このwikiはあにまん掲示板の安価スレ『安価ダイスでエグい魔法を使う魔法少女同士が戦うやつ』(https://bbs.animanch.com/board/860594/)を始めとした一連のスレについてSSなどをまとめたwikiとなります。

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「…なんだろう、この嫌な感じ。」
彼女はその日、起床してからどこか嫌な予感がしていた。
今日は大学が休みの日。
特に何もないなら気分転換に大学の友人とショッピングでもしようかと思っていたのだが、
今日だけはやめた方がいい、そんな予感がひしひしと縫の心を覆っていた。

「よし…使わないに越したことはないんだけど…一応、作っておこうかな。」
彼女は朝食を終え、何かを決意したように錫杖状の杖を持つと風呂場に入ると、
瞬時に修道服を着てミイラのような恰好をした外見に変身した。

「…はぁ、この姿は今でも慣れませんね…」

溜息を付きながら彼女は何かを準備し始める。
彼女はある時、リーマンと思われる男性に半ば押し売りでステッキを買わされて以降
ステッキの力で魔法少女『パープルヘイズ』に変身できる能力を手に入れた…
いや、手に入れてしまった。

「…殺し合いだなんて、絶対にあってはいけないのに…
どうしたら私は魔法少女をやめられるんでしょうか…」

死川縫は魔法少女になる事を望んではいない。出来る事ならやめたいと思っていた。

その理由はリーマンからステッキを受け取った直後、縫の頭の中には
魔法少女同士が殺し合い、ポイントを貯める事で願いをかなえる事が出来るという
恐ろしい儀式の内容が全て流れ込んできてしまった事が原因だった。
心優しい彼女にとってそれは悪夢の内容であり、どういう事か問い詰めようとした所で
ステッキを渡したリーマンは姿を消してしまっていた。
結果、ステッキを破壊する事もかなわなかった彼女は
魔法少女同士の戦いをやめさせたいと願いながら日々を過ごしていた。

「…出来る事ならこの予感が外れますように…」

そう願いながら彼女は簡単な手荷物を持ったまま街に出かける。
悲しいかな、彼女の予感は外れることなく的中する事になった――――

「や、やめっ…な、なに、するんですか…?だって、魔法少女にしてくれるって、あなたが――」

「…いやぁ、ちょっと事情が変わったっていうかね?君にステッキを持たせとく訳にはいかなくなったんだ…」

縫の目の前でかわいらしい魔法少女服を着た小学生くらいの見た目の幼い少女が
軍服のような、あるいはゴスロリのような衣装に身を包んだ黒髪の女性に首根っこを掴まれていた。

かすかに悲鳴が聞こえたのを察知して路地裏に入ったらこんな光景が広がっていた事に驚愕しつつも、
縫は冷静にこの状況を分析し始めた。

(あの恰好とステッキ…おそらくあの二人は私と同じ魔法少女ですね。
どういう事かはまだはっきりわかりませんが…そこの幼い魔法少女を
軍服の魔法少女が脅しかけて、ポイントを無理やり譲渡させようとしていたのでしょうか?
いずれにせよ、何とかあの子を離してもらわないと…)

「…どなたかは存じませんが…その子が嫌がっています。首も締まっていますし、
警察を呼びますよ?」

相手が魔法少女であることを察した縫は、いざという時のためにステッキをこっそりと忍ばせながらも
一般人を装い何とか相手を対話して説得しようと目の前の軍服の魔法少女に話しかけた。

「…ああ?チッ…都合の悪い所を見られたわね…アンタにはせいぜい魂のストックになってもらうわ!」

しかし無駄であった。なぜなら相手は金の事しか頭にないやべーやつだったのである。
一般人を前にして引くとかではなく、魂を分捕ってやろうと即座に突っ込んできた。

「…あ、ぅ…」

「さっきからコイツを大事そうに見てたのは分かってんのよ!ほ〜んと甘ちゃんってちょろいわねぇ!
さーてと、さっきのやつを回収してポイントにしないと…」

ぶつけられて弱弱しい声を上げる幼い魔法少女に構う事もなく、軍服の魔法少女は先程パープルヘイズと幼い魔法少女をぶつけ合わせた所を見ながら今から手に入るポイントの事で頭を一杯にしていた。
――それ故に、手元に捕まえているはずの弱った魔法少女の異変に気付けなかった。

「……そうですか、そういう対応をされるのでしたら…こちらにも考えがあります。」

「ああ?また動けたのね。それなら…」

コンクリートに体をぶつけたはずのパープルヘイズはゆらりと体を起こした。
その異変に気付いた軍服の魔法少女はとどめを刺そうと近づいて…

「今なら逃げられるはずです…逃げて!!」

「う、うんっ!!」

「は?何言って…あがぁっ!?」

声を張り上げたパープルヘイズに反応して、幼い魔法少女は思い切って軍服の魔法少女の中から出ようと暴れると、
明らかに先程よりもずっと力強い抵抗に遭った軍服の魔法少女は思いっきり顔面に幼い魔法少女の拳を受けながらよろめいた。

「お、お姉ちゃんっ!出られた、出られたよ!」

「ええ、よく頑張りました…興奮作用と自然治癒作用のある薬品を使いましたから、ここから逃げられるくらいには怪我は回復しているはずです。しばらく遠くに逃げてください。事情は後でお聞きしますから…」

「う、うんっ!」

よろめいて拘束が緩んだ所で幼き魔法少女は軍服の魔法少女の拘束から抜け出すと、
自分を助けてくれたパープルヘイズの元へと駆け寄ると、
パープルヘイズはしばらく隠れているようにと話すと軍服の魔法少女の元に行った。

(以前合成していた薬物の中で役に立つ回復系の薬物を今朝作成しておいて正解でしたね…
近づいて来たあの一瞬で散布するのは賭けでしたが…どうやらうまく行ったようです。)

少し不安そうに、しかしそれでも一生懸命走っていく幼い魔法少女をホッとした顔で見送りつつ、
軍服の少女の元へと近づきながらパープルヘイズは自らの賭けが上手く行った事にほっと息を吐いた。
この賭けを担ったのは彼女の努力による「能力の別の活用法」にあった。

彼女の能力は「麻薬の生成能力」であり、
ランダムな効能の麻薬を煙状生成するという効果の能力である。
本来であればランダム性が強すぎて全くと言っていい程使い道はなかったのだが…
能力が凶悪な上に使いづらく絶望していたものの、
どうにかして使えないかとあれこれパープルヘイズが試した結果ある活用法が見つかった。
いくつかの合成麻薬を生成してため込むと、その中から任意の効果を選んで発動出来るようになったのだ。
この能力を使い、パープルヘイズは幼い魔法少女に当たる寸前で薬物成分の含まれた煙を噴射、
軍服の魔法少女が気付かないように逃げる手助けをする事が出来たのである。

「…いっづぅっ……!おいクソアマァ、何してくれてんのよ!
アンタよくもあたしの稼ぎを…」

「何を?それはこちらの台詞です。」

激高する軍服の魔法少女にパープルヘイズは声をかける。
しかしその声は先程からしていた柔和な声ではなく、
体の中から底冷えするような低音の声をしていた。

「…どうやら、あなたは話しても分からない人のようですね…
いいでしょう、それならこちらにも考えがあります。」

彼女、死川縫を表現する上でおそらく一番表現として近いのは「聖人」だろう。
その言葉がふさわしいと彼女と身近な人達はみんな少なからず抱いているし、
彼女はそれに見合う程のお人よしで献身的な女性だった。
そんな彼女が不快感を露わにする事はかなり珍しい事であった。
ましてや、怒るという行為に出る事はかなり珍しい。
普段は誰かが怒っていて、自分に暴言を吐いても真摯に説得を試みる程優しい女性なのである。

…それが、もしも怒るような事があればどうなるのか――

「…私はあなたを止めましょう。こんな戦い間違っている。
たとえあなたが止まらなかったとしても、私がこの手で止めてみせる!!」

かつてない程に声を張り上げ、錫杖状のステッキを振り上げる。
パープルヘイズは凄まじい早さで軍服の魔法少女の懐に飛び込むと、錫杖のステッキを振り上げた――

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