このwikiはあにまん掲示板の安価スレ『安価ダイスでエグい魔法を使う魔法少女同士が戦うやつ』(https://bbs.animanch.com/board/860594/)を始めとした一連のスレについてSSなどをまとめたwikiとなります。

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同盟の魔法少女達でのお泊まり会の最中、夜も更けて皆も寝静まっていた頃、魔法少女パープルヘイズ、もとい死川縫は何となく寝付けないままでいた。
いくら布団の中でじっとしていても眠気すら来ないので、そっと布団から抜け出し、水でも飲もうかと居間に向かった。
縫は部屋に仄かな明かりが点いていることから、先客が居るようだと気付いた。
縫が心なし遠慮がちに入室すると、そこに居たのはカルミア・ハーレミンだった。魔法少女名をトレーダーと名乗る女性である。
居間の椅子に腰掛けていた。
「眠れないのかな?」
カルミアがそう問いかけてくる。柔らかく、薄く、軽い、彼女の声には独特な色があると縫は感じた。
「実は私も眠れなくてね、ちょっと話し相手になってくれるかい?」
「あ、はい、私で良ければ喜んで……カルミアさんも寝付けなかったんですね」
「うん……なんでかなぁ、これでも眠るのは得意なんだけどね。ちょっと油断すると、ここは寝ちゃいけない!って時に眠りかけちゃうぐらいさ」
言って、笑う。この人はよく笑うし、すぐに泣く。一見すると感情豊かなただの好人物に見える。ただ、死川縫は、パープルヘイズは、それだけの人ではないのだろうとも考えていた。
この人が「トレーダー」として戦っている時の様子を知っているからこそかもしれない。
それは普段の柔らかな雰囲気との差異がある故、という訳ではない。むしろ、普段と戦闘時との差異が全くといっていいほど無かったのだ。
それがパープルヘイズには異質に見えた。だから、この人の事が少しだけ恐ろしかった。
「私も普段はここまで寝付きの悪いことはないのですけど……枕投げなんてやったから、目が冴えちゃったのかも」
「ああ!あれは楽しかったなぁ。……あぁ、そっか、何となく分かったかもしれない」
カルミアはそう言って椅子の背もたれに少し体を沈めた。

「いや……楽しかったんだなぁと思ってさ。うん、本当に楽しかったんだよ。ああいうのは初めてだったからね」
その時のカルミアの顔は、言葉の通り楽しげに笑っているようだった。しかし、縫にはそれが不思議と寂しそうな姿に思えた。
縫は無意識に手を伸ばして、カルミアの頭を撫でていた。何故そうしようとしたのかはきっと本人にも分からなかった。
「……えーっと?」
「……はっ!あ、私ったら!すみません……つい、なんとなく手が出てしまって……」
「ああいや、別に謝らなくてもいいよ。それに、悪い感触でもなかったし」
申し訳ないやら恥ずかしいやらで顔を俯かせていると、なんならもっと撫でるかい。などとカルミアが言ってくるので、縫は顔がますます赤くなっているのが自分でも分かった。
「もう!あんまりからかわないで下さい!」
「いや〜ごめんごめん」
軽く謝るカルミアを見て、縫は自分を落ち着かせるように息を吐いた。
すっかりいつもの調子に戻ったらしく、先程の寂しげな様子は微塵も感じさせなかった。
ただ、縫が感じていた恐ろしさも少し薄れていたような気がした。
そもそも知り合ったきっかけも聞けば知り合いの娘の仇討ちだそうだし、あの外道に対して奇襲した時の容赦のなさも、この人なりに怒っていたのかもしれない。
思ったよりも普通の人なのかもしれない。
縫はそう考えて、もう少しこの人に歩み寄ってみようと決意した。
羞恥に火照った頬が丁度よく眠気を失わせている。
語り合う時間はまだもう少し続きそうだった。

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