このwikiはあにまん掲示板の安価スレ『安価ダイスでエグい魔法を使う魔法少女同士が戦うやつ』(https://bbs.animanch.com/board/860594/)を始めとした一連のスレについてSSなどをまとめたwikiとなります。

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それは何でもない日常の一角、とある街のとある事務所での事。

コツ、コツ、コツと。部屋へと規則的に足音が近づく。足音は玄関口の前で止まり、

金属の扉が、溶けて崩れた。

赤熱した液体は床へ流れ落ち、設置面を焦がし始める。ぐずぐずと音を立てる鉄を、耐熱ブーツが踏み締めた。

散らかった事務机、飲み掛けの麦茶。それらをひとしきり眺めた侵入者が、口を開く。
「おや、どうやら留守のようだね」
それは女である。口元に薄い笑みを携えた姿は、どこか慈悲深い女神を彷彿とさせる。

「おかしいなあ、悟られるはずないと思ったんだが。勘がいい、というやつなのかな?」
彼女は投資家である。先を読むことを生業とする彼女は、この結果もある程度予想していた。
相手は実力、容姿共に評判の名探偵である。こちらが気をつけても、何かしらの手段で察知して逃げられる可能性は高いだろう。
それを分かった上で訪れた理由は、彼女にしか分からない。あるいは、理由など無いのかもしれない。

「お互いに良い話を持ってきたんだがねぇ」
眉を顰める。誰も見ていないというのに、その姿は演じるようにわざとらしい。
「はあ、残念だ残念だ」と、小さく唱えながら踵を返す。首から下げた望遠鏡が揺れる。冷え固まった塊を乗り越えて、何事も無かったかのように女は去っていった。


事務所から離れた裏路地。息を切らして座り込む少女がいた。額を汗が伝う。それは暑さだけではなく、背筋が凍りつくような恐怖によるものでもある。
いつものような日常、その最中に『唐突に溶け崩れる扉』を『視た』少女は、何もかもを捨てて身一つで駆け出した。
願いのため、などと言って非日常へ踏み込んだことを若干後悔しながら、少女は再び歩き出す。とりあえずは雨風を凌げる場所を探そうと考えながら。

――何でもない街の、何でもない日常。それが崩れ始める日は、近い。

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