最終更新:ID:leohoE2qgw 2016年04月30日(土) 12:39:25履歴
この仮想東京に安全な場所は存在しない。
青い畳の床、黒い台の上に置かれたテレビ、テレビの前に置かれたちゃぶ台と座布団、縁側を仕切る障子、
何処にでもありそうな平凡な和室に、しかし廊下から非日常的な大きい足音を鳴らし、異形の足跡を残しながら踏み入る悪魔がいた。
人の体に醜いイヌの形をした頭、全身にびっしりと生えそろった茶色の毛、汚れた胸当てを身にまとい、その手には木製の棍棒、
この異形の獣人の名はコボルト、ドイツの地から生まれた地霊であり、人間の家に現れ、穀物などを要求する悪魔である。
コボルトは贈り物が貰えなければイタズラをすると言われるが、わざわざ大きな足音を踏み鳴らしているのは
そのイタズラ心ゆえか、それとも住民の気配どころか、どこを見ても生活の形跡すら無いこの新居のような家にとまどいや苛立ちを感じているのか、
それは定かではないが、この和室に入ったコボルトは部屋の中を一瞥し、目当ての食料や台所も無いことを確認すると、腹いせにちゃぶ台を蹴り倒す。
「チッ」
舌打ちをして獣人が廊下に戻ろうと振り返った所、彼は目を見開いた、さっきまではこの部屋にいなかった異物を見つけたからだ。
「さとりは〜、化け物って呼ばれたし〜、さっき変なポリゴンとかも見たけど〜」
腰まで掛かる長い緑髪、腰に巻いている巨大な数珠のようなアクセサリー、フワフワとさまよう両手、そして美しい顔に焦点の合わないように視点の定まらない両目。
「本物の化け物らしいのに会うのは初めてかな〜?」
一瞬コボルトが同類の妖鬼かと思うほどの、怪しさを伴う独特の雰囲気と、心がここに無いような目。
一見して年端もいかぬ程度の、制服姿の人間の少女一人がコボルトの背後に存在していた。
コボルトは一瞬驚愕したがすぐにその顔は歓喜に歪む、この家の食料を漁るまでもない、このひ弱そうな少女を襲い、肉を貪れば良いのだ。
わざわざ獲物が歩いてくれるとはなんという幸運、彼は夜とイヌの女神、ボルボ=ヘカーテの導きに感謝していた。
「でも〜本物の化け物にであった時って〜、どういう顔をすれば良いのわからないな〜」
少女がコボルトに歩み寄りながら思案するように視線を斜め上に向ける。
その機を見逃さずコボルトは手に持つ棍棒で少女の胴をなぎ払う。
その瞬間、少女は一気に踏み込み、両の手で棍棒の手元を掴み棍棒を止めると、
振り返り、全身の柔を使いコボルトの体ごと棍棒を振り下ろす。
「ぐわっ!」
当然棍棒を持つコボルトは投げられ、棍棒を手放してしまった。
床が柔らかい畳故ダメージは少ない、這々の体で立ち上がろうとした所、奪い取られた棍棒で顔面を殴られる。
「ひぎい!」
鋭く、力のこもった一撃に悲鳴を上げる、頭をかばうべく両腕で頭を覆うがその上からもう一撃、
かばった腕に衝撃が響く。
コボルトは思い返す、この少女は何の前触れもなく現れていた、
つまり気配を消して背後から迫っていたのだ、そして逃げるどころかわざわざ姿を表したということは
ーーー自分が獲物だと認識されていたのだ。
「ま、まいった!!許してください!!なんでもしますから!」
気が付かなかった自分の愚かしさに後悔しつつ、必死に服従の意を表す。
「この木の棒さ〜、あんまり大したことないね〜」
「え?」
「悪魔が使う武器だからさ〜、すごい魔法とか込められてるのかと思ったけど〜、ただの硬い木の棒で拍子抜け〜」
少女は棍棒の背に手のひらを乗せ、振りぬく動作で空を切った。
あの動き、刀でも使うのか?
いや、そんなことよりも会話が噛み合わない、それどころか恐ろしい事実にコボルトは行き着いた。
この少女の狙いは自分ではなく、あの棍棒だったのではないか?
今までの攻撃は、自分を傷めつけるつもりではなく、単にあの棍棒の試し振りだったのではないか?
コボルトは恐怖に固まった、この少女に死ぬまでなぶられてしまうのか、逃げようにも逃げられるのか
「でもね〜、どうしても助かりたいなら〜考えてあげないわけでも〜」
少女が口を開いたその時、突然テレビから大音量のノイズが流れた。
少女の目がそちらに向く。
「ひいー!!」
その瞬間、コボルトは必死の体で障子に身を投げ、縁側を抜け庭の地面に落ちる。
少女が縁側に身を出した時、土より生まれた地霊、コボルトは既に首まで土に帰り、やがて頭まで土に帰っていった。
少女ーー私立愛地強制学園の天下五剣の一人、眠目(たまめ)さとりはため息を付いた。
この殺し合いの場に呼ばれ、スマホ型のCOMPで悪魔とやらを確認した後、
自らの武器、刀を奪われていた彼女は、物音がするこの家をに入り込み、天神真楊流・柄取を用いあの悪魔から武器を奪った。
しかしそれは仕方ないとはいえ望んでいた刀ではなく、どの程度の打ち合いにも耐えられるかわからない木の棍棒である。
それにあの変わった獣人をCOMPの説明書に書かれていた仲間ーーいや、仲魔とやらにしてみようかと思った所で思わぬ邪魔が入った。
棍棒を腰のアクセサリーに挿し、ノイズを垂れ流すテレビに向かい言った。
「さとりの邪魔をするなんて〜、君はどういうつもりなのかな〜?」
その時、テレビの画面に輪郭が緑の線で縁どられた男の頭部のポリゴンが映るーーいや、なんとテレビから男の頭を模したポリゴンが飛び出してきたのだ。
「人間なんぞにやられるあの獣が不憫でな」
「仲魔っていうのはサマナ〜の言うことに従うんじゃないの〜?」
悪魔の確認の際、この悪魔を召喚した後、しまわずに音の確認に来たがまさか邪魔をされるとは、夢にも思っていなかった。
「契約の義務はあれど、ワシに人間なんぞに従う義理はないわ」
「それはこまったな〜」
さとりは気の抜けた表情でそう言いつつも、内心では喜んでいた。
人並み外れた眼力、観察能力を備え、他人とあまりに異なり、観察しても観察しても人との共通点を見いだせなかった彼女は、
この場で、悪魔という人と異なりきった存在と出会い、自分が人間であるという自負を感じ、
さらにこの個性豊かな悪魔という存在を観察することも出来る。
逆らわれることもまんざら悪い気持ちではない、人間に憎悪を持っているらしきこの悪魔も、裏を返せば人間扱いしてくれているのだ。
「でもここって殺し合いの場だって言われたし〜あんまり逆らうようだと〜わたしも身が大事だから〜すぐにデリートしちゃうよ〜?シグマちゃ〜ん」
異端の主であり、異端を生み出す悪魔、【ウィルス】シグマはまるで不快げに人間で言う目に当たる部分を赤く輝かせると、Returnコマンドを実行したさとりによりCOMPに戻された。
「さあ次は〜どんなのと出会うのかな〜?」
【?????/1日目/朝】
【眠目さとり@武装少女マキャヴェリズム】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品、コボルトの棍棒
[思考・状況]
基本:悪魔って面白いな〜。
[COMP]
1:シグマ@ロックマンXシリーズ
[種族]:ウィルス
[状態]:健康
青い畳の床、黒い台の上に置かれたテレビ、テレビの前に置かれたちゃぶ台と座布団、縁側を仕切る障子、
何処にでもありそうな平凡な和室に、しかし廊下から非日常的な大きい足音を鳴らし、異形の足跡を残しながら踏み入る悪魔がいた。
人の体に醜いイヌの形をした頭、全身にびっしりと生えそろった茶色の毛、汚れた胸当てを身にまとい、その手には木製の棍棒、
この異形の獣人の名はコボルト、ドイツの地から生まれた地霊であり、人間の家に現れ、穀物などを要求する悪魔である。
コボルトは贈り物が貰えなければイタズラをすると言われるが、わざわざ大きな足音を踏み鳴らしているのは
そのイタズラ心ゆえか、それとも住民の気配どころか、どこを見ても生活の形跡すら無いこの新居のような家にとまどいや苛立ちを感じているのか、
それは定かではないが、この和室に入ったコボルトは部屋の中を一瞥し、目当ての食料や台所も無いことを確認すると、腹いせにちゃぶ台を蹴り倒す。
「チッ」
舌打ちをして獣人が廊下に戻ろうと振り返った所、彼は目を見開いた、さっきまではこの部屋にいなかった異物を見つけたからだ。
「さとりは〜、化け物って呼ばれたし〜、さっき変なポリゴンとかも見たけど〜」
腰まで掛かる長い緑髪、腰に巻いている巨大な数珠のようなアクセサリー、フワフワとさまよう両手、そして美しい顔に焦点の合わないように視点の定まらない両目。
「本物の化け物らしいのに会うのは初めてかな〜?」
一瞬コボルトが同類の妖鬼かと思うほどの、怪しさを伴う独特の雰囲気と、心がここに無いような目。
一見して年端もいかぬ程度の、制服姿の人間の少女一人がコボルトの背後に存在していた。
コボルトは一瞬驚愕したがすぐにその顔は歓喜に歪む、この家の食料を漁るまでもない、このひ弱そうな少女を襲い、肉を貪れば良いのだ。
わざわざ獲物が歩いてくれるとはなんという幸運、彼は夜とイヌの女神、ボルボ=ヘカーテの導きに感謝していた。
「でも〜本物の化け物にであった時って〜、どういう顔をすれば良いのわからないな〜」
少女がコボルトに歩み寄りながら思案するように視線を斜め上に向ける。
その機を見逃さずコボルトは手に持つ棍棒で少女の胴をなぎ払う。
その瞬間、少女は一気に踏み込み、両の手で棍棒の手元を掴み棍棒を止めると、
振り返り、全身の柔を使いコボルトの体ごと棍棒を振り下ろす。
「ぐわっ!」
当然棍棒を持つコボルトは投げられ、棍棒を手放してしまった。
床が柔らかい畳故ダメージは少ない、這々の体で立ち上がろうとした所、奪い取られた棍棒で顔面を殴られる。
「ひぎい!」
鋭く、力のこもった一撃に悲鳴を上げる、頭をかばうべく両腕で頭を覆うがその上からもう一撃、
かばった腕に衝撃が響く。
コボルトは思い返す、この少女は何の前触れもなく現れていた、
つまり気配を消して背後から迫っていたのだ、そして逃げるどころかわざわざ姿を表したということは
ーーー自分が獲物だと認識されていたのだ。
「ま、まいった!!許してください!!なんでもしますから!」
気が付かなかった自分の愚かしさに後悔しつつ、必死に服従の意を表す。
「この木の棒さ〜、あんまり大したことないね〜」
「え?」
「悪魔が使う武器だからさ〜、すごい魔法とか込められてるのかと思ったけど〜、ただの硬い木の棒で拍子抜け〜」
少女は棍棒の背に手のひらを乗せ、振りぬく動作で空を切った。
あの動き、刀でも使うのか?
いや、そんなことよりも会話が噛み合わない、それどころか恐ろしい事実にコボルトは行き着いた。
この少女の狙いは自分ではなく、あの棍棒だったのではないか?
今までの攻撃は、自分を傷めつけるつもりではなく、単にあの棍棒の試し振りだったのではないか?
コボルトは恐怖に固まった、この少女に死ぬまでなぶられてしまうのか、逃げようにも逃げられるのか
「でもね〜、どうしても助かりたいなら〜考えてあげないわけでも〜」
少女が口を開いたその時、突然テレビから大音量のノイズが流れた。
少女の目がそちらに向く。
「ひいー!!」
その瞬間、コボルトは必死の体で障子に身を投げ、縁側を抜け庭の地面に落ちる。
少女が縁側に身を出した時、土より生まれた地霊、コボルトは既に首まで土に帰り、やがて頭まで土に帰っていった。
少女ーー私立愛地強制学園の天下五剣の一人、眠目(たまめ)さとりはため息を付いた。
この殺し合いの場に呼ばれ、スマホ型のCOMPで悪魔とやらを確認した後、
自らの武器、刀を奪われていた彼女は、物音がするこの家をに入り込み、天神真楊流・柄取を用いあの悪魔から武器を奪った。
しかしそれは仕方ないとはいえ望んでいた刀ではなく、どの程度の打ち合いにも耐えられるかわからない木の棍棒である。
それにあの変わった獣人をCOMPの説明書に書かれていた仲間ーーいや、仲魔とやらにしてみようかと思った所で思わぬ邪魔が入った。
棍棒を腰のアクセサリーに挿し、ノイズを垂れ流すテレビに向かい言った。
「さとりの邪魔をするなんて〜、君はどういうつもりなのかな〜?」
その時、テレビの画面に輪郭が緑の線で縁どられた男の頭部のポリゴンが映るーーいや、なんとテレビから男の頭を模したポリゴンが飛び出してきたのだ。
「人間なんぞにやられるあの獣が不憫でな」
「仲魔っていうのはサマナ〜の言うことに従うんじゃないの〜?」
悪魔の確認の際、この悪魔を召喚した後、しまわずに音の確認に来たがまさか邪魔をされるとは、夢にも思っていなかった。
「契約の義務はあれど、ワシに人間なんぞに従う義理はないわ」
「それはこまったな〜」
さとりは気の抜けた表情でそう言いつつも、内心では喜んでいた。
人並み外れた眼力、観察能力を備え、他人とあまりに異なり、観察しても観察しても人との共通点を見いだせなかった彼女は、
この場で、悪魔という人と異なりきった存在と出会い、自分が人間であるという自負を感じ、
さらにこの個性豊かな悪魔という存在を観察することも出来る。
逆らわれることもまんざら悪い気持ちではない、人間に憎悪を持っているらしきこの悪魔も、裏を返せば人間扱いしてくれているのだ。
「でもここって殺し合いの場だって言われたし〜あんまり逆らうようだと〜わたしも身が大事だから〜すぐにデリートしちゃうよ〜?シグマちゃ〜ん」
異端の主であり、異端を生み出す悪魔、【ウィルス】シグマはまるで不快げに人間で言う目に当たる部分を赤く輝かせると、Returnコマンドを実行したさとりによりCOMPに戻された。
「さあ次は〜どんなのと出会うのかな〜?」
【?????/1日目/朝】
【眠目さとり@武装少女マキャヴェリズム】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品、コボルトの棍棒
[思考・状況]
基本:悪魔って面白いな〜。
[COMP]
1:シグマ@ロックマンXシリーズ
[種族]:ウィルス
[状態]:健康
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