このwikiはあにまん掲示板の安価スレ『安価ダイスでエグい魔法を使う魔法少女同士が戦うやつ』(https://bbs.animanch.com/board/860594/)を始めとした一連のスレについてSSなどをまとめたwikiとなります。

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──そこは、ごくありふれた普通の街だ。今も変わらず。
立ち枯れた街路樹、点在する骨と皮だけの死体、ただ風の音のみが鳴る静寂。それは、今やこの国全域に広がる、ありふれた光景である。

唯一の普通でない点は、空に浮かび脈動する『黒い太陽』。突如として出現し、あらゆる抵抗を退け、国の全ての生命を呑み干した「厄災」は、悪夢の起点となったこの街の上空で静かに微睡んでいた。先程受けた、核兵器による傷を癒す為に。
そうだ、彼女は核兵器に耐えきった。耐えきってしまった。現生人類がなし得る最大最高の火力を、「若さ」という形で摂取した無尽蔵の生命力を持って、耐えきって見せたのだ。もはや、人類に彼女を止める手段は存在しないと言っていい。

そこに、空を歩き近づく人影が一人。


「本当に国一つ滅ぼしてしまうとはね。素晴らしい、実に素晴らしい物語だった。」
胡散臭い男は皮肉げに、しかし本心から彼女を称賛する。魔法少女として一つの完成系へ至ったソレを─精神を崩壊させ暴走した、「魔法少女ティック」だったモノを見据えながら。

「ここまで至れば、もう人類が君を倒す事は出来ない。再び目覚めた君は世界全てを滅ぼすまで止まらないだろうね。」
「…だが、それは看過できない。この世界で、次なる『ゲーム』の開催も出来なくしてしまうのは勿体無いからね。」

「だから、君の物語はここで終わりだ。」
空間が割れる。眩い虹色の光とともに、空に「終わり」が顕現する。
あらゆる魔法少女に勝る存在、不都合な『ゲーム』を幕を閉じる終末装置。ゲームマスターが保有する最高戦力たる、最強の魔法少女がそこに居た。
「さようなら、魔法少女ティック。最高のバッドエンドをありがとう。」

眩い光を前に、影の脈動が激しくなる。自分には無いモノを持つ存在を見据え、影が増幅される。
「終末」と「災厄」、二人の怪物による最終決戦が幕を開けた。

くすんだ虹色に、影の手が群がる。無数の手により首を締められ、顔を驚愕に固めながら「終末」は動かなくなった。散らばる死体と相違ない物に成り果てた骸は、地へ落ちドス黒い血花を咲かせた。

「…は、ハハ、クハハハハハハハハハハハハ!!まさか、まさか!!アレを超える領域まで至っていたとは!!!」

男は笑う。影が男へ手を伸ばす事も意に介さず。

「おめでとう、終末すらも乗り越えた魔法少女。君の物語は終わらない、終わらせはしない!迎える筈だったバッドエンドを、終末を、思うがままに別世界に齎すと良い!!!」

空一面が割れる。巨大な空間の裂け目は、黒々と浮かぶ太陽と男を飲み込み、消えた。

静かになった空。街には、変わらず生気の無い風が吹いていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「何、あれ…」
サラリーマン姿の男の上空、割れた空間から現れたソレを、十人の魔法少女が見上げる。ある者は恐怖を抱き、ある者は至極冷静に見つめ、ある者は本能的にソレの「感情」を感じ取り、泣いた。
そしてある者は──

「……あれは、私の魔法?」

「実に下らない物語をありがとう、諸君。そのつまらない願いへの手向けだ、せめて最高のバッドエンドを差し上げよう。」

黒き太陽が蠢く。手を伸ばしても届かないモノ、己に欠けたモノ、目前にソレがある事を感じ取り、少女だったものは手を伸ばす。

影が満ちる(泣く)。
影が満ちる(叫ぶ)。

そして世界は、影に堕ちる。

BAD END No.xx「デウス・エクス・エンヴィー」

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