このwikiはあにまん掲示板の安価スレ『安価ダイスでエグい魔法を使う魔法少女同士が戦うやつ』(https://bbs.animanch.com/board/860594/)を始めとした一連のスレについてSSなどをまとめたwikiとなります。

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やあ、初めまして諸君。
ここは、一つの世界の可能性。
最悪が幾つも重なった、考えうる限りの悪辣を詰め込んだような世界だ。
折角だし、現状を少しだけ覗いていこう。



「ただいま、姉さん」
「……れい、か…?」
「…幻覚の効きが悪くなってる、かけ直すね」

こちらは魔法少女コブラと、その姉にあたるティックだ。ティックはジーニアスと友情を育みつつあったのだが、彼女が願望を吐露した事をきっかけに破綻、怒りのままにその場で絞殺した。
実際のところ彼女は死んでいないのだが、ティックは死んだと思い込んだ。これにより心が壊れた彼女の嫉妬は暴走し、魔法に巻き込まれた多くの人々が萎びた屍と化した。
当然、他の魔法少女は黙っていない。だがティックへ攻撃する彼女らを阻んだのが、妹のコブラだ。どうやら彼女は、他の全てよりも姉の味方をする事を選んだらしい。コブラの援護と、付与された幻覚幻聴により嫉妬の勢いを増したティックには誰も歯が立たず、討伐は失敗。以降、彼女らは自宅に陣取り、コブラは精神崩壊を起こしたティックを幻に閉じ込めて生活している。

「大丈夫、私だけは姉さんの味方だから。大丈夫、大丈夫だよ。ほら、あーんして?」
「!…あー」
「うん、よくできました。姉さんは偉いね」
「……は、る、か、…」

「さあ進め!!壊せ!!私の軍勢、私の仲間たちよ!!『英雄』の行進だ!!!」

続いて魔法少女イデアを見ていこう。序盤から潜伏に成功し、街の人口の約2割を「仲間」にしてみせた彼女は、ティックの暴走を皮切りにその軍勢を操り、全てを破壊し始めた。途方もない数の配下を作り上げた彼女の力は、現在「生きている」魔法少女の中でぶっちぎりのトップとなっている。誰も、彼女を止める事は出来なかった。
元々ティックの暴走で混乱が始まっていた街を、圧倒的な数と力でもって蹂躙。交通網、都市機能などのインフラは崩壊し、街の半分近くは廃墟と化し、なおも「行進」と称する暴走を無軌道に続けている。
と、空からイデアへ高速で飛んでくる物がある。

「おや、また君かい?何度来ても無駄だよ」
「…全く、化け物め。」
「英雄と、呼んでくれッ!」

弾丸のように飛んできたソレは、魔法少女レイだ。だが、イデアは当然のようにそれを手で受け止め、思いきり地面に叩きつけた。
レイはあまりにも強い衝撃により四散、即死した。

「…この子も懲りないなあ。これで何回目だろう」


「8体目だな、奴に殺されたのは」
「力はともかく、感覚まで配下の数に応じて鋭くなるなど反則だろう、全く」
「状況はどうだ」
「依然、全てが不明瞭だ。とにかく情報が少なすぎる」

誰も知らない場所に位置する秘密のラボ、そこが魔法少女レイ「達」の本拠地だ。
彼女は魔力を利用した自己改造技術を転用し、完全な自己複製に成功した。鋼の精神を持つ彼女らは犠牲を顧みず、人道を顧みず、また己の命すら顧みない。文字通り、鋼鉄の部隊と言っていい。
願望に取り憑かれた彼女らには、崩壊した街すら眼中にない。今後も至極冷静に、勝利を狙っていく事だろう。
とはいえ複製にも制限はあり、現在は五体までしか維持できないらしい。しかし本当に何なんだろうねこの子。魔力はそんな便利な物じゃないんだけどな…

「俺は何としてでも勝つ。例え俺自身が何度死のうとも、だ。」

「ははははは!!あー本っ当に、楽しいな!!」
「うん、たのしい。」
「あ゛ーー、う゛ぅ、キヒッ、あ゛ー」

打って変わってこちらはトヨーネ、レガシー、スタチューリーヴァーの三人組。と言っても、彼女らにもうこの名は相応しくないだろう。なにしろ彼女らは、全員「白草 誠」なのだから。
スタチューリーヴァーは、襲いかかってきた男を鎮圧したのち、刀に触れた。そうして名も無き悪意に塗りつぶされ、少女は気ままに人を騙し、人を斬り、笑った。
それを止めようとしたのが、トヨーネだ。覚悟を決め立ち向かった彼女は、見事刀を折った。だが、「悪意」の執念はその上を行った。
刀身を、ほとんどの自我と知性を失いながらも、スタチューリーヴァーに残る「悪意」は動いた。彼女が投擲した、折れた刀身はトヨーネを貫き、そうして「刀身に宿った自我」がトヨーネを乗っ取った。
刀身による傷をトヨーネの魔法で他者に押し付け、刺さった状態を無傷で保つ。こうして、のうのうと「白草 誠」は蘇った。
やがて彼女らはかつての肉体、レガシーを確保。
魔法で自らの悪意を分け与える事で、レガシーはもう1人の「白草 誠」へと「成長」した。
三人は、崩壊する街でなおも生きようとする者を、騙し、狂わせ、斬り裂いて、笑っている。

「──ああ、この世界は、こんなにも楽しさに溢れている!!次は、誰をどんな風に騙そうかな!!」
「うん。わたしも、たのしみ」
「キヒッ、キヒヒッッ…あ゛ー…」

「アハハハハハハハハ!!!アハハ、アハハハハ!!殺した、殺した!!私を殺そうとした報いだ、アハハハハハハ!!!!」

壊れゆく街の避難所の一つで、血と死体の中心で笑うのは、魔法少女ジーニアスだ。
彼女はティックに絞殺される寸前、魔法を使用した。そうしてねじ曲がった運命により、完全な死からの有り得ない蘇生が実現したのだ。
当然、死を経験した彼女は慎重になる。慎重に、慎重に、未来を視て、危機を避けて、未来を視て、視て、視て、視て…案の定、狂った。
狂気に侵された今の彼女は、生存本能を根底として、疑心暗鬼と加害衝動で構成される。先程、彼女は生きるためにこの避難所へ入り、疑心暗鬼ゆえに未来を視て、「自分を殺そうとする」避難民を視た。だから、その場の全員を殺した。
彼女の未来視が狂ったのではない。彼女が疑心暗鬼から未来を視て、避難民を加害し、彼らが「反撃する」。そんな最初から決まりきった未来を、未来視は捉えているだけだ。
最悪のパラノイアを発症した彼女に、もう「今」など見えてはいない。

「ハハハ…ああ、怖い、怖いよぉ。死にたくないよぉ…逃げなきゃ、ここからも、逃げなきゃ…!!」

「…なあ、暴れてきちゃダメか?」
「ダメに決まってるでしょう、迂闊に動けば死ぬわよ」
「だよな、ハハ…」

こちらはガーゼットとアシュラ、なんとも珍しい組み合わせだ。
イデアという巨大勢力の存在を知り、己の窮地を認識したアシュラは、既存のプランを破棄し集団戦に移行した。突如現れた「バケモノ」共に蹂躙された街の人々に、それらへの「対抗手段」として自家製ステッキをばら撒いたのだ。当然、対抗する力を与えるアシュラを人々は崇め、盲目的に従った。ステッキの代償で魂を失い死んだ者は、イデアの軍勢によって殺されたよう偽装し、さらに民衆の感情を煽った。そうして、多数の忠実な魔法少女の兵を保有する陣営を形成してみせたのである。「レジスタンス」と、彼女らは名乗っているそうだ。
見事な策略だ。戦力の確保と魂の補充を並列で行う、最高にして最悪の策と言えるだろう。追い詰められると強いというのは、伊達ではないらしい。
加えて彼女は、戦力として正規の魔法少女を味方に付けようと目論んだ。そうして白羽の矢が立ったのが、ガーゼットだったというわけだ。
レジスタンスの体制を整えた段階で、襲撃をかけてきたガーゼットを多数の魔法少女によって鎮圧、拘束し説得。圧倒的な力を持つイデアやスノードロップを目撃して心が折れ、元より自暴自棄になっていたガーゼットは投げやりに「首輪付き」になる事を了承した。

「貴方は貴重な戦力なの。今消耗させる訳にはいかないのよ。」
「分かってる。…ああ、クソ。何でこんな、私は、自由になりたかった筈なのに…」
「…」

「…ぐ、る、う゛ぅ゛うううう…」

ゆらゆらと、悪鬼羅刹の如き有様で街を彷徨うコレは魔法少女スノードロップ、その成れの果てだ。
ティック暴走の直前、ガーゼットの完璧な奇襲を受けた彼女は、なす術もなく死ぬ筈だった。しかし死の直前、彼女は咄嗟に自分自身に向けて魔法を発動した。非生物へ偽りの魂を付与するという魔法を自身へ使い、発動から魂が付与されるまでの僅かな間に死ぬことで「死体となった自分自身へ魂を付与する」という荒技を成し、見事蘇ってみせたのだ。
だが蘇りの代償は高くついた。魂を付与された非生物は、本来スノードロップの意思によって統制される。だが彼女の死体に魂が宿った時、統制する意思は消滅していた。結果、死体に宿った魂は暴走を始めたのだ。
今の彼女は知性も自我も無い、ただ彷徨い、魂の付与により天災を操り、敵を破壊するだけの怪物。人でも神でも無いナニカへと成り果てた。精神的なあらゆるタガが外れた「死体」は、今のイデアすら勝つ事の出来ない最強の存在であり、もはや誰にも止められない。唯一止めうる平凡な少女は、幻想の中で微睡んでいる有様だ。
だがある意味で彼女のかつての願望は、叶っているのかもしれない。崩壊したこの街は、今や平等な「弱肉強食」の世界。圧倒的な力で世界の頂点に君臨する彼女は、まさしく新世界の神と言って遜色無い。そう思わないかい?

「グ、ルゥ゛、ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!!!!!!」

「…楽しい、ゲームだ」

無数のモニターに囲まれ、笑顔で街中の映像を見つめる女。ご存知、トレーダーだ。
早々にこの「ゲーム」が面白く転がったことに気づいた彼女は、ありとあらゆる手段でこの街への介入を遮断した。彼女の情報力は、資金力は、その根底にある頭脳は、何もかもを圧倒した。
警察も、政府も、国際組織すらも、彼女の「力」の前に屈した。街の支配権は、完全にトレーダーの手中に収まったのだ。
街という盤は、彼女の物となった。彼女は外の介入の一切を許さず、また内から駒が逃れる事も許さない。
そうして彼女は、楽しそうに盤面を眺めている。時折アレコレちょっかいを出したり、駒を誘導して自分の思い通りに動かしてみたり。その姿はまさしく、悪辣な「ゲームマスター」そのものと言えるだろう。

「さて、次はどの陣営を動かしてみるかな…」


「……」
「大丈夫ですか?」
「…ええ、大丈夫よ。」

最後に見るのは、魔法少女でも数少ない良心のパープルヘイズとドクタープリンセスだ。
といっても、彼女らに特筆する事はない。街は崩壊し、仲間もいない、守るべき命はすでに多くが失われた。そんな世界でも、めげずに救える物を救おうと足掻く。そんな健気な魔法少女が彼女らなのだ。

「アタシは、大丈夫よ。例え死んだって、気持ちが折れる事はないわ」
「私もです。…どこまでも、お供しますよ」
「じゃあ今日も、この辺り一帯のパトロールにいきましょう」

いやあ、凄い世界だと思わないかい?
ここまでの物になるなんて、私も想定外だったよ。実に楽しませてもらったさ。
ん?結局お前は誰だって?…名乗るほどの者でもないとも。 

私は何処にでもいる、「普通のサラリーマン」さ。
 
…ところで、今のこの世界には一つ問題がある。
この世界はもう、行き着く所まで行き着いた。悪辣な展開は極まり、後は終わりに向かうだけ。果たして正義が勝つか、悪が勝つか、あるいは全て滅びるかは気になる所だが、このまま終わってしまうのは味気ない。諸君もそう思うだろう?

そういうわけで、僕は今久し振りに街を歩いている。目的は、まあ言わずもがなだ。
…ちょうど目が合ったね、あの子にしてみよう。

「やあ、お嬢さん」

街はもはや地獄そのもの。目の前の彼女は、これからその渦中へと突き落とされる。

「君は」

彼女は善か、悪か、それともそれ以外か?彼女はこの世界で、どんな『喜劇』(ひげき)を見せてくれるか。ああ実に、実に──

「魔法少女に興味はないかい?」

──面白そうじゃないか。

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