「まったく……もう心配かけるなよ」
「ぐしっ…ひんっ、ひぐっ……ひんっ…ひっく…」
 ベッドに腰を掛けながら、ベッドの上で枕に顔を突っ伏してしゃくりあげてばかりのグレースを気遣うアーウィン。
「ほら……もう泣くな、一体どうしたんだ?」
 グレースのふわふわとした巻き毛に指を絡め、くるくると遊びながら彼女に尋ねる。
あしゅら男爵らDC地上軍に囚われたことを気にしているのだろうと思い、慰めようとしたのだったが、彼女から返ってきた泣いている理由にウィンの目は点になった。
「ひっく……あの……オジバンが…私は捕獲されたタヌキみたいだって……ひっく…」





「…………くっ………ぷっ………ははっ…ははははははっ!!
 あははははははっ!!タヌキかっ!!あはははははははははっ!」
「ぶーっ!!ひどいですよぉ!!そんなに笑うなんてぇ!!」
 しばらくの沈黙…、そして直後、彼らしからぬ笑い声が部屋に響いた。
腹を押さえながら涙目になって爆笑するウィンに、頬をふくらませて怒るグレース。
「ははっ!!すまない、すまなかったな、悪い……くっくっく…」
「ウィンのばかぁっ!もう知らないですよぉ〜だっ!」
 謝りながらも未だ笑いつづけるウィンに、グレースは拗ねてシーツに潜り込んでそっぽを向いてしまった。
(さすがに笑いすぎたか?)と、案じながら彼女の髪に触れようとしたが、ぱしっ、とその手を払いのけられてしまう。
「怒るなよ…グレース」
「どーせタヌキさんですよぉ…」
 完全に拗ねてしまっている。
苦笑しながらどうしようかと口元に手を置いて考えていると、涙目でグレースが枕を抱きしめながら起き上がった。
「悪かった。笑ったりしてすまない」
「ぐすっ…反省してますかぁ?」
「している…だから、もう許してくれ」
「じゃ、キスしてくださぁい♪…してくれたら許してあげますよぉ♪」
「ブッ!!」
 むせるウィン、顔を真っ赤にしながらグレースを見やると満面の笑みでニコニコしている。
「してくれないと、もう絶対口きいてあげませぇん」
「……お前……楽しんでないか?」
「怒ってますよぉ♪」
(……絶対、嘘だ)
 ウィンにぎゅっと抱きつくと、瞳を閉じてこちらに顔を向けるグレース。
しばらく躊躇ったように固まっていたが「はぁ…」、と小さくため息をつくと、彼女に唇を落とす。
「ちゅ……んっ…んくっ…」
「ん…っ」
 アーウィンの方もまた背中に回した腕に力を入れて、強く、強く抱きしめながらグレースの唇を吸う。
そっ、と唇を割って舌を絡ませあう。
互いの暖かな舌を感じ、少しずつ呼吸が荒くなりながら互いを交換していく。
しばらくそうしていたが、ちゅぷ…っと銀糸を引きながら唇を離す。
「あ…」とグレースが名残惜しそうな声をあげるのが、すごく可愛らしいと感じながらウィンは問いかける。
「これで…もう許してくれるか?」
「…はぁい♪」
 にっこりとしながら頷くグレースに安堵しながら、なんとなく彼女の頭を撫でる。
「えへへ…気持ちいいです…」
「……タヌキというより、犬だな」
 しまった、口を滑らせた!とグレースの表情を探ったが、彼女は、きょとん、とした顔を最初はしていたが、ころっと表情を代えて突然「わんっ!」とウィンに向かって吠えた。
「……何のつもりだ」
「くぅ〜ん、きゃんっ!きゃんっ♪」
「こ、こら!擦り寄るな……って、うおっ!頬をなめるなっ!!や、やめんかっ!!」
 まるで子犬が飼主にそうするようにじゃれ付いてくるグレースにベッドの上に押し倒される。
頬をすり寄せたりしてじゃれ付き続ける彼女に、ウィンは最初は困ったような照れたような嬉しそうな表情を浮かべていたが、ふと、悪戯心が湧いて彼女のこの戯れに付き合うことにした。
「グレース……」
「わう?」
「お手」
 すっ、と手を差し出すウィン、最初はグレースも呆けたような表情を浮かべていたが、ぽすっ、と自分の右手をそこに置いた。
「おかわり」
「わんっ♪」
 今度は左手を乗せる。
よくできました、といわんばかりに頭をあったかいテノヒラで優しく撫でられると、とても心地よくて嬉しくなってきて笑顔を浮かべる。
次はどんなことを言ってくるのか、とウィンを眺めていると、彼は眼鏡を外してそれをベッドの隅のほうへ柔らかく放り投げた。
「……?」
「取って来るんだ」
「わ…わん」
 彼の言葉でやっと合点が行き、ウィンの体から降りて振り向くと、ベッドを犬のように四つん這いになってその眼鏡を取りに向かう。
体のラインが出やすいぴったりとしたパイロットスーツのためか、グレースが一歩進むたびに揺れる双臀がひどく扇情的だった。
ウィンは目の前で揺れるそれを少しの間眺めていたが、やおら立ち上がるとグレースを追う。
 そんなことも露知らずグレースは、蔓を噛んだりして傷がつかないように唇でメガネを咥えてウィンの方を向こうとした。
だが、突然下半身……股の間に手が置かれて声をあげてしまい、口からメガネが落ちた。
「ひゃんっ!?ウ、ウィン?何をするんですかぁ〜?」
「……ほう、珍しいな。この犬は人の言葉をしゃべるのか」
「っ…わぅん…」
 手を大事なところに置かれているという恥ずかしさ、犬語で喋らなくてはならないという行為を改めて恥ずかしく思い、顔を朱に染めていくグレース。だが、アーウィンはそんな彼女を逃がさない。
グレースの顔の下に落ちている眼鏡を拾い上げて、それを掛け直しながらパイロットスーツの上から彼女のお尻のラインに合わせて片方の手を這わせていく。
「くっ…ふ…」
 ゾクゾクとした感覚がグレースの背筋を駆け上がり、甘い声を絞らせていく。
その声をもっと聞くためにウィンはグレースの腰のほうに手を回して、フロントのリベットのようなボタンを外すとそのままスーツの下に手を潜り込ませる。
「くぅんっ!…きゃうん…きゃんっ…ひん……あぅん…」
スーツの中と外、両方から秘所と秘豆が、なぞられ、弄られ、こねられる。
その快感に犬の真似もできずに悶えて、四つんばいのままの姿勢を支える膝ががくがくと震えて力が抜けていく。
今にも倒れそうになってしまうが、頭をゆっくり振って意識を強く保とうとするグレース。
そんなグレースの思いを知ってか知らずか、ウィンはグレースのスーツを脱がしにかかる。
一気に脱がさずにゆっくりと脱がしていき、彼女の羞恥心を煽る。
「あ…んっ」
 衣擦れの音を立てて下半身が晒された。
 黒いアンダースーツに包まれた柔らかなラインがひどくいやらしく見える。
そして、再び始まる愛撫…士官学校期に知り合って、二人とも初めてで上手くいかなかったこの行為も何度も重なり合ったことで互いに知り尽くした自分の敏感な処をウィンは攻め立ててくる。
「わうっ……くぅ〜んっ……くっ、きゃうん…きゃんっ!」
(あう…きもちいいですぅ………でも、でもぉ…『ウィン』って名前を呼びたいですぅ…)
 自分から始めた戯れとはいえ、愛する人の名前すら呼べないことに心を焦がされるグレース。
それを紛らわすかのように揺らしてしまう下半身がアーウィンにとっては淫靡に過ぎた。
くんっ、と下着ごとアンダースーツを横にずらされると、それまでの愛撫で熱く茹った秘所が外気に晒される感覚に声をあげる。
「きゃんっ…」
 そして、そこにウィンの指が直に触れてきた。
くちゅ…っと既に湿っている其処はいやらしい音をたてる。
にゅぷっ…、にゅっ…じゅぷっ…
「ひゃうう…っ、きゃんっ!きゃぅんっ、きゃんっ!」
(だめぇ…だめぇっ!…ウィンっ、ウィンっ!!)
 敏感になっている処への最初の小さな侵入から、そのまま深く、深くへと潜り込んで指が腔内のグレースの弱いところを擦りあげる。
それでも必死になって犬の真似をしつづけるグレースだが、心の中では唯ひたすら大好きな男の名を呼びつづけていた。
切なそうな犬の鳴き声をあげて身悶える、上半身の力は抜けきってベッドに倒れこみお尻をウィンに突き出すようなそんな体勢だった。
シーツに汗や喘ぐ声を搾り出す口から落ちる雫が跡をつくっていく。
「あ……ひぁ……ワン…わ…うんっ、…わぅ…あぅん…」
 もはや犬の真似ごとも殆ど出来ず、ウィンの愛撫を味わっているグレースは甘い声を上げ続ける。
彼の指の動きを追うように腰を動かしていく。
「あっ…あぁうっ、きゃうっ!あっ、あぁ、きゃうんっ!わう……わんっ!きゃああんっ!」
(だめっ……もう…だめですぅ…ああああんっ!)
中にあるウィンの指を締め付けながらグレースはベッドのシーツを握りしめて大きく吠えて果てる。
ビクッビクッと体をしばらく痙攣させていたが、糸の切れた操り人形のようにそのままシーツに倒れ込む。
絶頂のために噴出した熱い液を垂らしながらウィンの指が抜かれた。
「は…ぁん…あ…あぅ…はぁっ…はぁっ…」
 弛緩した体をベッドにうつぶせに預けて、グレースは荒い息をついている。
その体を抱き上げると、ころり、と仰向けにさせた。 
「はぁ…は…わぅん……」
それでもまだ健気に犬の真似をするグレースの唇を吸う。
「あ…ん、わふ……ん」
「ん…」
唇を重ねながら、ウィンはグレースの上半身のパイロットスーツのフックを外し、ベルトを取る。 
下着ごとアンダースーツをたくし上げると豊かな真白い乳房が露出した。

くりっ…

「んふっ!!ん゛ーっん…んッ…」
既に固くしこりきった先端を指でこねられ、唇をふさがれたままのグレースは濁ったあえぎ声を上げる。
その声をもっと聞こうと、ウィンは乳房を優しく揉み、膨らんだ乳輪をなぞり、先端を指の腹で軽く摘む。
「んぷっ…んーッ!んん゛っ…んんん…っ!?」
ちゅぱぁっ…と先ほどのキス以上に太い銀糸を垂らして唇を放すと、既に受け入れる準備が万端の秘所に自分のモノを押し当てる。
「ん…わんっ…くぅん…くぅん…」
「いくぞ…グレース」
 媚びたような表情でウィンを見つめる彼女の瞳に急かされるように一気に突き入れると、グレースの背がビクンッ!と反り返りその男根の先端が体を突き抜けたかのような嬌声を上げる。
「きゃうんッ!きゃっ…うっ!〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
快感に悶えるグレースの表情は普段の彼女の幼い印象しか知らない者は想像できないほど淫らだった。
唯一この表情を知るウィンは、さらに楔を深く、深く奥へとえぐり打ち込んでいく
「きゃんっ!きゃうんッ!あんっ!!わぅんっ……きゃう〜っ…きゃんっ!」
嬌声は更に色を増して、そして、切なそうな音色を混じらせていく。
「グレース…」
「!!!ひゃ…っ!!わうっ…ウィンッ!!ウィンんッ!!」
 乳房を甘噛みされて、沸きあがった快感がとうとうグレースを堤防を壊して堰を切ったように愛する男の名を呼ぶ。
「あんッ!あん…っ!いい…きもちいいですぅッ!ウィンッ…好きッ、好きですっ……だいすきぃッ!!!」
「くっ…ぐ…俺も…だ」
 アーウィンもまた、普通の言葉づかいに戻った彼女を注意する事無く、彼女の体を貪る事に没頭する。
熱く、柔らかな媚肉の締め付けに背筋がゾクゾクとしてくる。
「ひあんっ…あッ!!やぁんっ!あんっ、きゃんっ、あぁんッ!!」
 熱い男根が肉襞をめくり上げて引き戻ったかと思うと、子宮をつぶさんばかりに突きこんでくる快感に溺れてしまい、声が絞り出される。
「ウィンッ……ウィンっ!!」
「うく……こら…グレースッ……」
 グレースの足がウィンの腰に絡みついてロックする。
「くださいッ…ほしいんですぅっ……ウィンのっ…ウィンのがぁッ!!」
「………グレースッ!!!!」
 もたれかかるように体重を乗せて腰の動きを加速させて突きこんでいく。
連続的に子宮口を突き込まれてグレースの頭の中を「キモチイイ」…唯その一言だけが支配していく。
「あっ…やぁんッ!!あうっ、いっちゃ…イッひゃ……ひゃううううぅううんッ!!!」
「う…おぉおおっ!!!」
 子宮口が口を開いたかのようにウィンの熱い滾りを飲み込んでいく。
一滴たりとも逃すまいとするかのように肉壁がその竿を締め付けて精液を搾り出す。
「ふあぁん…熱いの・・・ウィンのあついのがぁ…おなか…ひゃうん…うぃんのがぁ…」
 ぴったりと腰を押し付けたまま二、三度軽く震えると、全てをグレースの中に注ぎ込む。
溶けたようなグレースの表情を眺めていると愛しさが募り、汗で頬に張り付いた髪を払うとそこに口付ける。
「……ん」
「……ウィン…」
 全てを出し終え、硬度を失ったものを抜くと、グレースをそのまま優しく抱きしめた。
逆立った産毛を撫でながら、何故か初めて愛し合ったときのことを思い出してもう一度キスする。

「……変なことさせたな、すまない」
「くすくすっ…私も楽しかったから構いませんよぉ♪」
「ふん…だが、もうあんな風に出て行って捕まったりするなよ……本当に…だったんだからな」
「?何て言ったんですかぁ?」
「気にするな」

 こつん、とグレースの額に自分の額を当てて、いつも彼女に向ける苦笑しているような照れ笑いを浮かべるウィン。
グレースはきゅっと抱きついて、最後に「くぅ〜ん♪」と甘える子犬のような泣き声を上げる。
そんな彼女の背中を、赤ちゃんをあやす様にぽんぽんと軽く叩きながら二人とも眠りに落ちていった…。

………これから後、ウィンは公衆の面前でも犬や猫の真似をしてじゃれ付いてくるグレースの対処に悲鳴をあげることになったが、それはまた別の話…

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