最終更新:ID:MsF97JscHQ 2016年05月17日(火) 11:53:56履歴
2016年、不況にあえぐ日本政府は荻窪を地球外勢力に売却し、荻窪は銀河指定宇宙移民地区・OGIKUBOへと変貌、多種多様な種族が移住していた
(なお徹底した情報規制と政府主導による隠蔽工作により、その事実はまだ認知されていない)
「バカじゃねーの。あっしはこんなことに付き合ってらんねーよ」
そんなOGIKUBO(オギクボ)中学に通うイマドキ女子中学生、ミドリ・セイブザワールドはそう悪態をついた
緑色の肌に頭頂部に付いた第三の目など、亜人的な特徴を持つ彼女は宇宙人とのハーフである。
髪はグラデーションのかかった紫髪の外巻きボブ。下睫毛の長いタレ目にギザ歯、発育の良い体つきが印象的だ。
まぁ、彼女も脱法ブラックホールアプリを違法売買して小遣いを稼ぐくらいのことはするが、人殺しなんてまっぴらごめんだ
でも宇宙人のハーフと言えどもミドリはあくまで女子中学生。暴漢のたぐいが襲ってきても、素手で勝てるとは思えない
なのでディバックからスマホ型のCOMPを引っ張り出し、悪魔とやらを召喚してみることにした。
軽く操作してみると、悪魔召喚プログラムというアプリがインストロールされているのを見つけた。
「えーと、あ、コレかな。ほいほい、ポチッとな」
そんなノリで召喚されたのは、二組の男たちだった
「どうも〜、だぶるぼんぼんデス!」
ふたり組の内、ちょっと異常な量のあばたで顔が穴だらけの男が先に喋った。
三本線のジャージを着込んだ醜いあばた面は、貧乏な下積み芸人には見えても、悪魔には見えない。
「ボクたちも頑張っていかなゆうてるんですけどねー」
同じく一緒に笑っている男も三本線のジャージを着込んでいる。痩せすぎだが抜き身の刃物のように鋭利な、鋳型でこしらえたような通り魔のような男だ
「なっ……なんなのさアンタたちは」
予想外の悪魔の姿に唖然としながらも、とりあえずコンタクトをとろうと話しかけてみる。こう見えて日本語を話しているし、意外と話が通じる相手かもしれない。
「お茶のおともに最適」
「えっ?」
「土産話にもってこい」
「ちょ?」
「「おっ、お年寄りから子供まで、ほっと一息、舌つづみ。どうもどうも〜」」
あっ……駄目だコレ通じないパターンだ。
サマナーをガン無視して何か始めたふたり組を見てそう察したミドリは、対話から観察へと行動をシフトした
「いやほんと、夏は暑いですわ。暑い暑い。暑い。夏は暑いからクーラーつけっぱなしにしますわな」
「なんでやねん!!」
剥き身の刀身のように鋭いツッコミがボケに炸裂する。どうやら漫才のたぐいをやるつもりらしい。
スマホの液晶に目を落とすと、そこには『まんざい星人』という表記があった
「つけっぱなぱな。フルーツの王様パイナップルもぐもぐ」
「なんでやねん!!」
「つけっぱなぱな。フルーツの王様パイナップルもぐもぐ」
「なんでやねん!!」
「つけっぱなぱな。フルーツの王様パイナップルもぐもぐ」
「なんでやねん!!」
気に入ったのか、同じフレーズをしつこく連呼するボケに、痩せた方がツッコミをいれる
「……はァ? なにそれ。マジつまんないんだけど」
ひとつわかった。
この悪魔たちの漫才は致命的に面白くない。むしろ耳障りだった
「困るのは電気代ですな。クーラーつけっぱなしで電気代かかるから、バイトしまひょバイトしまひょ……
わお週三。週三で入れるの? 合格!ごうかーく」
「なんでやねん!!」
ミドリの白けきった視線などどこ吹く風だ。明らかにウケていないのに、えんえんと裏声で持ちネタを繰り返している
「あのー「合格合格、じゃあ僕たちと肩組んで。一緒に歌いまひょ。きッさまとおれーとーはァー、どうきーのさーくらアアー」……チッ」
いい加減止めようとしたミドリを無視し、なぜかボケが歌い出した。壊れたメトロノームのように体を左右に揺らす
「なんでやねん!!」
すかさずツッコミが入る。ボケはともかく、あの鋭いツッコミは評価に値するんじゃないかと思えてきた。
その時だった。複数の視線を感じたミドリは振り返り、驚愕した
「げっ ヤバっ!?」
人目を気にしない漫才に釣られてやって来たのか、いつのまにかミドリたちは複数の悪魔に囲まれていた。
その内の一体が、ミドリの首輪に目をとめ、嗤った
「くそがッ!!」
慌てて逃げ出そうにももう遅い。真っ先に彼女を八つ裂きにしようと悪魔が飛びかかる
「なんでやねん!!」
悪魔の首が宙を舞う
いつの間にかミドリの横に移動していたツッコミが、手刀で首を跳ねたのだ
「あ、アンタ、あっしを助けてくれたの?」
「なんでやねん」
ツッコミは予想通りツッコミで答える
サマナーであるミドリが死んでしまうと、悪魔はCOMPのなかに戻る。
そうすると漫才が続けられなくなってしまうから困る……ということくらいは、彼らも理解しているらしい
「じゃあ次いきまひょ、タッチの練習しまひょ」
一方のボケはというと、悪魔たちの方にネタを広げていた。タッチしてほしいのか、両手を悪魔たちに差し出しているが、当然そんなものに彼らが答えるわけがない。牙や爪で容赦なく攻撃されている。
「タッチだよタッチ、へいタッチ」
右肩は抉れ、左腕の肉がごっそりと爪で削げおとされる。
「ぎゃっ!!?」
初めてツッコミがツッコミ意外の言葉を喋った。驚いたミドリが視線を向けると、慌てたように左手を押さえているツッコミの姿が目に飛び込んできた。
先程と違い、彼のジャージは血に染まっていた。
「な……あ、あんた、その傷は」
野良悪魔にやられたのではない、ミドリたちの近くにいた悪魔たちは、すでにツッコミが始末しているし、他の大多数の方はボケの方に引き寄せられている
そこでミドリは、無意味なネタを繰り返している相方と同じ位置にツッコミがダメージを負っていることに気がついた
(片方が傷を負ったら、もう片方も同じくってこと?)
ミドリは薄々察した。まんざい星人は本当の意味で二人一組であり、一蓮托生らしいということを
「へいタッチタッチ、よしタッチ」
しかしどれだけ攻撃されても、芸人根性なのかなんなのか、ひたすらネタを続ける姿は不気味だった
「タッチ……」
まんざい星人たちの傷口からは、赤黒い血が垂れ落ちている。
「ちがうよぅ! そうじゃないよぉ!!」
ボケは逆上したように叫んだ。そして所在なさげな表情を浮かべた。
しょんぼりと肩を落とし、血まみれの体をまさぐりながら、自分の頭を打ち付け始める
ボケを取り囲んでいた悪魔たちも腕を止め、訝しげにその奇行を見つめている
「……なんなの?」
ミドリも面食らっていた
「……なんでやねん」
必死に頭を打ち付けるボケに答えたのは、寂しそうにツッコミをいれた相方だけだった
「ウウウ……ウウウウウっ!!!」
頭部を打ち付けるのを止めたボケが、ゆっくりと立ち上がった。そのもたげた頭に、異様な変化が起こっていた。
顔のあばたがブクブクと泡立ち、凹みのひとつひとつが炭酸飲料の泡のように弾け、膨れ、老廃物を垂れ流しながら隣の凹みと合流し、黒ずんだ穴ボコとなり、口の両端と繋がった。
その顔は元の何倍もの大きさに膨張し、裂けた口が涎の糸を引きながら開け放たれた
「ウウウウウウウウーーっ!!!」
ボケはその巨貌をしならせ、もっとも近くに佇んでいた不運な悪魔に頭から噛みついた
「ギョアァブッ」
ひと噛みで上半身の4分の1を失った悪魔は、くずれおちるように膝をつき、へな、とその場に正座した
「タッチっ、タッチしてよぉ」
悪魔の肉片を咀嚼しながら、泣きそうな声でボケは呟いた
仲間が殺されて怒ったのか、別の悪魔が低いうなり声をあげて飛びかかる
「なんでやねん!」
すかさずツッコミが切りつけた
切りつけるといっても、ツッコミは武器を手にしてはいない。振るっているのは無事な方の右手であり、完全な貫手だ。
彼はアブドーラ・ザ・ブッチャーでいえば地獄突きのような打撃だけで、悪魔の肉体を切り裂き、骨を貫いていた
ボケの方がこっぴどくやられたからか、それとも漫才が受けなかった腹いせか、
ふたりはゲラゲラと笑いながら悪魔たち相手に暴れ始めた
「お茶のおともに最適!」
「みやげ話にもってこい!!」
本気を出した二体の悪魔は協力無比だった。相乗効果でぐいぐいと勢いを増して、悪魔たちを切りつけ、噛みちぎる
ツッコミの首をはねようとした悪魔が、逆に四肢を切り落とされて転がされている。
肺を貫かれた悪魔が傷口から血の泡を吹きながら倒れた。その横では、地面に転がった悪魔の生首が、噴水のように鮮血を吹き出す胴体を「信じられない」といった目で見ている
「すっげー……」
たがの外れた狂喜乱舞を見て、ミドリは感嘆したように呟いた。あの悪魔たちの漫才のセンスは、どこの星のどの種族にもウケそうにないほど酷いが、少なくとも実力はあることがわかった
結局、まんざい星人が悪魔たちを殲滅するのに五分とかからなかった
仲間を見捨てて逃げ出そうとした悪魔が、頭から文字通りボケに丸かじりにされ、絶命したのを最後に、喧騒は終わりを告げる
残ったのは、かなりの数の悪魔の手足や胴体だけだった。
「ヘイ、タッチタッチ」
グロテスクな惨状をややドン引きしながら眺めていたミドリに、ボケが話しかける
何事かと見てみると、ボケはその巨貌に微笑を浮かべて、肉が削げて骨が見え隠れする左手をミドリに突き出した。
「あー……うん、タッチタッチ」
命を助けられた手前、断るのも気が引けたので、ミドリは照れながらもそれに応じた
目を見開いたボケは、心底嬉しそうな表情を浮かべた。
「タッチって、なんでやねん!」
すかさずツッコミをいれる相方も、どこか満足そうな喜色があった。
【?????/1日目/朝】
【ミドリ・セイブザワールド@宇宙パトロールルル子】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマホ型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:脱出する手段を探してとっととOGIKUBOに帰る
[COMP]
1:まんざい星人(ボケ&ツッコミ)@GANTZ/EXA
[種族]:星人
[状態]:ダメージ(中)、左腕のダメージ大、右肩から出血
[備考]
※二人で一組の悪魔なので、合体時などにも一体として扱われます。
※なので、指示をだす際も二人まとめて指示をだすことになります。
※ダメージは二人で共有、片方が死亡した時、両方とも死亡します。
(なお徹底した情報規制と政府主導による隠蔽工作により、その事実はまだ認知されていない)
「バカじゃねーの。あっしはこんなことに付き合ってらんねーよ」
そんなOGIKUBO(オギクボ)中学に通うイマドキ女子中学生、ミドリ・セイブザワールドはそう悪態をついた
緑色の肌に頭頂部に付いた第三の目など、亜人的な特徴を持つ彼女は宇宙人とのハーフである。
髪はグラデーションのかかった紫髪の外巻きボブ。下睫毛の長いタレ目にギザ歯、発育の良い体つきが印象的だ。
まぁ、彼女も脱法ブラックホールアプリを違法売買して小遣いを稼ぐくらいのことはするが、人殺しなんてまっぴらごめんだ
でも宇宙人のハーフと言えどもミドリはあくまで女子中学生。暴漢のたぐいが襲ってきても、素手で勝てるとは思えない
なのでディバックからスマホ型のCOMPを引っ張り出し、悪魔とやらを召喚してみることにした。
軽く操作してみると、悪魔召喚プログラムというアプリがインストロールされているのを見つけた。
「えーと、あ、コレかな。ほいほい、ポチッとな」
そんなノリで召喚されたのは、二組の男たちだった
「どうも〜、だぶるぼんぼんデス!」
ふたり組の内、ちょっと異常な量のあばたで顔が穴だらけの男が先に喋った。
三本線のジャージを着込んだ醜いあばた面は、貧乏な下積み芸人には見えても、悪魔には見えない。
「ボクたちも頑張っていかなゆうてるんですけどねー」
同じく一緒に笑っている男も三本線のジャージを着込んでいる。痩せすぎだが抜き身の刃物のように鋭利な、鋳型でこしらえたような通り魔のような男だ
「なっ……なんなのさアンタたちは」
予想外の悪魔の姿に唖然としながらも、とりあえずコンタクトをとろうと話しかけてみる。こう見えて日本語を話しているし、意外と話が通じる相手かもしれない。
「お茶のおともに最適」
「えっ?」
「土産話にもってこい」
「ちょ?」
「「おっ、お年寄りから子供まで、ほっと一息、舌つづみ。どうもどうも〜」」
あっ……駄目だコレ通じないパターンだ。
サマナーをガン無視して何か始めたふたり組を見てそう察したミドリは、対話から観察へと行動をシフトした
「いやほんと、夏は暑いですわ。暑い暑い。暑い。夏は暑いからクーラーつけっぱなしにしますわな」
「なんでやねん!!」
剥き身の刀身のように鋭いツッコミがボケに炸裂する。どうやら漫才のたぐいをやるつもりらしい。
スマホの液晶に目を落とすと、そこには『まんざい星人』という表記があった
「つけっぱなぱな。フルーツの王様パイナップルもぐもぐ」
「なんでやねん!!」
「つけっぱなぱな。フルーツの王様パイナップルもぐもぐ」
「なんでやねん!!」
「つけっぱなぱな。フルーツの王様パイナップルもぐもぐ」
「なんでやねん!!」
気に入ったのか、同じフレーズをしつこく連呼するボケに、痩せた方がツッコミをいれる
「……はァ? なにそれ。マジつまんないんだけど」
ひとつわかった。
この悪魔たちの漫才は致命的に面白くない。むしろ耳障りだった
「困るのは電気代ですな。クーラーつけっぱなしで電気代かかるから、バイトしまひょバイトしまひょ……
わお週三。週三で入れるの? 合格!ごうかーく」
「なんでやねん!!」
ミドリの白けきった視線などどこ吹く風だ。明らかにウケていないのに、えんえんと裏声で持ちネタを繰り返している
「あのー「合格合格、じゃあ僕たちと肩組んで。一緒に歌いまひょ。きッさまとおれーとーはァー、どうきーのさーくらアアー」……チッ」
いい加減止めようとしたミドリを無視し、なぜかボケが歌い出した。壊れたメトロノームのように体を左右に揺らす
「なんでやねん!!」
すかさずツッコミが入る。ボケはともかく、あの鋭いツッコミは評価に値するんじゃないかと思えてきた。
その時だった。複数の視線を感じたミドリは振り返り、驚愕した
「げっ ヤバっ!?」
人目を気にしない漫才に釣られてやって来たのか、いつのまにかミドリたちは複数の悪魔に囲まれていた。
その内の一体が、ミドリの首輪に目をとめ、嗤った
「くそがッ!!」
慌てて逃げ出そうにももう遅い。真っ先に彼女を八つ裂きにしようと悪魔が飛びかかる
「なんでやねん!!」
悪魔の首が宙を舞う
いつの間にかミドリの横に移動していたツッコミが、手刀で首を跳ねたのだ
「あ、アンタ、あっしを助けてくれたの?」
「なんでやねん」
ツッコミは予想通りツッコミで答える
サマナーであるミドリが死んでしまうと、悪魔はCOMPのなかに戻る。
そうすると漫才が続けられなくなってしまうから困る……ということくらいは、彼らも理解しているらしい
「じゃあ次いきまひょ、タッチの練習しまひょ」
一方のボケはというと、悪魔たちの方にネタを広げていた。タッチしてほしいのか、両手を悪魔たちに差し出しているが、当然そんなものに彼らが答えるわけがない。牙や爪で容赦なく攻撃されている。
「タッチだよタッチ、へいタッチ」
右肩は抉れ、左腕の肉がごっそりと爪で削げおとされる。
「ぎゃっ!!?」
初めてツッコミがツッコミ意外の言葉を喋った。驚いたミドリが視線を向けると、慌てたように左手を押さえているツッコミの姿が目に飛び込んできた。
先程と違い、彼のジャージは血に染まっていた。
「な……あ、あんた、その傷は」
野良悪魔にやられたのではない、ミドリたちの近くにいた悪魔たちは、すでにツッコミが始末しているし、他の大多数の方はボケの方に引き寄せられている
そこでミドリは、無意味なネタを繰り返している相方と同じ位置にツッコミがダメージを負っていることに気がついた
(片方が傷を負ったら、もう片方も同じくってこと?)
ミドリは薄々察した。まんざい星人は本当の意味で二人一組であり、一蓮托生らしいということを
「へいタッチタッチ、よしタッチ」
しかしどれだけ攻撃されても、芸人根性なのかなんなのか、ひたすらネタを続ける姿は不気味だった
「タッチ……」
まんざい星人たちの傷口からは、赤黒い血が垂れ落ちている。
「ちがうよぅ! そうじゃないよぉ!!」
ボケは逆上したように叫んだ。そして所在なさげな表情を浮かべた。
しょんぼりと肩を落とし、血まみれの体をまさぐりながら、自分の頭を打ち付け始める
ボケを取り囲んでいた悪魔たちも腕を止め、訝しげにその奇行を見つめている
「……なんなの?」
ミドリも面食らっていた
「……なんでやねん」
必死に頭を打ち付けるボケに答えたのは、寂しそうにツッコミをいれた相方だけだった
「ウウウ……ウウウウウっ!!!」
頭部を打ち付けるのを止めたボケが、ゆっくりと立ち上がった。そのもたげた頭に、異様な変化が起こっていた。
顔のあばたがブクブクと泡立ち、凹みのひとつひとつが炭酸飲料の泡のように弾け、膨れ、老廃物を垂れ流しながら隣の凹みと合流し、黒ずんだ穴ボコとなり、口の両端と繋がった。
その顔は元の何倍もの大きさに膨張し、裂けた口が涎の糸を引きながら開け放たれた
「ウウウウウウウウーーっ!!!」
ボケはその巨貌をしならせ、もっとも近くに佇んでいた不運な悪魔に頭から噛みついた
「ギョアァブッ」
ひと噛みで上半身の4分の1を失った悪魔は、くずれおちるように膝をつき、へな、とその場に正座した
「タッチっ、タッチしてよぉ」
悪魔の肉片を咀嚼しながら、泣きそうな声でボケは呟いた
仲間が殺されて怒ったのか、別の悪魔が低いうなり声をあげて飛びかかる
「なんでやねん!」
すかさずツッコミが切りつけた
切りつけるといっても、ツッコミは武器を手にしてはいない。振るっているのは無事な方の右手であり、完全な貫手だ。
彼はアブドーラ・ザ・ブッチャーでいえば地獄突きのような打撃だけで、悪魔の肉体を切り裂き、骨を貫いていた
ボケの方がこっぴどくやられたからか、それとも漫才が受けなかった腹いせか、
ふたりはゲラゲラと笑いながら悪魔たち相手に暴れ始めた
「お茶のおともに最適!」
「みやげ話にもってこい!!」
本気を出した二体の悪魔は協力無比だった。相乗効果でぐいぐいと勢いを増して、悪魔たちを切りつけ、噛みちぎる
ツッコミの首をはねようとした悪魔が、逆に四肢を切り落とされて転がされている。
肺を貫かれた悪魔が傷口から血の泡を吹きながら倒れた。その横では、地面に転がった悪魔の生首が、噴水のように鮮血を吹き出す胴体を「信じられない」といった目で見ている
「すっげー……」
たがの外れた狂喜乱舞を見て、ミドリは感嘆したように呟いた。あの悪魔たちの漫才のセンスは、どこの星のどの種族にもウケそうにないほど酷いが、少なくとも実力はあることがわかった
結局、まんざい星人が悪魔たちを殲滅するのに五分とかからなかった
仲間を見捨てて逃げ出そうとした悪魔が、頭から文字通りボケに丸かじりにされ、絶命したのを最後に、喧騒は終わりを告げる
残ったのは、かなりの数の悪魔の手足や胴体だけだった。
「ヘイ、タッチタッチ」
グロテスクな惨状をややドン引きしながら眺めていたミドリに、ボケが話しかける
何事かと見てみると、ボケはその巨貌に微笑を浮かべて、肉が削げて骨が見え隠れする左手をミドリに突き出した。
「あー……うん、タッチタッチ」
命を助けられた手前、断るのも気が引けたので、ミドリは照れながらもそれに応じた
目を見開いたボケは、心底嬉しそうな表情を浮かべた。
「タッチって、なんでやねん!」
すかさずツッコミをいれる相方も、どこか満足そうな喜色があった。
【?????/1日目/朝】
【ミドリ・セイブザワールド@宇宙パトロールルル子】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマホ型)
[道具]:基本支給品、確認済支給品
[思考・状況]
基本:脱出する手段を探してとっととOGIKUBOに帰る
[COMP]
1:まんざい星人(ボケ&ツッコミ)@GANTZ/EXA
[種族]:星人
[状態]:ダメージ(中)、左腕のダメージ大、右肩から出血
[備考]
※二人で一組の悪魔なので、合体時などにも一体として扱われます。
※なので、指示をだす際も二人まとめて指示をだすことになります。
※ダメージは二人で共有、片方が死亡した時、両方とも死亡します。
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