このwikiはあにまん掲示板の安価スレ『安価ダイスでエグい魔法を使う魔法少女同士が戦うやつ』(https://bbs.animanch.com/board/860594/)を始めとした一連のスレについてSSなどをまとめたwikiとなります。

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「ここで速報が入りました、先程アイドルの三輪 久延子さんが、遺体で発見されたとの事です。現場周辺には死体が散乱しているとの情報もあり、現在警察が捜査を勧めています。繰り返します…」

「…ほう」
つけっぱなしのテレビから飛び込んできた思わぬ速報に耳を傾ける。それは1人のアイドルの死を報じるものであり、また1人の魔法少女の脱落を示すものでもあった。

「早々に死ぬか、大詰めでひと暴れするかのどちらかだと思ったが、予想が当たったと言っていいか」
以前に軽く調べた内容を思い出す。
三輪 久延子、またの名を魔法少女イデア。
なんでもミリタリー系アイドルだとかでかなりの人気を博していたらしい。アイドルというだけあって、客観的に見ても優れた容姿をしていると思ったものだ。(無論、俺の方が美しいが)

奴と邂逅したのは少し前の夜だ。いくつか確認された不審死や行方不明者情報から魔法少女の存在を疑った俺が、偵察がてら夜の街を歩いていた時、声をかけてきたのが奴だった。

「やあ愛らしいお嬢さん。こんな夜中にどうしたんだい?」
何しろこの身体だ、声をかけられるのは珍しくない。だがその声には妙な不快感を感じた。
警戒しつつ振り返り目を合わせる。瞬間、女の目が鋭く細められたのが見えた。

全力で跳び退く。ランドセルに仕舞われたステッキを乱暴に掴み、着地と同時にコスチュームを展開し構える。
ほぼ直感的な判断だったが、それは間違ってなかっただろう。奴は俺を見て首を傾げながら、小さく呟いていた。

「…かしい……魔法……耐性?はじめて……」
僅かに聞こえた内容を推測するに、こいつは魔法少女だ。おそらく奴の魔法は精神に作用を及ぼすものなのだろう。俺の魔法は精神干渉を無効化するため助かったが、それ以外の魔法だったら危うかった。

「…驚いたねえ!君のような小さくてみにく…綺麗な子まで魔法少女だなんて!!」
「…」
「私の名前はイデア!魔法少女イデアさ!!見たところ、君はとっても強そうだね!よければ私の──『英雄』の仲間になってはくれないかい?」
構えを続ける。魔法の効果がそれだけとは考えにくい。まだ何かある筈だ…そう思い周囲を警戒すると、複数こちらへの視線を確認した。

(成程、奴の魔法は精神支配による他者の眷属化といったところか?)
一先ずの予想を立てる。眷属の規模が分からない以上、この場で正面から争うには得策ではない。ならば──離脱一択だろう。

魔法少女の力を発揮し、跳ぶ。地面が割れる音が響く。遠のきながら呆気に取られるヤツの顔が確認し、空を切り裂いて跳んでいく。あとは冷静に地形を見定めて着地点を決め、上手く着地の衝撃を受け流せば離脱は完了だ。
新たなる魔法少女を確認した俺は、一先ず奴を倒すべく準備する事にした…。

そして今に至る。少々肩透かしを食らった形になるが、奴が倒されてくれた事は正直ありがたい。
目が合ったあの一瞬、俺達は互いに察したのだ。

──ああ、こいつは狂人(どうるい)だ。

目的以外に価値を感じず、何を犠牲にするにも躊躇いがない。そんなギラついた狂気が、奴の目からは滲み出ていた。そして奴から見た俺も、また同じように見えただろう。だからこそ、互いに瞬時に行動を起こした。

あの手の輩は、得手して強く、諦めが悪く、何をしでかすか分からない。言動を見るに、奴は「英雄」に固執していたように思える。この御時世に英雄なんて物に執着するなど、碌でもない人間なのは明らかだ。

だからこそ、確実に始末するために『新しい力』の開発が必要だと判断した。あの手の人間への最適解は、余計な事をする時間を与えず一撃で殺し切る事だ。
とは言え、首尾よく事が運ぶとも限らない。魔法の性質もあって、はっきり言って相手にしたくない存在だったのだ、奴は。

「開発が終わる前に死ぬとはな。やはり趣味を盛り込むべきでは…だがこればかりは譲れないロマンと言う物が…」
ぼやきながら状況を整理する。
現状の懸念点は、イデアの死体の状況が分からない事だろう。奴を倒し切る程の魔法少女の情報が無いのは痛い。暫くは情報収集しつつ、こちらの開発を進めるとしよう。
通常のニュースに戻ったテレビから目を外し、手元の「ベルト」に向き合う。
さて、作業を再開するとしよう。


誰も知らないラボの奥。ギラついた目で見果てぬ夢を追いかける少女が、そこにはいた。

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