「ふぅ…」

ヴァルストークのキャプテンシートで、シホミ・アーディガンが大きく息を吐いた。
その様子に気づいたホリス・ホライアンが、コンソールから目を離して声をかける。

「シホミさん、お疲れのようですね。少しお休みになられては?」
「いえ、これくらい…私は大丈夫です」
「ホリスの言う通りだよ、お姉ちゃん。カズマとミヒロも哨戒に出てくれてるし、ちょっと休憩しようよ」
「でも…」

妹のアカネにも説得され、シホミが少し揺らいだ。
少々考えこんだ後、シートから立ち上がる。

「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわ。アカネちゃん、ホリスさん、ブリッジはよろしくね」
「了解です。さて、私はアカネさんとの2人の時間を堪能させていただきましょうか」
「な、なんてこと言うの馬鹿ホリス!」
「もちろん冗談ですよ。私にも仕事がありますので」
「あんたねえ…!じゃなくて、ゆっくり休んできて、お姉ちゃん」
「ふふ…ありがとう、2人とも」

夫婦漫才のような光景に微笑みながら、シホミはブリッジを後にした。
部屋に着き、大きく息を吐きながらベッドに倒れ込む。
アーディガン家の皆をまとめる長女、またヴァルストークの艦長という立場から解放される数少ない時間。
そんな時間に彼女がする行為は、いつもひとつだった。
邪魔なスカートを脱ぎ、下着の上から秘部をなぞる。

「あっ…」

端正な顔立ちが一瞬、艶やかな表情を見せる。
指がそこを擦るたび、熱い吐息が漏れ、頬が朱に染まっていく。

「は…う、んっ」

いつのまにかもう片方の手は胸へと伸び、乳房を慰めていた。
徐々に硬さを見せる乳首をつまみ、優しく責める。

「くぅっ…あ…濡れてる…私…」

指先に湿った布の感触を感じ、シホミは一人呟いた。
そしてその下着に手を入れ、茂みに覆われた秘裂に指を這わせる。

「あぁん…あっ…ふぁあっ…」

感触だけではなく、ぴちゃぴちゃと響く水音が、彼女を高ぶらせる。
数回擦ったところで指を折り曲げ、膣に挿入した。

「ああっ!あ…あん!あっ!」

戦闘時の凛とした声とは違う、欲情した雌の喘ぎ声が室内に響く。
感じるところを自身の指で激しく責められ、彼女は一気に上り詰めた。

「あ、あぁっ!もう、私、あん…ああああっ!!」

絶頂に達し、びくびくと震える性器から愛液が吹き出し、ベッドを汚した。
しかしシホミ自身はそれを気にもせずベッドに身を預け、心地好い余韻をしばらく楽しんでいた。

「ふぅ…駄目ね、私も」

数分後。
ベッドの後始末を済ませ、熱いシャワーを浴びながらシホミは呟いた。
性欲が強いというわけではないはずだが、気がつくといつも自慰に耽ってしまっていた。

「私もアカネちゃんとホリスさんみたいに、いい相手探すべきなのかしらね」

自嘲しながら、ふとひとつの疑問が脳をよぎる。
彼女達も、セックスに溺れていたりするのだろうか?

(あの元気で明るいアカネちゃんが、ホリスさんに抱かれて艶っぽい声を上げて…)

想像してしまった彼女の芯に、再び熱が篭る。
右手が股間へと伸びていこうとした、その時。

「お姉ちゃん!ごめんね、起きてる?カズマ達が!」

部屋に鳴り響いたコール音とアカネの声に反応し、シホミの体がびくんと跳ねる。
すぐさま頭を切り替えながら、シャワーを止めて声だけでアカネに応じた。

「聞こえるわ、アカネちゃん。カズマ達がどうしたの?」
「ラダムの大群に囲まれちゃったみたいなんだ!それに、テッカマンもいたって!」
「では、ヴァルストークで援護に向かいます。ナデシコBにも要請をしておいて。
私もすぐブリッジに上がるわ」
「了解!」

先程の情欲は、すっかりシホミの体から引いてしまっていた。
手早く着替えをし、ブリッジへ向かう。
そこにいたのは一人の可憐な女性ではなく、ヴァルストークを指揮する艦長の姿であった。

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