、その上に覆いかぶさった。
「さ、手をあてて……どこかは、わかるね……?」
「う……うん……」
 恐る恐る、クェスはリムの秘裂に手を伸ばし、手を触れた。
「そう……そこでいいよ……」
 リムも、すでにぐしょぐしょになったそこに手を伸ばした。そして、少しだけ陰核を撫でた。
「あう………うう……うあ……リム……アタシもすれば……いいんだよね…?」
 クェスも、リムの手を真似て、同じ場所をつねる。
「うぅん! そう、いいよ! そこぉ!」
「いい? いいの? いいのぉ? リムゥ!」
 たまらず、クェスはリムの乳房にしゃぶりつく。
「いいよ…いいよクェス……好きなだけ、好きなだけしゃぶっていいよぉ!」
「いいの? しゃぶっていいの? リム、リムゥ!」
 お互いの秘裂をお互いで弄りつつ、クェスはリムの乳房を舐め、リムはクェスの顔を自分の胸に強く抱きしめていた。
「リム…リム……いこうよ……もういこうよぉ!」
「うん……もういこう……クェス……ああ、うあああ、ひああああ!」
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 一際大きな声で二人が叫んだ瞬間、同時に二人はお互いの唇を求め、同時にお互いの口内に舌を差し入れ、そのハチミツの味を確かめあった。
「あ……甘いよ…リムの口の……美味しい……」
 そうか細く呟くと、クェスは自分のまどろみの中に沈み込んでいった。
「よぉ、クェス。最近どうしたんだ?」
 戦闘が終わって、コックピットから降りたクェスに、ギュネイは言った。
「なにがさ、アタシはいつもどおりだよ」
「そうは言うがな、前よりはファンネルの精度がぐんと上がってるぞ。スコアもよくなった」
「スコアなんてどうでもいいよ、そういうのに拘っても逆に下がっちゃうだけだし」
「………」
「どうかした?」
 ポリポリと頭をかきながら、ギュネイは言った。
「いや、変わったよ、お前」
「そう?」
「ああ。ま、俺にはまだまだ及ばんがな」
「へん、だ。言ってなよ。じゃあね」
 トン、と無重力の壁を蹴り、扉へクェスは向かった。
「おい、ファンネルの調整なら付き合うぞ」
「ん、後でね。用があるからさ。じゃあね、ギュネイ」
 そう言って、クェスは有重力エリアに向かってガイドを掴んで飛んでいった。

「ねぇ、クェス、最近どうしたの?」
 クェスの髪を撫でながら、リムは尋ねた。
「なにがさ? アタシはいつもどおりだよ」
「そうは言うけどさ……」
 胸に顔を寄せて嬉しそうにするクェスの顔を見て、クリスとリアナは顔を見合わせた。
 あれから、クェスはますます幼児化してるような……前よりも顔つき自体はすっきりたんだけれど。
 ―――ま、いいか。妹が一人できたと思えば。
 ―――娘な気もする。
 ―――まだそんな年じゃないよ! 
 ―――でもねぇ……
 たまに乳首に吸い付くクェスの髪を撫でながら、リムは思った。
 ―――なんでこうなっちゃったんだろ………
 ―――悪い気はしないんだけどねぇ……
 苦笑いしながら、もう一度リムはクェスの唇を啜った。

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