俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。 サマナーズ・バトルロワイアルのまとめWikiです



Who killed Cock Robin

誰が殺した?クック・ロビン。


I,said the Sparrow

それは私と雀が言った。


With my bow and arrow

私の弓に矢を番え。


I killed Cock Robin

私が殺したクック・ロビン


少女―――濱秋子は、全てを語った。

獄門塾に入塾後、ほどなくして海堂、鯨木、近衛、絵波、霧沢、茂呂井の6人に目を付けられてイジメを受け続け、重なるように家でのトラブルが起き、心身ともにすり減っていたこと。
そんな時、藍野修治に救われたこと。
そして、今度は藍野が6人のターゲットにされたこと。
そして...

「きみは、藍野くんが使用していた命に関わるクスリを、あの6人に覚醒剤だと教えられ、渡された薬をすり替えてしまった...そうですね?」
「...はい」
「彼はさぞや無念だったでしょう。彼にはなんの落ち度もなかった。だが、あの6人にその命を弄ばれてしまった...」
「私...どうすれば...!」
「きみが悪いんじゃない!きみが悪いものか!全ては奴らが...!」

秋子の隣に座る男性―――秋子の通う獄門塾の教師であり、藍野修治の父である氏家貴之は、涙を流す濱を必死に慰める。


だが、それでも。
彼女には救いは訪れない。彼女の胸中には、負の感情しかなかった。
かけがえのない者を喪った深い絶望と悲しみ。
自分を騙し、藍野の薬を覚醒剤だと偽った6人への止めようのない憎しみと怒り。
そして、なにより彼を殺した―――

「あなた方に私の芸術を差し上げます。そして、あの6人を死の輪舞曲(ロンド)へと導くのです」
「...!」
「そのためには下準備が必要となります。それは―――」




「そこで、あなたの意識は途切れ、気が付けばこのバトルロワイアルに巻き込まれていた...というわけね」
「...うん」


濱秋子は全てを語った。
『地獄の傀儡子』を名乗る男から、あの6人への復讐の計画を持ちかけられたこと。
そして、いざ計画を教えられようとしたその時、殺し合いの会場に連れてこられていたことを。

「これが『地獄の傀儡子』が伝えようとしてたことなのかな...」
「状況から言えば、かなり低いと思うわ」

秋子の話を聞いていた黒髪の少女は、現在の主の話を聞き、彼女なりの推測を述べていた。

「そもそも、その6人とこの殺し合いになんら関係性は見当たらない。あなたが見た限りでは、6人の誰もいなかったのでしょう?」
「あ、あんまり自信はないけど...」
「もしも、あなたに6人を殺させるというのが目的なら、その6人の誰か一人でもあなたの目の付く場所にいなければ不自然だわ」
「じゃあ、なんでこんなことを」
「私にはわからないわ。私はただの悪魔。あなたの力になるだけで、他はなにも知らないの。でも...」

困惑する秋子の手を包み込み、少女はそっと握らせる。

「もしも、『地獄の傀儡子』があなたを殺し合いに送り込んだのなら...試されているのかもしれないわね」

秋子の手に握り絞められていたのは、ひとつの拳銃だった。

「6人以外は決して殺さない真っ当な復讐者になるか、6人を殺すためには手段を選ばない殺人マシーンになるか」
「ッ...!」
「それとも...なにも選べず、ただ怯え続けるだけか」

渡された拳銃を掴む手は震えている。
もしも、あの6人が、いや、目の前に邪魔を敵が現れた時―――この引き金を、引く?

なんのために。

復讐を果たすため。

なんのために。

殺すため。

なんのために。

藍野修治と同じように、自分が、この手で―――

「わからない...わからないよ...」

不安。怒り。恐怖。殺意。
あらゆる負の感情が胸中に渦巻き、彼女の頬を涙が伝った。

「...そう。まだ答えが出せないのね」

少女は、席を立つと、秋子に背を向けドアへと向かっていく。

「あ、あの...?」
「見張りにいくだけよ。...大丈夫。私は、あなたの味方。どんな道を選ぼうと...ね」

パタン、と扉は閉められ、一人残された秋子は、再び拳銃を握りしめた。

この拳銃で、他者の命を奪いあの6人を殺すために心を失くすのか。
あの6人以外は殺さない復讐者になるのか。
それとも...この拳銃で彼を殺した罪を償うのか。
どれが正しい答えなのか、彼女にはわからない。

「お願い...教えて...」

藍野くん、と呼びかけそうになった言葉をのみこんで。
濱秋子は、己の犯した罪に苛まれ続けた。

救いの手など存在しない。
協力者でもある、思い人の父も。
闇へと誘う地獄の傀儡子も。
彼女に光を与える筈だった探偵少年も。
誰の意思も介入することはできない。
先に進むには、全て自分で決めなければならないから。




「......」

少女―――暁美ほむらは、扉を背にして佇んでいた。

暁美ほむらの全ては鹿目まどかのためにある。
それは、如何なる状況においても揺らぐことはなく、いまもそれは変わらない。
だが、ほむらは確かに秋子の味方だと告げた。なぜ?

(いまここにいる私は、ただのコピー...本物の私じゃない)

いまここにいる自分は、ただの電子の海で再構築された、悪魔の名を騙る偽者である。

そして、その証拠に―――ほむらがいま使用できる魔法は、世界が改変された際に失ったはずの時間停止の盾だ。
つまりは、秋子の語っていた魔人皇なる少年が作った都合の良い偽者が、濱秋子に呼び出された暁美ほむらである。
この事実は誰に伝えられたわけではない。
しかし、確かなことは、本物の自分は今も尚"鹿目まどか"を追い求め続けているだろうということだ。
それは、この胸に宿る感覚で解っていた。
そして、いまここにいる偽者は、この殺し合いの間でしか生きられない、即ち消去(デリート)されてしまうだろうということも解っていた。
故に、ほむらは殺し合いに乗ることも叛逆を企てることもせず、サマナーである彼女に判断を委ねることにした。

だが。

それ以上に秋子の味方だと強く断言した理由は。

(彼女と私は―――同じだったから)

かつて、暁美ほむらは鹿目まどかを救うために、何度も同じ時間を繰り返してきた。
彼女が悪魔と契約する度に。彼女を死なせる度に。彼女を殺す度に。
何度も。何度も。何度も。
結局、彼女を救うことなんてできやしなかった。
残ったのは、因果の糸に押し上げられ、鹿目まどかは誰からも忘れ去られてしまったという結果だけ。
彼女を愛し、愛された家族からも。
共に支え合ってきた親友たちからも。
これから関わる者たちからも。
...誰からも彼女との繋がりを断ち切らせ、まどかを永久の孤独に晒してしまった。

彼女自身が望まない選択肢を選べるようにしてしまったのは、他でもない。

「...それは私、か」

秋子が時折呟いていた言葉。

似ていた。

藍野修治という存在に救われた秋子。
鹿目まどかという存在に救われたほむら。

修治を想っての行動が、彼を死に至らしめてしまった秋子。
まどかを想っての行動が、まどかを永久に孤独の片隅に追いやってしまったほむら。

動機や境遇こそ違えど、彼女とほむらは限りなく近しい存在だったのだ。

だからだろう。
ほむらが、秋子の力になりたいと思ったのは。
同情心と既視感からの気の迷いといえばそれまでだ。

だが、それでも、彼女の後悔や苦しみ、絶望も解っているつもりだったし、彼女の復讐心も否定することもしなかった。―――もし、自分が彼女の立場になったら、彼女以上に迷わずその6人を殺しただろうから。

結局のところ、暁美ほむらという少女も、ただ寂しかったのかもしれない。
故に、寂しさを紛らわすために、秋子の力になると決めたのだろう。

ほむらは待つ。
自分と似た少女が、こころを決める時を。
そして、如何なる道を進もうとも、ほむらは彼女を責めないし、裏切りもしない。
例えそれが全てを投げ出す逃避だとしても。地獄への片道切符だとしても。
彼女の最期を見届けるまで、ほむらは決して裏切らないだろう。
もしも、その心を揺らがせる時が来るとしたら。それはきっと...



誰が殺した?クック・ロビン。

それは。

それは。

それは―――





【?????/1日目/朝】



【濱秋子@金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件】
[状態]:精神不安定
[装備]:注射器型COMP
[道具]:基本支給品、ベレッタ@現実
[思考・状況]
基本:私は、どうすれば...



[COMP]
1:暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語
[状態]:健康
[種族]:悪魔
MP:200/200

※魔法は時間停止は使えますが、制限により止められる時間は限られています。また、手持ちの武器は現在0です。
※MPが切れると魔法が使えなくなります。魔女化は現状不明です。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます