俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。 サマナーズ・バトルロワイアルのまとめWikiです

「ダメだ。転移魔法も念話も使えない・・・」

とあるビルの屋上で、民族衣装のような服装の少年が、膝を落として落胆の声を挙げていた。


少年―ユーノ・スクライアは地球の人間ではない。
『ミッドチルダ』という異世界からやって来た魔法使い(正確には魔導師)だ。
とある事情から地球を訪れ、海鳴という街の高町なのはという少女とその家族にお世話になっている身だ。

この殺し合いの場に送られてすぐ、ユーノは会場からの脱出と外部への連絡を試みた。
しかし・・・思念通話はノイズが掛っており、転移魔法は魔力が消費されただけで、発動すらしなかった。

「・・・」

ユーノは考える。
そもそも、自分は高町家では小さなフェレットとして過ごしており、人間だと知っているのは極一部の者だけ。
にもかかわらず、あの魔神皇なる人物は自分をフェレットの姿ではなく、『人間の姿』でこの場に連れてきた。
つまり、自分が人間だと知っている・・・それも魔法文化のある世界の人間ということになる。
だが、そうだとしても何故自分が参加者として選ばれたのか・・・?

ユーノは同い年の少年少女と比べても回転の速い頭を働かせて魔神皇の真意を解き明かそうとしたが、
情報が少ない現状では『全く見当もつかない』という事が分かっただけだった。

「・・・それにこれ」

次にユーノは支給されたタブレット型COMPに目を移す。
魔神皇はこれに『悪魔が封印されている』と言った。
要は、『使い魔』のような存在が入っているということだが・・・
魔法生命とはいえ、生き物を生きたまま電子機器の内部に封じ込める等、ミッドチルダ式の・・・いや、どの世界の魔法でも不可能だ。
なのに、実際に目の前のCOMPには『悪魔召喚プログラム』が内蔵されている。
転移魔法の応用なのか、それとも自身の知らない世界の魔法なのか・・・これも皆目見当がつかなかった。

「・・・よし」

悩んだ末に、ユーノは悪魔を呼び出すことにした。
自分で作った使い魔ではないので、どのような姿や力を持っているかはわからないが、
外部への連絡も脱出も不可能で、自分は攻撃魔法が不得意。
となれば、残る選択肢は一つしかないのが現状なのだ。

ユーノは『悪魔召喚プログラム』を起動させる。
『召喚しますか?』のメッセージと共に『YES』『NO』の選択肢が現れる。
ユーノは迷わず『YES』を選択した。

次いで、COMPから眩い光が溢れだす。
光が納まるとそこに・・・

「云われは無くとも即参上!軒轅陵墓から、良妻狐のデリバリーにやってきました!!」

狐のような耳と尻尾を持った妙齢の女性が、ドヤ顔とポーズを決めていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一気に周りの空気が10度も下がった・・・ような気がした。

「え〜っと・・・コホン」

女性は頬を幾らか朱に染めると、ポーズを解いて咳払いをした。

「・・・召喚に応じて馳せ参じました。貴方が私の主ですか?」
「・・・今さら真面目にやっても、遅いと思いますよ?」
「あっやっぱり〜♪テヘペロ」

・・・どうにもシリアスが似合わない悪魔だった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「なるほど・・・ご主人様は殺し合いには乗らず、この場からの脱出を望んでいるんですね」
「うん。僕はあの人の部下になるつもりはないし、人の命を奪ってまで叶えたい願いも無いからね」

あの後、ユーノと狐耳の女性―『タマモ』と名乗った―は改めて自己紹介をし、ユーノのこの場でのスタンスを話し合っていた。
尚、タマモが自分の事を『ご主人様』と呼ぶので、ユーノは『名前で呼んでほしい』と伝えたのだが、
そうしたら『ユーノ様』と呼ぶので、『ご主人様』と呼ばれるよりもっと恥ずかしいので、『ご主人様』呼びで妥協することにしたのだった。

「・・・けれど、ご主人様。それは並大抵のことではありません。なにせ、相手は私をあのCOMPに封じ込めるほどの力がありますし、
この場には、魔神皇の言葉に従い殺し合いに乗った者も居るかもしれないんですよ?」
「うん・・・分かってる」

タマモの言葉にユーノは顔を俯かせる。けれど、

「だから、お願いだ。タマモ」

すぐに顔を挙げ、強く固い信念の籠った瞳でタマモと顔を合わせる。

「僕に力を貸して。この殺し合いから脱出するための力を」
「・・・」

その力の籠った言葉を放つ姿に、タマモは一瞬見惚れ、すぐに平静なふりをした。

「もう〜!‘お願い’なんてしなくても、‘命令’してくださいよ。私は貴方に仕える『悪魔』なんですから」
「あっ・・・ごめん」
「もう・・・でも、良いでしょう」

すっくと立つと、たからかに宣言した。

「この玉藻の前!全身全霊を持って、主・ユーノ・スクライア様の為に尽くしましょう!」
「・・・うん。ありがとう」

タマモの言葉を聞き、ユーノは柔らかな笑みを浮かべ、釣られてタマモも微笑み返したのだった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

方針も決まったところで、二人は早速行動を開始した。

「それじゃあまず、街の方に降りてみましょうか」
「うん。あっ、ちょっと待って」

張り切っているタマモを静止すると、ユーノは目を閉じて精神を集中させた。
すると、ユーノの体が緑色の光で包まれ・・・ユーノは人間から小さなフェレットの姿になった。

「あら?ご主人様って、獣の姿が本性何ですか?」
「ち、違うよ!これは変身魔法を使ってるだけで、僕は人間だよ!」

タマモの発言にユーノは慌てて訂正すると、そのままタマモの肩に飛び乗った。

「・・・この姿だと、魔力の消費が抑えられるんだ。それに、人間の姿でタマモに着いて歩くのは体力も使うからね」
「なるほどぉ・・・!」

ユーノは気づかなかったが、この時タマモの目がイタズラを思いついた子供のように怪しく光った。

「・・・でもぉ〜・・・肩の上だと落ちちゃうかもしれませんよぉ?」
「えっ・・・でも他に・・・」
乗れる場所なんてない、とユーノが言うよりも早く、タマモがその白魚のような手でユーノを掴んだ。

「うわぁ!」
「で・す・か・らぁ〜・・・」

タマモは怪しい笑みを浮かべながらユーノを・・・

「・・・ここなら大丈夫ですよ♪」

・・・自分の胸の谷間に挟みこんだ。

「!!!!!わっ!?うわぁ!!!」

いきなりタマモの胸の谷間に挟まれて、ユーノの顔はリンゴのように真っ赤になった。
同い年の子供よりも精神的に成熟しているとは言え、ユーノはまだ9歳の純情な少年。
女性の胸の谷間に挟まれて平然としていられる訳がない。
慌てて抜け出そうともがくが、そんな努力も虚しくタマモの細い指によって静止される。

「もう、じっとしていないと落ちますよ?ご主人様」
「・・・はい」

抵抗も虚しく押さえつけられ、ユーノは諦めて動かなくなった。
それを確認すると、タマモは鼻歌混じりに階段を下りて行った。
豊満な胸に包まれて顔を赤くしているユーノ・スクライアを抱いたまま。


もし、ユーノの知り合い・・・それも同性のクロノ・ハラウオン辺りがこの光景を見たら、こう言うだろう。
「この淫獣め!」
と・・・・・。



【???????/一日目/朝】
【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:健康、赤面、幸せ?
[装備]:タブレット型COMP
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:・・・・・・・・(赤面して何も言えない)

[COMP] 
1:玉藻の前@Faet/EXTRA
[種族]:神霊
[状態]:健康、上機嫌

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