「くそっ、削りきれねぇ!! これじゃぁ!!」
「ふふっ。これで終わりです。あなたも一緒に宇宙人に会いに行きませんか?」
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「さ、佐伯さん!!」
……だんだんと、なにもかもが遠ざかっていく。
これが遼駕の意識が失われる直前の光景だった。
何かに操られているてすらから、幼馴染の咲弥を守るために遼駕は必死に戦った。
だが奮闘虚しく遼駕はスパロボバトルに負けてしまったのだ。
勝者が絶対なのはスパロボ学園の掟である。
てすらは勝者の権利としてその場にいた全員をUFOに連れ去っていった。
そして、遼駕が目を覚ましたのはUFOの中だった……。
「くそっ、何をしやがるんだ!! 離しやがれ!!」
意識を取り戻した遼駕は自分が両腕を鎖で宙吊りにされていることに気づいた。
辺りを見回すと、咲弥と葵も自分と同じように鎖で宙吊りにされていることに気づく。
「誰がこんなことを……!! まさか本当に宇宙人が!?」
そう遼駕が言うと、中央のモニターに奇妙な生き物の画像が映し出された。
奇妙な生き物と言っても、かつて地球を侵略に来たゾンダーやイヴァリューダーほど凶悪な外見はしていない。
それよりは、どちらかといえばコミカルな外見をしていた。
それは遥か昔に人類が思い浮かべていた典型的な宇宙人の想像図に近い。
そして、その宇宙人は遼駕に語りかけてきた。
「ご名答。遼駕くん、気分はいかがかな?」
「最悪に決まってるだろ!! どうしてこんなことをしやがった!!」
遼駕は宇宙人に言い放った。横では咲弥と葵が恐怖で震えていた。
しかし、宇宙人にはごく僅かの乱れも見えなかった。
「どうしてって、そりゃ人体実験のサンプルにするためさ……」
非人道的なことを易々と言ってのける宇宙人。どうやら彼は心を捨て去ってしまったようだ。
「この野郎っ!! いい加減にしやがれっ!!」
と暴れる遼駕。しかしチタニュウム合金より硬い鎖が切れるわけがなかった。
「やれやれ、無駄な足掻きはやめたほうが身のためだと思うけどなぁ?」
宇宙人は呆れたようにいった。そして、ある程度の冷静さを取り戻した葵が遼駕に忠告する。
「佐伯君……。ここは相手を刺激しないほうがいいわ」
「仕方ねぇな……」
そう遼駕が言うと、宇宙人が嬉々として人間の観察にとりかかっていた。
「ふむ。これが人間という生き物か、しかし服が邪魔でよく体が見えないなぁ」
と呟く宇宙人。その発言に咲弥と葵は何か薄ら寒いものを感じてしまう。
そして、その二人の恐怖は現実のものとなった……。
「そうだ、ちょっと服を預かっておこう」
図々しいことをまるで当然の権利であるかのように言う宇宙人。
それは二人の乙女にとっては処刑宣告のようなものだった。
「ちょっ、ちょっと、何するのよ!!」
「は、裸なんて恥ずかしいよぉ……」
と反発する葵と咲弥。しかし宇宙人にそんな泣き言は通用しなかった。
「大丈夫だよ。痛くしないから。それっ!!」
宇宙人がそう言うと傍にあった人形の服が消えて素っ裸になってしまう。
それはほんの一瞬の出来事だった。だがこの様子を見て葵も咲弥もたじろいでいた。
「ば、バカなこと言わないで!! い、異星人に、こんなことをしたら外交問題になるわよ!! 直ちにそんな馬鹿げたことをやめなさいっ!!」
と顔を真っ赤にして言う葵。その横で泣きべそをかいているのは咲弥だった。
好きな人の前で裸体を晒すのだからその羞恥心はひとしおのものだろう。
これは乙女にとっては死活問題であった。
「お、おい、宇宙人!! 何、考えてやがる!! 咲弥を泣かせたらどうなるか分かってるだろうな!!」
と怒りといろいろなことで赤く燃え上がる遼駕。しかし宇宙人はどこ吹く風だ。
「ほぅ。もしそこの人間を泣かせたら私はどうなるんだい?」
「ひ、酷い目に……」
「どんな目に遭うのか楽しみだなぁ。試してみようか?」
「やめろっ!!」
「それっ!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
遼駕の言葉も虚しく悪夢のボタンを押してしまう宇宙人。
その効果は絶大でUFO中に絹を裂くような悲鳴が木霊した。
一瞬で乙女は服を剥ぎ取られ、あられもない姿にされたのだ。
転送された服は持ち主の足元に転がっている。それは羞恥を掻き立てる役割を大いに果たしていた。
「か、会長!!」
と叫ぶ遼駕。どうやら、まず初めの犠牲者は葵だったようだ。
「やっ、やだっ、佐伯君、こっち見ないで!!」
と必死に懇願する葵。
黒のガーターベルトを残して全裸にされた葵は頬を赤らめてじたばたと暴れるしか出来なかった。
しかし、それは彼女の胸を上下左右に揺らすだけだった。
こんなあられもない姿を転校してきたばかりの生徒の前で晒してしまうなんて……。
そんな恥辱に彼女はプライドと冷静さを失って、ただ色っぽく体をくねらせるしかなかった。
葵の綺麗な白い肌がだんだん紅に染まっていく。こんな艶姿を目前にして、
「み、見るわけねぇだろっ!!」
と意地を張る遼駕であったが、意識は葵の裸に完全に行っていた……。
「遼駕くん!!」
幼馴染の男としての反応に恐怖を忘れ、怒りと嫉妬と侮蔑の表情を浮かべる咲弥。
しかし、すぐに現実に引き戻された。
「大丈夫だよ。君の方が胸は大きいから君も脱げば、間違いなくこっちを向いてくれるさ……」
「あっ……、ああああああ…………」
ともう一つのボタンに手をかける宇宙人。哀れな少女は残酷な現実に泣くことしか出来なかった。
「やめろっ!! 咲弥に手をだすなっ!!」
「やめないよ。ポチっとな……」
遼駕の静止を振り切って宇宙人はボタンを押してしまう。
「!!」
「!!」
服が転送されて全裸になるまでは一瞬である。
だが、咲弥がその間に感じた時間は決して一瞬ではなかった。
「きゃっ…………!!」
っと声を出そうと思うが声なんて出ない。
しかし、服はなくなっている。そして、乙女の敏感な部分が風に晒される。
そして最後に感じたのは、ほのかな恋心を抱いている相手の視線だった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
咲弥は声の出る限り悲鳴をあげていた。
穴があったら入りたい。とはまさのこのこと。
しかし乙女の体を隠すものは何もなく手で隠すことさえ許されない。
当然、羞恥に耐えられない咲弥の顔はみるみるうちに赤くなっていく。
遼駕の視線もそこに釘付けであった。
本当に恥ずかしい時に人は何も出来ない。
ただただ呆然とそこに全裸で立っているしかなかった。
そしてあまりにもショックが大きすぎた彼女はもう興奮と恥辱で乙女の秘所から白い蜜を零していた。
咲弥のこんな姿なんて見たくない!! と心の表層で思っていても遼駕の本能は正直だった。
「ふふっ。喜んでくれてるようで何よりだ……」
と余裕のある宇宙人。どうやら彼は人間を恋愛対象にはしていないようである。
しかし幼馴染を辱められた怒りと男としての本能で遼駕は熱く燃えていた。
「ふざける……おぁっ!!」
だが宇宙人にそんなことは分からなかった。
そして、宇宙人はそれを軽くあしらうと、3人の反応を見て面白がっていた。
「あわわわわわわ……」
「……、見た目によらず、結構大きいのね」
と自分が裸にされていることも忘れて遼駕をみつめる二人。
これには遼駕もたまったものではない。
特に葵はスカートを足でつまみ上げ、なんとか下半身を隠していた。
「く、くそっ、バカにしやがって!!」
と頬を赤らめながら言う遼駕。だがそこ言葉にはさっきまでの迫力が欠けていた。
「さて、これから人間どもの観察ショーといくか」
そう言って今度は遼駕の足元に葵のスカートを転送すると、新たな実験の準備をしていた。
「ああっ!!」
再び下半身を白日の下に晒された葵は顔を真っ赤にして足をジタバタさせている。
悪夢のアブダクションはまだ始まったばかりだ!!

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