最終更新:ID:4aESxM25Ww 2016年07月11日(月) 18:39:41履歴
もう一人の自分と別れた海馬は、北に向かって進んでいた。
何故北なのかと言うと、単にもう一人の海馬が渋谷のある南に向かったのでその逆を歩いているだけなのだが。
海馬は歩きながら考える、これからどう動くべきか。
殺し合いを粉砕するために必要な要素は大きく分けて2つ。
首輪の解除と、会場の脱出だ。
1つ目の首輪の解除、これは殺し合いに反目するのなら誰もが考える事だろう。
幸いにも海馬は機械工学に優れているので解除する方法を見つけ出す事は難しくないだろう。
もちろん魔法など未知の力を使われている可能性もあるが、その辺りも首輪のサンプルを手に入れれば分かるはずだ。
首輪のサンプルさえあれば。
「つくづく俺を怒らせるのがうまい男だ、魔神皇め……!」
そう、首輪を手に入れるという事は参加者の最低誰か1人の首を切り落とすという事になる。
つまりどうあっても確実に手を汚すことになるのだ。
勿論人殺しを拒否するというのなら、すでに死んでいる参加者の首輪を手に入れるという手段もある。
だがそんな行いを海馬は己の手を汚すことより拒絶する。
人の屍を貪るような行いは、海馬瀬人の誇りがさせない。
「ふん。ならば殺し合いに乗ったものを正面から打ち倒し、首輪を手に入れてやる」
ならば殺してやる、ただし魔神皇の意に沿わぬ形で。
そもそも海馬は人を殺せない人間ではない。
現代兵器を嫌悪しているが、銃を人に向ける事も撃つ事も出来る人間だ。
決してそれを望みはしないし、それに喜びを覚える事もないが。
「それより次だ」
そんな思いを横にどけ、海馬の思考は次に進む。
2つ目は会場の脱出。だが海馬は忌々しいが今の自分には手におえないと考えていた。
理由は簡単、この会場からの脱出を阻んでいる物の正体が分からないからだ。
科学的なものであれば海馬は理解できるだろう、だがそれは恐らく科学ではない。
勿論、いずれは魔法という未知も海馬コーポレーションの科学力で解析できるだろう。だが少なくとも今の海馬には無理だ。
となれば
「やはり他の参加者との接触は必須か」
呟いた所で海馬は思わず足を止め、ある事に気づく。
そう言えば参加者名簿を確認していなかったという事実に。
ブルーアイズを貶められた怒りと、もう一人の自分という存在に少なからず驚愕したからだろうか。
海馬はCOMPを起動し、参加者名簿を確認する。
海馬が最初に目を惹かれたのは、かつて自身が主催した大会の参加者だった。
マリク・イシュタール、かつてレアカード窃盗団グールズの首領だった男。
バトルシティ決勝戦で”ヤツ”と戦い、改心した様子を見せていたが海馬にとってはあまり良い印象のない男だ。
流石にこんな状況だから、諍いを起こすつもりはないが積極的に関わりたい存在でもない。
もう一人はバクラ、確か遊戯のお友達の一人だったか。こっちに至っては印象が薄い。
バトルシティの本選では、ウィジャ盤コンボというなかなかえげつない戦い方を見せていた程度の印象だ。
「だが何故バクラと表記されている? 奴の本名は獏良了だったはずだが……」
海馬が考えていると、そういえば奴も遊戯と同じく千年アイテムとかいうオカルトクッズを持っていたはずだという事を思い出す。
そして獏良了が持つ千年アイテムにも、闇の人格が宿っていたような記憶がある。
海馬からすればあまり興味がなかったのでうろ覚えだが、一応警戒しておく事にした。
なお千年アイテムについては、魔神皇がエジプトから掘り起こしてきたのだろうと推測している。
何故掘り起こしたかについては、流石に想像できないが。
「さて次は……、島村卯月か……」
その次に目を惹かれたのは、意外なことに346プロダクションのアイドルだった。
海馬が何故知っているかというと、346プロのアイドルが海馬コーポレーションのCMに出演経験があるからだ。
海馬コーポレーションでは企業スパイを警戒して、経歴調査を欠かさない。
勿論CMに出るだけのアイドルに念密な調査をするわけではなく、他の企業と黒いつながりがあるかどうかの確認位のものだが。
そしてCMに出る事になったのが島村卯月だったのだ。
そこで、海馬は気づく。
「346プロのアイドルが4人……?」
海馬はアイドルに興味など無いが、ゲームアミューズメント企業の社長という立場として様々なジャンルにアンテナを張り情報を集めている。
その中にはアイドルも含まれていて、346プロについても多少の知識を有していた。
だからこそ海馬は疑問に思う。
「何故4人だけなのだ?」
そう、海馬は4人しか居ない事が疑問だった。
普通なら、1つのアイドルプロダクションから4人も殺し合いに参加させられたらそのプロダクションに恨みがあると考えるのが妥当だろう。
だが海馬は逆にこう思った、恨みがあるならもっと多くのアイドルを参加させるのではないかと。
346プロはかなりの大所帯だ、この殺し合いに参加している人数を優に上回るほどに。
なのに何故この4人なのか。全ては魔神皇の気まぐれなのか。
ならば今度は別の疑問が浮上する。
「何故俺が二人いる?」
そうなると今度は海馬瀬人がこの殺し合いに二人いる事が疑問点になる。
あいつが何らかの方法で具現化したもう一人の俺だとしても、具現化させたのはおそらく魔神皇の力によるもののはずだ。
もしも殺し合いに参加させる人間を適当に選んだとするなら、同じ人間を二人選ぶような真似はしないだろう。
「ん?」
だがここで海馬の思考はいったん中断されることになる。
何故ならば、目の前に一匹の悪魔が現れたからだ。
その悪魔は少女と称しても問題なかった、両腕の部分が羽根となっていなければ。
海馬はこの悪魔に似たカードを知っている、こいつは
「ハーピィ、か……」
「惜しいわ、ハーピーよ」
文字にしなければ分からないような微妙な訂正をするハーピー。
それを気にせず海馬は問う。
「俺に何の用だ?」
「悪魔らしくあなたに襲いかかろうかと思ったのよ、後ろのドラゴンを見てやめたけど」
「そうか」
ハーピーは、実は海馬の3歩(人間基準)後ろにずっといたブルーアイズに恐れをなした。
3歩後ろとかお前は大和撫子か、とハーピーはツッコミを入れたかった。入れなかったが。
「ならばいくつか質問をさせて貰おうか」
「いいわよ」
「まず最初に、お前はこの殺し合いについて何か知っているか?」
「何も知らないわ。私たちが魔神皇に言われたのはここにいる参加者という存在を好きにしていいって事だけ」
「まるで放し飼いだな」
「まあ、概ねあってるわね」
皮肉を込めた海馬の言葉を肯定するハーピー。
そんなハーピーに目もくれず海馬は質問を続ける。
「次に、他の参加者に会わなかったか?」
「1人、……いえ1匹見たわ」
「1匹?」
「ええ、人型だけど人間とは明らかに違う何か。悪魔でも人間でもない何かだったわ」
「ほう、それでそいつは何処だ?」
ハーピーの話を聞き、その存在に少なからず興味を示す海馬。
そんな海馬にハーピーは嗜めるようにこう言った。
「そいつに襲いかかった妖獣ガルムが容赦なく返り討ちに遭ったみたいだから、あまり会うのはお勧めしないわ。
私は距離を取って逃げたし」
「下らん、死の神の番犬ごときが俺のブルーアイズを上回る訳がない」
「いや私は貴方の心配を……、まあいいわ。そいつは北の、豊島区の方で見たわよ」
「そうか」
それだけ言って海馬は去っていく。
去っていく海馬をを見たハーピーは思わず呼び止める。
それに海馬は煩わしそうに返事をした。
「何だ?」
「ねえ、私を仲魔にしてくれないかしら」
「お前に何のメリットがある。俺はお前が危険だとほざく参加者に会いに行くつもりだぞ」
「少なくとも他にもいるかもしれない危険な参加者に合う可能性を考えたら、誰かしらサモナーについた方が安全なのよ。いざとなればCOMPの中に逃げればいいし」
「中々のしたたかさだ。いいだろう、着いてくるがいい。ただしだ」
「?」
着いてくることを1つの条件を付けて了承した海馬。
その条件はハーピーにとっては拍子抜けするものだった。
「この俺に悪魔や魔法についての知識を寄越せ」
「了解したわマスター。コンゴトモヨロシク」
【新宿区/1日目/午前】
【海馬瀬人(B)@遊☆戯☆王】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[所持マッカ]:25000
[思考・状況]
基本:もう一人の自分より先に魔神皇を倒し、殺し合いを粉砕する
1:北に向かいハーピーのいう参加者に会う
2:ハーピーから魔法や悪魔の知識を手に入れる
3:殺し合いに乗っている参加者が居たら打倒し、首輪を手に入れる
4:参加者の選出基準に疑問
[COMP]
1:青眼の白龍@遊☆戯☆王
[種族]:聖獣
[状態]:健康
2:ハーピー@真・女神転生シリーズ
[種族]:妖鳥
[状態]:健康
※ハーピーが語った参加者はプレデター@プレデター の事です。
何故北なのかと言うと、単にもう一人の海馬が渋谷のある南に向かったのでその逆を歩いているだけなのだが。
海馬は歩きながら考える、これからどう動くべきか。
殺し合いを粉砕するために必要な要素は大きく分けて2つ。
首輪の解除と、会場の脱出だ。
1つ目の首輪の解除、これは殺し合いに反目するのなら誰もが考える事だろう。
幸いにも海馬は機械工学に優れているので解除する方法を見つけ出す事は難しくないだろう。
もちろん魔法など未知の力を使われている可能性もあるが、その辺りも首輪のサンプルを手に入れれば分かるはずだ。
首輪のサンプルさえあれば。
「つくづく俺を怒らせるのがうまい男だ、魔神皇め……!」
そう、首輪を手に入れるという事は参加者の最低誰か1人の首を切り落とすという事になる。
つまりどうあっても確実に手を汚すことになるのだ。
勿論人殺しを拒否するというのなら、すでに死んでいる参加者の首輪を手に入れるという手段もある。
だがそんな行いを海馬は己の手を汚すことより拒絶する。
人の屍を貪るような行いは、海馬瀬人の誇りがさせない。
「ふん。ならば殺し合いに乗ったものを正面から打ち倒し、首輪を手に入れてやる」
ならば殺してやる、ただし魔神皇の意に沿わぬ形で。
そもそも海馬は人を殺せない人間ではない。
現代兵器を嫌悪しているが、銃を人に向ける事も撃つ事も出来る人間だ。
決してそれを望みはしないし、それに喜びを覚える事もないが。
「それより次だ」
そんな思いを横にどけ、海馬の思考は次に進む。
2つ目は会場の脱出。だが海馬は忌々しいが今の自分には手におえないと考えていた。
理由は簡単、この会場からの脱出を阻んでいる物の正体が分からないからだ。
科学的なものであれば海馬は理解できるだろう、だがそれは恐らく科学ではない。
勿論、いずれは魔法という未知も海馬コーポレーションの科学力で解析できるだろう。だが少なくとも今の海馬には無理だ。
となれば
「やはり他の参加者との接触は必須か」
呟いた所で海馬は思わず足を止め、ある事に気づく。
そう言えば参加者名簿を確認していなかったという事実に。
ブルーアイズを貶められた怒りと、もう一人の自分という存在に少なからず驚愕したからだろうか。
海馬はCOMPを起動し、参加者名簿を確認する。
海馬が最初に目を惹かれたのは、かつて自身が主催した大会の参加者だった。
マリク・イシュタール、かつてレアカード窃盗団グールズの首領だった男。
バトルシティ決勝戦で”ヤツ”と戦い、改心した様子を見せていたが海馬にとってはあまり良い印象のない男だ。
流石にこんな状況だから、諍いを起こすつもりはないが積極的に関わりたい存在でもない。
もう一人はバクラ、確か遊戯のお友達の一人だったか。こっちに至っては印象が薄い。
バトルシティの本選では、ウィジャ盤コンボというなかなかえげつない戦い方を見せていた程度の印象だ。
「だが何故バクラと表記されている? 奴の本名は獏良了だったはずだが……」
海馬が考えていると、そういえば奴も遊戯と同じく千年アイテムとかいうオカルトクッズを持っていたはずだという事を思い出す。
そして獏良了が持つ千年アイテムにも、闇の人格が宿っていたような記憶がある。
海馬からすればあまり興味がなかったのでうろ覚えだが、一応警戒しておく事にした。
なお千年アイテムについては、魔神皇がエジプトから掘り起こしてきたのだろうと推測している。
何故掘り起こしたかについては、流石に想像できないが。
「さて次は……、島村卯月か……」
その次に目を惹かれたのは、意外なことに346プロダクションのアイドルだった。
海馬が何故知っているかというと、346プロのアイドルが海馬コーポレーションのCMに出演経験があるからだ。
海馬コーポレーションでは企業スパイを警戒して、経歴調査を欠かさない。
勿論CMに出るだけのアイドルに念密な調査をするわけではなく、他の企業と黒いつながりがあるかどうかの確認位のものだが。
そしてCMに出る事になったのが島村卯月だったのだ。
そこで、海馬は気づく。
「346プロのアイドルが4人……?」
海馬はアイドルに興味など無いが、ゲームアミューズメント企業の社長という立場として様々なジャンルにアンテナを張り情報を集めている。
その中にはアイドルも含まれていて、346プロについても多少の知識を有していた。
だからこそ海馬は疑問に思う。
「何故4人だけなのだ?」
そう、海馬は4人しか居ない事が疑問だった。
普通なら、1つのアイドルプロダクションから4人も殺し合いに参加させられたらそのプロダクションに恨みがあると考えるのが妥当だろう。
だが海馬は逆にこう思った、恨みがあるならもっと多くのアイドルを参加させるのではないかと。
346プロはかなりの大所帯だ、この殺し合いに参加している人数を優に上回るほどに。
なのに何故この4人なのか。全ては魔神皇の気まぐれなのか。
ならば今度は別の疑問が浮上する。
「何故俺が二人いる?」
そうなると今度は海馬瀬人がこの殺し合いに二人いる事が疑問点になる。
あいつが何らかの方法で具現化したもう一人の俺だとしても、具現化させたのはおそらく魔神皇の力によるもののはずだ。
もしも殺し合いに参加させる人間を適当に選んだとするなら、同じ人間を二人選ぶような真似はしないだろう。
「ん?」
だがここで海馬の思考はいったん中断されることになる。
何故ならば、目の前に一匹の悪魔が現れたからだ。
その悪魔は少女と称しても問題なかった、両腕の部分が羽根となっていなければ。
海馬はこの悪魔に似たカードを知っている、こいつは
「ハーピィ、か……」
「惜しいわ、ハーピーよ」
文字にしなければ分からないような微妙な訂正をするハーピー。
それを気にせず海馬は問う。
「俺に何の用だ?」
「悪魔らしくあなたに襲いかかろうかと思ったのよ、後ろのドラゴンを見てやめたけど」
「そうか」
ハーピーは、実は海馬の3歩(人間基準)後ろにずっといたブルーアイズに恐れをなした。
3歩後ろとかお前は大和撫子か、とハーピーはツッコミを入れたかった。入れなかったが。
「ならばいくつか質問をさせて貰おうか」
「いいわよ」
「まず最初に、お前はこの殺し合いについて何か知っているか?」
「何も知らないわ。私たちが魔神皇に言われたのはここにいる参加者という存在を好きにしていいって事だけ」
「まるで放し飼いだな」
「まあ、概ねあってるわね」
皮肉を込めた海馬の言葉を肯定するハーピー。
そんなハーピーに目もくれず海馬は質問を続ける。
「次に、他の参加者に会わなかったか?」
「1人、……いえ1匹見たわ」
「1匹?」
「ええ、人型だけど人間とは明らかに違う何か。悪魔でも人間でもない何かだったわ」
「ほう、それでそいつは何処だ?」
ハーピーの話を聞き、その存在に少なからず興味を示す海馬。
そんな海馬にハーピーは嗜めるようにこう言った。
「そいつに襲いかかった妖獣ガルムが容赦なく返り討ちに遭ったみたいだから、あまり会うのはお勧めしないわ。
私は距離を取って逃げたし」
「下らん、死の神の番犬ごときが俺のブルーアイズを上回る訳がない」
「いや私は貴方の心配を……、まあいいわ。そいつは北の、豊島区の方で見たわよ」
「そうか」
それだけ言って海馬は去っていく。
去っていく海馬をを見たハーピーは思わず呼び止める。
それに海馬は煩わしそうに返事をした。
「何だ?」
「ねえ、私を仲魔にしてくれないかしら」
「お前に何のメリットがある。俺はお前が危険だとほざく参加者に会いに行くつもりだぞ」
「少なくとも他にもいるかもしれない危険な参加者に合う可能性を考えたら、誰かしらサモナーについた方が安全なのよ。いざとなればCOMPの中に逃げればいいし」
「中々のしたたかさだ。いいだろう、着いてくるがいい。ただしだ」
「?」
着いてくることを1つの条件を付けて了承した海馬。
その条件はハーピーにとっては拍子抜けするものだった。
「この俺に悪魔や魔法についての知識を寄越せ」
「了解したわマスター。コンゴトモヨロシク」
【新宿区/1日目/午前】
【海馬瀬人(B)@遊☆戯☆王】
[状態]:健康
[装備]:携帯電話型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[所持マッカ]:25000
[思考・状況]
基本:もう一人の自分より先に魔神皇を倒し、殺し合いを粉砕する
1:北に向かいハーピーのいう参加者に会う
2:ハーピーから魔法や悪魔の知識を手に入れる
3:殺し合いに乗っている参加者が居たら打倒し、首輪を手に入れる
4:参加者の選出基準に疑問
[COMP]
1:青眼の白龍@遊☆戯☆王
[種族]:聖獣
[状態]:健康
2:ハーピー@真・女神転生シリーズ
[種族]:妖鳥
[状態]:健康
※ハーピーが語った参加者はプレデター@プレデター の事です。
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066:隣人たちは静かに笑う | 投下順 | |
043:カイバー&ドラゴン | 海馬瀬人(B) | 000:[[]] |
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